システム手帳製作中

システム手帳製作中
システム手帳製作中

この店を始めてからシステム手帳を避けてきたところがあります。
万年筆で書くということだけを考えると、綴じノートの方が圧倒的に書きやすく、システム手帳のリングがとても邪魔に感じられました。
でもリング式のシステム手帳は、ドキュメントを分類して保存するのに適しているし、ダイアリーとシステム手帳を併用するようになって、自分のノートの中で情報がそのまま眠ってしまうようなことがなくなりました。

何か記録を残すときに、その情報を引き出すための保存の仕方をしないと、それは二度と目にすることができなくなる。
言うまでもありませんが、ダイアリーは時系列でページが並び、システム手帳は時系列にとらわれずにカテゴリーごとの分類をすることができる。
私にとって、ダイアリーやメモに書き込んだ情報をシステム手帳の転記しておくことは後々のためでもあるけれど、とても楽しい作業で、万年筆を使う楽しみの原点でもあります。

就職した年に買って、先輩から分不相応なものを持っていると馬鹿にされたブライドルレザーのシステム手帳がボロボロになったからでもないけれど、Pen and message.としてシステム手帳を作りたい、そろそろ作ってもいいのではないかと思いました。
私がシステム手帳を使い始めた当時はその25mmのリングにパンパンになるほどたくさんの紙を入れていました。
ダイアリーやドキュメント、アドレス、名刺ファイルなどなど。
多くのリフィルが発売されていたし、たくさんのメーカーがシステム手帳を作っていました。
10年ほど前に綴じ手帳、ノートのブームが来て、システム手帳の黄金期は終わり、スマートフォンがそれにとどめを刺したけれど、これでないとない味わいがあって愛用し続ける人は必ず存在している。
システム手帳も万年筆と同じように、より深いところで生き残っていく段階に入ったのだと、手帳愛好家として、ある程度の距離を保ちながら見ていて思いました。
私もそういうものを求め続けていて探し回りましたが、よりこだわりこだわりに相応しいもの、楽しみのあるシステム手帳が求められているのではないかと思っています。
一部のハイブランドが出すもの、量販店のようなところで鎖でつながれて売られているもの以外のものが欲しいと思って、その想いが強くなっていました。

何のたたき台もない、ゼロからの物作りだったけれど、システム手帳の製作を引き受けてくれたベラゴの牛尾さんは私のアバウトな要求に合う革を探して、ベラゴカラーも出して欲しいという要求にも応えたものを作り始めてくれています。

牛尾さんはそれほど多くを語る人ではないし、その熱い情熱は心の一番奥に仕舞っていて、なかなか見せない人だけど、ベラゴの製品から見受けられるそのセンスや革製品に対する考え方は洗練されたものであることは分かっていて、共感していました。
「都会的」という言葉が牛尾さんが作るものにピッタリの言葉ですが、牛尾さんは長田区の出身で、垂水出身の私は街である長田の子にコンプレックスがある・・・というのは冗談だけど。
システム手帳は20㎜の容量のあるリング径で、素材感のある牛革の表紙とデリケートできれいなボックスカーフの内側、手帳を開いた時に気分が盛り上がるように、革のページ押さえとインデックスを備えたものになっています。

ちょっとこだわり過ぎて、値段が高くなってしまいましたし、たくさん作ることができませんでしたが、間もなくお披露目できると思います。