手帳の風景としてのインク

手帳の風景としてのインク
手帳の風景としてのインク

きっとカメラやレンズもそうですが、万年筆選びに正解と終わりがないように、インクもなかなか自分の色を決められずにいる人は多いのではないでしょうか。
自分はこの色でいこうと決めたはずなのに人が使っている色を見て、それが気になってしまう。
あの色を使ったら自分の文字はどう変わるのだろう、手帳やノートの風景はどのようになるだろうと思うと、ぜひ試してみたいと思ってしまいます。
私の場合、インクの色が気になるのは手帳やノートの風景が変わるということと、もっと自分の頭がクリエイティブになるかもしれないという自分への作用への期待からです。

昨年末から冬の間中、南米パタゴニア地方の南端ティエラ・デル・フエゴをイメージしたエルバンのインクを使いました。
少し赤みがかった茶色で、今まで自分のインクの色として考えたことのなかった色だったけれど、憧れている土地の名前のインクということで、無条件に使ってみたいと思いました。
インクは万年筆を滑らかに書かせるための潤滑油くらいにしか見ていなくて、その色について全く興味を持たなかった私を血の色が緑と揶揄する人もいましたが、ティエラ・デル・フエゴは心動かされたインクでした。

そして、最近は季節によって使い分けてみようかなどとも思い始めていて、それは当店のオリジナルインクが意識していたものでした。冬枯れは冬を、朱漆は春を、朔は夏の夜を、山野草は秋をイメージしています。
その他のWRITING LAB.オリジナルインクも、クアドリフォリオは春、オールドバーガンディは冬の色だと私は思っています。
季節と関係がないけれど、Cigarのインクは、少し退廃的なオールドスタイルな男性っぽさを表現したインクです。
最近、書いたばかりの時は緑色で、乾くと黄色っぽく枯れたような色になるCigarのインクが海外でも話題になって、異常なくらいよく売れています。

話を元に戻すと、これからの季節らしいインクの色を何か使ってみたいと思い始めて、夏らしい、自分らしい色についていろいろ考えています。
あまりアウトドアでの活動をしない生活ですが、外の世界の季節感をインクの色に取り入れたい、昔の人が自然の事象に趣きを感じて、風流にそれらを取り入れたように、わずかに感じる季節感をインクの色で遊びたいといろいろしているうちに、山野草を手帳に使いたいとほぼ決まりました。
今年は特に長く感じた寒い季節がやっと終わり、気持ちも服装も、靴も変わる温かい季節に、インクも変えてみてはいかがでしょうか。

⇒Pen and message. オリジナルインク山野草
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