何でも書く・何でも貼っておくオリジナル正方形ダイアリー

神戸ペンショーが終わるといよいよ年末、という気分になります。

イベントに次ぐイベントで、1年間息つく暇なく駆け抜けてきたと今年は特に思います。でももっとハードに過ごしている590&Co.の谷本さんのような人もいますので、これくらいで大変だったと言うと笑われてしまうかもしれません。

でもきっと来年も、今年のような一年にしてしまいそうです。

あまり次の予定のことばかり考えると疲れてしまうので、普段は今のことに集中するようにしています。

お客様もそろそろ年末が近づいてきたと思われるようで、神戸ペンショーでも正方形のオリジナルダイアリーがよく売れていました。

特長的なカレンダーレイアウトで、スケジュールの確認のしやすいマンスリーダイアリーはお勧めで、使っていただきたいですが、ウィークリーダイアリーの方が人気があります。

やはり日々あったことを細々と書いたりできるのはウィークリーダイアリーなので、書くことが好きな人達に選ばれているということなのかもしれません。私も書くことが好きなのもあるけれど、必要もあってこのウィークリーダイアリーに何でも書いています。ここに書いておいたことで、何度助けられたことがあったか分かりません。

ウィークリーダイアリーに後から読みやすいようになるべくきれいな字で書くには、国産細字の万年筆くらいが細さに余裕があっていいかもしれません。

私はいい加減に色々なペンで書くけれど、プラチナセンチュリーの細字がこのダイアリーの5ミリ方眼にはちょうど収まって使いやすい。

プラチナの万年筆の良いところは、ペン先が硬めで書いた文字に濃淡が出ないところだと思っています。

私の場合、ペン習字や手紙などには濃淡が出てもいいですが、手帳には濃淡が無い方が好みです。均一な太さで文字を刻み付けていきたいと思っているので、プラチナセンチュリーでなくても、硬めのペン先の万年筆、例えばステンレスペン先の万年筆でもいいのかもしれない。

オリジナルダイアリーの場合、インクによる滲みは殆どなくて、こういうところも良い紙だと思っています。

私はさまざまなノートや手帳を使い分けられる方ではないので、捨てたくない紙片、例えば旅の切符とかメモ帳の1ページなどもウィークリーダイアリーに貼り付けるようにしています。

今年、正方形ダイアリーと合わせて使っていただこうと思い、書き味が選べる下敷きとして有名な「Teriw THE MAT(テリューザマット)」とコラボして、正方形のTeriw THE MAT を作りました。

下敷きとしては高級になるかもしれないと思っていましたが、筆記だけでなく、スタンプを押すときにもきれいに押しやすいと好評です。

間に紙を挟んでおけるファイルにもなっていて吸取り紙も1枚付属していますので、スタンプした後にも役立つと思います。私も使っていますが、やはり絶対あった方がいい。

当店で扱っているダイアリーはオリジナルの正方形ダイアリーだけです。紙面を確保しながらも鞄に入れて持ち運べるサイズ、万年筆のインクで滲みや裏抜けしにくい紙質など、このダイアリー以外はもう考えられないと思います。

12月下旬になってしまいますが、革カバーがもう一度出来上がってきます。

あまり聞いたことがないけれど、革自体をオリジナルで製作していただいたので、その革を使います。最初にできたレザーケースLはすでに販売を始めていて、名前は「オリジナルオーガニックオイルドレザー」としています。

出来上がりが楽しみです。

長く作り続けている正方形のオリジナルダイアリー、ゆっくりですが周辺のものも充実してきています。このダイアリーの使い方について情報交換できる人がもっと増えたらいいなあと思っています。

⇒オリジナル正方形ダイアリー

⇒オリジナル仕様 Teriw(テリュー) THE MAT KOBE158SQ Ver.(下敷き)

⇒オリジナル レザーケースLオーガニックオイルドレザー

ラミーについて

いろんな機会に恵まれて、ラミーについて考えています。

ラミーは1930年に創業して、パーカーのドイツでの販売代理店をしていたそうです。

ヨーロッパのほとんどのメーカーのカートリッジインクの差し口が共通のヨーロッパ規格を採用しているのに、ラミーがパーカー規格なのはこの時の関係によるのなのかもしれません。

アウロラもイタリアのパーカー販売代理店をしていました。

アウロラのカートリッジインクの差し口もパーカー規格で、ラミーとアウロラ、パーカーのカートリッジの差し口が同じ口径なのは偶然とは考えにくく、やはり輸入代理店をしていたことと関係あるのかもしれません。

ちなみにラミーのカートリッジインクには尻尾のような部分があって、インクが減ってカーリッジのインクがなくなってもこの尻尾部分のインクは残ります。

そして書けなくなった時にペンを軽く振ってあげるとカートリッジ尻尾内のインクがカートリッジ内に補充されて、また書くことができるサブタンクのようになっています。

ラミーは1952年に初めてのオリジナル万年筆を発売しました。

蚤の市など中古市場でその一部をたまに目にすることができますが、文字フォントなどにユニバーサルなものが使われていて、先進的な部分も垣間見られますが、まだはっきりとラミーの方向性が確立されているようには見えません。

ラミーが今のラミーのデザインの考え方にたどり着いたのはさらに時代を下らなくてはならず、1966年でした。

ラミー2000を工業デザイナーゲルト・ミュラーとともに開発した時でした。

ラミー2000は2000年になっても通用するデザインの万年筆を作りたいという願いを込めて作られた万年筆でしたが、2024年の今でも古さを感じさせない、現代の万年筆の定番とも言える存在になっています。

ラミー2000で独自の万年筆作りの法則を見出したラミーは、その後も機能はデザインと完璧に調和し、機能に関係しない装飾を放棄するという考えに基づいたペン作りを続けています。

今年ラミーを日本の三菱鉛筆が買収したという話に業界は沸きましたが、ドイツに行った時も何人かの人にそのことを言われました。皆さん比較的好意的に受け止めているようでした。

私はとてもロマンのあることだと思っていて、ラミーが三菱鉛筆の力を得て、どのように変化していくか楽しみにしています。

たしかに近年のラミーは苦しんでいたように見えました。

新たに発売されるのは定番品の色違いの限定品ばかりで、それらもマンネリ化していてすごく欲しいと思うようなものは少なくなっていました。

シャープで先鋭的なデザインは当時は新しく見えたけれど、定番として存在するだけで、テコ入れされず古臭く見え始めている。

サファリは安価な万年筆の中の名品で、たまに使うとやはり良いと思うけれど、以前はサファリの独壇場だったこの分野も、カヴェコなど魅力的なライバルが次々と誕生して、サファリはなす術もなくシェアを奪われていたように見えました。

こうして見ると、近年のラミーは相当に苦しんでいたように思えます。三菱鉛筆はそのテコ入れが大変だと思うけれど、ラミーの良さを生かした、世界を驚かせ楽しませてくれるモノを発売してくれると思っています。

新生ラミーが本格的に動き出すのは来年1月からです。

ラミーのモノ作り哲学の言葉とそれを実践したペン作りが好きで、とても面白いと思っていますので、当店もラミーに力を入れていきたいと思っています。

⇒LAMY トップ

美しい文字を書くためのペン

最近あまり見かけなくなりましたが、デスクペンというものがありました。

ボールペンタイプもありましたが、多くは万年筆でした。軸が尻尾のように長く先に行くほど細くなっているのが特徴です。

ペン先はたいていスチールで、あまり書き味は良くないはずなのに妙に書きやすく、不思議と(自分としては)きれいな文字が書けました。

そしてかなり経ってから、デスクペンが書きやすかったのはバランスが良かったからだと、思い当たりました。

全体的に軽いペンでしたが、長い尻尾がバランスにおいて重要な役割をしていて、コントロールしやすくしています。

万年筆はやはり、天秤のようにバランスがとれていないとコントロールしにくいのだと思います。

デスクペンにとても似た使用感で、コントロールしやすく、自分なりに美しい文字を書くことができると思ったものが「綴り屋月夜クラシックブラック」という万年筆でした。

細めの総エボナイトの長めの軸で、軽いけれどバランスが良い。組み合わされるスチールペン先がなぜか柔らかい書き味で、強弱がつけやすい。まさにこれはペン習字のためのペンだと思いました。

きれいな文字を書きたいと思っておられる方にはお勧めいたします。

同じクラシックブラックで14金の当店オリジナルペン先仕様も作りました。

書くことにおいてはスチールペン先モデルでも充分ですが、当店オリジナルペン先をシンプルな軸で比較的手軽に使っていただきたいと思いました。

カヴェコにも交換用の金ペン先が別売で用意されていて、需要があるようです。これはシンプルな軸で本格的な金ペン先を使いたいという人が多いことの裏付けなのだと思います。

様々な好みがあると思うけれど、私の場合は豪華な軸でなくてもペン先は金であって欲しいと思う方です。同じように思う人のためにも、綴り屋さんのシンプルな軸で金ペン先仕様を作りたいと思いました。

このクラシックブラックのように、軸が極端にシンプルでありながら金ペン先がついた万年筆は何かを物語っているようで凄みさえ感じます。

こういう万年筆の在り方を追究してみても面白いかもしれません。

 オリジナルペン先を作ったのは、ペン先調整をする店として、さまざまなペン先の研ぎ、調整にお応えしたいと思ったからでした。ペン芯はエボナイト製で、量産品にはない仕様になっています。

ペン先の鳳凰の図案も大陸から伝わってきて日本で育まれた文化を表していて、そういうものを好む当店を象徴するものにもなっていると思っています。

⇒綴り屋 月夜 クラシックブラック:スチールペン先

⇒綴り屋 月夜 トップ

人生を変えてくれるバゲラの革製品

個人的な古い話で恐縮ですが、まだ若いと言えるときに万年筆と出会って、私の人生は変わりました。

若いと言っても、結婚していて子供もいたけれど、その時の自分が何を考えて仕事をして毎日過ごしていたのかはあまり覚えていません。毎週の休みだけを楽しみにして、家族との時間を何よりも大切にしていたと思います。それも幸せな生き方だったと思うし、あのままでも良かったかもしれないけれど、そうしたらきっと今ここにはいなかったと思います。

万年筆と出会って、それで書くことに夢中になって、万年筆を使うことや見たり触ったりすることが好きになりました。

好きで触っているうちに万年筆を仕事にしたいと思うようになりました。万年筆というモノ、これを使う人が好きで、いつまでも関わっていたいと思ったからでした。

これが自分が生涯できる唯一の仕事だと思ってやってきましたが、改めてやはりそうだったと思います。あまり考えずに直感で飛び込んだけれど、そういう勘は当たるのかもしれません。

この店を始めた時、自分の力で生きていかなければいけない、という覚悟は持っていませんでした。割とぼんやりしている方なので、そういう自覚は後から気付いて持ち始めたと言うと恥ずかしいけれど。

バゲラさんは、自分たちのセンスと持てる技術を信じて独自の道を歩んでいる、別格の存在の革工房ですが、きっと始まりは私と同じように革が好きで仕方がなかったのだと思っています。お二人からは今もそんな雰囲気を感じるし、ご自分たちのモノ作りを楽しんでおられることがよく伝わってきます。

オーダー専門の工房として、顧客の要望に応えてひとつひとつの革鞄、革製品を作ることはセンスや技術にたくさんの引き出しがないとできないことだと思いますが、一緒に仕事させていただいて、その引き出しの多さに今だに驚かされます。

バゲラの高田さんご夫妻がこんなものを作ってみましたと、革製品を持ち込んで下さる今の関係は当店の宝だと思っています。

最新作は縫製せずに接合部を強力に接着した、形や構造を工夫した、価格を抑えたもので、袋物中心のシリーズです。柔らかく、使い込むと艶が出てくるベビーバッファローの素材で作られた、シンプルで高田さんたちも日常的に愛用しているものを製品化したものです。

これはシンプルな、構造から考えるモノ作りを得意とする高田和成さんが作ってくれています。

現在品切れ中のものもありますが、年末には入荷する予定です。

夏頃から作っていただいているブックマークも、ベビーバッファロー革のシリーズも、バゲラさんの革製品に興味を持っていただくきっかけになるものだと思っています。

私が最もバゲラさんらしい作品だと思っている3本差しペンケースが入荷しました。

クロコ、黒桟革、アンティークゴート革などを組み合わせて、ミシンでは不可能な手縫いによるこま合わせ技法を用いて作られています。

バゲラさんの革作品の一番の魅力は、普通の人生を送っている自分の生き方を変えてくれるような気がするところだと思っています。

このペンケースに相応しいと思えるペンを3本選んで持ち運ぶと、きっともっとクリエイティブな仕事ができるようになるのではないかと思ってしまう。

もともとの性格はどうしようもないけれど、私はパワーのある豪快な不良性のある人間になりたかった。

バゲラさんのモノには、もしかしたらそんな人間になれるのではないかと思わせてくれる魅力があります。

⇒BAGERA 3本用ペンケース(ペンケース3本以上収納TOP)

⇒BAGERA ベビーバッファローシリーズ(机上用品・革小物TOP)

いつも持っていられる小さなペン

そんなによくあることではないけれど、出掛けた時に自分のボールペンを持っていて良かった、と思うことがあります。

先日は運転免許の更新に出かけて、晴れてゴールド免許に戻ることができました。

地元の人は誰も間違わない若宮の第二神明下の変則交差点の進入を間違えてからの6年ほどでしょうか、本当に長く感じられた。

そんな免許の更新の時でも書かなくてはいけない書類があって、自分のボールペンを持って来ていてよかったと思いました。

設置されてあるチェーンで繋がれたボールペンで書いてもいいのですが、できれば自分のペンで書きたいと思う心理には、何となく共感していただけるのではないでしょうか。

先日の中国出張の際にも、同じようなシーンがありました。

入国の時には細々と入国申請書類を書かないといけないし、帰国時にも課税申請書類を書かなくてはいけません。

そんな時、気に入っている自分のボールペンがあると、面倒なことでも少し気分良く書けるような気がします。

スーツやジャケットで、内ポケットがある服を着ていたらそこに差しておくことができるけれど、カジュアルな服装でしか旅に出ることがないので、ペンはどうしても別持ちになります。

ペンケースに入れて、手持ちの鞄に入れて持ち運ぶことになりますが、パスポートケースに挟んでおくことができるくらいコンパクトなものがあると旅先では便利です。

カヴェコのリリプットボールペンをそんな風に使っている、とお客様にうかがって、とても共感しました。

短く細いデザインのリリプットですが、重量がありますので意外に書きやすく、書類を書くのにも不自由しないし、ちょっとしたメモを取るのにこれほど良いものはない。

私はいつも雑記用のメモ帳も持ち歩いていて、メモは何でもそこに書くようにしています。出先で立ったままメモを書く時にカヴェコのようなコンパクトなペンは使いやすい。

カヴェコの代表的なスポーツも短いデザインなので、簡単なペンケースに入れて、外出時の持ち運び用にすることができます。

外出用の万年筆とボールペンなどがいつも決まって鞄の中にあるようにしたいですが、カヴェコはそんな存在のペンにピッタリで、いつでも愛用のペンで書くことができると思える、日常を少し楽しくしてくれるものかと思います。

今当店ではカヴェコフェアをしていて、スポーツ、リリプットなどのカヴェコの歴史的なモデルを中心に品揃えしています。

お買い上げのお客様にはプレゼントも用意していますので、ぜひ一度手に取ってご覧下さい。

*今月10/25(金)~27(日)の期間、福岡での590&Co.さんとの共同出張販売「&in福岡」にもカヴェコフェアを持って行く予定です。

*そのため、店舗で実物を見ていただけるのは21日(月)までとなりますが、カヴェコフェアは29日(火)まで行っています。

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メディコ・ペンナ~蓮見先生のサイン会~

3年前、コロナ禍で苦しい営業を続けている時に「メディコ・ペンナ」が出版されました。

「メディコ・ペンナ」は神戸北野にある架空の万年筆店で繰り広げられる、調整士である店主やスタッフと、お客様のやり取りを描いた小説です。

テクニカルアドバイザーとして参加させていただいた私の名前を本に記載して下さったこともあって、全国からお客様が来られて本当に有難かった。

当店も私がこの本に関わらせていただいたこともあるし、多くの人が万年筆に興味を持つきっかけになるのではと思って、当店でも積極的に本を販売させていただきました。

当店だけでなく、メディコ・ペンナの単行本は順調に売れて、重版もされました。そして今年9月に、ついに文庫化されました。単行本が売れなければ文庫化されないと思いますので、とてもめでたいことだと思っています。

その文庫化を記念して、10/12(土)14時~16時、蓮見恭子先生のサイン会を当店で開催させていただきます。

予約枠で空いている時間もありますし、飛び込みできていただいても大丈夫ですので、ぜひ多くの方に来ていただきたいと思います。

蓮見先生やポプラ社さんの公認をいただいて、メディコ・ペンナの世界観をイメージしたオリジナルインク「メディコ・ペンナ~北野異空間~」も販売しています。表紙を描かれた名司生さんのイラストをパッケージに使わせていただき、より雰囲気のあるインクに仕上がりました。

この小説のおかげもあって、最近は「ペン先調整」や「ペン先の研ぎ」が、多くの人に知られるようになってきたと思います。

ペン先調整は、たくさんの書き味の良いペン先を見て、その無数のパターンを表現する経験と目とセンスによって成り立つ技術だと思って、日々さらに良くなるように努力してきました。

研ぎはそのペンにさらに個性的な書き味と特別な使用感をもたらすものでなければならないとして、三角研ぎは認知されるようになってきましたが、さらに研ぎのバリエーションが出せるように、お客様の要望を掘り起こして、研究することが必要だと思っています。

メディコ・ペンナは当店にとってそんな励みになる本で、万年筆を知らない人へのアプローチだけでなく、万年筆の業界を活性化させてくれるものだと思っています。

⇒小説・メディコ・ペンナ単行本/文庫本(書籍・文集・ブックカバー・しおり)TOP

⇒蓮見恭子先生サイン会(10/12)予約サイトへ

カヴェコフェア 10/1(火)~10/29(火)

5月にドイツに行った時、カヴェコ本社を訪問できたのは本当に良い思い出で、とても勉強になりました。

日本のカヴェコの総代理店であるプリコの石川社長の紹介ということもあると思いますが、カヴェコのマイク社長は初対面の私たちを歓迎して下さり、社内を案内してくれたり、長時間付き合ってくれました。

マイク社長の姿勢から、世界中で販売しているカヴェコというブランドの販売店、その先にいるお客様への責任の重さをを感じて、ブランドを持つということの心構えを知りました。そして本社を出る時には、カヴェコのペンの魅力にすっかり取り憑かれていました。

カヴェコのコンセプトは、創業1883年という長い歴史の中で生み出された往年のペンのデザインを現代風に復刻して、使いやすく買いやすい価格で販売するということなのだ、とカヴェコ社訪問で理解しました。

ある程度万年筆を使って、ビンテージなども使った経験のある人なら思うことかもしれないけれど、私は古い万年筆のデザインと現代のペンのような安心して使える機能性が融合したものがあればいいと思っていましたが、カヴェコはそれを実践している会社だったのです。

金ペン先で装飾の華やかなイタリアの高価な万年筆もいいけれど、それらと同じように、カヴェコのペンを当店のお客様にも使っていただきたいと思いました。

当店では、10月29日(火)まで当店でカヴェコフェアを開催しています。

先ほど申し上げた、カヴェコのコンセプトが最もよく表れているペンをピックアップして、通常当店で扱っていなかったものも揃えました。

期間中、カヴェコのペンご購入の方に「カヴェコオリジナル缶バッジ」、5,000円以上のペンをご購入で「ドイツBRUNNENレポートパッド」、1万円以上の万年筆をご購入で「カヴェコオリジナルカートリッジケース」をプレゼントさせていただきます。カヴェコを使っていただくきっかけになればいいなと思っています。

カヴェコのペンで代表的なものは、スポーツというモデルになります。

1939年に生まれたペンで、1967年のミュンヘンオリンピックでは公式ペンに採用されたペンです。

独特なデザインのペンですが、キャップを尻軸につけるとちゃんと書きやすいバランスになって、実用性も高いことが分かります。

キャップを閉じると長さが短くなって、M5手帳ともバランスが良い。

カヴェコ全体に言えることですが、どのペンも金属軸のものは、適度な重量感があって、バランスも良く、書き味も良く感じられるので、楽しみながらお使いいただけるモノだと特にお勧めいたします。

カヴェコは基本的にスチールペン先ですが、金ペン先も別売りされています。

アルスポーツ、スチールスポーツ、リリプット、スペシャル、ディアの金属軸の万年筆にそれらを装着することができます。

それがカヴェコらしいかどうかは別として、やはり金ペンにすると書き味がひとつ上のグレードに上がりますし、使っている時の喜びは一層強くなるかもしれません。

もちろん金ペン先、ステールペン先の区別なくペン先調整は書き味良くなるように、使いやすくなるようしっかりさせていただきます。

カヴェコフェア中、カヴェコの長い歴史の中で発売されたペンを収めた書籍も実物をご用意しています。ぜひカヴェコフェアを見にご来店下さい。

⇒カヴェコTOP

研ぎへのこだわりと今の時代のペン

オリジナルペン先を作ったのは、当店のペン先調整、特に研ぎのこだわりを表現したいと思ったからでした。

メーカーのペン先の場合、三角研ぎなどもご依頼があればしていますが、普通の調整ではなるべく削らない最低限の研ぎでその方に合わせるようにします。

それぞれのメーカーの持ち味を残すという意味ではそれが正解だと思っています。

オリジナルペン先は、現在綴り屋さんの万年筆の静謐、漆黒の森に付けて販売していますが、鳳凰のペン先はその雰囲気ともよく合っていると思います。

オリジナルペン先は入荷後、当店で全て調整しています。

今のラインナップはFとMで、研ぎによって5つのバリエーションがあります。⇒フリーページ「オリジナルペン先の字幅・研ぎ」

標準はイリジュウムを大きめに残した研ぎをしていて、私はこれを大陸的な研ぎだと思っています。

やや縦長形状に研がれていて、長刀研ぎに似ています。筆記面が大きいので、ヌルヌルとした書き味をF・Mともに味わうことができます。

ただ線は太めになり、Fで中細から中字、Mで中字から太字の太さになります。

そのため、Fの字幅でもう少し細く書けるものを選べるようにしていて、日本の細字くらいに書ける細字研ぎ出しもご用意しています。

これは日本製のペン先のように、ペンポイントを様々角度から削り込んだ研ぎで、製作に時間はかかりますが、安定して細い線を書くことができます。

三角研ぎは寝かせて書くと太く、ヌルヌルとした書き味が得られ、立てて書くと細く書くことができます。通常、日本製のFからは違いが分かりにくいですよとお伝えしますが、このFは中細から中字の幅があるため違いを感じていただけると思います。

三角研ぎはトメ、ハネ、ハライが表現できて、ペン習字などに向いた、達者な人が書くとそれらしい文字を書くことができるペン先の研ぎです。

三角研ぎは文字が上手い人のための研ぎだと思われている方もおられるかもしれませんが、そうではないと断言します。

私はトメ、ハネ、ハライのないそれほど大きくない丸い文字を書きます。そしてそれを文字がつぶれるくらい太い字幅で書くことを好みますが、太めの三角研ぎで書くとそういった文字も太いながらもなぜかスッキリとそれなりの形に書くことができると思っているので、自分でも愛用しています。

ペン先の研ぎによる書き味の違い、書ける文字の違いを表現したかったので、様々な研ぎが表現できるオリジナルペン先が当店には必要だったのです。

私たちのようにペン先の研ぎにこだわっている、台湾生まれ香港育ちの若い周さんが立ち上げた九星堂という万年筆メーカーがあり、当店でも販売することになりました。

九星堂の万年筆は見るからに新しい感覚で作られている万年筆で、スッキリしたデザインでありながら、凝った作りの吸入方式を持っています。正確に大量(約3.5cc)のインクを吸入することができ、そのメカを操作してインクを吸入するのがとても楽しい万年筆です。

インクの引っ張りの良いエボナイトペン芯を備えた14金ペン先で、ペン先の研ぎにこだわっているだけあって、書き味もとても良いものになっています。このペン先の研ぎにも長刀研ぎへのリスペクトが感じられます。

万年筆が好きで、それを生き方にした若い人が色々なところにいて、その人たちが万年筆の世界に新風を巻き起こしてくれています。

伝統あるメーカーのクラシックな万年筆も魅力があるけれど、その時代の流れを感じるような今のものにも惹かれます。万年筆の世界にもこういう新しい流れがあって、活発な動きを見せています。

⇒綴り屋(オリジナルペン先仕様)

⇒九星堂(きゅうせいどう)

2025年正方形ダイアリーと周辺

2025年版オリジナルダイアリーが出来上がりました。

新しいダイアリーを手に入れたら、スタンプを押したり、すでに入っている来年のスケジュールを書き込んでいきますが、この作業はワクワクする楽しいものだといつも思います。

今年はまだ3か月以上あるけれど、いろんな機会に恵まれたいい年だったので、来年もいい年になってほしいと思いながら書き込み始めています。

いい年だったと思えるようにするにはやはり失敗を恐れずに活発にアクションを起こすことだと今年改めて思いました。

自分から動き出せたら一番いいかもしれませんが、目の前を通り過ぎようとするチャンスを逃さずに飛び乗って行動を起こすことが大切なのだと思います。

それがどういうことかよく考えてから動くことが時には必要なことなのかもしれないけれど、考えているうちに物事は通り過ぎてしまうかもしれない。直感に任せて動くことが私の場合は多いかもしれません。

これも直感によるもので、あっという間に話がまとまりましたが、書き味が選べる下敷きとして知られているTeriw The Matと正方形ダイリーのコラボが実現しました。

Teriwの下敷きの正方形バージョンで、間にL字ポケットがあり最初は吸い取り紙がセットされています。もちろん切り抜きやシールなども挟んでおくことができる、便利な仕様です。

ダイアリーに何かのチケットや切り抜きを貼り付ける場合、一旦この下敷きに挟んで保管しておくこともできる。

正方形ダイアリーに下敷きを使う効果は、安定した筆記面を生み出し書きやすいということ以外にも、スタンプを押す時にも有効です。

大和出版印刷さん、590&Co.さんとの共同企画の正方形ダイアリーですが、コラボ企画は今までしたことがありませんでした。

長年作り続けてきた正方形ダイアリーに新しい風を吹き込ませるためにも、より多くの人にこのダイアリーを知ってもらうためにも、今回のTeliwさんとのコラボは必要で、魅力的な企画だと思いました。

Teriwさんとのコラボにあたって、正方形ダイアリーのロゴを新しく作り、Teriwの正方形バージョンの下敷きとオリジナルダイアリーに入れています。

「KOBE158SQ」地名のようなロゴですが、神戸発祥の158mm×158mmの正方形ダイアリーを中心に多くの人が集い、様々なアイデアが生まれて大きくなって欲しいという願いを込めています。

正方形ダイアリー用の革カバーも若干のリニューアルを加えて2025年モデルとしました。

ベルト部分のホックを昨年のものと凹凸を逆にして、本体側に凹部分を、ベルト側に凸部分を装着しました。こうすることで、筆記時に開いた表紙が机などの上で安定するようにしました。

使う込むうちにゆっくりとエイジングしていい艶を出すミネルヴァリスシオ革は変わらずに採用しましたが、新たに華やかな光沢を持つサドルプルアップレザーでも製作していただきました。

正方形ダイアリーはもちろん私たちも使っていて手放せないものになっているけれど、たくさんの人にとってこのダイアリーがその人のスケジュールや日記を書くことにおいて、なくてはならないものになってくれたらと願っています。

⇒2025年正方形ダイアリー/ダイアリーカバー TOP

4本差しペンケースとファーバーカステルクラシックコレクション

先週に続いてドイツ旅の話になりますが、旅の前半でファーバーカステルミュージアムやお城、ファクトリーを見学する予定でしたが、何かの行き違いで訪問することができなくなりました。

「縁がなかったということか・・」とファーバーカステルのことは忘れようとしましたが、谷本さんは余程残念だったのか、外からでもいいからファーバーカステル城が見てみたいと言うので、中に入れないことが分かっていながらも、わざわざシュタインというニュルンベルグの隣町に行きました。

ファーバーカステル城は写真などから、山の中にあるように思っていましたが、何と住宅街の中の駅から15分程度歩いただけの便利なところにありました。

ファーバーカステル社の敷地の中にファクトリーやミュージアムから少し離れて、本当にお城がありました。

私と松本さんはお城を見て満足していましたが、谷本さんはとても名残惜しそうでした。

だけど中に入れなくても、来て良かったと思いました。世界中に独特の世界観とデザインを持つ筆記具を届けているファーバーカステルの本社を見て、筆記具界最長の250年の歴史の重みを感じました。

万年筆が好きな人の誰もがファーバーカステルには憧れのようなものを持っていて、使ってみたいと思う人も多いようです。所有している人も他の万年筆とは全く違うバランスに苦労しながらも何とか使いこなしたいと思わせる。

クラシックコレクションは一般的な万年筆と比べると細軸で、キャップを尻軸につけると後ろヘビーになり過ぎて書きにくい。

キャップを尻軸につけずに書く方がこの万年筆の場合は良いように思います。

細めの軸のクラシックコレクションだからこそ、手帳のペンホルダーやペンケースに入れやすく、その姿がサマになるということもあるかもしれません。

デザインや機能的にも優れていますが、システム手帳のペンホルダーへ収まった時や、ペンケースに揃いで収まった時の姿に、特にこのペンの魅力を感じます。

クラシックコレクションには揃えて持ちたくなる魅力があります。それはなぜなのか。

ファーバーカステルクラシックコレクションの万年筆、ボールペン、シャープペンシルに統一されたデザイン、特にキャップトップ、クリップのデザインは格調の高さと優雅さを兼ね備えていて、何かに挟んだ時、収納した時にそれが強調されると思います。

オリジナルペンレスト兼用万年筆ケースで4本差しを作ったのも、ファーバーカステルクラシックコレクションを4本収めることができると思ったからでした。

万年筆、ボールペン、シャープペンシルそしてパーフェクトペンシルという、フルラインナップを全て収めることができる。

ファーバーカステルの魅力に取り憑かれた人の夢のペンケースが、ペンレスト兼用万年筆ケースの4本差しだと言っても言い過ぎではないと思います。

⇒フェア開催中(~9/29迄)ファーバーカステルTOP

⇒Pen and message.オリジナルペンケース・4本差し