手帳の紙1枚作戦

何度も書いていることですが、手帳の使い方について考えるのが好きで、思いついたらあれこれ試してみるので使い方が全然定まりませんでした。

仕事を始めた時から手帳はずっと使い続けていて、その時々でこれで完璧だ、このやり方で生涯使い続けようと思っても、1年使うと違うやり方が試したくなります。

手帳にロマンを感じる性質で、違うやり方をすれば仕事がもっと効率よくできるのではないか、違う手帳の方がいい仕事がてきるのではないかと思ってしまうのです。

でも考えてみると、仕事の内容ややり方は変わっていくものだから、それを整理するフォーマットである手帳がそれに合わせて変化してもおかしくないのかもしれません。

前は手帳に色々なことをびっしりと書いていたけれど、今はダラダラと長い文章は書かなくなりました。

書かなくてはいけない原稿が毎週、毎月、毎シーズンとあって、かならず何かの文章を書いているし、もちろん仕事の企画もあれこれ考えているから手帳に向かう時間が短くなったからかもしれないけれど、それだけではない。

手帳に気持ちのまま、思いつくままに細かく書いたことを読み返す気が私はしなかった。

自分にはできごとなどを簡潔に箇条書きで記録する方が向いていることに気付きました。

今は日付入りの正方形ダイアリーでスケジュールやToDoを管理しながら、記録を箇条書きで残すようにしています。そして同時進行しているプロジェクトの企画内容や管理は、システム手帳に書いています。

正方形ダイアリーにもシステム手帳にも箇条書きで書きます。お客様のご購入記録や打ち合わせなどの毎日のドキュメントは、正方形ダイアリーに時間とともに書くようにしています。システム手帳は1つの物事が3つ折りリフィル1枚の紙に収まるように物事だけ簡潔に書く。そこにはただ事実だけが積み上げられていきます。

プロジェクトが完結したら、それを正方形ダイアリーに貼ります。

そうすることで大切なことが散逸することなく、過去の正方形ダイアリーに時間の経過という法則でファイルされるので、過去のことを探す時に正方形ダイアリーのどこかに書いてあるということになります。

これでデータは散逸しなくなって、これに今までどれほど助けられたことか。

システム手帳に凝ると、全てを1冊にまとめたいと思い、たくさんのインデックスを駆使して、複雑なページ構成にしてしまいがちです。

ページ構成を考えた時はそれで理解していたつもりでも、時間が経つと該当しない項目ができたり、法則が分からなくなったりして、自分がどこに書いたか見つけられなくなるということがよくありました。

人それぞれだと思いますが、私の場合は、複雑な構成にすると面倒になってしまうようでした。

そんな自分のことが分かって、1企画1枚に書くということに辿り着きました。

イベントなどが多くなると、正方形ダイアリーは貼った紙で膨らんでいくけれど、閉じられないほどではない。

先日行ったドイツ出張もいろいろ調べて書き込んで何ページにもなりましたが、それらは前調べにすぎず、ホテルに帰って1枚の紙に少しずつ書き足していたドキュメントが出張の終わりとともに完成する。それを正方形ダイアリーに貼って記録は完結しました。

紙1枚作戦と密かに名付けていますが、シンプルなやり方だけど自分には合っているような気がするし、皆様にもお勧めしたい手帳の使い方だと思いました。

(写真は正方形ダイアリーとカヴェコ1980年のローラーボール。ローラーボールは替え芯が入荷次第販売開始します)

⇒正方形ダイアリーTOP

絶対的な存在に立ち向かうペリカンM1000

モンブラン149という象徴としての万年筆の絶対王者と比べることができる、唯一の存在の万年筆がペリカンM1000だと思っています。

上質な万年筆はもちろん他にたくさんありますが、149は象徴なので、書き味や性能などの実用性を超越したところに存在すると思っています。そういう絶対的な存在に反発したくなる私のような天邪鬼な人は他にもきっといるはずで、その人たちは実力でのし上がってきた(?)M1000を推すに違いない。

ペリカンM1000とモンブラン149を比べてみると、サイズはほぼ同じ(厳密にはM1000の方が3mm短い)、ペン先の大きさもほぼ同じで、どちらもオーバーサイズと言われるカテゴリーに属する万年筆です。

形は両端を絞った紡錘形(万年筆の世界ではバランス型といいます)の149に対して、M1000は両端が平らで円柱に近い形状(ベスト型)をしています。

万年筆を紡錘形にする理由は、デザイン的なこと以外では、両端をなるべく軽くすることで重量を中心に集め、筆記バランスを良くする、という目的があります。

対してM1000のような円柱に近い形状は、ペンのどこを握っても同じような感覚で握ることができるため、こういう形の万年筆を持ちやすいと思う人も多いと思います。

書き味もデザイン同様、かなり違っています。

149のペン先は剛性感があり、硬いペン先が紙を滑るような感じ。M1000は柔軟な書き味で、筆圧の加減で文字に強弱がつくような、1文字1文字きっちり書くことに向いているような柔らかい書き味を持っています。

ただサイズが近く、同じカテゴリーに属しているということ以外は何もかも違う149とM1000、どちらを選ぶかは好みが分かれるところですが、キャップをつけずに書く場合M1000の方がボディの長さが5mmほど長く、この差がキャップをつけずに書く場合利いていて、キャップなしで書く場合はM1000の方がバランスが良いように思います。

またボディの出っ張りが少ないという点では、M1000の方がペンケースの選択肢は多そうです。

最近の蒔絵万年筆はM1000で作られることが多く、それもペリカンが自社最高の万年筆と位置付けていることの裏付けとなっています。

2016年にM800ルネッサンスブラウンという万年筆が特別生産品として発売されましたが、このたびM1000ルネッサンスブラウンを発売しました。

ルネッサンスブラウンのM1000は軸の色が違う以外にもキャップリング、尻軸リングが専用のデザインになっていて、さらに差別化されています。

ペリカンの特別生産品は直感的に美しいと感じる軸が多く、この分かりやすさが潔くていいと思っています。M1000ルネッサンスブラウンも、その軸色から重厚なインテリジェンスを感じるのではないかと思っています。

ペリカンは186年もの歴史があり、過去の万年筆を現代の技術で復刻させた限定品のシリーズもありますが、特別生産品M1000ルネッサンスブラウンはすでに高い評価を得ているスーベレーンシリーズというペリカンの型を使いながら、万年筆を面白くしてくれる存在だと思っています。

⇒ペリカンM1000 ルネッサンスブラウン

NANIWA PEN SHOW後記

NANIWA PEN SHOWは1日開催のイベントでなかなかハードですが、その大変さを上回る価値があると思っています。

早朝に家を出て、8時前に会場に着いたらすぐに準備に取り掛かり、9時45分には準備完了して10時にはお客様をお迎えする。18時に閉場後、19時の終礼までに片付けて荷造りをする。

1日の中にこれだけの作業があるイベントは他になく、瞬発力と持久力が必要です。

今年のNANIWA PEN SHOWで私たちは小さな挑戦をしました。

イベントにはよく持って行ったモノをかなり減らして、オリジナルインクとノートを少しだけにしました。そして自分たちが本業だとしている万年筆の調整と、万年筆の販売を中心にしました。

ペン先調整機は2台持ち込んで、私と森脇が同時に調整できるようにして万全の体制を整えました。これでペン先調整の依頼がなかったり、万年筆が売れなかったら、私たちは大阪まで来て1日ただ座っているだけになってしまいます。

実際、事前に予約フォームを準備しましたが、予約は1件も入っていませんでした。

当日までそんな恐怖との戦いでしたが、せっかく万年筆店である当店を知ってもらえるいい機会なので、ペン先調整を前面に出してイベントに臨む方がいいと思っての決断でした。

そんな状況でしたが、イベントが終わって、挑戦して本当によかったと思いました。

調整も常にお客様がおられたし、書き方に合わせて調整した万年筆も喜んで買っていただけました。

そして何よりも当店のテーブルを囲んで楽しそうにして下さるお客様が何人もおられて、そんな空間を作ることができたことが最大の収穫でした。

ドイツに行って仕入れたペンはありましたが、普段から当店にあるものとペン先調整というスキルだけでイベントに参加して、お客様に喜んでもらうことができました。

イベントではパイロットキャップレスと三角研ぎの引き合いが目立ちました。

手帳を書くことを楽しんでいる方が多く、書いては仕舞うことが連続してしやすいキャップレスが手帳にちょうど良かったのだと思います。

パイロットは60年程も前に、万年筆に絶対必要なものだと思われていたキャップを無くして、片手で書き出せる万年筆を作るという挑戦をしました。そのおかげで、キャップ無しでもぺン先が乾かない、小さなペン先からは考えられないほど書き味の良いキャップレス万年筆があるのだと思います。

挑戦の度合いは違いますが、この数年間続けていたイベントの形を根本的に変えて、もう一度自分たちの本質に立ち戻ってイベントに臨めたことは大きな進歩でした。

NANIWA PEN SHOWに来て下さったお客様方にはとても感謝していますし、こういう機会を毎年作って下さっている主催者の方々にも感謝しています。