KWZ(カヴゼット)インク

KWZ(カヴゼット)インク
KWZ(カヴゼット)インク

ホームページに掲載する以前からKWZインクはご来店のお客様によく売れていました。
新しく出たインクのブランドを慎重に見極めようとするよりも、積極的にご自分の好みの色を見つけようとする感じの方が多く、意外に思いました。
新しいものをどんどん取り入れる方も、モノ選びに慎重な方もどちらもこのインクを気に入って使っているので、これはもしかして流行なのかと、錯覚するほどでした。
KWZインクのどこに人気があるのかと考えた時に、私は色作りが支持されているのではないかと思っています。
ブルーでも微妙に違っているものが13色(古典インク、ノーマルインク込み)もあって、色作りが絶妙で、それぞれの色を好む人が必ずいるのではないかと思えます。

KWZインク開発者のコンラッド・ズラヴスキー氏はポーランド・ワルシャワ工科大学の研究者で、熱心な万年筆愛用者であり、実験でも万年筆を使っていました。
ある時、大切な実験データを書いたノートにフラスコの液体をこぼしてしまい、データが消えてしまうという悲劇を経験して、消えないインクを調べているうちに保存性に優れた没食子(IG)インクにたどりつきました。
同じ研究者である奥様とともに試行錯誤して、新しいIGインクを開発して2015年KWZインクを立ち上げました。
KWZインクの興りが、ウォーターマンの万年筆の興りに近いものがあって、失敗が新しい発想の源泉になるのだと改めて認識するエピソードです。

KWZインクの特長は、酸化鉄が紙に定着することで、高い保存性を発揮する古典インク(IGインク)があることと、微妙な色違いで同じ系統の色がいくつもあることです。
KWZインクのブルーの微妙な違いを見て、自分もこの中から自分好みのブルーを選んで使いたいと思いました。
古典インクで#1から#6まで(#4は欠番)、ノーマルインクで#1から#5まで、それぞれのブルーにセンスが感じられ「なかなか分かっている」と唸らされます。
保存性が高いということと、書いた後しばらくすると色が黒っぽく変化するというところに惹かれてIGインクのブルー#3を全ての万年筆の入れて使ってみています。

IGインクで注意しないといけないのは、普通の染料インクよりも酸性度が高いということです。
金ペン先でない万年筆、首軸先端付近(インクが付きやすい所)に金属が使われている万年筆には腐蝕の恐れがありますので、注意して使われた方がいいと思います。
古典インクはどのインクも、出が渋くなるものだと思っていましたが、KWZインクは渋くなりませんでした。
アウロラ、ペリカン、パイロット、ファーバーカステル、どのメーカーに入れても快適にお使いいただけると思います。
インク専門メーカーのインクを使うことは、メーカー純正ではないために自己責任ということになるけれど、私の場合使っていて不具合は起こっていません。
自分好みのブルーをKWZインクによって手に入れることができて、とても嬉しく愛用しています。

KWZインクの古典インク(IGインク)には3種類あります。
IGアーカイブインクは、高濃度のIron Gall成分を含むインクで、最も高い筆記保存性があります。「IGブルーブラック」がこれにあたります。
IGLインク「IGマンダリン」と「アステカゴールドIGL」は、Iron Gall成分を抑えた、色の変化を楽しむインク。
その他のIGインクは、中程度のIron Gall成分を含み、筆記保存性があります。

*KWZ Ink「水性筆記インク」
*KWZ Ink「没食子インク(IG・IGL)」

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