万年筆と万年筆を使う心に彩りを与えるもの

万年筆と万年筆を使う心に彩りを与えるもの
万年筆と万年筆を使う心に彩りを与えるもの

どんな小さなものでも丁寧な手仕事が妥協なく施されている。
カンダミサコさんが作る革製品からは、センスの良さとともに、技術の素晴らしさと意外にも思えるストイックさを感じます。

万年筆を愛用すればするほど、使い慣れれば慣れるほど、万年筆を丁寧に扱いたいと思う心は強くなって、すでに使い倒して小傷がたくさんついている万年筆でも良い革のケースに収めたいと思う。
万年筆を使っている人は使い慣れたノートを革のカバーに収めたいと思う人が多く、当然万年筆も革のケースに収めたいという気持ちが強い。
でも万年筆を収める革のペンケースは重厚で、いかにも万年筆を入れるという感じのものばかりです。
特に女性のお客様に軽く爽やかに万年筆を収納するものと言われると、困ってしまうほどそれらは決まりきった形のものばかりでした。

当店ではカンダミサコさんのペンシースをお勧めすると、女性だけでなく、男性のお客様方の心もつかめる確率が高い。
カンダミサコさんのペンシースの特長は1本だけをサッと収めることができながら、クリップを通す場所が内部にあり、脱落することがない。
そしてそのクリップを通す場所は、片方は入口すぐから始まっていますし、反対側入口から奥まった所から始まります。

例えばペリカンのようにクリップからキャップトップの距離が短い万年筆とモンブランマイスターシュテュックのようにクリップからトップが長い万年筆とでは、差し込む方向を変えることで、ペリカンならM800まで、モンブランなら146までを収めることができます。

しなやかで手触りが良いのに傷が付きにくく、非常に扱いやすい素材であるシュランケンカーフは、カラーバリエーションが多く、必ず好みの色、用途に合う色を見つけることができます。
万年筆のボディの色やインクの色とペンシースの色をコーディネートしてもいいし、ペリカンやモンブランのように軸色がベーシックな場合、インクの色や他の身の回りのものとコーディネートした色のペンシースに収めると、万年筆が夏らしく華やぎます。

ル・ボナーのデブペンケースに万年筆と他の文房具を一緒に入れて持ち歩くとき、ペンシースに万年筆を収めると、万年筆に傷が付き防止になる。
なるべく荷物を軽くしたい夏には特に役立つ小物だと思います。
とても便利なものだけど、機能性だけでなく、万年筆や万年筆を使う心に彩りを与えてくれるものが、カンダミサコさんの丁寧な手仕事によるペンシースです。

⇒カンダミサコ1本差しペンシース

仕事に役立つもの

仕事に役立つもの
仕事に役立つもの

私が本屋さんで長時間棚の間をさ迷うのは、本が好きだということもありますが、一番大きな理由は自分の仕事をもっと良くするための知識を与えてくれたり、自分の思考を深めてくれる本を探すということです。

私が本を読むのは、いつも何かの答えを探しているところがあります。
仕事の答えを直接書いていなくても、私自身がその内容から連想してヒントにすることができればそれでいいので、どんな本がそれにあたるのかは自分でも全部読んでみるまで分かりません。
実際「思考の整理学」「文章の書き方」や「無言の前衛」などのように直接自分にヒントを授けてくれる本にはめったに出会えないと思うけれど、それでも時間があれば本屋さんの棚の間をさ迷いたくなります。
その辺り一帯に発見されていない鉱脈があるくらいに思っていて、その鉱脈を掘り当てるために棚の間をさ迷う。

年末に手帳売場でさんざん立ち読みして、厳選して使い出した手帳を違うものに換えたくなるのは今頃なのではないかと思います。
手帳をシーズン中に換えたくなる理由は、今使っている手帳に原因があるのではなく、手帳を換えると自分の仕事がもっと良くなるのではないかと思ってしまうからです。

シーズン中に手帳を換えると写し換えないといけないこともありますし、中途から始まったり、終わったりしているので、記録として意味を成さなくなると、今まで何度も後悔しているので最近はしなくなりました。

でも手帳を換えたいと思うのも、本を探す心も似ていて、自分の仕事をもっと良くしたいという気持ちに端を発しています。

万年筆をいろいろ使いたいと思うのも、本や手帳と同じように自分の仕事がもっと良くなるのではないかと期待するからなのではないかと思います。
実は私もそのように考えていて、本と同じように万年筆も自分への投資だと本当に思っています。
でも仕事が楽しくなったり、モチベーションが上がったりすることを考えると、正真正銘、自分への投資だと思います。

本や手帳には、これが誰にでも絶対正解だと言えるものがなく(強いて言えば古くから読まれている古典の類は正解に違いないのでしょうが)、それは人によって違うと思いますが、万年筆には誰にとっても正解だと言えるものがあります。

ペリカンM800は書くことにおいて正解だと言える万年筆のひとつだと思います。
良い万年筆の証拠ですが、既にお持ちの方もたくさんおられて今更お勧めするのもどうかと思いますが、書いていて何のストレスも感じない、何も気にならないというのがM800の特長ではないでしょうか。

M800は軸が重くて太いので使いにくいという人も中にはおられますが、もう少しだけ我慢してM800を使ってみていただきたいと思います。
突然大きいと思っていたM800が手にしっくりくる日が必ず来ます。

細くて軽い軸のペンに慣れていた手が万年筆に慣れてきたというのは、そういうことなのだと思います。

書くことにおいて完璧なバランスを持った万年筆は必ず仕事の助けになってくれて、これによってアイデアが浮かんだり、ヒントをもらったりすることはないかもしれませんが、頭に思い浮かんだことを一気に文章にするような時に必ず助けになると思います。
自分の回転の悪い頭が少しでもよく回るように、浅墓な考えが少しでも深くなるように何でもしたいと思っていて、それが本だとか、手帳や万年筆だと思っています。

道具で自分の仕事が良くなるというのは幻想なのかもしれませんし、そうでないのかもしれない。
しかし、少なくともそれによって、仕事が快適になったり、効率が上がったりはします。
書いていて何も気にならない、まったくストレスがないというM800のような万年筆は良い道具が満たすべき唯一の要件をしっかりと満たしていて、それで十分ではないのかと思えます。

当店ではペリカンM400、M600、M800、M1000のペン先を全て揃えています。
一番合いそうなM800をぜひお選びに来て下さい。

⇒Pelikan M800

ペンレスト兼用万年筆ケース

ペンレスト兼用万年筆ケース
ペンレスト兼用万年筆ケース

定番として作ったオリジナル商品を、再生産する度に少しずつ仕様を変えて作りこんでいく作業がとても好きです。

もちろん最初に作った時にこれで完璧だと思って発売するわけですが、自分も使いながら改良したい所を探しています。それを直して、より完全な状態にする。
終わりのない永遠に続く作業なのかもしれないけれど、ロングセラーの万年筆も問題箇所を直したり、顧客の声を反映させたりしながら今の形になっているのだと思うと、1回生産だけの限定品よりも定番品の方が修正が重ねられている分、魅力的に感じたりします。

当店のオリジナル商品、ペンレスト兼用万年筆ケースはあまり修正箇所が見られず、実用部分では全く変更を加えずに今に至っています。
でも革の供給の問題で革を変えたり、色を変えたり、内張りやステッチの色を変えたりはしていて、より良いものを目指しています。

しばらくの間品切れしていましたペンレスト万年筆ケースの黒が再入荷しました。
鮮やかできれいな色が揃うシュランケンカーフの中にあって、黒は異色の存在。
でもあえて黒を選ぶということが贅沢に感じられますし、自分で使い込んでみると、黒の良さが分かってきます。

シュランケンカーフの黒を選んだのは、なるべく地味で、ビジネスシーンでも気後れすることなく使っていただけるものを作りたいと思ったからで、内装もダークブルーにしました。
今回は少しだけ華やかなものとして、ワインカラーの内装のものも作ってもらいました。
この万年筆ケースは、お仕事での使用において完璧な機能性を持っていると自信を持っています。
鞄の中やポケットの中に入れている時はフラップを被せて、ペンが脱落したり、傷がつかないようにする。
フラップを枕のようにペンの後ろにまわすとペンがすぐに取り出せるようにできます。
薄いのでジャケットのポケットにも入れることができますが、モンブラン149やペリカンM1000くらいの太い万年筆も収納することができる。
万年筆を仕事の道具として使いこなすのに役立つペンレスト兼用万年筆ケースは私にとっても仕事での必需品で、仕事用のシルバーン、赤インク専用のシェーファー、カステルのボールペンを入れて日々使っています。

⇒Pen and message.オリジナルペンレスト兼用万年筆ケース

WRITING LAB.シガーケース型ペンケース“SOLO”

WRITING LAB.シガーケース型ペンケース“SOLO”
WRITING LAB.シガーケース型ペンケース“SOLO”

休みの日やちょっと出掛けたりする時の男の持ち物はそんなに多くない。
カフェでの時間があったり、電車の中で時間を持て余して、何か書き物をするかもしれないと思って大判のノートを持ち歩いたり、読むかもしれない単行本を持ち歩くというイレギュラーはあっても、決まって持って出るのは財布、携帯、手帳、万年筆の4点セットだと思います。

ル・ボナーのポーチピッコロに財布、携帯、手帳とともにSOLOに万年筆を1本入れて持ち歩くようになりました。

1本だけ、たとえ使わなくても自分を象徴するような、自分の代表的な万年筆を持って出るということが潔いのかもしれないと思うようになりました。
使う予定のない万年筆は持って出ない方がカッコいい。

このペンケースSOLOは、兵庫区和田岬の工房“IL Quadrifoglio(イル・クアドリフォリオ)”の久内ご夫妻が作っています。
フィレンツェでご主人の淳史さんは靴工房で、奥様の夕夏さんはフィレンツェ伝統のしぼり技法の革小物工房でそれぞれ修行されましたが、夕夏さんが修行していた工房ではシガーケースも作っていました。

昨年ベラゴの牛尾さんに久内さんご夫妻を紹介していただいて、当店でお会いした時に万年筆に関連したものを作ろうという話になり、シガーケース型のペンケースを作ることになりました。
そこから試行錯誤が始まり、久内さんは2度程試作品を作って下さいました。
シガーも万年筆もそれほど変わらず、コロナサイズのシガーなどは大きめの万年筆(例えばペリカンM1000など)とほぼ同じサイズですが、最大の違いはその重さでした。

シガーを入れても問題なくても、万年筆を入れると自然と胴が下がって抜けてしまう。
蓋と胴の合いの強さをコントロールする精度がお二人の仕事に要求されましたが、木型を修正して、勝手に抜けることなく、手で引っ張ると良い具合に抜けるように仕上げて下さいました。

ペンケースSOLOの最大の特長は、ムラ感のある色気のある色合いだと思っています。
ナチュラル色の革に顔料で色を重ねていくフィレンツェ伝統のパティーヌ技法によってそれは仕上げられています。
定番色は5色ありますが、今後この色で様々なものを企画していきたいと思っています。

SOLOペンケースに入る万年筆は、ペリカンM1000、モンブラン146、ペリカンM800よりも細いものです。アウロラ88、オプティマなどは、クリップの出っ張りが大きく少しきつい感じです。

受注生産で納期は3週間いただいていますが、先日のイベント用に作成して頂いたものが少量ありますので、「要在庫確認」となっているものはすぐにお送りできます。ぜひご覧下さい。

⇒シガーケース型ペンケース”SOLO”

ドイツらしさの主流 ラミー2000

ドイツらしさの主流 ラミー2000
ドイツらしさの主流 ラミー2000

仕事が終わってホッと一息ついた一人の時間、自分にとって柱となる万年筆はどれだろうと、常時インクを通している13本の万年筆を見ながら考えています。

それはこの中にあるのか、それとも敢えて欠けたままに10年以上放っているあの万年筆なのか。
あの万年筆とは何なのかはまだ言えないけれど。
そんなふうに個人的なものとして万年筆について考えるのは、実は楽しい悩みなのです。
自分にとっての1本も決めることができない私とは違って、自分にとっての1本をはっきり持っている人は結構いるのだと、皆様のお話をお伺いしていて知りました。

それはもしかしたら万年筆を売る側の人間である私と、買う側である皆様との立場の違いに関係があるのかもしれません。
やはり売る側の人間としては個人的な好き嫌いは交えず、公平に全てのメーカーの万年筆を見なくてはいけないという気持ちが無意識のうちに働いていて、個人的な万年筆でさえも序列をつけてはいけないと思っているからなのだと思うようになりました。

私の師匠の中の一人にラミー2000が自分の持っているものの中で最高のペンだと言う人がいます。
ヘミングウェイやビンテージの逸品を含めて100本にも届こうという人の最高のペンがラミー2000だと言われた時、それは話のネタなのではないかと思ってしまいましたが、どうも本当のようです。
2万数千円の価格のラミー2000が数万円、中には10万円以上にもなる万年筆よりも良いというのをその人なりのジョークなのだと思ったのです。

ラミー2000が悪いペンだと言っているのでは決してありません。
ラミー2000は1966年に誕生した万年筆で、2000年まで通用するペンとしてラミーがまさに社運を賭けて発売した万年筆でした。
ほとんどの万年筆メーカーが社内でデザインしたものを製品化するのが一般的でしたが、ラミー2000では、当時新進気鋭だった工業デザイナーだったゲルトハルト・ミューラーを起用しました。
2000の名に偽りなく、当時最も先進的なデザインで、今もまだ最もユニークな存在の万年筆です。
ラミー2000が最高の万年筆だと言った先ほどの方は「非常にドイツ的な万年筆やな。」とラミー2000を評しています。

ペリカン、モンブランもとてもドイツらしい万年筆だと思われていますし、私もそう思っていますが、ペン先が大きなクラシックスタイルの万年筆が多くラミー2000のドイツらしさと、他のクラシックスタイルのドイツらしさとはかなり方向が違っています。
シンプルで一切の装飾のないモノトーンのラミー2000は1940年代に起こったバウハウス運動の流れを汲んだデザインで、戦後のデザインだと言えます。
それに対して、ペリカン、モンブランのクラシックな万年筆のデザインは戦前のデザインと言えるのではないかと思います。

万年筆以外の製品では、私たちはラミー2000のようにモノトーンでシンプルなものをドイツらしいと思っていたはずです。
しかし最もドイツの万年筆らしいと思われているペリカン、モンブランはそうではなく、万年筆が他の世界とズレがあることに気付きました。
ラミー2000は異端なのではなく、最もドイツ的なデザインの主流を体現している万年筆だったのです。

その方のラミー2000は1975年に手に入れてずっと愛用しているとのことで、ペン先のイリジュウムは見事に美しく平らにすり減っていました。

⇒ラミー2000