父に贈る万年筆

父に贈る万年筆
父に贈る万年筆

65才で43年間勤めた高校をほぼ定年で退職した父の退職後の生活を心配していました。
40年以上も行っていた学校に行く必要がなくなって、毎日手持ち無沙汰に退屈に暮らしていくうちに老け込んでしまうのではないかと思っていたからです。
仕事以外に情熱を傾けるもののない私からすると、仕事のない生活は無為なものに思われ、父は何か新しい仕事を見つけるべきだと思っていました。

ただ、子供の頃からずっと見てきて、教えていた歴史以外(仕事であり、趣味でもあった)にも趣味はかなり多かったと思っていました。
それは今の私が仕事以外にほとんど趣味がないことと対照的なところでした。
父は私が小さな頃から、写真が趣味で日本中写真を撮りに出掛けていましたし、非常にたくさんのカメラを所有していました。
当時写真の趣味は一般的で、多くの男性の間で流行していたようにも思います。
拓本もしばらくの間凝っていて、有名な石碑の拓本をとってきて、表装して何種類も床の間に掛けていました。

その中でも、父が一番長くしていた趣味はテニスだったかもしれません。
毎週末にはテニスに出掛けていて、家にいることはあまりありませんでしたし、凝り性でラケットが何本も家にありました。
様々な趣味を渡り歩く間、ずっと父が静かに情熱を傾けたのは旅行でした。
日本中の様々な所、世界中の主要な都市を学校の長い休みの間に旅していて、その旅行趣味は放浪癖に近いものだと思えました。
学校を定年退職した後の父の楽しみはその旅行でした。
自由に使うことのできる時間をふんだんに使って、車で行き先を決めない旅に出たり、東欧へリュックサックを背負って行き当たりばったりの旅に出たり、東南アジアのリゾート地に出掛けたり、中国に行ったりしています。
自宅にいる父の日常は、午前中は日用品の買物、午後はずっとフィットネスクラブで運動、夕方帰ってきてテレビを観て寝る、という規則正しい生活をしているようです。
そんな父に万年筆の書き味を楽しみながら家でゆっくりとした時間を過ごすのも楽しいと思ってもらえるようなものを贈りたいと思いました。

パイロットカスタムカエデが最適だと思いました。

イタヤカエデという木をボディ材にしていて、使い込んでいくと手の油を吸って光沢が出てくるというところが趣味的だと思いましたし、多くの男性の好むところだと思いました。
通常のカスタム74と違う、柔らかいペン先も書き味が良く楽しめるポイントです。
カスタムカエデなら、通知表付けと採点にカスタム74のEFを使う以外は万年筆を使っていない父にも、その良さが分かるかもしれません。

でも、団塊の世代である私の親世代の人たちの多くは、本当に行動的で人生を楽しんでいるようです。
そんな人生を楽しむ達人である人たちに、万年筆という新たな楽しみを贈るのもいいのではないでしょうか。

パイロット カスタムカエデ