&in横浜2024 のご案内

4/13(土)14(日)、590&Co.さんとの共同出張販売 &in横浜を伊勢佐木町ギャラリーシミズで開催いたします。

今年で3回目となる&in横浜ですが、前回、前々回とも雨で、お客様方にはご不便をお掛けしてしまいました。今年こそ良い天気であってほしいと思っています。

590&Co.さんは開場前からある程度の時間まで入り口で整理券を配られますが、当店にお越しの方は整理券は取らずに、そのままご入場下さい。

今回お持ちする商品を少しご紹介します。

今回は万年筆をメインにお持ちする予定で、委託販売のペンも相当数お持ちします。

お客様からお持込みいただいている委託販売ですので、その品数にもかなり増減があります。今はかなりの数をお預かりしており、WEBサイトにご紹介できていないものも多数ありますので、横浜にお持ちしたいと思いました。

過去の限定品や、廃番になってしまったモデルなど、今では手に入らなくなってしまったものも多く、ご覧になるだけでも面白いと思います。

綴り屋さんは今回も頑張って下さっています。まだ入荷していませんが、下記のペンが横浜に間に合う予定で、私は最近ずっとそれに合わせるペン先の準備をしています。

昨年の590&Co.さんでのイベントでお披露目して人気があった、漆黒の森溜塗りテクスチャーシリーズ。溜塗の表情を出すために軸の中央部に細かい凹凸をたくさん作るというアイデアは、自由に、より良いものを作りたいと考えている綴り屋さんならではだと思いました。

すごい杢が出ている静謐ウォールナット根杢も、少数ですが作っていただきました。

静謐拭き漆、アーチザンコレクションブライヤーも既に店にあるアーチザンコレクションアンボイナバール、メイプルとともにお持ちします。

先日入荷してすぐ完売してしまった、バゲラさんの新作3本差しペンケースもお持ちできることになりました。

この出張販売に間に合うよう仕上げて下さったもので、バゲラさんらしいアヴァンギャルドで存在感のあるものになっています。革目のちょっとした割れ目にステッチを忍ばせた部分もあり、金継ぎのようだと思いました。

バゲラさんの正方形ダイアリーカバー、システム手帳、1本差しペンケースそして味のある形のレザートレイも3色揃えてお持ちします。

出張販売の時はいつも、作家さんたちの新作をお持ちするのに精一杯でした。そこで少し趣向を変えて、万年筆にテーマを持たせて品揃えしてみました。

今回は、パイロットキャップレスを螺鈿からデシモまでご用意して、当店の特長である「三角研ぎ」もラインナップしています。

キレのある文字が書けたり、立てて書くと細く、寝かせて書くと太く書けるので1本で線の太さを書き分けることができます。また面を合わせて書くとヌルヌルとした書き味になります。

様々な書き味、文字の太さが1本の万年筆でできるので、持ち運んで使うことの多いキャップレスと三角研ぎが相性が良いとよく言われ、人気があります。

筆記線の変化の幅の大きさ、書き味の良さから、Mから三角研ぎにしたペン先を用意していて、お好みの軸におつけする予定です。

ペン先調整のご予約の枠も全て埋まっていて、とても有難いことだと思っています。昨年も一昨年も、飛び込みでペン先調整をご希望される方も多くおられて、ご予約が全て埋まっていてその時はお断りせざるを得ませんでした。
ですが今年は森脇もペン先調整できるようにしておりますので、飛び込みのお客様のペン先調整もなるべく対応したいと思っています。

当店は万年筆店なので、出張販売でも万年筆を中心に品揃えさせたいと思っています。今回は万年筆の様々なものが用意できて、それが実現しそうです。

イベントの前はいつも、お客様が誰も来られなかったらどうしようと、プレッシャーを感じます。あれこれ準備を進めていますので、ぜひご来場下さい。

[&in横浜2024]

4/13(土)10時~18時 14(日)10時~15時

ギャラリーシミズ 横浜市中区長者町5-84三共横浜ビル1F

アウロラのメッセージ

文具業界に就職して32年になります。

若い頃、ローリングストーンズが結成25年で、四半世紀も続いている超ベテラングループと言われていましたが、その時のストーンズよりも長く同じ仕事を続けていることに驚きます。でも、その時店長だった方が今も現役で売り場に立っていると聞くと、私もまだまだだと思います。

就職した時は特に文具が好きだったわけでもなかったけれど、仕事をしているうちに文具が好きになって、32年経った今でも好きだと思えて、仕事にできていることは幸せなことだと思っています。

私が文具店に入った時、ちょうどモンブランヘミングウェイやセーラー80周年ブライヤーなど、後々人気が出る限定品が色々発売されていました。でも当時はまだ時代がついてきていなかったのか、あまり人気がありませんでした。

モンブランの限定品でさえ売れ残っていたので、他のメーカーの限定品も当然売れていませんでした。

ビスコンティ、デルタ、スティピュラなどイタリアの新興万年筆メーカーの様々なテーマの限定品が出回り始め、限定品ブームというものが始まりました。それがブームと言えるような大きな流れになったのは、ヘミングウェイ発売から5、6年後だったように思います。

ブームの始まりはもう少し前で、そういうものに敏感な方々だけが買いに来られていたといった感じでしたが、始まりというのはそういうものだと、何度か経験して思います。

当時はイタリアの限定万年筆ブームでしたが、その中でもアウロラはマイペースだったと思います。

新興メーカーは年に何本もの限定万年筆を発売していましたが、アウロラは5年ごとの周年万年筆か他のテーマの限定品をポツポツと出す程度でした。

それが私たち販売員にはもどかしく思えましたが、今から考えるとブームに流されずに堅実にやっていたということだと思います。

その時ブームを牽引していた他のメーカーたちが現在どうなっているかというと、ビスコンティは経営が創業者の手を離れ、デルタは廃業、スティピュラは長い沈黙をしたまま万年筆を発売していない状態です。そう考えると、アウロラのやり方は正しかったのだと思います。

32年間いろいろなものを見てきましたが、そういうことが自分の仕事の教訓になることが多く、そのおかげもあって今こうしているのだと思います。

仕事は今だけが良くてもダメで、長い年月継続してやっていくこと、立ち続けていないと意味がありません。

そのために時代を読むことも必要なのかもしれないけれど、自分たちが正しいと思うこと、自分たちが楽しいと思うことをやり続けるということをアウロラという会社の生き方から学んだと思っています。

若い頃、自分で買った2本目の万年筆はアウロラオプティマでした。

書き味よりも何よりもそのデザインが気に入っていました。

キャップを閉めた状態では短めで、ペリカンM400くらいの長さで小振りな方ですが、キャップを尻軸にはめると適度な長さになって、バランスも良い。

若い頃はオプティマをスーツの胸ポケットに差して、それだけで朝家を出るのが楽しかった。

色気のあるカーブを持つクリップと黒いキャップトップがちょこんと見えて、胸ポケットに差して絵になる万年筆だと思っていました。

オプティマはアウロラの人気のある定番品ですが、オプティマ365という限定品のシリーズもあって、そちらは18金ペン先になっていて差別化されています。

18金ペン先と14金ペン先のフィーリングの違いについて言うと、14金ペン先の方がかなり硬めになりますが、使っていくうちに柔らかくなって馴染んでくれます。

初めから柔らかくウットリする書き味を持った18金と、使い込んで柔らかくなるように育てる楽しみのある14金という違いがあります。

優劣ではなくただそういう違いということで、育てる楽しみのある14金ペン先も悪くないと思えます。

アウロラのほとんどの万年筆のペン芯がエボナイトでできています。

エボナイトのペン芯の特長は、長年使うとインクを吸収してペン先と馴染んでいき、書き味が良くなっていきますので、14金のペン先が育つのと似ています。

デメリットはひとつひとつ削り出して作らなければならず、大量生産に向かないということが挙げられます。

当店では、ペン先とペン芯の合わせ加減を調整して最適な書き味にしています。アウロラのエボナイトのペン芯で、ペン先とペン芯の調整でより深みのある書き味を作り出すことができるのは、調整の醍醐味だと思っています。

最初はただファッションでオプティマを使っていましたが、気がついたらペン先が育っていて、代え難いものになっていました。

そんな楽しみもアウロラにはあります。

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イタリアのモノづくり

いつかアウロラがあるトリノに行ってみたいと思っています。

アウロラの工場やショップを見学したり、アウロラのペンが生まれる街の雰囲気を感じてみたいし、トリノに日本人の奥さんと暮らしている友人とも久し振りに会いたい。

その友人が日本でアウロラの営業マンをしていた時、アウロラ本社からマーケティング部長が来日して、友人が日本中の店を案内して回ったことがありました。

マーケティング部長は友人とは全くタイプの違う、調子が良くて陽気なイタリア人の典型のような人で、毎日仕事が終わると女の子のいる店に連れて行けとせがんだそうです。

マーケティング部長のような人物像を私たち日本人はイタリア人のイメージとして持っていますが、友人は基本的には無口で感情を表に出さないタイプの人で、付き合ううちにガンダム好きで料理が得意ということが分かり、意外に思いました。でもそんな人だから共感し合えたのだと思います。当たり前だけれど、イタリア人にもいろんな人がいるのだと、その時思いました。

内田洋子さんの本でそのことを裏付けるような話がいくつも書かれていて、リアルなイタリアを感じました。イタリアも、明るい太陽と美味しい食べ物に溢れた天国のような国ではありませんでした。

3月末日までアウロラフェアをしています。

期間中アウロラのペンをお買い上げの方全員に、トリノがある北イタリアの話が出てくる内田洋子さんの本を差し上げています。そしてそのペンが税込55,000円以上なら、さらにアウロラのペン先をかたどったブックマークか、フラコーニ100ボトルインクのお好きな色を1色プレゼントしています。

高価なアウロラのペンを買って、文庫本をプレゼントされて嬉しいのかと思われるかもしれませんが、これがけっこう好評で私も喜んでいます。

ただのイタリア繋がりで本をプレゼントするのではなく、自分で読んだ中からそのペンが生まれた国を身近に感じられる内容のものを選んでいるので、喜ばれているのかもしれません。

中高生の方も最近は当店に来られる機会が増えたのですが、皆さんによく質問されるのは「どのペンが一番好きですか」というものです。

そういう時に私はよくアウロラです、と答えます。

私はアウロラ88ゴールドキャップを長く使っています。程よくエレガントなデザインは、センスの良さと絶妙なバランスを感じさせるし、今でも書くたびにその書き味の良さを感じて、とても気に入っています。

長く使っているとペン先が柔らかくなって、思い通りにインクが出てくる感じになってきます。使ううちにそのように育ってくれる面白さもあり、アウロラの良さを感じるのは、長く使ってからかもしれません。

アウロラは自分たちの理想とするペン作りを貫くために、大きな会社の傘下に入ることなく家族経営を貫いている小さな会社で、全ての部品を自社で製作しています。

各部品を外注したり下請け会社に製作依頼していると、どうしてもロットが発生するため、部品の在庫がなくなると修理が困難になります。でも自社で製作しているアウロラは、たいていのものを修理することができます。

良いものを買って、それを「直しながら長く使う」ということがイタリアのモノ作りの精神で、アウロラはそれを今でも実践している数少ないメーカーのひとつです。

そういうイタリアの良心を持ったメーカーの万年筆を使っているということが、モノを扱う仕事をしている人間にとって精神的な支えのようなものになっています。

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自分らしさを表現する〜バゲラの革作品〜

母校の伊川谷高校の近くに同級生の葛城君がご夫妻で営むベルグバーンというケーキ屋さんがあります。その業界では有名なお店で、アウゲンというお菓子は1年待ちになっているそうです。

高校の同級生が努力して、自分の店を名店と言われる存在にまでしたことを誇らしく思います。

ベルグバーンのケーキはどれも他のお店にあるものとは違っているような気がします。当然どれを買って帰っても美味しいのだけれど、月火の定休日も店でずっとケーキを作っているそうで、長年その仕事に携わっている職人が手を抜かず、全て自らの手で作っているケーキが美味しくないはずはないと思います。

無口な葛城君がケーキなどのお菓子作りで自分らしさを表現しているのを見ることができるので、ベルグバーンに行くのがとても楽しい。

私たちのような小さな店こそ、自分らしさを表現しなければいけないとつくづく思います。

当店は自分たちでモノを作らないけれど、作家さんやメーカーさんが作ったモノの良さをお客様にお伝えして、さらに楽しく使えるように、様々なものと組み合わせてお客様に提案することが仕事だと思っています。

それがお店の個性であり、それがないとお客様に商品を買っていただけないのではないだろうか。情けないことだけど当店はその表現がまだまだ足りていません。当店で買って下さっているお客様が当店のことを自慢に思えるような店になりたいと思っています。

当店に超個性的で素晴らしい作品を卸してくれているバゲラさんは、自分たちらしさを表現するということでも超一流で、バゲラさんの革作品を扱うようになったことは当店にとって大きな刺激になっています。

先日納品していただいた新作の3本差しペンケースは、今まで作ってくれていた1本差しをストレッチしただけではなく、ちゃんと3本がまとまっていて、美しい仕上がりになっています。新作だけど一目でバゲラさんのものだと分かります。3本差しはすぐに売り切れてしまいましたが、また近いうちに入荷する予定です。

オリジナルの正方形ダイアリーカバーは、オリジナルダイアリーをさらに魅力的に思ってもらうためにも必要なものだと当店からお願いして作ってもらいました。

仕様に関しては全て高田さんにお任せしていますが、太さが調整できる伸縮式のペンホルダーを備えるなど、ペンへのこだわりの強い当店のお客様のことをよく分かって下さっている仕様になっています。バゲラさんらしさを出しながらも、ターゲットとなるお客様のお好みに合わせて下さるところも、プロフェッショナルの仕事だと思います。

後ろ表紙の折り返しの部分(裏表紙の裏)に、高田さんらしさが強烈に出ていて笑ってしまいました。直線にカットするのではなく、革の状態の時の自然なままのラインが生かされていて、高田さんの表現の自由さを感じることができました。

他の部分は完璧に作り込んだ上で、1箇所こういう仕上げがあるというのがいいのだと思います。

私は初めて見て、大いに驚いてすごい仕事だと思ったけれど、高田さんからするといままでも普通にやってきたことなのかもしれません。

この部分があるだけでも、私はこのダイアリーカバーを使いたいと思いました。

キチンと正確なモノ作りも尊いものですが、さらに圧倒されるような個性的な表現が盛り込まれている。

私たちも自分たちの仕事で個性を表現していかなければと思います。

⇒正方形ダイアリー(革カバー)TOP

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万年筆の価値感~カヴェコ導入~

5月にル・ボナーの松本さん、590&Co.の谷本さんとドイツに行きます。

14年前にも同じメンバーでドイツ、チェコ、イタリア旅行をしましたが、その時にも立ち寄ったニュルンベルグに1週間滞在して、蚤の市、ペンショー、ショップ巡りをしてきます。

カヴェコ社を訪問して社長に会うということも日程に入っています。ニュルンベルグ近郊はカヴェコ以外にもファーバーカステル、ステッドラー、スタビロなどのステーショナリーメーカーがあり、ステーショナリーの街と言ってもいいところです。

神戸も文具店が多いと、他所から来られたお客様によく言われます。たしかに元町には当店と590&Co.さん、神戸と三ノ宮にはナガサワ文具センターさんが3店舗あります。どの店もこだわりのある店で、そういう店が近くに5つもあるのは珍しいことかもしれません。
私の願いは、神戸に様々な文具店はもちろん、文具メーカーも誘致して、神戸をステーショナリーで活性化できたらというものです。

5月のドイツ行きを目指して、谷本さんは忙しい合間にコツコツとドイツ語を勉強しているし、松本さんはいかに旅を楽しくするかを色々調べてくれています。私は何をしているのだろう・・・。
そんな話をしていると、バゲラの高田さんにドイツに行くまでにドイツ語の単語を少なくとも300個は覚えた方がいい、と言われてしまった。
話が少し逸れましたが、カヴェコを訪問することもあり、カヴェコの品揃えを増やしました。


私の世代の万年筆愛好家は金ペンへのこだわりが強く、万年筆は金ペンであって欲しいとどうしても思ってしまう。それは書き味のこだわりで、メーカーごとの書き味の違いや、使い込んで馴染んできた万年筆の書き味を味わうことを万年筆の醍醐味だと思っているからかもしれません。

でも若い人はそれほど金ペンにはこだわっていなくて、もっと自由に楽しく万年筆を選んでいます。
スチールペン先でも楽しめる万年筆の筆頭がカヴェコであることは分かっていましたが、私自身の金ペンへのこだわりが強くて、取り扱いに長らく躊躇していました。
でも今回のカヴェコ訪問を機に、改めて当店なりのカヴェコの楽しみ方を考えてみたいと思いました。


1883年にハイデルベルグで創業し、1950年代最盛期を迎えたカヴェコでしたが、1976年に会社がなくなってしまいます。
1994年にニュルンベルグのグッドバレット社がカヴェコを復活させて、万年筆とボールペンを革ケースにセットした「カヴェコスポーツ」が登場しました。
その時のことをよく覚えています。
若かった私は今より頑なに万年筆は金ペンでないといけないと思っていて、ある日突然入荷した今までの万年筆と全く違うカヴェコを申し訳ないけれどおもちゃみたいだと思いました。
カヴェコスポーツのようなただ持っているだけで外で何を書こうかと思わせる存在の万年筆への理解がなかったし、当時万年筆はまだ実用重視なところがあって、趣味のものだという認識は少なかった。
でも本当に時代は変わって、万年筆の価値はいかに楽しいかというものになっています。

高価な限定品と方向性は違っても、スチールペン先の安価なカヴェコもそれと同じくらい楽しみを感じさせてくれる万年筆だということを、認識する必要があります。
ちょうどアートスポーツというアクリルレジン削り出しの少しゴージャスなカヴェコが発売されましたので、それを機会に以前から気になっていた「オリジナル」と「スペシャル」をラインナップしてみました。

⇒カヴェコ TOP

アウロラフェア開催します・3/1~31

平穏無事に生きたいと思って地道に生きてきた人が、晩年に自分は生涯何をやってきたのかと虚しくなることもあれば、アヴァンギャルドに生きることを実行してきた人が、中年を過ぎた時に後悔しながら平凡に憧れる。人生というのはそう思い通りにならないもののようです。

そう言う自分も、運の良さがあって今までやって来れたので恵まれていると思うけれど、自分の思った通りに生きているとはとても言えません。

それはどこの国の人でも同じで、ただ生きた場所が違うだけだと思います。

もちろんイタリア人でも同じだと思います。

そんなイタリアの光と影、見聞きした普通の人の人生をエッセイにして語る内田洋子氏の本で、私はリアルなイタリアを垣間見て、夢中になって読みました。

内田氏の本は飾りのない読みやすい文体で、現実を飾ることなく冷静に書いています。

ただのイタリア賛美や、一部のお金持ちのゴージャスな暮らしを読んでも多分心は動かない。内田氏は、イタリアに住む私と同じ一般の人のほとんどが送っているであろう上手くいかないほろ苦い日常風景の人生を書いていて、そんなところに惹かれ、イタリアの地に思いを馳せながら人生について考えることが多くなりました。

一時期ずっと読んでいましたので、私がイタリアについて語ることの多くは、内田氏の本の受け売りだったような気がします。

イタリア人の日常の中にアウロラは溶け込んでいて、辛い現実を時には忘れさせてくれるのではないか。書き味もデザインもいいものが多いイタリアの万年筆の中でも、アウロラは書く道具としての機能も高い次元で備えていて、最も好きな万年筆ブランドです。

店主が好きだと公言しているからか、店での販売機会も多いし、当店でペン先調整したアウロラは良い書き味をしていると自負しています。

本日3/1(金)から31(日)まで、アウロラフェアを開催いたします。

期間中55,000円以上のアウロラ製品をお買い上げのお客様に、アウロラのペン先を模したブックマークか、フラコーニ100のボトルインクのお好きな色を1つプレゼントいたします。

これはブランドのフェア特典ですが、当店独自の特典として、内田洋子氏の著書の中から、アウロラのあるトリノ周辺の北イタリアが舞台になっている話が入っているものをプレゼントいたします。

当店の特典である本は、55,000円未満のアウロラ筆記具(インクなど消耗品は除く)でもプレゼントいたします。

ちょうどアウロラでは非常に珍しいエボナイト軸の万年筆88エバニテジャーラが発売になったばかりです。

エボナイトはグリップがよく滑りにくい上に、熱伝導率が低いため手の熱でインクが漏れたり、インク出が多くなるのを防ぐ効果がある素材で、万年筆に適した素材だと言われています。

近年アウロラは華やかでキラキラしたアクリルレジン系の素材ばかりを使っていましたので、エボナイトを軸に使う万年筆を発売したのには驚きました。

イエローのマーブルエボナイトを使用しているのがエバニテジャーラ(黄)で、今後エバニテロッソ(赤)、エバニテベルデ(緑)などが発売されることも予想できます。

黄色のエボナイトの88にはただ華やかだけではない渋さが感じられて、イタリアの光と影を表現したものだと思います。

⇒AURORA アウロラ TOP

⇒AURORA 88エバニテジャーラ 

ダイアリー/手帳に書くペン

590&Co.の谷本さんと一緒に出張販売に行くようになって機会が増え、外に出ることが多くなりました。

その他にもイベントなどもあって毎月外に出ている時期もあるけれど、今は4月の横浜出張まで予定はなく、2月3月は神戸の店にいます。

出張販売がない時期の店の仕事は、忙しくも静かに過ぎていきます。ネット販売とご来店のお客様の応対、ネットへの商品の更新で店の1日は終わっていく。

そんな毎日の中、店であったことは正方形のオリジナルダイアリーに記録しています。お客様が万年筆を買われたという、華やかでその方にとって記念すべきことは、時間とともに箇条書きしていて、これが私の日記となっています。

色々な手帳を使ってみているけれど、予定と記録は必ずオリジナルダイアリーに残しています。それが日々の店での記録が散逸しないことにつながると思っています。

オリジナルウィークリーダイアリーの1日分のスペースにその日あったことを書くので、国産細字の万年筆くらいが良い。今はプラチナセンチュリー忍野をダイアリー記録用に使っています。

私のプラチナのイメージはペン先が硬く、インク出も抑え目なので、淡々と細かい字を書くのに最も適したものだと思っています。

淡々としたプラチナの冷静な筆跡に対して、パイロットは濃淡が出やすいので、何となく感情が表れているように思えます。セーラーは線に変化があって書いていて楽しいけれど、私はダイアリーに使う万年筆に客観的な冷静さを求めているのかも知れません。

話を戻すと、ウイークリーダイアリーはオリジナルのミネルヴァリスシオのカバーに入れて使っています。

そしてこのカバーについているペンホルダーには、店でサッと書けるようにボールペンを挿しています。

ダイアリーカバーのベルトを留めると、細めのペンでもクリップを引っ掛けなくても落下しないくらいにちょうどよく締めてくれる。ミネルバリスシオの手に吸い付くようなさわり心地や革の風情とともに、とてもいいカバーだと思っています。

2月も終わろうとしている時期にダイアリーについて書いてしまいましたが、毎日このダイアリーを使っていて、これ1冊に予定も日記などの記録も、これからの夢も全て書いて、そんな全てを包むカバーがやはり良いと改めて思ったからでした。

「書く」ことが少なくなった昨今、当店はこのオリジナルダイアリーで、皆様に手で書く楽しみをお伝えしたいと思っています。

⇒正方形オリジナルダイアリー・カバーTOP

⇒正方形ダイアリー・ノート用カバー/ミネルバリスシオ

こだわらずに選ばれる万年筆

昨年11月に亡くなった伊集院静氏の小説を、最近ずっと読んでいます。

そのモノの言い方や考え方が好きで、エッセイは発売されるたびに買って読んでいましたが、そういえば小説は短編以外あまり読んでいなかったと気付いて読み始めました。

長編ばかり選んで読んでいますが、こんなに面白い小説を書いていたのかと、今頃になって小説の伊集院静の世界に浸っています。

伊集院氏の小説は昭和の香りがして、懐かしさを感じながら読んでいます。

昭和と今とでは何が違うか具体的に言えないけれど、昭和の方が全てが不透明で、理不尽なことが多かったように思います。今で言う、色々なハラスメントが日常に普通に存在していました。

比較すると今の方が公平で、見通しの良い世の中になったと思うし、進歩したのかもしれないけれど、暗い昭和の時代を懐かしく思ってしまいます。

そういっても平成になったのは私が大学生の時なので、社会人生活も平成から始まりました。

世の中が変わったのは年号が変ったからではないと思うけれど、平成になってしばらくしていろんなことが急激に変わり出したと、同じ時代に生きた人なら感じていたと思います。

そんな変化する前の世の中の雰囲気を、伊集院静氏の小説から感じることができます。

趣味の文具箱でも以前紹介されていましたが、伊集院静氏は万年筆で原稿を書き続けた小説家でした。

主にモンブラン149を愛用していたようですが、モノにこだわることを嫌う伊集院氏ならそういうことも言われるのも嫌だったかもしれません。むしろこだわらないからこそ、いつも149を使っていたのかもしれない。

豪快なイメージとは違って、繊細で美しい文字を書く人だと思いました。

私の感覚だと149はたしかに握りやすく、長時間書くのに疲れにくいかもしれないけれど、コントロールのしやすさで言うと、146やペリカンM800の方が適度な太さなのではないかと思ってしまいます。手の大きさの違いだろうか。

私も149をよく使っています。自分なりのあたたかみのある文字が書けると思っていますし、多くの文豪が道具として酷使して、使い潰したものと同じものを使っていると思えることが愉快に思います。いずれにしても書いていて楽しい万年筆であることは間違いありません。

時代は常に移り変わり、仕事のやり方もどんどん変わっていくけれど、変わらずにあるモノは、必ず店で取り扱っていたいと思う。

そのひとつが定番の万年筆たちで、時代が変わって色々なモノが淘汰されていっても、いい万年筆は変わらずに書く喜びを私たちに感じさせてくれます。そのひとつが伊集院氏がこだわらずに酷使した149なのだと思います。

⇒モンブランTOP

クリップを使わないために~オリジナルレザーケース~

若い頃はスーツの胸ポケットに万年筆を挿していました。

アウロラはキャップを閉じると短くなって、胸に挿すとちょうどよく収まって恰好よかった。

ペリカンM800は少し長いので胸ポケットからキャップが出るけれど、クリップはポケットに挟むことが出来たので、やはり胸ポケットに挿していました。

ある時スーツの胸ポケットの布地がほつれていることに気付いて、すぐに万年筆を挿しているからだと思い当りました。

ペリカンもアウロラもクリップの内側はスムーズになっているものだと思っていましたが、実はどちらも内側に継ぎ目があって、布によっては引っかかることが分かりました。

クリップはペンをポケットに挿すためのものではなく、机上に置いた時の廻り止めもしくはデザイン上のアクセントではないかと思い始めて、クリップで布地を挟まなくなりました。

服を傷めたくなかったからですが、それ以上に万年筆のクリップが広がってしまう気がして、なるべくクリップで何かを挟むことはしたくないと思い始めました。

服のポケットにペンを入れる時は、1本挿しのペンケースに入れてからポケットに挿すようになりました。

当店で3万円以上のペン(中古・委託商品は除く)を買って下さったお客様にプレゼントしているサービスペンケースは、そのためのものでもありました。

サービス品ではなく、お買い求めいただけるものでカッコイイものを作りたいとずっと思っていました。

刀の鞘をのように片方が閉じていて、収めやすく取り出しやすいシンプルなデザイン。イメージして描いたスケッチを、当店オリジナルの革製品を作ってくれている革職人の藤原さんが形にして下さって、オリジナルのレザーケースが出来上がりました。

シンプルでオーソドックスなデザインと、どちらかのサイズに大抵のペンがピッタリ収められる、ちょうどいい大きさのものを作りました。

Sサイズは細めのペンを収めるのにいいサイズで、ボールペンやシャープペンシルを収納するためのものになっています。

Mは見た目よりも太めのペンも入る、モンブラン149・M1000も収まる万年筆用のサイズです。(リザード革は内張りがあるため146・M800サイズまで)

今はサドルプルアップレザーとクードゥー革で作っていますが、昨年発売してすぐ完売した、ゴージャスなリザード革が再入荷しました。

ペンをより優しく包み込むための柔らかい内張り革には、ピッグスエードを使っています。藤原さんはそのピッグスエードを裏表逆に使うことで、中のペンが滑りにくいようにしています。

とてもシンプルでオーソドックスなものかもしれませんが、そういうもので上質なものは意外と少なく、ずっとこういうものを作りたいと思っていました。

最近よくご紹介している綴り屋さんのペンはクリップがないデザインですが、こんな風に1本挿しレザーケースを使うと胸ポケットに入れて持ち運ぶこともできます。

⇒1本用ペンケース TOP

品川の出張販売~OMASの復活~

先日品川で590&Co.さんと共同で出張販売を開催しました。

中高生の間で木軸のシャープペンシルが流行していて、590&Co.さんにはたくさんの男子学生が列を作っていました。

当店は大人のお客様が来られて、顔見知りのお客さんとは再会を喜び合いました。初対面のお客様とはこれから親交を温めていけることを楽しみにしています。

私たちはこの再会や出会いのために出張販売に出ています。特に首都圏は当店のお客様も多いので、自然と回数が多くなります。

コロナ前に視察に行った台南ペンショーで、主催者の方との通訳をして下さってとてもお世話になった台湾在住のTさんと再会できたことも嬉しかった。

あれからあっという間に時間が過ぎて、4年が経ってしまいました。当店はあの時Tさんに夢を語ったように、台湾でも仕事ができるようになるのだろうか。

万年筆を購入していただいたり、ペン先調整をする場合、どうしても時間がかかります。

自然と色々な話をすることになりますが、この会話が当店とお客様の関係を築く大切な時間だと思っています。

590&Co.さんを目当てに来られた若いお客様には、万年筆を間に置いた大人のやり取りを見たり聞いたりして、万年筆に興味を持ってくれたら、と共同出張販売の時にはいつも思います。

今回の出張販売でも綴り屋さんの万年筆は注目されていましたし(近日中にWEBショップ掲載予定)、ギリギリ出張販売に間に合ったオマスの万年筆も目玉でした。

オマスは2016年に惜しまれながら廃業したイタリアの老舗万年筆メーカーで、多くのマニア受けする渋い万年筆をこの世に遺したメーカーです。

私もオマスのペンが好きで、2010年にはル・ボナーの松本さんと590&Co.の谷本さんとボローニヤのオマス本社を訪ねて、工場見学をさせてもらいました。

アメリカの万年筆メーカーASC(アルマンドシモーネクラブ)はオマスの部品などを引き継いで、オマスの万年筆作りを継承していましたが、中国系オーナーとASCのオーナーによってオマスの名前も復活することになりました。

パラゴンはオマスのセルロイドを使って現代流にアレンジされ、ゴージャスな万年筆に生まれ変わりました。オリジナルのパラゴンの印象とはまた違う、繊細な美しさを感じるものになっています。

オジヴァは創業オマスのものそのままに復刻されました。

シンプルな無駄のない万年筆ですが、独特の美しいラインを持っています。

新しいオマスのオーナーは、名品を生み出し続けたオマスへの愛情に溢れた人だと聞いていますので、創業オマスのモノ作りを大切に、ペン作りをしてくれるだろうと期待しています。

パラゴン、オジヴァという、まず代表的な定番モデルを創業オマスのデザインを継承して復活させて、新生オマスが誕生したことを知らしめてくれました。

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