ダイアリー/手帳に書くペン

590&Co.の谷本さんと一緒に出張販売に行くようになって機会が増え、外に出ることが多くなりました。

その他にもイベントなどもあって毎月外に出ている時期もあるけれど、今は4月の横浜出張まで予定はなく、2月3月は神戸の店にいます。

出張販売がない時期の店の仕事は、忙しくも静かに過ぎていきます。ネット販売とご来店のお客様の応対、ネットへの商品の更新で店の1日は終わっていく。

そんな毎日の中、店であったことは正方形のオリジナルダイアリーに記録しています。お客様が万年筆を買われたという、華やかでその方にとって記念すべきことは、時間とともに箇条書きしていて、これが私の日記となっています。

色々な手帳を使ってみているけれど、予定と記録は必ずオリジナルダイアリーに残しています。それが日々の店での記録が散逸しないことにつながると思っています。

オリジナルウィークリーダイアリーの1日分のスペースにその日あったことを書くので、国産細字の万年筆くらいが良い。今はプラチナセンチュリー忍野をダイアリー記録用に使っています。

私のプラチナのイメージはペン先が硬く、インク出も抑え目なので、淡々と細かい字を書くのに最も適したものだと思っています。

淡々としたプラチナの冷静な筆跡に対して、パイロットは濃淡が出やすいので、何となく感情が表れているように思えます。セーラーは線に変化があって書いていて楽しいけれど、私はダイアリーに使う万年筆に客観的な冷静さを求めているのかも知れません。

話を戻すと、ウイークリーダイアリーはオリジナルのミネルヴァリスシオのカバーに入れて使っています。

そしてこのカバーについているペンホルダーには、店でサッと書けるようにボールペンを挿しています。

ダイアリーカバーのベルトを留めると、細めのペンでもクリップを引っ掛けなくても落下しないくらいにちょうどよく締めてくれる。ミネルバリスシオの手に吸い付くようなさわり心地や革の風情とともに、とてもいいカバーだと思っています。

2月も終わろうとしている時期にダイアリーについて書いてしまいましたが、毎日このダイアリーを使っていて、これ1冊に予定も日記などの記録も、これからの夢も全て書いて、そんな全てを包むカバーがやはり良いと改めて思ったからでした。

「書く」ことが少なくなった昨今、当店はこのオリジナルダイアリーで、皆様に手で書く楽しみをお伝えしたいと思っています。

⇒正方形オリジナルダイアリー・カバーTOP

⇒正方形ダイアリー・ノート用カバー/ミネルバリスシオ

こだわらずに選ばれる万年筆

昨年11月に亡くなった伊集院静氏の小説を、最近ずっと読んでいます。

そのモノの言い方や考え方が好きで、エッセイは発売されるたびに買って読んでいましたが、そういえば小説は短編以外あまり読んでいなかったと気付いて読み始めました。

長編ばかり選んで読んでいますが、こんなに面白い小説を書いていたのかと、今頃になって小説の伊集院静の世界に浸っています。

伊集院氏の小説は昭和の香りがして、懐かしさを感じながら読んでいます。

昭和と今とでは何が違うか具体的に言えないけれど、昭和の方が全てが不透明で、理不尽なことが多かったように思います。今で言う、色々なハラスメントが日常に普通に存在していました。

比較すると今の方が公平で、見通しの良い世の中になったと思うし、進歩したのかもしれないけれど、暗い昭和の時代を懐かしく思ってしまいます。

そういっても平成になったのは私が大学生の時なので、社会人生活も平成から始まりました。

世の中が変わったのは年号が変ったからではないと思うけれど、平成になってしばらくしていろんなことが急激に変わり出したと、同じ時代に生きた人なら感じていたと思います。

そんな変化する前の世の中の雰囲気を、伊集院静氏の小説から感じることができます。

趣味の文具箱でも以前紹介されていましたが、伊集院静氏は万年筆で原稿を書き続けた小説家でした。

主にモンブラン149を愛用していたようですが、モノにこだわることを嫌う伊集院氏ならそういうことも言われるのも嫌だったかもしれません。むしろこだわらないからこそ、いつも149を使っていたのかもしれない。

豪快なイメージとは違って、繊細で美しい文字を書く人だと思いました。

私の感覚だと149はたしかに握りやすく、長時間書くのに疲れにくいかもしれないけれど、コントロールのしやすさで言うと、146やペリカンM800の方が適度な太さなのではないかと思ってしまいます。手の大きさの違いだろうか。

私も149をよく使っています。自分なりのあたたかみのある文字が書けると思っていますし、多くの文豪が道具として酷使して、使い潰したものと同じものを使っていると思えることが愉快に思います。いずれにしても書いていて楽しい万年筆であることは間違いありません。

時代は常に移り変わり、仕事のやり方もどんどん変わっていくけれど、変わらずにあるモノは、必ず店で取り扱っていたいと思う。

そのひとつが定番の万年筆たちで、時代が変わって色々なモノが淘汰されていっても、いい万年筆は変わらずに書く喜びを私たちに感じさせてくれます。そのひとつが伊集院氏がこだわらずに酷使した149なのだと思います。

⇒モンブランTOP

クリップを使わないために~オリジナルレザーケース~

若い頃はスーツの胸ポケットに万年筆を挿していました。

アウロラはキャップを閉じると短くなって、胸に挿すとちょうどよく収まって恰好よかった。

ペリカンM800は少し長いので胸ポケットからキャップが出るけれど、クリップはポケットに挟むことが出来たので、やはり胸ポケットに挿していました。

ある時スーツの胸ポケットの布地がほつれていることに気付いて、すぐに万年筆を挿しているからだと思い当りました。

ペリカンもアウロラもクリップの内側はスムーズになっているものだと思っていましたが、実はどちらも内側に継ぎ目があって、布によっては引っかかることが分かりました。

クリップはペンをポケットに挿すためのものではなく、机上に置いた時の廻り止めもしくはデザイン上のアクセントではないかと思い始めて、クリップで布地を挟まなくなりました。

服を傷めたくなかったからですが、それ以上に万年筆のクリップが広がってしまう気がして、なるべくクリップで何かを挟むことはしたくないと思い始めました。

服のポケットにペンを入れる時は、1本挿しのペンケースに入れてからポケットに挿すようになりました。

当店で3万円以上のペン(中古・委託商品は除く)を買って下さったお客様にプレゼントしているサービスペンケースは、そのためのものでもありました。

サービス品ではなく、お買い求めいただけるものでカッコイイものを作りたいとずっと思っていました。

刀の鞘をのように片方が閉じていて、収めやすく取り出しやすいシンプルなデザイン。イメージして描いたスケッチを、当店オリジナルの革製品を作ってくれている革職人の藤原さんが形にして下さって、オリジナルのレザーケースが出来上がりました。

シンプルでオーソドックスなデザインと、どちらかのサイズに大抵のペンがピッタリ収められる、ちょうどいい大きさのものを作りました。

Sサイズは細めのペンを収めるのにいいサイズで、ボールペンやシャープペンシルを収納するためのものになっています。

Mは見た目よりも太めのペンも入る、モンブラン149・M1000も収まる万年筆用のサイズです。(リザード革は内張りがあるため146・M800サイズまで)

今はサドルプルアップレザーとクードゥー革で作っていますが、昨年発売してすぐ完売した、ゴージャスなリザード革が再入荷しました。

ペンをより優しく包み込むための柔らかい内張り革には、ピッグスエードを使っています。藤原さんはそのピッグスエードを裏表逆に使うことで、中のペンが滑りにくいようにしています。

とてもシンプルでオーソドックスなものかもしれませんが、そういうもので上質なものは意外と少なく、ずっとこういうものを作りたいと思っていました。

最近よくご紹介している綴り屋さんのペンはクリップがないデザインですが、こんな風に1本挿しレザーケースを使うと胸ポケットに入れて持ち運ぶこともできます。

⇒1本用ペンケース TOP

品川の出張販売~OMASの復活~

先日品川で590&Co.さんと共同で出張販売を開催しました。

中高生の間で木軸のシャープペンシルが流行していて、590&Co.さんにはたくさんの男子学生が列を作っていました。

当店は大人のお客様が来られて、顔見知りのお客さんとは再会を喜び合いました。初対面のお客様とはこれから親交を温めていけることを楽しみにしています。

私たちはこの再会や出会いのために出張販売に出ています。特に首都圏は当店のお客様も多いので、自然と回数が多くなります。

コロナ前に視察に行った台南ペンショーで、主催者の方との通訳をして下さってとてもお世話になった台湾在住のTさんと再会できたことも嬉しかった。

あれからあっという間に時間が過ぎて、4年が経ってしまいました。当店はあの時Tさんに夢を語ったように、台湾でも仕事ができるようになるのだろうか。

万年筆を購入していただいたり、ペン先調整をする場合、どうしても時間がかかります。

自然と色々な話をすることになりますが、この会話が当店とお客様の関係を築く大切な時間だと思っています。

590&Co.さんを目当てに来られた若いお客様には、万年筆を間に置いた大人のやり取りを見たり聞いたりして、万年筆に興味を持ってくれたら、と共同出張販売の時にはいつも思います。

今回の出張販売でも綴り屋さんの万年筆は注目されていましたし(近日中にWEBショップ掲載予定)、ギリギリ出張販売に間に合ったオマスの万年筆も目玉でした。

オマスは2016年に惜しまれながら廃業したイタリアの老舗万年筆メーカーで、多くのマニア受けする渋い万年筆をこの世に遺したメーカーです。

私もオマスのペンが好きで、2010年にはル・ボナーの松本さんと590&Co.の谷本さんとボローニヤのオマス本社を訪ねて、工場見学をさせてもらいました。

アメリカの万年筆メーカーASC(アルマンドシモーネクラブ)はオマスの部品などを引き継いで、オマスの万年筆作りを継承していましたが、中国系オーナーとASCのオーナーによってオマスの名前も復活することになりました。

パラゴンはオマスのセルロイドを使って現代流にアレンジされ、ゴージャスな万年筆に生まれ変わりました。オリジナルのパラゴンの印象とはまた違う、繊細な美しさを感じるものになっています。

オジヴァは創業オマスのものそのままに復刻されました。

シンプルな無駄のない万年筆ですが、独特の美しいラインを持っています。

新しいオマスのオーナーは、名品を生み出し続けたオマスへの愛情に溢れた人だと聞いていますので、創業オマスのモノ作りを大切に、ペン作りをしてくれるだろうと期待しています。

パラゴン、オジヴァという、まず代表的な定番モデルを創業オマスのデザインを継承して復活させて、新生オマスが誕生したことを知らしめてくれました。

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