メーカーを支える中堅万年筆~WATERMANエキスパート~

メーカーを支える中堅万年筆~WATERMANエキスパート~
メーカーを支える中堅万年筆~WATERMANエキスパート~

万年筆メーカーの最上位モデル、フラッグシップモデルは良いに決まっているけれど、一番ポピュラーなモデル、中間クラスの万年筆が本当はそのメーカーを支えているのではないかと思います。
そのメーカーについて語る時に挙げられることは少ないかもしれないけれど、その万年筆を使っている人をよく目にして、印象に残っているのがきっとそういう万年筆なのだと思います。
長く静かに作り続けられてきたそういう万年筆に、ウォーターマンエキスパートがあります。

エキスパートはスチールペン先の普及版の万年筆として、日本で27年も販売されてきたロングセラーモデルです。
ステンレススチールのペン先だということと、ずっと存在し続けていて、何となくあって当たり前の存在になっていましたので、私もこの万年筆について語ることはありませんでした。
しかし、しっかりとしたレギュラーサイズのボディ、曲線を取り入れた程良くエレガントなデザインなどから、ウォーターマンの普及版にして代表的な万年筆だと思っていました。
1883年、世界で最初に現在の万年筆のインクが出る原理となる毛細管現象を取り入れた、ウォーターマンのフラッグシップのペンがどれもあまりピンとこなかったのは、実はこのエキスパートが代表作だったからなのかもしれません。

そのウォーターマンエキスパートに金ペン先モデルエキスパートエッセンシャルが発売され、私はすごいことだと歓迎しているけれど、万年筆の業界の中では静かな話題なのかもしれない。
今までスチールペン先で売れていた万年筆を金ペン先にグレードアップして発売するという行為が、現代の万年筆業界の動きに逆行するもので、興味深く思いました。
最近は万年筆の低価格化、金の高騰などの理由からスチールペン先の万年筆が増えています。
しかし、万年筆の書き味の醍醐味は金でないと得られないと思うので、できれば万年筆のペン先は金であって欲しい。だから昨今の業界の動きをつまらなく思っていました。
ウォーターマンエキスパートの金ペン先モデル発売は、そんな杞憂を少し晴らしてくれる、私にとって明るい出来事です。

エキスパートの金ペン先は少し硬めのものですが、金属でドッシリとしたボディとの相性が良く、硬質なスチールペン先とは違う豊かな書き味を持っています。
ウォーターマンを代表する万年筆だと思っているエキスパートの待望の金ペン先モデル。価格も抑えめで、この万年筆で初めて金ペン先を使う人も増えると思いますし、ウォーターマンをこのペンで初めて使う人も増えると思います。


・WATERMANのページが現在ないため、「手紙用品」に入っています

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