薄い色のインク

薄い色のインク
薄い色のインク

以前は何でも万年筆で書きたいと思っていましたが、原稿の下書きなどには万年筆の筆跡が強すぎると思うようになりました。
下書きという、確定していない書き直しができるはずのものが、万年筆で書いてしまうとそれが決定してしまうような気がするのです。
それが万年筆の良いところでもあり、万年筆が想いを伝える道具として優れているところなのかもしれませんが、試行錯誤する原稿には向かないのではないかと思い始めました。
最近は鉛筆で原稿の下書きを書いていて、その何でも書ける気軽さで筆が軽く、上手くいっていると思っていました。
鉛筆ならその程良い筆跡の薄さもあって、場所を選ばずどこででも気負わず書くことができていました。
これが道具を使い分けるということなのだと思ったけれど、原稿の下書きという一番文字を書く機会に「万年筆を使いたい」と思いたい。
鉛筆の筆跡のように気負わずに何でも万年筆で書くには、薄い色のインクが必要だと思いました。

筆跡を読むときに目を凝らして見なくてはいけないくらいのインクが欲しいと思って、薄い色のインクについて考えてみました。
パイロット色彩雫の霧雨や冬将軍は普通の筆記には薄すぎると思いますが、私のイメージする下書きにはとても良さそう。
エルバンも良いものがいくつかあります。ブルーアズール、ミントグリーン、グリヌアージュなどもピッタリです。

台湾の藍濃道具屋(レンノンツールバー)の藍染風インクは、台湾で古来より伝わっていた藍染の過程で出る色をインクで表現した色で、ブルーのインクが好きな人なら惹かれる色があると思いますが、その中で一番薄い色の水色が私の用途に向いていました。
少し青みのついた水の色で、本当に薄い。水色を太字の万年筆に入れて書いてみると、目を凝らさなければ何が書いてあるのか分からない。
一般的な筆記にはあまり向かないかもしれないし、粘度が極端に低いのでペン先が紙にこすれる感触が指に伝わって、太字で書いてもいわゆるヌラヌラの書き味はしませんが、原稿の下書きにはピッタリだと思いました。

月に5,6回は何らかの原稿をノートに下書きして、コンピューターで清書している私にとって、極端に薄いきれいな色のインクは探し求めていたもので、しばらく使ってみたいと思いました。
とてもきれいな水色だし、これだけ薄いと光も通しますので、デモンストレーターなどに入れるときれいに映えるかもしれません。
広くはお勧めしないけれど、私のような用途の方には強くお勧めしたい薄い色のインクとデモンストレーター。暖かくなるこれからの季節にはいいですね。

*藍濃道具屋(Lennon Tool Bar)ボトルインク 藍染め風

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