想いを持ち続けて道を究める~3月30日(土)31日(日)工房楔イベント開催~

想いを持ち続けて道を究める~3月30日(土)31日(日)工房楔イベント開催~
想いを持ち続けて道を究める~3月30日(土)31日(日)工房楔イベント開催~

当店が万年筆だけを扱って、そして自分の好きなものだけを揃えるようになっていたら、きっとできることは少なくなってしまっただろう。
今までにその分かれ道は確かにあって、その時お客様や周りの人の声に耳を傾けず、頑なになっていなくてよかったと思います。
人が良いと思うものにも目を向けて、自分の信念を都合よく、状況や時代に沿わせることができる、よく言えば柔軟性が自分にあったからこそ商売をしていられるのだとよく思います。
私がモノを選ぶ時、自分の好みではなく、お客様のどなたかにとって良いものかそうでないかという視点を持たなくてはいけないと思っています。
ひとつの分野を探究して深く掘り下げていくときに、そこに好みを入れるとその道はどんどん狭くなって、自分の信念に縛られて身動きができなくなってしまう。
そのモノや素材への愛情が強いほどそれにはまりやすいし、職歴を重ねて、素材への目が肥えるほど、使いたいと思うものは少なくなっていきます。
自分の目指す方向がはっきりと定まっていて、自分の目利きと腕に自信を持っている職人さんのような、道を究める人もその道に入り込みやすいのではないかと私は思っています。

工房楔の永田さんも、常に向上心を持って努力している人だけれど、自分の目利きや腕に自信を持っている職人さんです。
永田さんは工房楔として活動して今年15年という記念すべき年を迎えています。
職歴としてはもっと長いはずだけど、永田さんの道は狭くなるどころか、その活動は出会った頃よりも柔軟さを増しているようです。
木を見る目は成熟していっていると思うけれど、変わらず幅広い価格帯のものを扱って、楔の作品の間口を広くしている。

その柔軟さを永田さんが持っているのは、工房楔を始めた時に掲げた銘木の杢の良さ、面白さをもっとたくさんの人に知ってもらいたいという想いを今も持ち続けているからなのだと私は思っています。
万年筆を収めるコンプロットなど価格の高いものも健在で、そちらの方面へも拡大を続けていますが、ジェットストリーム用グリップなど、とっつき易いもの、銘木の味わいを手軽に感じることができるものも、ちゃんと用意しています。

当店も万年筆を愛用しているお客様に、普段から永田さんのメッセージを伝えようと努力しているけれど、3月30日(土)31日(日)に開催する、半年ごとの工房楔のイベントは、銘木製品に深く入り込んだ人も、何か銘木のものを使ってみたいと、その世界の入り口のドアを開けようとしている人にも楽しんでもらえると思います。

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