アウロラ大陸シリーズ第5弾〝オセアニア“

アウロラ大陸シリーズ第5弾〝オセアニア“
アウロラ大陸シリーズ第5弾〝オセアニア“

待望のアウロアの大陸シリーズ第5弾オセアニアが入荷しました。
ホワイトベージュとワインカラーが複雑に絡まった上品な色合いで、金属パーツはピンクゴールド仕上げになっています。
お客様方の反応を見ていると、感性の鋭い女性方から称賛の声を聞くことが多く、手応えを感じています。
この万年筆から出るインクの色はボルドー系の、例えばエルバンのブルゴーニュレッドなどとてもイメージに合っていて、女性のお客様から共感してもらえるかもしれません。

当店がこれから売っていきたい、お客様方と共感し合いたいシステム手帳の名前を「コンチネンタル(大陸的)」としたのも、アウロラの限定万年筆の大陸シリーズが頭のどこかにあって、憧れがあったのかもしれません。

定番モデルオプティマをベースとしながら、そのペンのために専用のレジンを作り、削り出してボディとし、リングにはそれぞれの大陸を代表するモチーフをあしらう。
突飛なデザインではないし、毎回目新しさを感じさせるものになっているわけではないけれど、アウロラらしい抑えた華やかさを持った、地に足の着いた印象の万年筆をマイペースで作ってきました。

第1弾のアフリカでは砂漠と土の色を、第2弾のエイシアでは大河と大地の色を、第3弾のエウロパは機械をイメージさせるメタリックグレー、第4弾アメリカは星条旗をイメージさせる色をボディカラーに採用して、アウロラの解釈によるそれぞれの大陸を1本のペンで表現してきました。
そこにはアウロラの限定万年筆というのはこういうふうに作るのだとクールに示すような冷静な表現が感じられ、大いに共感していました。
第5弾オセアニアは陽と大地をイメージした色合いのように、私は受け取っています。
その印象はどこかノーブルで、そういったところがアウロラらしいと思っています。
私はオセアニアには行ったことがないけれど、スタッフKはニュージーランドに留学していたし、工房楔の永田さんはオーストラリアに木工留学をしていた。お客様で友人のS等さんはオーストラリアで仕事していたことがあったなど、身近な人たちがオセアニアに縁があって、その思い出話をよく聞いていたので、良い印象を持っている、いつか訪れたい場所になっています。

この万年筆は、大陸シリーズはどんな人が買うのだろうといつも思います。
もちろんそれぞれの大陸に思い入れのある人が、それを使いたい、いつも身につけていたいと思って、使い始めるのかもしれないけれど、気がつけばいつも完売しているという、静かな人気があるのがアウロラの大陸シリーズです。
アウロラは大陸というモチーフで美しい万年筆を作ることができたら、大陸というテーマで万年筆を作ることを楽しんでいるかのように、オセアニは美しい万年筆に仕上がっていると思っています。

たしかに値段は高くなって、この万年筆を使う人はとても限られるけれど、それでもアウロアは万年筆のメーカーの誇りをかけて大陸シリーズを完結させようとしています。

ポーチピッコロの持ち方

ポーチピッコロの持ち方
ポーチピッコロの持ち方

最近その機会が減って寂しいのですが、WRITING LAB.の打ち合わせを活発にしていた時、よく皆で夕食に繰り出していました。

そんな時、財布と携帯電話、メモ帳と万年筆を持って出ていましたが、鞄を持って出るのはあまりにも荷物になるし、ポケットに入れると財布を手で持って行かなくてはならなくなって無防備だし、カッコ悪い。
活動をなるべくフェイスブックに上げたいのでスマホはいるし、食事しながらでも打ち合わせになることがあるのでノートと万年筆は持っていたい。

Iiro(イーロ)のノートは何でも書き殴るメモ帳として使っていますが、新書サイズという大きさや薄さはちょうどいいし、罫線の色も様々なバリエーションがあって、インクの色と合わせたり、季節によって変えたりすることができます。
そんな会食の道具を収めるのに、ル・ボナーポーチピッコロはとても便利でした。
私のラウンド型の大きな長財布とスマホ、SOLOのペンケースに入れた万年筆とiiroのノートがピッタリと入ります。
冬はコートを着ているので、ル・ボナーのパパスショルダーを斜め掛けにしていますが、ジャケットで出掛ける時に斜め掛けはしたくない。休みの日などポーチピッコロだけ持って出掛けることもあります。休日なので、会食の時と同じ持ち物で用が足ります。

このポーチピッコロをどうやって持つかが、これだけを持って出掛ける時の最大のポイントだと思っています。
昔流行った、誰もが持っていたセカンドバッグは小脇に抱えるようにして持っていたけれど、そうやって持つのは時代遅れだし、そうするにはポーチピッコロは小さい。
ハンドルを持って提げて歩くのも女性だと気にならないけれど、自分には何か違うと思っていて、私が行き着いたのはハンドル部分を上にして、そこに人差し指から小指を通して、上からつかむようにする持ち方でした。
少し無造作な感じがするけれど、この持ち方が一番小さな鞄(?)らしいと思いました。
ル・ボナーの松本さんはヨーロッパ旅行の時、さすが製作者だけあってとてもおしゃれにさりげなく、パパスショルダーと組み合わせて持っていました。

持ち方がポイント・・・と言っている私はまだまだポーチピッコロを使いこなせていないけれど、今の気分に合った、でも実際の使用において必要を満たしながら最小限のサイズにしてある、とても考えられた鞄(?)であると思っています。

⇒ル・ボナー ポーチ・ピッコロ

信頼の定番万年筆 ペリカンM805 そして新製品の発売予定

信頼の定番万年筆 ペリカンM805 そして新製品の発売予定
信頼の定番万年筆 ペリカンM805 そして新製品の発売予定

何か新しくモノについて知ろうと思ったり、使い始めようと思った時、その世界の定番中の定番から入ってみることが一番良い取り組み方なのではないかと思っています。
それは自分の直感や感性に自信がないから思うのかもしれませんが、長く使われてきたもの、多くの人が使ってきたものには、やはりどこか良いところがある。そういうものが定番と呼ばれ、面白味は少ないかもしれないけれど、そのモノに求められる機能は十二分に果たすし、飽きが来ない。使いこむことで得られる喜びも併せ持っているもの。
それが定番品だと思っています。

万年筆において定番品と言うと、ペリカンスーベレーンM800です。
万年筆を日常的に使い始めたばかりの頃にそう教えられて、そう信じてきましたが、この仕事をしてきて、それは正しかったと思っています。

自分で初めて買った万年筆がM800でした。万年筆のお手本と言われるものを最初に手に入れたことで、その後の私の人生が変わったのかもしれないと、今では思っています。
万年筆を使い慣れていない手にはM800は長く、重く感じられました。
なるべくキャップを尻軸に差して使いたいと思ってけれど、最初の数年間はキャップをつけずにしか書けなかった。
その後に購入したアウロラオプティマの方がM800より遥かに使いやすいと思いました。
実はM800のキャップをつけた重さに手を任せて書くようにすれば、無駄な力を入れずに書くことができる。それに気付けば万年筆使いとして一人前だと思いますが、私はそう使えるようになるまで5、6年かかりました。
でもそのペンの重さに任せて字を書く感覚を覚えたら、M800ほど書きやすい万年筆はないかも知れません。

そうなると、あれほど大きいと思っていたボディが実は大きくも何ともなかった、むしろ普通だったと思うようになれるものです。
書くことにおいて、こんなに自然な使い心地の万年筆はないと思えるようになるのがM800で、オマスパラゴンやM1000のような、書いていて楽しいと思える手応えのようなものはないけれど、手応えを求めるのはまた違う次元の話のような気がします。

ペリカンの万年筆は私たちのイメージでは緑縞が代表的なイメージですが、この縞模様自体他のメーカーにない特徴的な意匠だと思います。
ペリカンのホームページによると、ストライプの入ったスーツを好んで着た英雄、1923年には首相も務め、その後外相として活躍し、1926年にはノーベル平和賞も共同受賞したグスタフ・シュトレーゼマンから由来して、ペリカンのストライプ模様の万年筆を本国ではシュトレーゼマンと呼ぶ人もいるとのこと。

このたび(2月予定)、スーベレーンM800のシルバーの金具仕様のM805に黒の縞模様、ブラックストライプが発売されることになり、その万年筆はM805シュトレーゼマンという名前を冠しています。
定番品M800の新たなバリエーションと言うことで、かなりの人気が予想されます。シャープで抑えた印象の黒縞にシルバーの金具のM805、この万年筆らしい色づかいのものなのかもしれません。

※ご注文いただいた方には2月以降の入荷次第順次お渡しするつもりでおりますが、遅れも予想されます。ご了承下さい。

⇒M805 ブラックストライプ(予約受付中)

細くて硬いペン先~カスタムヘリテイジ912ポスティング

細くて硬いペン先~カスタムヘリテイジ912ポスティング
細くて硬いペン先~カスタムヘリテイジ912ポスティング

システム手帳を使ううちに細字の万年筆への欲求が高まってきました。
コンチネンタルのシステム手帳はバイブルサイズで、紙面のスペースも限られています。スペースを有効活用するためと、使う紙の枚数を少なくするために書く文字がだんだん小さくなってきたのです。
既に細字の万年筆は数本持っているし、その気になれば使っていない万年筆を細字に研ぎ出すこともできるので、それらを使えばいい。
実際、手持ちの万年筆でシステム手帳に記入するので満足していました。
その万年筆を知るまでは。

お客様のKさんと話していて、1990年頃に作られたパイロットカスタム72という万年筆の話になりました。
Kさんによると、その万年筆が京都の古くからある文房具屋さんにデッドストックで残っているという。
私は、ぜひ欲しいので、京都に行く際に買ってみますと話していました。
Kさんは、私が持っている万年筆の中でも異色なデルタコサックの元持ち主で、私に新たな世界を見せようとする何となく悪友のような存在。
なかなか京都に行く機会が持てず、カスタム72を入手できずにいる私の代わりに、先日Kさんが、ついでがあったからと私の代わりに買ってきて下さいました。
パイロットカスタム72を使い始めて、硬い細字のペン先の魅力に大いに魅せられています。
カスタム72は通常のカスタムシリーズよりも硬いペン先を備えた万年筆で、筆圧の強い人、運筆の早い人、カリカリの書き味が好きな人には好まれるものですが、すぐに生産されなくなって、今では入手することが難しくなっています。

硬いペン先の万年筆を使ってみて分かったことは、均一な文字が書けるということでした。
このペン先は私の欲していた手帳用の万年筆の条件にピッタリでした。
カスタム72はもう定番品ではないので皆様にお勧めはできませんが、パイロットカスタムヘリテイジ912のポスティングというペン先のものが、これに当たります。

パイロットの昭和2年の古い文献には既に今のペン先のラインナップが全て紹介されていて、このポスティングについて「一般の厚紙の帳簿に記帳するのに適当で、ブックキーパー(ペン先種類)の如く数字用でなく、普通の文字を細字に書くのに用ゐられます。極細であるから、弾力が硬い肉厚のものでなくてはならぬのは勿論、穂先は短か穂になっています。そしてブックキーパー程輪郭の鮮明な線は書けない代わり、紙当りを良くする目的から、イリジュウムの角々を丸めて研ぎます。従って書かれた線は濃淡の変化がなく、一本調子で勢いに欠けますが、繊細で清楚な感じを覚えます。」とあります。

繊細で清楚な線とはよく言ったもので、このポスティングも手帳に小さな文字をビッシリと書いても、スッキリと見やすい文字を書くことができます。
柔らかくてインク出の多い万年筆も味わい深くて良いけれど、システム手帳など手帳を書くことにこだわると硬いペン先の細字の万年筆の良さが見えてきます。

⇒パイロット カスタムヘリテイジ912