大和出版印刷 CIRO 白にこだわったノート

大和出版印刷 CIRO 白にこだわったノート
大和出版印刷 CIRO 白にこだわったノート

小学生の時でも、新しいノートをおろして名前を書く時に多少の緊張感はあって、今度はきれいなノート使いをしたいと思ったことがよくありました。

表紙の名前を書く時油性ペンで書きましたが、きれいに書こうと気負いすぎて、強張った変な字になったり、マジックの色のチョイスを間違ったりして、がっかりしてしまうことが本当に多かった。

その時の反省もあって、ノートやダイアリーの表紙どころか、1ページ目には絶対何も書きません。失敗してもカッターで切ってしまえばいい。
さらの(新品の)ノートにペンを立てるというのは小学生の私にとっても、緊張するくらい厳かな行事で、きれいに書きたいと白いページに願ったのだと思います。
この手帳を見て、30年以上前に思っていたそんなことを思い出しました。

大和出版印刷の手帳CIROは、白にこだわった手帳です。
表紙は厳選したリネン素材、中紙は万年筆用紙として極上の書き味を持つ白いLiscio-1(リスシオ・ワン)紙。

でもこの手帳の一番の特長は、罫線も白であるということ。
白い紙に白い罫線を印刷すると見えないのではないかと思われるかもしれませんし、実際遠めに見てこの手帳に罫線が入っていることに気付く人は少ないかもしれません。
でも万年筆のキャップを開けて紙面に向かって文字を書こうとした時罫線が浮かび上がってくるような感覚を覚えます。
光を吸収する紙の質感とわずかに光沢を持つ罫線の白いインクの光の反射の違いが、書こうと思って紙面を意識したに罫線を認識させてくれるということなのかもしれません。
これなら罫線というガイドがありながら、無地の手帳のように使うことができるかもしれません。

製本は大和出版印刷が万年筆用紙製品事業に参入するきっかけになった上製本ノートを製本した今永製本。
加工の上手さには定評があって、開きやすく丈夫な製本を実現しています。
しかし、白い罫線の紙を製本する作業は困難を極め、たくさんの手帳を作ることができませんでした。100の限定生産ということになっています。

すでに多くの注文が寄せられている活版印刷の名刺、あじ名刺を始めた大和出版印刷がまた実験的で面白い企画を始めました。

当店の他、ル・ボナーさん、山科のRiver Mailさんでも販売しています。

⇒CIRO 万年筆専用ノート

大人が初めて使う万年筆

大人が初めて使う万年筆
大人が初めて使う万年筆

新たに靴が欲しいと思い始めて数ヶ月が経ちました。
今までビルケンシュトックで満足していましたが、高価でももっと違うものを手に入れたいと思っていました。
オールデンを買うならコードバンのものがいい、そしてブルックスブラザーズとのコラボものがいいとか言っているうちに生産終了してしまい、オールデンが目の前を通り過ぎていったこともありました。

こんな風に靴を買おうと思うと雑誌をいつまでも見たり、インターネットで調べたりしましたが、こういう時間というのは本当に楽しいと思いました。
その時、万年筆を初めて買おうとしている方も私と同じような思いをしているかもしれないと思い当たりました。

調べていくうちに少しずつ訳が分かってきたり好みができてきたりして、欲しいものが固まります。自分が使っているところをイメージしていると楽しくてすぐにでも買いたいと思うけれど、自分が買おうとしているものが果たして正しい選択なのかどうか不安になると思います。

そのメーカーは万年筆メーカーとしてどのような評価を受けているのか。
そのメーカーの代表的なものを選ぶことができているのか。
他者の真似ではなく、オリジナリティのあるものを選ぶことができているかなど。
私もどうせ買うなら、長く作られている靴の世界を代表する超定番のものが欲しいと思ってイギリストリッカーズ社のカントリーブーツというものを選びましたが、オリジナリティもあると思いました。

それは万年筆において最初に買うべきスタンダードモデルを自分が理解しているから、余計に靴において心配になったのかもしれません。

当店は初めて万年筆を使うという方が多く来店され、とても嬉しく思っています。
そのため初めて万年筆を使うという方にお勧めしたい万年筆は揃えるようにしています。
長く作られていて、機能的にも使いやすい、万年筆の定番でオリジナリティのあるもの。
初めて使っていただくお勧めの万年筆の中には、ペリカンM400とM800がいつも入っています。
ペリカンの万年筆は、ペリカンらしい個性的なデザインを持っていますし、バランスも良い。優れたペン芯はインクによる性能の差が少なく、初めて万年筆を使う人にも扱いやすいところがお勧めの理由です。

M400は細めで軽いボディで、ボールペンやシャープペンシルに慣れている方にも違和感なくすぐに使い出すことができます。1950年代から作られている(60年代に中断していますが)ペリカンを代表するモデルです。
シャツのポケットに差すことができるくらいのコンパクトなボディなので、携帯用の万年筆としても選んでいただけます。

M800は全ての万年筆の中で最も万年筆らしいバランスを持った万年筆です。
大きなボディとハードでタフなペン先により、筆圧の強さを気にせずにガンガン使うことができる、まさに書くための万年筆です。

初めての万年筆選びでM400とM800の2つも候補に加えてご検討ください。

⇒ペリカントップへcbid=2557105⇒ペリカントップへcsid=6″ target=”_blank”>⇒ペリカントップへ

オリジナルダイアリーカバー完成

オリジナルダイアリーカバー完成
オリジナルダイアリーカバー完成

大和出版印刷の武部社長がル・ボナーの松本さんに万年筆の良さを教えてもらって万年筆に目覚めなかったら、極上の万年筆での書き味を持った紙リスシオワンは生まれなかったし、私が武部社長と知り合うこともなかったと思います。

私がある問屋さんの紹介で分度器ドットコムの谷本さんと知り合わなかったら、ダイアリーをオリジナルで作るという発想も生まれなかったと思います。
それらの縁があって、このダイアリーとダイアリーカバーは一昨年に生まれました。

縦横差のない正方形の形は日頃書類などで使う規格のサイズとは違いますので、目を引いて何か気になる。
この正方形の形が平面で見た時に最も美しい形なのかなと思います。
ダイアリーを作ろうという話になった時、正方形という形に最もこだわったのは、分度器ドットコムの谷本さんでした。
谷本さんは筆記スペースと携帯性を両立し、形としても面白い正方形ならユニークで使いやすいダイアリーを作ることができると思っていたのです。
そして私たちはアイデアを持ち寄って正方形が生きる罫線フォーマットを作りました。

様々なダイアリーを試して、万年筆でダイアリーを書くならこうあって欲しいという希望を持っていましたので、フォーマットはすぐに出来上がりました。
万年筆で書くことを楽しむためのダイアリーはこうして生まれましたが、このダイアリーになくてはならないものが、ル・ボナーさんが製作してくれるカバーです。

このダイアリーカバーも万年筆で書くことを強く意識している仕様になっていて、ペンホルダーやベルトなどのシステム手帳などには当たり前の装備を省いて、開きやすさ、書きやすさに特化しています。

書く機能を優先して、一切の装備を省いたこのダイアリーカバーですが、そのシンプルさが結果的に美しい造形に一役買っていると思います。

美しい張りと光沢のあるクリスペルカーフのカバーは、静謐な雰囲気を湛え、スーツなどのフォーマルな服装により似合うものだと思いますし、シュランケンカーフのカバーは内側のブッテーロ革との色合わせが見所になっていてより明るい雰囲気でカジュアルな服装に合うと思います。

革の表情の違いで全く違うものに見えるので、クリスペルカーフとシュランケンカーフというふたつの素材の違いは対照的で、使われる方の層を広げることに繋がっています。

両方のお客様の共通点は万年筆を使う、ということだと思っています。
手帳カバーに当たり前についているものを削ぎ落として、その形の美しさを見せるダイアリーカバーは、ル・ボナーの松本さんのキレの良い仕事ぶりが伝わるモノです。
私もクリスペルカーフのダブルを使っていますが、収めることのできる情報量の多さ、姿形の美しさが特に気に入っています。

今回シングルのみの完成になりますが、最大4冊まで収納できるダブルタイプもクリスペルカーフで11月15日頃に完成する予定になっています。

⇒Liscio-1オリジナルダイアリーカバーcbid=2557544⇒Liscio-1オリジナルダイアリーカバーcsid=2″ target=”_blank”>⇒Liscio-1オリジナルダイアリーカバー

ファーバーカステル250周年エレメント オリーブ

ファーバーカステル250周年エレメント オリーブ
ファーバーカステル250周年エレメント オリーブ

どんな企業でもターニングポイントとなるような変革の年というものが訪れて、時代の求めに応じて変化していくのだと思います。

創業して250年もたつファーバーカステルにはそんなターニングポイントとなる年が何度も訪れたのではないでしょうか。
今から考えると10年前、240周年の年。

翌年から始まる限定万年筆のシリーズペンオブザイヤーの試金石となるモデルオリーブが発売されましたが、それがカステルが限定万年筆を手掛けることになったターニングポイントで、それによってファーバーカステルの万年筆の世界での存在感が大きくなったと思っています。

ペンオブザイヤーは万年筆ファン全てから注目を集めていて、話題に上りますので、240周年のオリーブを世に問うたカステルの戦略は相当の効果があったことになります。
今回発売された250周年エレメント・オリーブもファーバーカステルが自社の新しい展開を予告する、ターニングポイントを自ら作り出したペンになっていると見ています。

250周年エレメント・オリーブ、そして今後に続くストーリーは数年前から始まっていました。
エレメント・オリーブのベースとなっているイントゥイションは2009年に発売されました。
万年筆としては独特のバランスを持っていて、異端的な存在だったクラシックコレクションと違って、他の万年筆から持ち替えても使いやすい標準的なボディバランスを持ちながら、カステルらしさを持った、カステルの世界戦略的な万年筆です。
イントゥイションのバランスの良さ、使いやすさはそれなりに評価されましたし、実際良いペンでペリカンM400と比較しても見劣りしないものですが、クラシックコレクションにあった、どうにも仕方なく惹かれるような強烈な説得力が薄いように思っていました。

イントゥイションは実用万年筆として、好意的に万年筆ユーザーに受け入れられ、カステルらしい金属キャップのイントゥイション・プラチノという発展モデルを生み出します。

エレメント・オリーブはこのイントゥイション・プラチノを木製ボディにして、ペン先、ペン芯を大型にして、最上の書き味を持たせたものです。

エレメントオリーブは今後、クラシックコレクションのようなペルナンブコ、グラナディラボディのものが発売され、新しいカステルの伯爵コレクションの中心的な存在になっていくと思われます。
数年前に始まった250周年の展開のための点が今やっと線になって、これからもっと太いものになっていくのだと思うと、このエレメントは非常に上質は書き味やボディの色合いや質感という、その物自体の価値以上の重みのあるペンだと思います。