3代目のペン先調整機

3月に名古屋まで行って依頼してきた、3代目のペン先調整機が完成したとのことで、機械製作会社の尾崎さんが納品に来て下さいました。

3代目の納品と一緒に、前回の整備の時に交換できなかった2代目調整機のパーツも交換して下さり、森脇の愛機となる予定の2代目も調子よく動くようになりました。

こんな風にメンテナンスして下さる尾崎さんの存在は本当に有難く、尾崎さんを紹介して下さった名古屋の高木雅且さんには本当に感謝しています。

2代目の調整機は、携帯性と複数のヤスリを取り付けることができることを目指して作っていただきましたが、3代目ではさらに静粛性とヤスリのレイアウトの見直し、軽量化、小型化を目指しました。

分厚いアルミのブロックの土台を強化プラスチック製にすることで、劇的に静かになり、軽くなりました。更にヤスリ類も耐久性の高いものが取り付けられるようになりました。

調整時に手を置く台も取り外すとフタのように調整機のヤスリを保護するように設計されていて、出張販売などで持ち運ぶことが少し楽になりそうです。

毎日使う仕事道具へのこだわりを、尾崎さんの手を借りて実現することができるのは、本当に恵まれたことだと思います。

当店のペン先調整機の歴史について振り返ってみると、1代目は2009年から2016年まで使いました。

創業当時は機械がなく、手で調整していました。だから今でも停電などで機械が動かなくなっても、困ることはありません。

しかし、手で調整するうちに時間を短縮したいということと、もっと美しく仕上げたいと思うようになって、機械を作ることにしました。

当店の機械の製作を知り合いの大阪の機械製作会社に頼んで下さった、お客様のHさんのおかげで初代調整機が出来上がりました。

初代の調整機は、2代目、3代目と比べるととてもシンプルなものでしたが、当店が万年筆店としての真剣さを表明するものでしたし、この調整機で私は仕事としての万年筆の調整を覚えました。

大きくて重いので、車がないと運搬することができず、外に持って出たのは代官山蔦屋書店さんでのイベントだけでしたが、ただそれは当店がそれまで店から出ずに仕事をしてきたからでもあります。

2代目は2016年から2023年まで使いましたので、偶然ですがそれぞれの機械を7年ずつ使ってきたことになります。

使ううちに様々な要求が出てきて、その時々で完璧なものを求めてきました。

3代目もこれから長く使って、色々なところに持って行きたいと思っています。

ペン先調整はやればやるほど「気付き」があって、気付きの数だけ良い仕事ができるようになります。機械へのこだわりはその表れで、自分のペン先調整に求めるものがより高度になっていくからなのだと思っています。