リスシオダイアリーに向かう

リスシオダイアリーに向かう
リスシオダイアリーに向かう

季節外れのダイアリーの話題で恐縮です。
年々ダイアリーが店頭に並ぶのが早くなっていて、9月頃から並び始めていたのが早いと思っていましたが、最近では7月中からでも並ぶようになってきました。
そういったものの中には9月始まりというものもあって、お客様方はたくさんの種類の中からダイアリーを選ぶことができるようになったということでしょうか。

毎年のダイアリー選びは深刻な問題だと思います。
自分のライフスタイルに一番合ったものはどれなのか、多くの人が探し求めて毎年試行錯誤しているのではないでしょうか。
もちろんお店でオリジナルとして販売しているということもありますが、リスシオダイアリーは市販の中に答えを見つけられなかった方に、一度は使っていただきたいダイアリーだと思っています。

私も今まで本当にたくさんのダイアリーを使ってきました。

中には数年間使い続けたもののありますし、使い始めてすぐに使わなくなったものもあります。
やはり一番長く使ったのはシステム手帳で、その中でもA5サイズのものがほぼ私の中のほぼ正解だったと思います。

大きな筆記スペース、ページの入れ替え、書類もそのままファイリングできるなど使うことにおいてはとても便利でした。
しかし、A5サイズのシステム手帳は大きすぎました。
机の上でも邪魔になるし、鞄の中は手帳に占拠されてしまう。
筆記スペースを確保しながらコンパクトにするにはやはり綴じ手帳しかないと思いました。
でもある程度使い方に合わせて組み合わせることができた方が楽しい。
それがリスシオダイアリーだと思っています。

月間ダイアリー、週間ダイアリー、1日1ページ、横罫、方眼という種類があって、これらを組み合わせて使うことができる。

そして用紙には、大和出版印刷さんが万年筆用紙としての書き味を追求したリスシオ・ワン紙が使われているので、普通なら引っかかりが感じられる細字の万年筆でも相当書き味良く使うことができますし、インクの収まりも悪くない。
綴じ手帳は書いたものがどうしても時系列に並んでしまいますが、それらをインデックスや付箋で表示することによって、複数のテーマの中から見つけたいものを見つけやすくすることもできます。

手帳を使いこなす楽しみはそういう風に自分なりの使い方を編み出すところにもあって、文具好きの方なら付箋やスタンプなどのツールを使って、綴じ手帳を攻略することは大いなる楽しみになると思います。

自分でリスシオダイアリーを使いながら、様々な改良点を見つけることになります。
それらを反映して、書くことを楽しくし、お仕事や家事の役にさらに立てる2012年版のリスシオダイアリーは9月中には発売いたします。

ラミーサファリ フレンドシップペン

ラミーサファリ フレンドシップペン
ラミーサファリ フレンドシップペン

サファリを何度も使おうとしましたが、紛失したり、人にあげてしまったりして手元に居ついたことがなく、今1本も持っていません。
でもいつもなぜか気になって、使ってみたいと思わせる存在ではあるのです。
かなり厚いものでも挟むことができるクリップは厚手のコートのポケットにも挟むことができますし、キャップはパッチン式(勘合式)でちょっとメモしたりする時に便利です。
ABS樹脂のボディは軽くてあまり気を使わなくていい。
書き味も軽く、独特のものがある。
万年筆の中のサファリというよりも、サファリという筆記具が存在しているかのように思える。

万年筆というものはどんなものでもそれなりに雰囲気を持っていて、その物自体が何かを語ってくれる物だと思っています。

字を書かずとも、ただポケットに差しているだけでもその人が知的に見えたりする物。それが万年筆かもしれません。
でもサファリはそんなある種の誤魔化しは効かない。実際に使わなければいけない万年筆です。
そういった理由からか、サファリを使っている人はとてもクリエイティブに見えたりするものです。
サファリは何本も持っていたい万年筆でもあります。
定番のものを中に入れるインクの色によってボディカラーを変えて持つのもいいし、過去7色あった毎年発売される限定色を1本ずつ揃えていっても結構な本数になります。
もしご当地サファリなどがあれば、旅に行った時の記念になるかもしれないなどと想像したりします。

ラミーサファリフレンドシップペンが発売になりました。
これは毎年発売される限定色ではなく、日本とドイツの国交が始まって150年の記念に発売された特別企画のペンです。
万年筆を使っている人でドイツに親しみを持っている方は多いので、このペンは人気が出るだろうと思いましたし、私も欲しいと思いました。
私のようにサファリを持っていない人のサファリのきっかけとなるかもしれない特別なサファリの限定発売です。

アウロラ 大陸シリーズの魅力

アウロラ 大陸シリーズの魅力
アウロラ 大陸シリーズの魅力

石のついた指輪をする習慣がない。
それはお守りだったり、願いだったりと個人的な想いがこもったもので、それをする習慣のある人を少し羨ましく思うこともあります。

アウロラ大陸シリーズアメリカのキャップトップにつけられた石レッドジャスパーは、北米、中米、南米などで産出される貴石で、身を守ると言われている、いわゆるパワーストーンだとか。
指輪をしない代わりに、こういう石がついた万年筆をお守り代わりに身に付けるのも、万年筆のひとつのあり方だと思います。

アウロラ大陸シリーズ第4弾アメリカが発売になりました。

アフリカ、アジア、ヨーロッパと続いている人気シリーズだけに、次は何大陸をテーマにしたものを発売するのか憶測を呼んでいましたし、新作が出ても良さそうな日程を過ぎても発表されないことから、もう発売されないのではないかという心配する声も聞かれていました。
中にはこのアメリカ大陸を予想された方もおられたかもしれません。

過日私のブログで、これはアメリカ合衆国を中心とした北アメリカ大陸だと申し上げましたが、実は誤報で今回の大陸シリーズのテーマは南北アメリカ大陸でした。

実にいい加減な話になってしまいますが、そう言われてみればボディカラーは単純な赤と青ではなくもっと深みのある複雑な色合いで、そんなところが南米ぽいかな?と思わせますし、キャップリングのモチーフにはちゃんとコンドルやナスカの地上絵も刻印されています。

毎回大陸シリーズのリングが見所のひとつとなっていますが、このリングのフレームとなっている紋のような柄がとても良い雰囲気を出していると思いました。
私を含めてこのアメリカの写真だけを見た人は、数年前のペリカンの史跡シリーズピカデリーサーカスと似た色合いだと思われたかもしれません。
しかし現物を見てみると、全く異なる発色、柄の奥行きで、ペリカンを連想することのない、別の魅力のあるペンです。

ペン先もボディの基本的な形も同じで、ボディカラー、キャップリングなどを変更しただけのアウロラの限定品がなぜ皆さんの気持ちを動かすのか少し不思議な気がしますが、それは前作との変更点について冷静に分析すればこそ思うことで、アウロラの万年筆の良さを知る者として立場が変わった時、やはり前作のエウロパと近作のアメリカでは「全然違う」ということになります。

私は大陸シリーズに代表されるアウロラの作る限定万年筆はやり過ぎた所のない、安心して使えるところが魅力だと思っています。
面白みはあるけれど使い辛い仕様だったり、非常にアバンギャルドな設えだったりすると、コレクターズアイテムとしては面白いかもしれませんが、実用的には疑問が残ってしまう。
アウロラの限定品の魅力、それは「使う」ということが前提になっているというところです。

アウロラの万年筆を語る上で無視できない、オプティマ、88の定番の万年筆の書くことにこだわった良さがあるからこそ、アウロラは信用され、その限定品は多くの人の気にかかるのだと考えています。

M1005デモンストレーター オーバーサイズへの誘い

M1005デモンストレーター オーバーサイズへの誘い
M1005デモンストレーター オーバーサイズへの誘い

現在発売されている万年筆の中で最も柔らかいペン先で書き味の良い万年筆がペリカンM1000だということに賛同してくださる方は多いと思います。

大きなペン先は毛筆の穂先のようにしなやかに、筆記の方向にさからうことなくついてきてくれて、たくさんのインクを紙に送り出しながら良い感触を手に伝える。
でも、ペン先調整をする者にとって、M1000ほど不思議に思う万年筆はありません。

それはペン先とペン芯の関係が、他の万年筆の常識とあまりにもかけ離れている。
普通ペン先はペン芯にピッタリと密着していないと書いている途中でインクが途切れてしまうため、調整する時はペン先とペン芯が離れることのないように調整します。
これはイリジュウムを削るなどの加工以前の最も注意しなければいけないところですが、M1000の構造は違っています。

ペン芯はペン先の一部分にしか接していないし、書いている時には離れていることもあるのに、たくさんのインクをペン先に伝えて途切れることがない。
なぜかインクが流れてくれる。
でもペン芯の押し返しがないので、ペン先は柔らかく自由に動いてくれるのは事実で、M1000の書き味が非常に柔らかいのは、このペン先とペン芯の関係によるところが大きいと思っています。
しかし多くの人がM1000の書き味の良さを知りながらM1000に踏み切れない理由は、そのサイズにあるのだと思っています。

ペリカンにはM800という実用において完璧とも言える万年筆があります。
M800はM1000とは対照的で、非常に硬いペン先を持っています。そのためハードな筆記もペン先のことを気にせずに書き続けることができるヘビーユーザーのための万年筆となっています。そのボディサイズは万年筆のお手本とも言えるサイズなので、M800を使う人は多くてもM1000にたどり着く人は少ない、M1000は大きすぎると考える人が多いようです。

しかし、M1000のボディが完全に実用を無視しているかというとそうでもありません。
私は余分な力が入らずに一番きれいな文字を書くことができる筆記具はゼブラのハイ・マッキーだと常々思っています。
万年筆の話でいきなりマジックペンの話をして妙に思われるかもしれませんが、マッキー極太のボディを持った時の手の中での座りは、手があまり大きい方ではない私でも良い印象を持っているので、きっと他の方でも同様に感じていただけるのではないかと思います。
ハイマッキーの印象から、M1000のサイズもそれほど実用からかけ離れているサイズではないと最近は思うようになりました。

ペリカンは、ペリスケ、M205デモンストレーター、M205ブルー、M800デモンストレーターM205DUOなどのデモンストレーターモデルをここ10数年で5種類も発売していますが、デモンストレーターはそれらの過去の限定品とは迫力が違うオーバーサイズならではの魅力を備えています。
M1000のデモンストレーターモデルは金具をシルバー色にしてM1005としています。
キャップ内の処理、吸入機構周辺、ペン先ユニットのソケットまでも専用パーツとして、まるで医療機器か実験器具かのように見せていて、書き味同様にボディもまた、オーバーサイズでないとできない楽しむための仕掛けがされているのです。