イタリアのモノづくり

いつかアウロラがあるトリノに行ってみたいと思っています。

アウロラの工場やショップを見学したり、アウロラのペンが生まれる街の雰囲気を感じてみたいし、トリノに日本人の奥さんと暮らしている友人とも久し振りに会いたい。

その友人が日本でアウロラの営業マンをしていた時、アウロラ本社からマーケティング部長が来日して、友人が日本中の店を案内して回ったことがありました。

マーケティング部長は友人とは全くタイプの違う、調子が良くて陽気なイタリア人の典型のような人で、毎日仕事が終わると女の子のいる店に連れて行けとせがんだそうです。

マーケティング部長のような人物像を私たち日本人はイタリア人のイメージとして持っていますが、友人は基本的には無口で感情を表に出さないタイプの人で、付き合ううちにガンダム好きで料理が得意ということが分かり、意外に思いました。でもそんな人だから共感し合えたのだと思います。当たり前だけれど、イタリア人にもいろんな人がいるのだと、その時思いました。

内田洋子さんの本でそのことを裏付けるような話がいくつも書かれていて、リアルなイタリアを感じました。イタリアも、明るい太陽と美味しい食べ物に溢れた天国のような国ではありませんでした。

3月末日までアウロラフェアをしています。

期間中アウロラのペンをお買い上げの方全員に、トリノがある北イタリアの話が出てくる内田洋子さんの本を差し上げています。そしてそのペンが税込55,000円以上なら、さらにアウロラのペン先をかたどったブックマークか、フラコーニ100ボトルインクのお好きな色を1色プレゼントしています。

高価なアウロラのペンを買って、文庫本をプレゼントされて嬉しいのかと思われるかもしれませんが、これがけっこう好評で私も喜んでいます。

ただのイタリア繋がりで本をプレゼントするのではなく、自分で読んだ中からそのペンが生まれた国を身近に感じられる内容のものを選んでいるので、喜ばれているのかもしれません。

中高生の方も最近は当店に来られる機会が増えたのですが、皆さんによく質問されるのは「どのペンが一番好きですか」というものです。

そういう時に私はよくアウロラです、と答えます。

私はアウロラ88ゴールドキャップを長く使っています。程よくエレガントなデザインは、センスの良さと絶妙なバランスを感じさせるし、今でも書くたびにその書き味の良さを感じて、とても気に入っています。

長く使っているとペン先が柔らかくなって、思い通りにインクが出てくる感じになってきます。使ううちにそのように育ってくれる面白さもあり、アウロラの良さを感じるのは、長く使ってからかもしれません。

アウロラは自分たちの理想とするペン作りを貫くために、大きな会社の傘下に入ることなく家族経営を貫いている小さな会社で、全ての部品を自社で製作しています。

各部品を外注したり下請け会社に製作依頼していると、どうしてもロットが発生するため、部品の在庫がなくなると修理が困難になります。でも自社で製作しているアウロラは、たいていのものを修理することができます。

良いものを買って、それを「直しながら長く使う」ということがイタリアのモノ作りの精神で、アウロラはそれを今でも実践している数少ないメーカーのひとつです。

そういうイタリアの良心を持ったメーカーの万年筆を使っているということが、モノを扱う仕事をしている人間にとって精神的な支えのようなものになっています。

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