色合わせ~イル・クアドリフォリオメモノート~

色合わせ~イル・クアドリフォリオメモノート~
色合わせ~イル・クアドリフォリオメモノート~

現在発売中ステーショナリーや新たに製作する革小物、オーダー靴の受注を中心としたイル・クアドリフォリオのイベントを9月15日(土)、16日(日)に当店で開催します。
イベント時に私と駒村氏、当店スタッフ久保が久内さんにオーダーした靴の仮履きが出来上がっておりますので、その試し履きも公開します。

靴の出来上がりばかり楽しみにしていられず、イベントの準備で話し合わなければならないことはいくらでもあります。
この日和田岬の工房を訪れたのもそのイベントの話と、WRITING LAB.とイル・クアドリフォリオとで作ろうとしている商品の打ち合わせでもありました。

服と靴と鞄のコーディネートなど、自分なりにできるだけ同じ素材・同じ色調で統一感のあるものにしたいと思っていて、革は服装の中でアクセントになるものなので、特にそうしたい。
それは服装でなくても、小物でも同じことが言えますので、イル・クアドリフォリオが得意とする革のカラーバリエーションは魅力があると思っています。

ペンケースの色が決まっていたら、手帳も財布も名刺入れも合わせたいと思います。
そういうふうに色合わせをしたいと考えて、WRITING LAB.で企画したイル・クアドリフォリオのペンケース「SOLO」が生まれました。
定番色が5色あるので、ご自分の好みの色、個性に合う色を選ぶことができます。
色展開が可能になったのは、パティーヌという無染色の革に色付けする技術のためで、有名なところでは革ブランドベルルッティがその技法をよく使うことで知られています。

イル・クアドリフォリオの久内さんたちは修行先のフィレンツェの工房でこの技術を習得し、日本ではあまり見られないイタリアの香りの強い、奥行きと透明感のある色調のものを生み出しています。
パティーヌによる色展開がペンケースSOLOで上手く行ったので、他のものにも広げて同じ色で揃える楽しみを追究していきたいと思い、サマーオイルメモノート用のパティーヌ技法の表紙を作ってもらいました。

素材に使う革は無色であれば何でもいいわけではなく、しかもメモノートの表紙に使えるしなやかなもので、パティーヌに適したものを久内さんが苦労しながら探し出してくれました。
ペンケースSOLO,サマーオイルメモノートと、仕事の道具をフィレンツェらしいムラのあるアンティーク風のもので揃えることができるようになり、今後もこのバリエーションを増やしていきたいと思っています。

*パティーヌ仕上げのサマーオイルメモノートの表紙は、表紙革だけでもお求めいただけるようになりました。近日中にホームページでご紹介致します。
*画像は店主の私物です。

⇒WRITING LAB. IL Quadrifoglio ペンケース「SOLO」

B5サイズの紙製品とWRITING LAB.革封筒

B5サイズの紙製品とWRITING LAB.革封筒
B5サイズの紙製品とWRITING LAB.革封筒

15年ほど前、多くのお店の定番から、メーカーの製品ラインナップから、B5サイズのファイルが急速に消滅しました。
それは単純に紙が大型化したからだと言ってしまえばそれまでですが、コンピューターの打ち出しによるA4サイズの社内用紙が、B5サイズの手書きに代わりほとんどを占めるようになったためだと考えられます。

そこから逆に考えると、手書きにはB5サイズが適していることになり、A4サイズの紙に文章を書いて収まりの悪さを覚えたのはそういうことだったのかと思いました。
実際、万年筆で文章を書くのにB5サイズはちょうど良く、太字の万年筆で書いても、細字の万年筆で小さな文字を書いてもそれなりに収まってくれるのではないかと思います。
身の周りにあるB5サイズの筆記用紙、原稿用紙、大学ノートなどを使って顧みてみると、一行の分量・見渡せる範囲などがいかに使い易いものであったのかが分かります。
それらを机に置いてみても(環境にもよりますが)邪魔にならない最大の大きさは大学ノートを開いたB4なのではないかと思います。

今まで規格のサイズから外れるからと、選択する候補にも挙がらなかったB5サイズというキーワードで紙製品について考えると、バリエーション豊富にいくつも浮かび上がります。
定番のキャンパスノート、ツバメノート、当店定番で2種類の罫線が交互にあるライフのデュエットノート、綴じ方に特長がある薄型の活版印刷ノート、原稿ノート、満寿屋の原稿用紙、無地の試筆紙など。

B5サイズの紙製品の使い方は、1冊に何でも書くのではなく、用途によって使い分ける方が向いていて、内容別に使い分けているそれらをその日の予定や必要に応じて持って出る。
学校での科目ごとにあったノートのようなイメージで使い分けるのがこれらのノートの正しい使い方なのかと思います。

WRITING LAB.の革封筒の存在がそれらのB5サイズの紙製品を使いやすくしてくれます。
原稿用紙、大学ノート、当店試筆紙などのB5サイズの製品は他のノートやファイルと大きさの違いから、使いづらく敬遠していたところがありましたので、そういったものをまとめて鞄に入れたり、そのまま持ち歩いたりすることができる革封筒はひとつのファイルだと言っていいと思います。

そして何より、持って歩く姿がかっこいい。

上質な栃木レザーのボーノアニリン革は、私とRiver Mailの駒村氏とともに四天王寺にある革問屋さんを訪ねて厳選して、その色気や手触りが気に入って決めた革です。
しっかりとした硬さもある革なので、ふた部を省いて取り出しやすさ、シンプルな造形にこだわった革封筒に非常に適しています。

ステッチなしの張り合わせ加工で仕立てていますので、縫い代や折り返しのデッドスペースが内側になく、バラの紙を入れても端がよれたりすることがありません。
B5サイズにすることによって、使う人を限定してしまうけれど、手書きにこだわる当店やWRITING LAB.ならでは革封筒なのです。

ラミーサファリ ~万年筆の世界を教えてくれる存在~

ラミーサファリ ~万年筆の世界を教えてくれる存在~
ラミーサファリ ~万年筆の世界を教えてくれる存在~

万年筆に初心者用というものはありませんが、万年筆を初めて使ってみたいという人に、それほど値段の高くないものとしてお奨めするのはラミーサファリにおいてないと思っています。
理由はサファリは万年筆の楽しみ方や良い万年筆とは何かを教えてくれる存在だと思うからです。
サファリは万年筆を使う人を増やすのに一役かってくれる万年筆です。

万年筆の楽しみ方のひとつにメーカーの物作りに触れるというものがあります。
その万年筆がどのような背景で作られ、どういう人に使ってもらいたいかを考えた機能があり、どういった所に特長があるか。
もちろん使いたいと思わせるデザイン的な魅力も重要な要素です。

サファリには何にも似ていないオリジナリティがあり、ラミーの万年筆哲学だけでなく、良いプロダクツとはどのような考えで作るのかも教えてくれものです。

サファリを味わうことは、良いプロダクツとはどんな考え方で機能を盛り込むべきかを知ることにも繋がり、私たちのような万年筆を仕事にしている者も参考にできるところがたくさんあります。

サファリは学校で万年筆を使うヨーロッパの学童向けの万年筆として、1980年に作られましたので、かなり新しいデザインに見えますがすでに30年以上も継続して作り続けられています。

サファリには、メーカーが定めたコンセプトやターゲットに必要な万年筆像を見据えたコンセプトがデザインを崩すことなく、機能に盛り込まれています。
学生の鞄のストラップやポケットに留めても壊れない頑丈なクリップ、キャップを外して机に置いても転がらない面のあるボディ、インク残量が一目で分かるボディに空けられた窓、くびれた部分に指を添わせて持つだけでペン先の書きやすい所が紙に当たるようになっているグリップ、コンバーターを使う時にコンバーターが外れないように、ノブを回転させた時に一緒に回って空回りしないように固定する切り込みなど、サファリのそれぞれの機能からは万年筆を使い始めたばかりの子供たちへの優しさが感じられます。

万年筆を使い始めたばかりの人でなくても、サファリを愛用している人はたくさんいます。
それはこの万年筆を好きで使っているという雰囲気さえ持っています。
デザインや機能にオリジナリティがあって何の真似もしていないので、値段が安い万年筆ですが貧しいところが全く感じられないのが、その理由かもしれません。
ペン先はステンレスですが、しっかりと調整されたサファリは滑らかで愛用に足る書き味を持っています。

値段は安いですがとても優れたプロダクツであるラミーサファリ。万年筆でなくてもこんなに優れたプロダクツにはなかなか出会えないかもしれません。

*画像のカタログは1986年のものです

⇒ラミーサファリ

透明ボディへの思い

透明ボディへの思い
透明ボディへの思い

私の暑い夏の過ごし方で、一番好きでこれが夏の醍醐味だと思っているのは、最近時間がなくて少なくなったけれど、暑い日中に板の間の床の上に枕だけ置いてズボラな姿で寝そべって本を読むことです。

床の冷たさを背中に感じて本を読む。
子供の頃の記憶で、父もいつもそうやって重そうな本を読んでいました。
しばらくして見ると、寝てしまっていることもあったけれど。
本が好きな人にとって、こんな幸せな時間はないのかもしれません。

本を読んでいるとメモをとらなくてはいけないこともあります。
後で書こうと思っても、絶対に忘れてしまうのですぐに書かなければいけない。
寝転んだ状態で書くのに一番いいのは軽い鉛筆、ではなく、筆圧をかけなくても逆さ向きでも書くことができる万年筆です。

鉛筆は筆圧をかけないと薄くなってしまうし、ボールペンは一部のものを除き、逆さ向きではかくことができません。
万年筆は毛細管現象の働きでペンポイントまでインクが流れてきていますので、ちゃんと調整された万年筆なら、紙に当てるだけで上を向いていても書くことができます。
その体勢で長時間書くとペン芯内のインクがなくなって書けなくなりますが、ペン先を下にするとタンクやカートリッジ内のインクがすぐにペン芯に補充されます。
枕に寝転んで書くことはないけれど、ソファにもたれた上体だけ起こした体勢での書きものは休みのたびにしています。

こんな体勢でものを書くことが多いから、私には立派なノートよりも軽く切り取りができるメモ帳の方が良くて、でも何でもいいわけでなく、罫線はちゃんと書く気持ちを盛り上げてくれるものの方がいい。
そこで原稿用紙罫のサマーオイルメモノートの替紙を原稿用紙罫で作りました。

そういう背景からも分かるように、これはデザイン的な面白さを求めたものではなく、大真面目に実用的な理由があって作っています。

寝転んだ体勢で書くのに適した万年筆の条件は、ボディが軽く、ペン先は硬め。更にインクがペン芯まで降りてくることが確認できる透明ボディであれば最高に条件が整い、M200クラシックデモンストレーターはぴったりだと思います。

そういうズボラな万年筆の使い方にも、ペリカンM200は妙にはまってしまう。
透明のデモンストレーターボディに金の金具は、何となく古臭い印象もあるし、下手をすればチープにさえ見えます。
でもこの古臭さやチープさに味わいが感じられて、何か懐かしい気分にさせてくれます。

全然関係はないけれど、透明のものを見るといつも連想してしまう観覧車の話をしなければいけません。

一昨年の夏、家族で横浜へ行った時に泊まっていたホテルの向かいにあった大きな観覧車に乗りました。
私は岩国の錦帯橋の上で足がすくむほど高所恐怖症であるにも関わらず、45度おきにある透明の部屋に乗ろうと言い出してしまいました。
外壁だけでなく、椅子も床も透明で、高さを忘れるために目を反らすところがありませんし、目をつぶるのはお金がもったいない。

私たちが乗った部屋が地上を離れ始めた時にしまったと思いましたが、もう逃げ道はなく、手に汗を握りなるべく遠くだけを見るようにして、何とか1周を耐え、地上に着いてドアが開いたと同時に、転がり出るように一番最初に外に出ました。
高所恐怖症で高いところに上がることなど考えられない私を惹きつけるほど、透明のものというのは、特別なふうに見えて魅力があります。

観覧車の話はこの万年筆の良さと全く関係がないけれど、ペリカンM200クラシックデモンストレーターには心を動かす趣と私が勝手に見出した実用性を感じます。

カンダミサコ「風琴マチ名刺入れ」とあじ名刺

カンダミサコ「風琴マチ名刺入れ」とあじ名刺
カンダミサコ「風琴マチ名刺入れ」とあじ名刺

大和出版印刷の活版印刷の名刺「あじ名刺」は、派手さはないけれど、ひとつひとつの文字に力強さがあって、とても味わいのある大人の名刺だと思います。
この名刺を渡して気付いてくれた人がいると、この名刺について語りたくなるし、相手が気付かなくても活版印刷についての説明をしたくなる。

初対面の人との雰囲気を和やかに、心を近付けるのにも役立つものだと考えると、あじ名刺は相手に自分の名前や立場を知ってもらうという名刺の役割以上の効果を持っていると思います。

当店でもあじ名刺の受付をしていて、すでに多くの人に名刺を提供していますが、ビジネスでも使うことができる大容量の名刺入れがありませんでした。
あるお客様に、「名刺印刷を受けているのに、名刺入れは扱っていないの?」と指摘されたりしていて気になっていたのですが、やっと名刺れらしい名刺入れを揃えることができました。

あじ名刺を収納するのに相応しい品質と設えを持っている、カンダミサコさんの風琴(ふうきん)マチ名刺入れです。
革はル・ボナーさんなど多くの革職人さんが使っているブッテーロ革で、油分を多く含んだタンニンなめしの革で、布やブラシで手入れしながら使い込むとピカピカの艶が出てくれるのが特長です。
傷が付いても、指で擦ったり、革用のブラシをかけたりすると、消えたり、薄くなったりする。
しなやかなブッテーロ革の特長を生かし、さらに風琴マチという技術を盛り込んだことがこの名刺入れの一番の特長で、たくさんの名刺を収納することができるのに薄くなっていて、それが風琴マチの効果です。

風琴マチという蛇腹状のマチをつける技術は革を薄く剝いて、張り合わせなくてはならず、とても難易度の高いものですが、カンダさんはさりげなくこれをやってのけます。
見た目はシンプルでオーソドックスな名刺入れのスタイルでありながら、実は手間と高度な技術が込められた一味違う仕様になっているところは、活版印刷という職人の腕によるところがその出来栄えを左右するあじ名刺と近いものを感じます。
テクニックや仕様が先にあるのではなく、理想的な製品の形があって、それを実現するために技術を駆使する。

そんなカンダミサコさんらしいスマートさと腕の良さ、丁寧な仕事が感じられる名刺入れです。

*活版印刷名刺「あじ名刺」は店頭にて見本帳をご覧いただいております。興味がおありの方はお問い合わせ下さい。

サマーオイルメモノートに原稿罫

サマーオイルメモノートに原稿罫
サマーオイルメモノートに原稿罫

出勤や帰宅中、本を読んでいない時は何か書くことを考えていますので、鞄に入れているサマーオイルメモノートを使わない日はありません。

まとまったものは机に向かってノートや原稿用紙に書きますが、自分が書くものの大半はこのメモノートで充分用が足ります。
メモノートに書いたものはパソコンに打ち込んで形にしないと、いつまでも書いたものがメモに残っていますので、それで自分を追い込んでいるようなところもあります。
でも相当な頻度でメモノートを使っていますので、このメモノートへのこだわりも強く、もっと良くしたいという欲求がいつも出てきて、改良点も出てきました。
綴じる紐も当初37cmでしたが、現在は55cmに変更して、和綴じのようにすることによって、表紙の穴から上の部分が反り上がるのを防止しています。

また製造工程上実現していないので、個人的に行っている作業なのですが、穴から上方向に切り込みを入れることでスムーズに中紙を切り離すことができ、ちぎれた小紙片が紐周辺に残らなくなります。
このメモに向かっている時間が長いので、いろいろ気になることが出てくるのだと思います。

今回の中紙を原稿用紙にしてみるというのも、文字数を把握しながら書くことができればとても便利だと思ったからです。
原稿用紙罫を模様としてではなく、本気で原稿用紙として使おうと思っています。
紙の大きさ、一マスの大きさの加減で1枚140文字という変わった文字数になっていますが、無地の状態よりも更に書く気分を盛り上げてくれる罫線が原稿用紙罫です。
もちろん、原稿用紙罫をただの模様としてとらえることも可能です。
私の場合、あれほど色々なメモを使っていたのが嘘のように、他のメモ帳を使わなくなりました。

上質な素材で、シンプルなものを作るWRITING LAB.のイメージが顕著に表れているのが、このサマーオイルメモノートで、メモ帳に本気で使うことができる原稿用紙罫を入れるのもWRITING LAB.的だと思っています。

コンプロットウェア(工房楔・コンプロット4ミニ用カバー)完成

コンプロットウェア(工房楔・コンプロット4ミニ用カバー)完成
コンプロットウェア(工房楔・コンプロット4ミニ用カバー)完成

工房楔の銘木万年筆ケースコンプロットは、10本収納のディエーチと4本収納のクアトロがあります。
机上での使用を想定した10本用ディエーチは、開いたまま立てておき仕事に必要なペンを選ぶという、万年筆を使い分ける楽しみを改めて感じさせてくれるものです。
私はコンプロット10(ディエーチ)を使い始めて、万年筆を使うことが更に楽しくなりました。
10本を一度に見渡せるため使うペンが偏らないという効果もあり、それはもしかしたらインクが乾いているのではないかという心配から私を解放してくれる、精神衛生上も大変意義のあることだと思います。

仕事が終わるとコンプロットをパタンと閉じて、引き出しなど収納場所に仕舞っておく。明日の朝またそれを開いて仕事をする。
コンプロットに関する一連の動作が儀式のように思わせてくれるのも、コンプロットが厳選された素材の刳り抜きという、素材の良さを最も生かす技法で作られているからなのかもしれません。

シンプルな加工法である刳り抜き技法は、腕の良さと素材を見る目が物を言う、ごまかしのきかない技法で、自分の仕事に厳しい工房楔の永田さんだからこそ、その大作であるコンプロットを作り上げることができたのではないかと思います。

コンプロット4ミニは携帯できるコンプロットとして、用途や色をコーディネートした4本を持ち出すのにちょうど良い、鞄に入れやすいサイズですが、持ち歩くにはどうしても傷が気になります。

そこで、コンプロット4ミニを持ち歩くためのコンプロットウェアをWRITING LAB.で企画しました。
コンプロットを保護するためのカバーですが、中に入れるコンプロットに見合う上質で素材感のあるものとして、栃木レザーのクリーク革を選んでいます。
手触りや色合い、質感に、革本来のものが感じられ、使い込むと艶を出してくれます。
内装は、出し入れすることによって銘木製のコンプロットを磨く役割もある合成皮革のエクセーヌを使っています。
コンプロット4ミニを引き立て、より使い易く、持ち運び易くしています。

万年筆を使うことを楽しくしてくれるコンプロット、そしてコンプロットをより楽しく使うことができるコンプロットウェアです。

万年筆を入れるケースに更にケースを作ってしまう。
WRITING LAB.では、こういった一見無駄に見えるけれど需要のありそうなものを、シンプルに上質な素材を使って作っていきたいと思っています。
そしてそれは万年筆を使うことをより楽しくしたいという思いからです。

今後も、色々な万年筆を楽しむためのものを作っていきたいと思っています。

⇒WRITING LAB.コンプロットウエア

想いを込めるインクの色

想いを込めるインクの色
想いを込めるインクの色

ペリカンのエーデルシュタインインクに、新色タンザナイトが発売されました。

ペリカンのブルーブラックは落ち着いた紺色で、個人的にはとても好きな色ですが、酸化鉄の作用で紙に定着する昔ながらのブルーブラックなので、インクの出が少なくなることがあります。
アウロラなどの万年筆ではインクの出が極端に少なくなったりしていましたので、ペリカンのブルーブラックはどちらかというと扱いにくいインクのひとつでした。
タンザナイトはブルーブラックの色ですが、従来のブルーブラックとは成分が違うためインクの出が渋くならず、ペリカンの純正インクを使いたいと思っておられた方には待望のインクです。

私も万年筆のインクはたいていブルーブラック系の色を使っています。
黒は書いていて何となくつまらないし、ブルーは私の好みからするとパッと明るすぎる。
夏には特にそうですが、インクの色を何か違うものにしたいと思って、黒やロイヤルブルーにしたりして(あまりインクの色で冒険しない方です)しばらく使ってみたりしますが、すぐにいつものブルーブラックに戻ってしまいます。

何度も書いているかもしれませんが、私は当店オリジナルインクの朔をよく使います。
このインクはくすまないブルーブラック、紺色を目指して作った色で、新月の夜の空をイメージしています。
どの万年筆に入れてもインクの流れが良く、気持ちよく書くことができるので、万年筆のインクの伸びを重視する私にはその特性的にも他に換え難いインクです。

これは私の勝手な印象というか、思い込みですが、ブルーブラックのインクはどれも夜をイメージしています。
モンブランの古典的なインク、ブルーブラックも最近ミッドナイトブルーという名前に変更しましたし、エルバンとカランダッシュはブルーナイトという色があります。
ブルーブラックとは言っていないけれど、オマスのブルーは他のメーカーのブルーよりも色が濃く、イタリアの夜の空をイメージさせます。

インクの色というのは、作り手も使い手も、想いを込めるととても良い物に感じられて、そこがとても面白いと思っています。

⇒Pen and message.オリジナルインク「朔」
⇒Pelikan エーデルシュタインインク「タンザナイト」

万年筆と万年筆を使う心に彩りを与えるもの

万年筆と万年筆を使う心に彩りを与えるもの
万年筆と万年筆を使う心に彩りを与えるもの

どんな小さなものでも丁寧な手仕事が妥協なく施されている。
カンダミサコさんが作る革製品からは、センスの良さとともに、技術の素晴らしさと意外にも思えるストイックさを感じます。

万年筆を愛用すればするほど、使い慣れれば慣れるほど、万年筆を丁寧に扱いたいと思う心は強くなって、すでに使い倒して小傷がたくさんついている万年筆でも良い革のケースに収めたいと思う。
万年筆を使っている人は使い慣れたノートを革のカバーに収めたいと思う人が多く、当然万年筆も革のケースに収めたいという気持ちが強い。
でも万年筆を収める革のペンケースは重厚で、いかにも万年筆を入れるという感じのものばかりです。
特に女性のお客様に軽く爽やかに万年筆を収納するものと言われると、困ってしまうほどそれらは決まりきった形のものばかりでした。

当店ではカンダミサコさんのペンシースをお勧めすると、女性だけでなく、男性のお客様方の心もつかめる確率が高い。
カンダミサコさんのペンシースの特長は1本だけをサッと収めることができながら、クリップを通す場所が内部にあり、脱落することがない。
そしてそのクリップを通す場所は、片方は入口すぐから始まっていますし、反対側入口から奥まった所から始まります。

例えばペリカンのようにクリップからキャップトップの距離が短い万年筆とモンブランマイスターシュテュックのようにクリップからトップが長い万年筆とでは、差し込む方向を変えることで、ペリカンならM800まで、モンブランなら146までを収めることができます。

しなやかで手触りが良いのに傷が付きにくく、非常に扱いやすい素材であるシュランケンカーフは、カラーバリエーションが多く、必ず好みの色、用途に合う色を見つけることができます。
万年筆のボディの色やインクの色とペンシースの色をコーディネートしてもいいし、ペリカンやモンブランのように軸色がベーシックな場合、インクの色や他の身の回りのものとコーディネートした色のペンシースに収めると、万年筆が夏らしく華やぎます。

ル・ボナーのデブペンケースに万年筆と他の文房具を一緒に入れて持ち歩くとき、ペンシースに万年筆を収めると、万年筆に傷が付き防止になる。
なるべく荷物を軽くしたい夏には特に役立つ小物だと思います。
とても便利なものだけど、機能性だけでなく、万年筆や万年筆を使う心に彩りを与えてくれるものが、カンダミサコさんの丁寧な手仕事によるペンシースです。

⇒カンダミサコ1本差しペンシース

仕事に役立つもの

仕事に役立つもの
仕事に役立つもの

私が本屋さんで長時間棚の間をさ迷うのは、本が好きだということもありますが、一番大きな理由は自分の仕事をもっと良くするための知識を与えてくれたり、自分の思考を深めてくれる本を探すということです。

私が本を読むのは、いつも何かの答えを探しているところがあります。
仕事の答えを直接書いていなくても、私自身がその内容から連想してヒントにすることができればそれでいいので、どんな本がそれにあたるのかは自分でも全部読んでみるまで分かりません。
実際「思考の整理学」「文章の書き方」や「無言の前衛」などのように直接自分にヒントを授けてくれる本にはめったに出会えないと思うけれど、それでも時間があれば本屋さんの棚の間をさ迷いたくなります。
その辺り一帯に発見されていない鉱脈があるくらいに思っていて、その鉱脈を掘り当てるために棚の間をさ迷う。

年末に手帳売場でさんざん立ち読みして、厳選して使い出した手帳を違うものに換えたくなるのは今頃なのではないかと思います。
手帳をシーズン中に換えたくなる理由は、今使っている手帳に原因があるのではなく、手帳を換えると自分の仕事がもっと良くなるのではないかと思ってしまうからです。

シーズン中に手帳を換えると写し換えないといけないこともありますし、中途から始まったり、終わったりしているので、記録として意味を成さなくなると、今まで何度も後悔しているので最近はしなくなりました。

でも手帳を換えたいと思うのも、本を探す心も似ていて、自分の仕事をもっと良くしたいという気持ちに端を発しています。

万年筆をいろいろ使いたいと思うのも、本や手帳と同じように自分の仕事がもっと良くなるのではないかと期待するからなのではないかと思います。
実は私もそのように考えていて、本と同じように万年筆も自分への投資だと本当に思っています。
でも仕事が楽しくなったり、モチベーションが上がったりすることを考えると、正真正銘、自分への投資だと思います。

本や手帳には、これが誰にでも絶対正解だと言えるものがなく(強いて言えば古くから読まれている古典の類は正解に違いないのでしょうが)、それは人によって違うと思いますが、万年筆には誰にとっても正解だと言えるものがあります。

ペリカンM800は書くことにおいて正解だと言える万年筆のひとつだと思います。
良い万年筆の証拠ですが、既にお持ちの方もたくさんおられて今更お勧めするのもどうかと思いますが、書いていて何のストレスも感じない、何も気にならないというのがM800の特長ではないでしょうか。

M800は軸が重くて太いので使いにくいという人も中にはおられますが、もう少しだけ我慢してM800を使ってみていただきたいと思います。
突然大きいと思っていたM800が手にしっくりくる日が必ず来ます。

細くて軽い軸のペンに慣れていた手が万年筆に慣れてきたというのは、そういうことなのだと思います。

書くことにおいて完璧なバランスを持った万年筆は必ず仕事の助けになってくれて、これによってアイデアが浮かんだり、ヒントをもらったりすることはないかもしれませんが、頭に思い浮かんだことを一気に文章にするような時に必ず助けになると思います。
自分の回転の悪い頭が少しでもよく回るように、浅墓な考えが少しでも深くなるように何でもしたいと思っていて、それが本だとか、手帳や万年筆だと思っています。

道具で自分の仕事が良くなるというのは幻想なのかもしれませんし、そうでないのかもしれない。
しかし、少なくともそれによって、仕事が快適になったり、効率が上がったりはします。
書いていて何も気にならない、まったくストレスがないというM800のような万年筆は良い道具が満たすべき唯一の要件をしっかりと満たしていて、それで十分ではないのかと思えます。

当店ではペリカンM400、M600、M800、M1000のペン先を全て揃えています。
一番合いそうなM800をぜひお選びに来て下さい。

⇒Pelikan M800