装丁文庫ノート

装丁文庫ノート
装丁文庫ノート

毎日ではないけれど、ぼんやりとした考えがまとまってひとつの完成された論理になったり、その日あった忘れたくないことなどは書きとめておきたいと思います。
書きたい気持ちだけを優先して、そういうものをそのときたまたま使っているノートに書いてしまうと散逸してしまうので、できれば決まったものに書いておきたい。
今までそうしてこなかった後悔が私にはあります。

自分の考えや心の中にある大切なことは、大きなノートに堂々と書く感じではなく、夜一人の時間に小さめのノートにひっそりと書く方がいい。
そういう使用のためのノートを作りたいと何年も思っていました。

大和出版印刷の上製本ノートは、大和出版印刷が紙製品のブランド「神戸派計画」を始めるきっかけとなったものです。
万年筆を愛用していて、それに見合ったノートを作りたいと10年ほど前に大和出版印刷の武部社長が号令をかけて作ったノートで、この上製本ノートでのノウハウが、この装丁文庫ノートに生かされています。
どのページも平らに開きながらも丈夫な製本は、上製本ノートと同じ製本会社が手掛けていて、それはこのノートにおいて最もこだわった部分でもあります。

万年筆で書いた時に気持ち良く、書き味を楽しみながら書くことができる用紙にもこだわりました。
その紙を作った機械が老朽化のため廃棄処分となってしまい、同じ紙が作れなくなってしまったLiscio-1紙。現在製品として仕上がっているものしか存在せず、幻の紙になりつつあります。
今回大和さん秘蔵のLiscio-1紙を、このノートの用紙に使用することができました。
完全ににじまないとか、どのインクでも絶対に裏抜けしないというものではないけれど、この紙ほど書き味の良い紙を他に知りません。
ペン先を紙に当てるとシュワッと、まるで紙がインクで溶けたのかと思うような気持ち良い書き味が特長です。
Liscio-1紙を大和出版印刷さんのはからいで幸運にもこのノートに使用することができましたが、第2版を製作する時にはこの紙を使用できるかどうかは分かりません。
その時はこのノートの性質にあったなるべく書き味の良い紙を選びたいと思っています。

日付入りの日記帳ではなく、いつでも書きたい時に書けるノートの体裁をとっていますが、ページ数は368ページで1日1ページの日記帳として使うこともできます。
とっておきの紙を使用した、装丁文庫ノートの初版を10周年の今年に発売できることをとても嬉しく思っています。
皆様の万年筆で書く暮しの中にこのノートが浸透すれば何よりです。

⇒装丁文庫ノート

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⇒2008.11.8「大和出版印刷上製本ノート 第2弾」