渋い万年筆 パイロット変わり塗り石目

渋い万年筆 パイロット変わり塗り石目
渋い万年筆 パイロット変わり塗り石目

古くはセリカのエンジンを小さなカローラに積んだレビン。見た目は普通のゴルフなのに3200ccの怪力エンジンを積んだR32、ベンツでも以前あったかな・・・。例えが車ばかりで恐縮です。

こういったものを羊の皮を被った狼と言ったりしますが、私たちが羊の皮を被った狼に惹かれる理由は、いかにも!といった外観ではない玄人好みの渋さを感じるからなのではないかと思っています。
見た感じはあえて個性を抑えた何の変哲もない大人しいものにして、その性能に関わる部分を強化して見た目と性能にギャップを持たせる。
パイロットの5万円クラスには、なかなか渋いと思える万年筆があります。

オールドスタイルの銀のボディに大きなペン先を貼り付けた、書き味の良いシルバーンはキャップの尻軸への入りも深くバランスも良い。
カスタム845はエボナイトの軸に漆塗りが施されていて、一見プラスチックのようにだけど握り心地がとても良く、大型のペン先は豊穣な書き味を持っている。
新しく発売されたパイロット変わり塗り石目もそんな渋いと言える万年筆です。

変わり塗りという名前から、この万年筆の特長はボディの塗りのように思ってしまいますが、この万年筆の注目すべき点はベースとなっている本体そのものだと思っています。

パイロットのここ10年以内の創立記念モデル85周年飛天、88周年仁王、90周年朱鷺は真鍮のボディに蒔絵技法を施したものになっています。
あまり大きくはないカスタムヘリテイジ91相当のサイズの金属のボディ、10号の18金ペン先を装着した創立記念の限定万年筆は、そのボディの美しさもさることながら、書き心地などの実用性に対しての評価も高く、一部のマニアックなお客様からは蒔絵技法が施されていない実用本位の創立記念万年筆を望む声もありました。

しかし、それは創立記念モデル専用のボディでそれを定番化することはもったいないのではないかと思っていました。
それが本当に実現したことに私は驚きましたが、歓迎すべきことでまた魅力的な定番万年筆が増えたことを喜んでいます。

パイロットの18金ペン先はバネのように弾力が強く、筆圧が強い人にも相性が良いと思いますし、寄りを弱く調整することで柔らかい書き味にすることもできます。
パイロットの今までの定番品とは違い、37gという持ち応えのある重量、弾力に富む18金のペン先など。
変哲のないデザインで、少しずつ仕様を変えて、玄人受けする万年筆に仕立てる。
パイロット変わり塗り石目をとても渋い万年筆で、国産の万年筆メーカーのひとつの提案だと思っています。

パイロットは変わり塗り石目の発売と同じくして、ボトルインク色彩雫シリーズに新色を4色追加しています。(紫式部・秋桜・稲穂・竹林)


⇒パイロットボトルインク色彩雫新色追加