生活を書く文化

お店のサンプルと店主の使用品

5月発売予定のペリカンM600アートコレクション ゲオルク・ティッペルのご予約を5月10日まで受付中です。今回はまるで蒔絵作品のような渋い色合いで、東洋的な模様だと思っています。
M600アートコレクションはボディ部が金属製で適度な重量感があり、バランスも良いので実用性も高い万年筆です。また「オーロラ加工」という、真鍮の素材に細かな彫刻を施し、10層にもおよぶ透明ラッカーを丁寧に塗り重ねた加工は、このアートコレクションの大きな特徴と言えます。
⇒ペリカンM600アートコレクションゲオルク・ティッペル予約ページ

先日フィンランドの方から、自国では万年筆を買うことができる店がほとんどなく、インクを買いたいと思ってもイタリアやドイツのお店から通販で買わないと手に入らない、という話をお聞きしました。
日本はそこまでではないけれど、一般的に使っている人の少ない、ノスタルジックな筆記具だと思われています。だから万年筆のことだけなら、そういう国もあると思われるかもしれません。
それよりも私がもっと驚いたのは、今年になってから中東の方とオンライン会議をした際、相手の方が私がノートにメモする姿を見て、自分たちは普段の生活で紙に字を書くことがないので珍しいと言われたことでした。

世界では紙に文字を書くことがなくなっているのか?
私自身が、万年筆や紙製品などのステーショナリーを販売している、万年筆で書くことが好きなお客様が来られる店にいますので、もしかしたら世間と認識がズレているのかもしれません。
私たちは紙に書くことを楽しいと思っていて、多くの人にもしていただきたいと思っています。

本当は万年筆を使うことが書くことを最も楽しくできることだと思うけれど、それにこだわるのはもう一つ先の段階であって、まず「紙に書くこと」を無くさないように考えなければいけなかった。
紙に書くということが生活の中にあることで毎日が楽しくなって、潤いあるものになると思っています。

何の目的もなく万年筆で手書きするということは、余程好きな人でないとできないと思います。しかし、手書きしたものが生活の役に立つとしたら、多くの方が取り掛かりやすいのではないでしょうか?

私たちはそれがダイアリーを書くことだと思っています。

ダイアリーに明日の予定を書いたり今日あったことを書いたりすることは、これからの行動について考えることであり、来年を今年よりも良く楽しく暮らす役に立つと思っています。

では、より良く楽しく暮らすということはどういうことか。

それは人によって違うことですが、時間に流されるのではなく時間を把握して意識を持つことだと思っています。

そうするためのダイアリーを当店では扱っています。

1月始まりのダイアリーについて5月に語るのも何ですが、正方形のオリジナルダイアリーを大和出版印刷さん、分度器ドットコムさん(590&Co.さん)と共同で、16年継続して毎年販売しています。

私は主に、自分の行動記録帳として使っています。

日中はその時々のことをメモ帳に書き留めておいて、夜に細字のプラチナセンチュリーでダイアリーに書き写すのが日課になっています。

その日の仕入れ額、売り上げなども書き込んでいて、そういうことを書いていると明日の予習にもなり、もっと若い頃からやっていれば良かったと思っています。

他に使い方はたくさんあって、見本のように仕事の納期管理、ハビットトラッカーなどに使うことができるページもあります。

こうやって私たちが自分の足元を見て、身の回りのことについて書き記すことは、自分の生活をより良いものにする役に立つと思っています。

それは何か新しいものを生み出すよりも大切なことだと、やっと思えるようになりました。

ダイアリーを書くことは自分の日常を文化することだと思っていて、そこからの可能性を大いに感じています。

⇒オリジナル正方形ダイアリーTOP

満月ペン先と仙台

先週末、文具事変in仙台というイベントに参加しました。
590&Co.さんが取引のあるお店に声をかけて開催しているイベントで、昨年の第1回目から参加しています。
神戸空港から仙台行きが出ていますので、乗り物に乗っている時間は2時間くらいで着くという便利さです。

仙台の街は、いくつかの大学が中心部近くにあるせいか若い人が多く、観光で来られている方も多いので、とても活気があるように思いました。
仕事で来ている者としては街の活気はとても気になり、駅に降り立った時からそればかり気にして見ています。
ただ波長の合うお客様との出会いを探して出てくる当店としては、お一人お一人との濃いつながりの方が大切なので、街の活気はあまり関係ないのかもしれません。それなら谷本さんが言うように色々な街に行ってみた方がいいのかもしれませんが、単純に人口が少なくなるとやれる自信がありません。

仙台はしっかりとした文具店がいくつもあるし、今回イベント翌日にお尋ねした樂さんという万年筆店もありますので、万年筆に興味のあるお客様が多いのかもしれません。

また今は廃業してしまいましたが独立系の万年筆メーカーの大橋堂さんは仙台にあって、全国の百貨店の職人店などに出店していました。
エボナイトを中心としたハンドメイドの温かみのある軸が魅力の万年筆を作られていて、ペン先の書き味の良さにも定評がありました。当店の委託販売で時々目にすることがありますが、人気ですぐに売れてしまいます。

大橋堂さんの、未研磨の球のままのイリジウムから研ぎ出すという字幅の作り方に興味がありました。
完全な球形のままだと紙に点で触れますので字幅は細めになり、書き続けると面が作られて太さが変っていきます。

個人的に字幅に関係なく大きなペンポイントを見ながら書くのは何とも楽しい。必然的にペン先の寿命も長く、そう簡単に擦り切れることはありません。まさに一生ものという感覚になる万年筆です。
当店のオリジナル万年筆コンチネンタルクラシックインスピレーション1985の14金ペン先では、未研磨のペン先が手に入ることになりましたので、なるべく球のままに近い状態のペン先を始めました。
未研磨のペン先は当店では満月と呼んでいて、文具事変in仙台でも多くの方の眼に留まったようでした。

ちなみに、未研磨と言っても調整していないわけではありません。本当に未研磨のままのペン先をそのまま書くと引っ掛かりますので、切り割りに沿って少し当たりをつけて滑らかに書けるようにします。あとはお好みやその方の筆記角度に合わせて筆記面を作っていきます。

この未研磨のペン先は、大橋堂さんがあった仙台だからこそ多くの方の眼に留まったのかもしれません。大橋堂さんの足元にも及びませんが、私たちもなるべくいろいろなところに出向いて、お客様方に直接万年筆を手渡したいと思っています。

⇒オリジナル万年筆コンチネンタルクラシックインスピレーション1985 14金ペン先

LAMYのボールペン

手前からペルソナ、ラミー2000ブラックウッド、ラミー2000タクサス

今はインポリウムという名前になっていますが、ラミーペルソナというボールペンを20数年前に購入しました。
誰かの餞別にあげてしまいましたが、万年筆も持っていました。

マリオ・ベリーニのデザインが気に入っていたのですが、ボールペンの書き味が私にはやや重く感じられて、いつの間にか使わなくなっていました。
当時S.T.デュポンディフィや三菱鉛筆ジェットストリームなど油性ボールペンの低粘度インクのものが登場して、ボールペン新時代の幕明けとなっていましたが、その流れにラミーは乗れていない感じでした。
ペリカンもファーバーカステルも同様でしたが、どちらの替芯もヨーロッパ標準とも言えるG2規格でしたので、ディフィ芯やジェットストリーム芯に交換すれば軽く滑らかに書けるようになります。
(話は逸れますが、最近ディフィ芯の口径に若干の仕様変更がされていて、S.Tデュポンのボールペン以外にディフィ芯が使えなくなっていました)
しかし、ラミーのボールペンは専用規格のボールペン芯を使用していますので、入れ替えて使うことができませんでした。

しかし、一昨年三菱鉛筆がラミーを買収して、ラミーのボールペンに使えるジェットストリーム芯が発売されて状況が変わりました。
書き味が万年筆のように軽く滑らかになったことでお客様にもお勧めしやすくなりましたし、個人的にはラミーペルソナの美しいボールペンを毎日の仕事で使っています。
ラミー2000のボールペンは自然で美しい形をしていて、多くのボールペンのお手本になっているのではないかと思っています。さらに書き味も良くなって、完璧なボールペンだと思います。

余談ですが、当店にドイツのラミー本社から視察の方が来られました。

当店のことを知っていただきながら、僭越ながらいくつか要望をお伝えしたのですが、私が言うまでもなくラミーでは日本の市場を研究されていました。これからのラミーの様々なプロジェクトが楽しみです。

⇒LAMY トップページ

根付け作家の彫刻作品 オリジナル万年筆「自在龍」

当店でいつも満寿屋の原稿用紙を買って下さるお客様で画家のWAKKUNさんという方がおられます。

新聞や雑誌に寄稿される多くの著述家の方がPCデータでの入稿を求められるのに、WAKKUNさんは原稿用紙に万年筆で手書きしたもの出しておられて、手書き原稿が許されている数少ない方です。

アートの世界の人たちの間でもよく知られた存在で、WAKKUNさんに教えてもらったと言って来店される方も多く、とても有難い存在です。

現代根付け作家の川本泰さんもWAKKUNさんから当店のことをお聞きになられて来店されました。

店内をご覧いただいている時に、世間話をしていて根付けを作っておられるという話になりました。私の反応に、川本さんはそんなに興味を示すならと、とても気さくに作品の写真やスケッチブックに描かれたデザイン画を見せて下さいました。

私は当店のオリジナル万年筆に川本さんの作品のような彫刻が入っていたらとても素敵だと思いました。そこで探るように恐る恐る万年筆に彫刻をするということに興味がありますかと聞いてみました。

オリジナル万年筆をベースにしたアート作品のようなものを作っていただきたいと思っていましたので、川本さんとの出会いは本当にタイミングが良く、WAKKUNさんはこんな風に色々な所で人と人を繋いでこられたのだと思いました。

私の恩師の一人である、一昨年亡くなった狂言師の安東伸元先生によく言われていたのは、人とは本当に必要とした時に自然と出会うようになっているものだから探し回らなくてもいい。無理に探してもその関係は長く続かない、ということでした。実際に何度かそんな経験をして、その言葉は本当だと思っています。

ただそういう人と出会った時に見逃さないよう、自分の感性を磨いておかなければいけません。

感性を磨くためには普段から美しいものを見て、本を読んで色々な人の生き方を知らなければいけないと私は思っています。

そうやって普段から自分に合った人に気付く感性を磨いておくことは、当店のような個人同士の繋がりが大切な小さな店にとってとても大切なことだと思っています。

そうやって知り合った川本泰さんに作品をお願いして数ヶ月後、この怪しくも愛嬌を感じる龍の彫刻が入った万年筆が出来上がりました。

龍はすごむわけでもなく、そのキャップの中に棲みついているような感じがします。目立たないように外の様子を伺っているように目だけがギョロっと光っている。万年筆として、ユニークで存在感のあるものができたと思っています。

龍が紙の上を自由自在に泳ぐように、この万年筆が自由に紙に文字や絵を描くものになる、という想いで自在龍(じざいりゅう)という銘を付けて下さいました。

こういう万年筆を実際に使うのかどうかは分からないけれど、ペン先は14金で未研磨のペン先もありいますので、研ぎに凝ることもできます。三角研ぎ、上弦の三角研ぎ、細字研ぎ出し、下弦半月など何でもできますが、龍の玉のように、球のままの大きなイリジウムで書くのも嬉しいものです。

私も未研磨に近い状態で使っているものがあって、真横にしても書くことができるほど角度が広い。押して書く左利きの方にも良いと思います。単純にペンポイントに存在感があり、それを見ているだけでも書くことが楽しくなります。

現代根付けという、アートと工芸どちらの世界でも知られている根付け作家川本泰さんによる彫刻が施されたオリジナル万年筆「自在龍」、一点もので販売しています。

⇒Pen and message.オリジナル万年筆 根付作家川本泰(かわもとたい)作「自在龍」

自分の名品

それほど高級品でもない、名品と言われるものでもない、普通のものが自分の日常にフィットしてとても重宝する愛用品となることがあります。

基本的な作りがしっかりとしていて、丈夫で実用性が伴っているものでないとそうならないかもしれませんが、価格に関係なくそういうものはあるのかもしれません。

私もそういう愛用品をいくつか持っていますが、もっと「自分の名品」を見つけたいと思っています。世間や他の誰かが決めた銘品、逸品、名作に自分も従う必要はありません。

本が好きで時間があると読んでいたいと思う方ですが、私の場合名作と言われているものに限って何の感銘も受けないことが多いのです。むしろ本好きの人が個人的に教えてくれた本の方がすごく面白いと思うのは、本好きな人が私の好きそうなものを選んでくれるからです。

モノの良し悪しは自分にあっているかどうかで、本当は全ての人にとっての銘品、名作というものは存在しないのだと思います。

銘品とはそのモノが自分に合っているということで、全てのモノが「自分の名品」になり得るのだと思います。だからこそそれを見出す楽しみがあります。

世の中には色々なブランドや高級品があるけれど、もっと気負わず自然体で大切なペンを使っていただきたいと思って、レザーケースS、M、Lを作っています。

とてもシンプルな形ですが、ペンを自然にホールドするので抜け落ちず、ペンシースの側面を軽く押さえると簡単に取り出せる絶妙な形です。シンプルでデザインも使い勝手も良いペンシースというのは意外に少ないのではと思っています。

これは当店で用意したスケッチから、フリースピレッツ、レンマなどのブランドのデザイナー兼職人で、個人のブランド「シンレザー」も立ち上げている藤原進ニさんが仕上げてくれたものでした。

金属軸のペンを変色させる心配のないクロムなめしのドーフィン革を使用していますので、安心してペンを入れておくことができます。

使い方のイメージは、デブペンケースのような大容量ペンケースにペンを入れて持ち運ぶ時や、上着のポケットに入れる時など、日常的でカジュアルな使い方をイメージしています。

ちなみにこのレザーケースは、当店が33000円以上のペン(委託品は除く)をお買い上げ時にお付けしているサービスペンケースと同じデザインだと言われることがありますが、実は違います。

私はこのレザーケースが、気軽にペンを使う人の密かな愛用品になると思っています。

⇒レザーペンケース(1本用ペンケースTOP)

新型ペン先との再会〜プラチナセンチュリートラビィア

手帳用の万年筆と言えば、プラチナセンチュリーを一番に挙げます。

正方形ダイアリーにプラチナセンチュリー3776の細字の細かい字で、一日のことを書くのが日課になっています。

ウィークリーダイアリーの一日分のスペースに、その日のことを時刻とともに箇条書きしますので、センチュリーの細字くらい細かい文字が書ける万年筆でないととても書ききれませんし、滑らかさもないと続けられません。

センチュリー#3776のペン先は、硬くて多少の筆圧をかけても一定のインク量で書ける頼もしい存在で、代わりとなるペンもなかなかなく、自分の日常において必要不可欠な万年筆で、こういうものを生活万年筆というのかもしれません。

センチュリー#3776が代表するように、プラチナの万年筆のペン先の特長のひとつはとても硬いということが挙げられます。

硬いペン先と硬い書き味は何となく違うと私は思っていて、硬いペン先でも滑らかに気持ち良く書ければ、柔らかい書き味と言えるかもしれません。

逆にとても柔らかいペン先でも筆圧をかけると開き易くて内面が引っ掛るようなペン先は、柔らかい書き味とは言えないのかもしれません。

プラチナ「センチュリートラビィア」という万年筆が新たに発売されました。

ブラックの軸にブラック塗装した金属パーツの万年筆は最近の時流のデザインだと思います。キャップにはペン先の乾きにくさがさらに増した新型スリップシール機構が備えられ、定番のセンチュリーとは違う書き味を持つペン先が装備されています。

ペン先の乾きにくさは日常の万年筆の使いやすさにつながり、一般のお客様には歓迎される機能なのかもしれません。

マニアックな私たちがもっとも気になるのは新しいペン先による書き味の違いです。

今までの硬く多少の筆圧でもビクともしないのがプラチナのペン先の特長でしたが、トラビィアに搭載されたペン先はしなりを感じさせる弾力性を備えたものになります。

柔軟性と表現しなかったのは、このペン先が決して柔らかいわけではなく、プラチナの持ち味である厚みを感じさせる書き味でありながら、しなりを感じさせるものだからです。

たくさんの文字を書くほど硬いペン先の方が使いやすいと思いますので、硬さを持ったまま弾力性、バネ感のストロークが増したというのが新しいペン先の感覚だと言えます。

トラビィアに搭載されている新しいペン先は、2021年コロナ禍の真っ只中、プラチナセンチュリー10周年を記念した限定品のディケイドに搭載されていました。私は当時ディケイドを入手して、5年間使い続けています。

いつも使っているセンチュリーとは少し違う書き味。筆圧をかけたり、抜いたりして文字に強弱をつけて書くことが楽しくなるペン先で、穂先が少しすぼまった形状が意外にも見やすくて、書きやすさにつながり、愛用の万年筆の一つでした。

トラビィアは首軸などを金属パーツにすることで重量を稼いでいますので、ペン先のしなりを引き出しやすい仕様になっています。

プラチナトラビィア、他社のどの万年筆にも似ていない、プラチナらしい進化を遂げた万年筆だと思っています。

⇒プラチナ トラビィア

POLOとサファリ〜クルトガのラミーサファリシャープペンシル〜

15年前に新車で買ったフォルクスワーゲンのPOLOに乗っています。

妻はそろそろ乗り換えたらと言うけれど、愛着があってなかなか決断できません。今年もきっと車検を通して、乗り続けるだろう。

車は安全に目的地まで移動するということが第一の役割で、故障してそれができなかったことが何度かあるPOLOへの妻の目は厳しい。

モノはモノでしかないのだから、そこに必要以上の思い入れを持つ必要はないという、車に対して超実利主義の妻と私の車像の隔たりは大きい。

そんな愛車に乗り始めたばかりの頃、低速で走っている時に足元でカチャカチャと自動でマニュアル操作するDSGの作動する音を聞くのが嬉しかった。

POLOはフォルクスワーゲンの中でも最もリーズナブルで小さな車ですが、国産のオートマ車とは根本的に違う変速構造を持つ車です。

いつまでも古さを感じさせないデザインと共に、ドイツ車らしさを感じていつまでもこだわっているのだと思います。

先日待望のラミーサファリシャープペンシルのクルトガ機構搭載モデルが発売になり、私も購入して使い始めました。

実は私はクルトガのシャープペンシルを使うのが初めてで、芯が減っても文字が太くならない機構に今更ですが驚いています。

⇒三菱鉛筆クルトガとは

ラミーサファリシャープペンシルは、グリップがトライアングルシェイプになっています。それはとても握りやすくて、力を抜いてペンを持つことができます。しかし芯が減って面ができた時に回して芯の尖った部分で書くことがやりにくいシャープペンシルでした。

だからこのシャープペンシルにクルトガ機構が付いたのは見事に合っていて、待望されていた方も多いと思います。

店の仕事でもシャープペンシルはよく使います。

オリジナル商品の企画下絵、原稿の下書きなどなど。

先日、予定が入るとスケジュール帳の予定欄にシャープペンシルで書いて、確定したら万年筆で書き直すというお話を伺って、私も真似してみようと思いました。

シャープペンシルは速記もしやすく、色も薄いので相手から見にくくメモ書きにもとても重宝します。

フォルクスワーゲンポロとラミーサファリ、どちらもそれぞれのブランドにおいてリーズナブルな存在だけど、それぞれのブランドを象徴するモデルだと思っています。

ラミーも最近はラグジュアリーペンブランドでありたいとしていますが、サファリのようなペンに最もラミーらしさを感じます。

⇒LAMY サファリクルトガインサイド

横浜出張販売とオリジナルペン先の研ぎ

毎年3月に横浜に590&Co.さんと&(アンド)という出張販売を開催しています。今年も先週行ってきました。

ベイアリアの印象が強烈で関西に住む者からすると近代都市のイメージのある横浜ですが、会場のある関内はオールドタウンの趣きを持ったところです。昭和時代には栄えた当時は賑やかな所だったのだと思います。

そんな所だから私たちの泊まるホテルも会場のすぐ近くにあって、営業後に食事をするお店も近くにたくさんあります。

朝起きたらまだ静かな横浜の街の知らない道を散歩して、戻ったら朝食にして会場に行く。

夕食後もすぐにホテルに戻って、それぞれの時間を過ごしています。

ホテルの部屋で売上の集計をしたり、正方形ダイアリーに一日の振り返りを書いたり、早めにベッドに入って本を読むのも出張の夜の楽しみです。私の場合、出張販売に行った時はそんな風に過ごしています。

横浜周辺には当店の昔からのお客様が多くお住まいで、出張販売に来るべき場所だったと思います。

いつもお客様方の温かいお気持ちに触れて、有り難い想いで帰ってきます。

恥ずかしながら、今だに当店はお客様方に助けていただいているというのが現実ではありますが、出張販売にまた足を運んでいただけるようお店のものを幅広く品揃えしたいと思っています。来年もよろしくお願いいたします。

今回の横浜ではオリジナル万年筆コンチネンタルクラシックインスピレーション1985を研ぎにこだわって作り込んでお持ちしました。それぞれの研ぎの名前も当店らしくつけています。

・満月

同じ名前の珈琲豆を当店オリジナルで販売しています。

未研磨に近いほぼ球のままのイリジウムの力強い見た目を楽しむことができて、今後はどんな形にも研ぐことができます。私も今球のままのものを使っていて、球のままの滑りの良さやペン先を育てる楽しみを味わっています。

・三角研ぎ

トメ、ハネ、ハライを表現しやすく、キレのある美しい文字を表現するのに適した研ぎです。面を合わせて書くとヌルヌルした書き味が得られ、太い文字から細い文字まで書くことができます。

・上弦の三角研ぎ

三角研ぎほど劇的ではありませんが筆記角度を変えたり、ペン先の向きを変えると線が変化しますが、それよりも様々な書き方でより滑らかに書いていただける書き味を重視した研ぎです。

・下弦半月研ぎ

今までなかった研ぎの名前です。筆記角度40度くらいのところに筆記面を作り、ペンポイントの幅を狭めた研ぎで、ペンポイントを真横から見た時の形状が半月ように見えることからこの名前をつけました。

40度で最も太く、立てて書くと細く書くことができます。縦線、横線の太さの違いもあって使い方次第で様々な使い方ができる楽しめる研ぎです。

オリジナル万年筆も当店でしか手に入らないという限定性や希少性だけではなく、機能的な特長を持たせたいと思っています。

様々なペン先の研ぎを実現する球のままのペン先が手に入るのも当店の強みでもあります。ぜひ手に取ってお試し下さい。

⇒オリジナル万年筆コンチネンタルクラシックインスピレーション1985

品揃えの考え方

若い時から店が仕事場でした。一日中店にいて接客や店の業務をしていましたので、家に帰ってからペン先調整をいろいろ試したり、現場ではできない(当時は店にはなかった)パソコンでの仕事をしていました。休日は仕事の質が上がると信じて、他所のお店を見たり、美術館や博物館に行って審美眼を養おうとしていました。

出世がどうとか、給料がどうとかは全く考えていなくて、ただ自分がそうしたかっただけでした。

家族のことを顧みなかったわけではないし、仕事と家庭の両立をしていたつもりでしたが、今は両立と言っている時点でダメなのかも知れません。

でもその若いがむしゃらな情熱があったからこそペン先調整が身についたし、毎週原稿を書くということを習慣にすることができました。そう考えると、私にとっては必要な過程だったのだと思います。

そんな感じでしたので、周りからするとすごく頑なで思い込みが強いように見えていたのではないかと思います。

特に商品の品揃えに関して、自分が良いと思ったものだけを販売したいと思っていました。

それも自分の独断と偏見の価値観で、たしかに良いものだったかもしれないけれど、偏った見方、価値観で考えた商品構成だったと思います。

この店を始めた時、茶道に強く魅かれていて、茶道の価値観をペンにも適用したいと考えていました。素材感のあるもの、造形が美しいものにこだわって商品を揃えようとしていました。

世間で売れているものやお客様が求めるものという視点が一切なく、むしろ流行しているものからは目を背けていた節もあるので、そう思うとよくお客様方が付き合って下さったと思います。

独自のチョイスと他所にはない店主こだわりの品揃えをしているペンとステーショナリーのセレクトショップとして大目に見ていただいていたからかもしれません。

今の時期になると、卒業や新入学、退職や異動で差し上げられるギフトも需要がありました。当店の品揃えでは対応できないことが多く、品揃えを見直すことにしました。これはもしかしたらとてもいい機会だったのかもしれません。

手始めとして、春のお祝いのお品物にできるものを揃えてみました。ある意味昔からの定番の贈り物である、手頃な価格で気持ちを伝えることができるペン。

でもそれらはちょっと気分を変えてみたいなど、ご自分へのプレゼントとしてもお勧めしたいラインナップです。もちろんギフト包装もさせていただきますので、ご来店の際はぜひこちらの商品もご覧下さい。

⇒ギフト向け万年筆

Pen and message.の珈琲

コロナ禍前まで当店はコーヒーも飲める店でした。当店が開店した時からですので、10年以上していたことになりますが、すでにそれをご存知ないお客様も多いと思います。そのくらいコロナ禍後のお客様の入れ替わりは激しく、コロナ禍で当店のサービスの形態も変わっていきました。

とても美味しいコーヒーだと褒めて下さるお客様も多く、今もコーヒーサービスの復活を希望して下さるお客様もおられます。しかし、店の在り方を考えて止めたことなので、何かとても大きな変化がない限り難しいと思っています。

コーヒーが美味しいと言われていたのは、そのオリジナルブレンドの豆のおかげだと思います。

その珈琲豆の販売は今も継続しています。

万年筆で書き物をしたいと思った時にまずコーヒーを淹れて、それを飲みながら書くということが至福のひとときだと言われる方は多いと思います。

コーヒーがそんな時間を演出するものだとしたら、コーヒーも万年筆に関連するものだと思いますし、コーヒーに含まれるカフェインが脳の活性化につながるとすればステーショナリーであると言えなくもありません。Pen and message.にコーヒーは必要だと思いました。

神戸市内に昔からある珈琲焙煎所があって、店がオープンする時に飛び込みで珈琲のブレンドができないかとお願いに行きました。万年筆店でコーヒー?と戸惑いながらも、私たちに快く協力してオリジナルブレンドを作って下さったご主人とのお付き合いも19年目になりました。

そのご主人はとても物腰の柔らかい方ですが、50年以上焙煎をされていて、不良豆は一粒一粒徹底してハンドピックで取り除くという、こだわりのあるコーヒーを作られています。

大量生産の珈琲工場では考えられないことですが、一杯のコーヒーは一粒一粒の豆によってできあがっていますので、不良豆が多い程コーヒーの味は落ちてしまいます。気が遠くなるような地道な作業が美味しいコーヒーを生み出すというご主人の姿勢に、一本一本の万年筆のペン先を時間をかけて調整してお渡ししている私たちは大いに共感します。

そうやって生み出されるオリジナルブレンド珈琲「朔」の味は、スタッフKの祖母がご自身でブレンドして淹れてくれていたオリジナルブレンドコーヒーです。子供の頃の記憶にあるそのまろやかで美味しかったコーヒーを再現すべく、ご主人に細かくイメージを伝えて3回の試作を経て出来上がりました。

酸味の少ない優しい味の珈琲で、ブラックのままでも飲みやすく、コーヒーが苦手な方でも飲みやすいとよく言われます。

中深煎りの朔に対して、少し酸味があるものが満月です。さっぱりとしていて、コーヒー通の方でもその深い味わいをお楽しみいただける浅煎りの珈琲ですが、ミルクは入れずにブラックで飲んでいただくのがお勧めです。

朔、満月ともに挽きと豆があります。店頭でもネットショップでも販売しています。

⇒オリジナルブレンド珈琲