3種のペン先調整

3種のペン先調整
3種のペン先調整

当店が万年筆の店としてやってくることができたのはペン先調整の技術があるからで、その私のキャリアも15年ほどになります。
ペン先調整に資格とか、検定のようなものがないので、経験年数とペン先調整を有料で7年間やってきたという実績しか、その信頼性を表現するものがありません。
ペン先調整は技術的にはそれほど難しいことをしているわけではなく、自分が覚えているペン先の正しい形をルーペの中のペンポイントに再現する目の技術だということを、ことあるごとに申し上げてきましたが、目の技術であるとともに、お客様のご要望を聞いて、その人が理想だと思うペン先を実現しようとするカウンセリングだとも思います。
いくらきれいでかっこいいペンポイントを作ることができても、それが書く人に合っていなくて、書きやすいと思ってもらえなければ何の意味もない。
そんなふうに思って、いつも万年筆のペン先調整をしています。

当店のホームページの調整の説明では分りにくいかもしれないと思っていましたので、説明させていただきます。

当店のホームページには3種類のペン先調整の種類があります。
標準調整、おまかせ調整、オーダー調整で、標準調整はペンポイントをなるべく削らずに、ペン先を紙に置くだけでインクが出るようにしています。
紙に置くだけでインクが出るというのが万年筆の醍醐味だと思っていますので、当店の万年筆にはこの状態が標準装備です。
標準調整ではペンポイントに全く当たり(わずかな面)をつけていませんので、使い込むことで、ご自分の書き方に合った面がペンポイントにつきます。ペンポイントに面がつくと劇的に書き味が良くなります。
だいたい毎日普通に使っていくと(ノート半ページくらい)、2年ほどで突然書き味が良くなりますので、楽しみにしながらお使い下さい。

おまかせ調整は私がその万年筆で最も書きやすいと思う筆記角度に合わせて、ペン先をより完全な、標準調整よりもさらに作り込んだ状態にします。
私の指定する筆記角度で、ペン先のひねりがなるべく内容に気を付けて書いていただいたら、始めからヌルヌルと気持ち良く書くことができるようにするものがおまかせ調整です。

オーダー調整は、その方の書き癖に合わせてその万年筆をより書きやすくするというもので、その書き癖に合わせて、ペンポイントに当たりをつけます。

この3つの調整の種類は、店でのお客様とのやり取りをインターネットで再現するためにはどうしたらいいだろう、と考えたものでした。
店での対面の調整では、お客様の様子などを感じながら、この方ならどういうふうにしたら一番嬉しいと思うかを考えながらペン先の調整をしていますので、なるべく同じ条件にしたいと思いました。

ある人は標準調整の状態でとどめて欲しいと思っているし、ある人は完璧に仕上げてもらいたいと思っている。
インターネットのご注文でも、遠く離れた状態でも、より理想に近い万年筆をお届けしたいと思っています。
店で販売したものでも、インターネットで販売したものでも、1万円以上の万年筆には、1年以内は再調整無料を保証するカードをお付けしています。
これは使われる方の理想の万年筆を実現したいという想いを形にしたもので、遠くの方もお送りいただければ、往復の送料はお客様持ちになりますが、再調整を承っています。

当店で販売した万年筆が、お客様がお持ちの万年筆の中で最も手に合っていて、書きやすいものであって欲しいと思います。