幸せな仕事~ローラーアンドクライナーインク~

幸せな仕事~ローラーアンドクライナーインク~
幸せな仕事~ローラーアンドクライナーインク~

新しいインクを扱い出しました。
ローラーアンドクライナー社のインクです。
正直に告白すると、当店ではインクの色はもう一通り揃っていると思っています。
あと当店のインクのコレクションに追加するものがあるとすれば、色名やラベルなどのセンスに惹かれるもの、その色や色名から場所などがイメージできるものだと思っていたので(インクには少々荷が重いですが)、そんなインクをいつも求めていました。

ローラーアンドクライナーのライティングインクは、独特の色や色名を持っていますが、混色できるというところにも魅力を感じました。
セピア、スカビオサ、サリックスはできませんが、他のインクは混ぜることができるので、使う人の好みに合った無限のカラーバリエーションを実現できます。

個人的には、ライプツィヒアンブラックを使用していますが、光沢紙のような紙にも書くことができる顔料インクらしい特性と、ブルーを煮詰めて黒にしたような色が気にいっています。
ローラーアンドクライナーのインクは、顔料インクだというところも特徴的なところで、それが発色の良さにつながっているようですが、使用した感じでは詰まりやすくもなく、比較的サラサラした性質のように思えました。

ローラーアンドクライナーのインクを魅力的に感じるのは、インクから小さな工場でハンドメイドされている背景をイメージできるからでもあります。

幸せな仕事というのは人それぞれ定義があって様々だと思うけれど、私が思う幸せのひとつの形として、自分が世の中から与えられた役割を迷いなく果たし、その役割の中で精進して、より良い仕事をすることだと思っています。

自分の役割がはっきりと分かっていると、自分が持っていないものを欲しがることもなく、自分が今持っているもので満足して、自分の居る場所に満足できていたら、それは幸せなことだと思います。
1829年に創業して4世代にわたってドイツ中部の片田舎ツェラメーリスでインクの生産に従事してきたローラーアンドクライナー社にそんな幸せな仕事のイメージを持っています。

ル・ボナーの松本さんたちとドイツを旅した時、ニュルンベルグ郊外の町を訪れました。
静かで美しい町並み、。町に住む人は自分の町に誇りを持っていて、ここでの静かな暮らしに満足して、楽しんでいる。そんな印象を持ちながら、手入れの行き届いた清潔な通りを歩きました。
パン屋には大きな円盤型の硬そうなパンがたくさんあって、車で乗り付けた人がそれを買って、後部座席に放り込んで走り去っていく光景をいくつも見ました。
静かで、慎ましくも幸せな暮らしがイメージできる町の風景を見てから、ドイツと言えば大都会のベルリンやフランクフルトではなく、田舎町をイメージするようになりました。

ローラーアンドクライナー社も私たちが訪れた町からそう遠くない町にあって、きっと同じように静かだけど、清潔で、美しいところなのだと思っています。
ローラーアンドクライナーについてそんなイメージが膨らんでから、このインクをぜひ使いたいと思うようになりました。

様々な商品があって、インクの色はもう出尽くしていると思っているけれど、自分が使うなら、幸せな仕事において誇りを持って作られたものを使いたいと思います。

⇒ローラー&クライナーボトルインク