ペンレスト兼用万年筆ケース3本用完成

ペンレスト兼用万年筆ケース3本用完成
ペンレスト兼用万年筆ケース3本用完成

シンプルなものほど工夫が必要で、形になるまで時間がかかるものだと思いました。
出来上がりはスマートでシンプルなものだけど、その見た目とは違って、当店と製作者のカンダミサコさんの工夫が詰まった、思い入れのあるものになりました。
このペンケースが形になるまでにカンダさんに何度も試作を作ってもらい、少しずつ修正していきました。

最近ペンケースにシンプルなものがたくさん出てきました。
フラップなどがついておらず、ペンを差し入れるだけのものですが、こういったものは意外と実用性が高く、私も使ってみましたが机に置いておいてペンを取り出すときにこれほど便利なものはないと思いました。

ズボラ(標準語では面倒臭がり)な性格で時々ペンケースのフラップを開けることさえ面倒なときがあるからですが、私のようにズボラでなくても、忙しい時などフラップを開けずにペンを取り出せたら便利だと思いますので、こういったものの需要はあると思いました。

しかし、そういったペンケースは取り出しやすい反面、持ち運びの時少し不安があります。
誤ってペンケースを逆さまにしてしまった時にペンが脱落する危険性があって、そそっかしい私は何度かペンを落としてしまいました。
取り出しやすい利便性とペンの脱落を防ぐ機能を併せ持たせることができたら。
それがこのペンレスト兼用万年筆ケースの始まりでした。
ふた部分を枕のように使えるように、そして中のペンを取り出しやすいようなデザインはイメージしていましたが、実際の革でそれを実現するのは数ミリ単位での調整が必要で、試作は大変だったと思います。

使い方は、持ち運び時にはふたを閉めて万年筆の脱落防止と保護の役に立つクローズ状態。机などに置いて使っている時は、ふたを枕のようにペンの背後に入れ込んだオープン状態にしていただくと出し入れがしやすくなっています。

モンブラン146、ペリカンM800などのレギュラーサイズの万年筆を標準としていますが、モンブラン149のようなオーバーサイズの万年筆も入ります。

使い始めた時、少しピッタリとしていますが、素材であるシュランケンカーフは柔軟で中身に合ってくるようなところがありますので、使っているうちに出し入れしやすくなります。
シックな黒はお仕事などのフォーマルな時、スーツによく合うと思います。
アイリスはカジュアルな服装の時にも合うし、パッとした気分が晴れやかになる色だと思います。

出来る限りシンプルなデザインでありながら、必要な機能性を持たせたペンケースに仕上がっています。

⇒Pen and message.オリジナルペンレスト兼用万年筆ケース(3本差し)gid=2127777⇒Pen and message.オリジナルペンレスト兼用万年筆ケース(3本差し)page=3″ target=”_blank”>⇒Pen and message.オリジナルペンレスト兼用万年筆ケース(3本差し)

工房楔 コンプロット4ミニ完成

工房楔 コンプロット4ミニ完成
工房楔 コンプロット4ミニ完成

欲しいと思っていた万年筆がある程度揃ったら、次はそれらの万年筆をコーディネートして楽しんでいただきたいと思います。
ペンケースにその日の仕事をいかに楽しくできるかを考えた機能重視の組み合わせの万年筆を揃えて持ち出すのは、朝の楽しい儀式になるのではないかと思います。
コーディネートしようとしているうちに欲しい万年筆が浮かんできたりすることもあるかもしれませんが・・・。

万年筆のコーディネートを必ず楽しくしてくれるペンケースが工房楔の新作コンプロット4ミニです。

コンプロット4ミニは、従来作で大型のペンを納めることができる10本入れのコンプロット10をレギュラーサイズピッタリに縮小して、4本だけ納めるようにした携帯版とも言えるもので、美しく納めたコンプロット10は、とても魅力的だけど、書斎だけで見ているのはつまらない、携帯して持ち歩きたいと思っていた方には待望とも言えるコンプロット4ミニの完成だと思っています。

机上、あるいは自宅でのペンの保管庫的な要素が強く、その重量ゆえに持ち運びには不向きだったコンプロット10でしたが、常にインクを入れていつでも使える状態にしたものを選んで納めておいて、開いて見とれたり、どれを使うか迷ったり、楽しみを提供してくれるものでした。

でもコンプロット10はペンを10本納めることができるただの収納ケースではなく、納めたペンをより美しく見せてくれる演出的な効果もあります。
保管庫としてのコンプロット10ですが、コンプロット4ミニはコンパクトでその日使うだけのペンを収納して持ち歩く、夢の小箱のような存在だと思っています。
木目の美しい木の宝石とも言える銘木をくり貫きという最もプリミティブな方法で美しさを残して、機能を付け加える。
工房楔の作品は全てがやりすぎないように銘木を生かすように作られていますが、コンプロット10もコンプロット4ミニも工房楔の良さが最も表れている作品だと思います。

*コンプロット4ミニは、花梨、ウォールナット、楓ちぢみ杢の3種類でのラインナップで、今の所ウォールナットはご予約をいただいてから1ヶ月後のお渡しになります。

⇒コンプロットサイトページへgid=2125800″ target=”_blank”>⇒コンプロットサイトページへ

中屋万年筆のオーダーの仕方

中屋万年筆のオーダーの仕方
中屋万年筆のオーダーの仕方

手作りオーダーの「中屋万年筆」のホームページを見ながら、無数にある組み合わせの中から自分好みの組み合わせを考えたり、試作品や特注で作られた過去の作品を見て自分ならどうするかなどと考えるのは本当に楽しい時間です。
時にはお客様からのご注文で、仕事としてそれができることは本当に恵まれていると思います。

先日、お客様からの依頼で、お持ちの濃紺のズボンのベルト(オーダー品)の色を、中屋の漆で再現してボディカラーにするということをしました。

出来上がってきた黒と見紛うばかり(光に照らしたり、黒と比べると分かるくらいの)の濃紺の中屋は、極太軸という、ホームページにはあまり表面的に出ていない直径17mmのボディで、迫力のある仕上がりとなりました。

極太軸は、碧溜め色のものを店でも作ってみました。
中屋万年筆の母体となっているプラチナが得意とする細字をその万年筆には装着しています。
いつも店でオーダーする黄金のコンビネーションとしては、濃茶のブライヤーにシルバーの金具を合わせるというもので、豊かで柔らかい木の手触りを持っていながら、凛とした締まった感じのものになります。

中屋万年筆の注文は、難しいと言われることが多く、その無限の組み合わせがお客様からすると難しく感じられるのだと思います。
中屋万年筆をオーダーをするにあたって、これだけの情報があれば作ることができる、というものを以下に挙げておきます。

(1)ボディのデザインあるいは素材を選ぶ⇒中屋HPサイト
(2)色を選ぶ:漆 11色・ブライヤー 2色・セルロイド 3柄 *あるいは特注色
(3)ペン先のサイズを選ぶ

カタログモデルとは違い、多くのバリエーションがありますのでお好きなサイズを選ぶことができます。

(4)ペン先の色(デザイン)選ぶ
金色そのままか、ピンクゴールド、ロジウム、ルテニウムあるいは金とロジウムの染め分けか、ボディの色、雰囲気を合わせて選ぶことができます。

(5)金具の色を選ぶ
クリップのついているものならクリップの色を選ぶことができます。リングもついていればリングの色も合わせましょう。

(6)オプションをどうするか
漆塗りのモデルでしたら、グリップに象嵌を埋め込むことが可能です。
その他小物もお選びいただけます。

(7)書き方(癖)を指定する
筆記角度(紙面とペンの角度)
ペン先の向き 親指側にひねるか、小指側にひねるか 真直ぐか
筆圧の強さ(弱い、普通、強い)
運筆の速さ(早い、普通、遅い)
書く文字の大きさ(大きい、普通、小さい)

非常に多くの選択肢があり、難しく、悩み多いものですが、考える楽しみ、悩む楽しみがあるものだと思います。

中屋万年筆は、最も日本的で美しいデザインを持った万年筆で、多くの人に使っていただきたいと思っています。筆記角度など、ご自分での判断が難しい場合は、当店でもご相談に乗りながら決めていただけます。
ぜひ中屋万年筆のオーダーにチャレンジして下さい。

*画像手前が碧溜塗りの極太軸の中屋万年筆です。

⇒Pen and message.オリジナル長寸用万年筆ケース

オリジナル長寸用万年筆ケース完成

オリジナル長寸用万年筆ケース完成
オリジナル長寸用万年筆ケース完成

ペンケースのサイズについて考えに考え続けてきました。
いろんな種類の万年筆に対応して、それらをスマートに収めることができるものができないだろうか。
M800、モンブラン146などのレギュラーサイズの万年筆はペンケースに納まって当然で、逆にこれらの万年筆が入らないとそのペンケースは万年筆用と言えない所があります。
そしてモンブラン149が入るとかなり説得力がありますが、サイズを149に合わせるとほとんどの万年筆が中でカタカタと遊んでしまうほど大きくなってしまいます。
149はペリカンM1000などとともにオーバーサイズというカテゴリーになりますので、これらが入らなくても仕方ない、ということになります。

そういえばパイロットカスタム743は、手の小さな日本人に合ったサイズのボディにオーバーサイズ並みの大きなペン先ついた万年筆で、メーカーからのアナウンスはありませんが、その辺りが開発思想としてあるのかもしれません。
話が少し横道に反れましたが、オーバーサイズやそれ以上の大きさの、例えば中屋万年筆ロングや工房楔のクローズドエンドなどを入れるペンケースに困っている方も多いと思い、当店オリジナル 長寸用万年筆ケースを発売しました。

中に入れる万年筆として一番イメージしたのは、中屋万年筆のロングサイズです。
キャップを尻軸につけなくても書きやすいサイズを保つ、この特長ある長寸万年筆を格好良く収めるための万年筆ケースの必要性を感じていました。
オーバーサイズの万年筆は、大太刀のような存在で、それ1本だけで持っていてもいいのではないか。
そういったものとして万年筆を捉えた場合、ある程度和の雰囲気を持ったものがいいのではないか。

当店の小器用なスタッフKが、自分のシガーロング黒溜めを収めるために自作していた簡単なペン入れの形をそのまま採用した、シンプルで和の雰囲気を持った万年筆ケースです。
表にはしなやかさと耐久性を持つ黒桟革を使っています。
黒桟革は非常に柔らかい、国産黒毛和牛の革にシボ加工して、シボの出っ張った部分に漆を塗るという加工が施されています。
この万年筆ケースに実用的にも質感もピッタリの素材だと思っています。

内側は柔らかさと粘りをもったソフトカーフを使っていますので、中の万年筆を保護するとともに、万年筆が滑り落ちてしまうことを防止してくれます。
シンプルな形だからこそ素材の持ち味が生きてくる。
当店オリジナル長寸万年筆ケースは黒桟革の持ち味が生きたものだと思っています。

夏服の万年筆

夏服の万年筆
夏服の万年筆

冬に選んだ手帳が、自分にとって最も合ったもので、これから生涯これを使い続けたいと思っても、季節が変わると急に違うものに変えたくなったりしたことはないでしょうか?

私はよくそういうことがありますし、それは万年筆にも言えることだと思っています。
心境の変化というか、用途の変化は季節と関係があって、服装が変わることにも関係があると思っています。
服装が変わるとポケットの数も変わるし、鞄も変わるかもしれない。
携帯の仕方が変わるとどうしても使い方が変わってしまいますので、季節に関係なく一生使い続けられるものというのは本当に少ない、あるいは存在しないのかもしれません。

季節は巡って、今年もまた暑い夏が来ます。

私は今までがんばって、長袖のシャツを着るように心掛けてきましたが、さすがに記録的な猛暑だった昨夏は諦めて、半袖のポロシャツなどで仕事をしていました。
今年もきっと暑い夏になると思いますので、夏向きの万年筆について考えてみたいと思います。

最初から夏服のための万年筆だと決めていると、毎年夏に登場して使わなくなるということは起こらないと思います。
私が考える夏向きの万年筆は、マーレリグリやマリーナピッコラなどのように、色が夏らしいとかそういう意味ではなく、半袖のシャツのポケットに差してもかさばらず、重さを感じにくい、という意味になります。

やはり万年筆はポケットに差していると、使用頻度も高くなるし、何か書きたいと思った時にすぐに書くことができます。
そのために胸にポケットがついたシャツが必要になり、今年は胸ポケットのついた半袖のシャツも欲しいと思っています。
スーツのポケットなら多少大きくて、重いものでもいいですが、シャツのポケットに差す万年筆は小さくて軽いものがベストで、筆頭はやはりペリカンM300だと思います。

とても小さな万年筆で11gという軽さ。もしかしたら、万年筆最軽量かもしれません。
小さなボディなのにカートリッジ1本分近くの容量のある吸入式です。
このサイズでよくぞここまでペリカンらしさにこだわってくれたと思います。
小さなペン先なのに、非常に柔らかい書き味を持っているのもこの万年筆の特徴です。
このサイズの万年筆で、長時間何か書きものをし続けるということはあまりイメージできませんし、この万年筆の意図するところではないと思います。

ポケットからちょっと出して、手帳やメモ帳にサッと書いて、またポケットに戻すということを繰り返すのがポケット用万年筆なので、M800のようにハードなものよりも、一瞬の筆記が柔らかく、気持ちよく書けることをペリカンは選んだのかもしれません。

また、柔らかいペン先は軽く書くと細かい文字が書けて、力を入れると太目のインパクトのある文字を書くことができますので、そういった使い方もイメージしたのかもしれません。
ポケット用万年筆は立ったままで筆記することが多く、立ったままの筆記では筆記角度、ペン先の向きなどが定まりません。
そういった時に柔らかいペン先の方が、ペン先のひねりなどについてきてくれますので、そういった意味でも、このペン先は辻褄が合っています。

M300は今では少なくなってしまった、紳士の小物という趣を感じます。

本格的な、プロにも愛用されるタフな万年筆にして、ペリカンを代表する万年筆M800をそのままスケールダウンしたところに、ペリカンのユーモアを感じますし、ポケット用、手帳用のペンだからといって、簡略化のないところにペリカンのこだわりを感じます。

夏用万年筆ペリカンM300、胸ポケットのある半袖のシャツとともに夏に向けて用意したいと思いませんか?

*画像手前がM300、奥がM800です。

⇒Pelikan M300

ペリカンM800イタリックライティング

ペリカンM800イタリックライティング
ペリカンM800イタリックライティング

私が最初に自分でお金を出して買った万年筆はペリカンの♯800でした。
当時M800という呼び方でなく、800番と言われていてモンブラン146とともに全ての万年筆の手本というか、最も理想的なプロポーションを持った万年筆だったので、それを知りたいと思いました。
ボールペンやシャープペンシルに慣れた手に800番ははるかに大きく重かったので、使い始めたばかりの時キャップを尻軸に差して書くことができませんでした。
後ろが重いような、引っ張られるような感じがしました。
でも尻軸に付けたキャップ側の重みとペン先側の重みをシーソーのようにバランスを取ることで楽に書くことができると気付き、800番が最高のバランスを持った万年筆だと思えるようになりました。
800番が書くことにおいて最も優れたバランスを持っている万年筆だという考えは今も変わっていませんので、実用的な万年筆を探しているお客様には今もM800をお勧めする候補に挙げています。

書くことにおいて最高のバランスを持った万年筆に、イタリックライティングというなかなか渋い限定品が発売されました。
実はこの限定品は昨年末に一度日本に入りましたが、あまりにも数が少なかったため、店頭で見かけることはほとんどなかったと思われます。
当店も2回目の入荷でやっとご案内できることになりました。

イタリックライティングは、M800の緑縞のボディに特別なペン先が付けられたモデルです。ペン先の刻印がIBという見慣れない表記になっていて、これはイタリックブロードを表しています。
ペリカンの通常品よりも、横線が細く、縦線が太く書くことができるヘラ形の仕上げになっていますので、日本語を書くと明朝体のような文字、アルファベットを書くとカリグラフィ文字を書くことができます。線の形に個性を出すことができる、見た目は普通でも書いてみると面白い、その線の形でのみ他のものと差別化している渋い限定万年筆です。

最近その傾向は弱まっていますが、以前はドイツ製の万年筆のM以上の字幅はこのイタリックライティングのようなイリジュウムの研ぎ方をしていて、独特な文字を書くことができました。
ドイツ製の、特にペリカンの万年筆の研ぎは最近では丸くなっていて、横線のキレがなくなっていました。
イタリックライティングは以前のようにドイツ製の万年筆らしい線を好まれる方にもお勧めですし、太字で線に特長のあるため書いていて楽しい万年筆だと思います。
こういう形のペン先は書き出しのインクが出にくいことがありますが、ちょっとした調整で解決することができますので、お任せいただきたいと思います。
色や形で魅せる派手な万年筆ではありませんが、使うための限定万年筆がイタリックライティングです。

⇒Pelikan M800 イタリック・ライティング

革と万年筆 カンダミサコ2本差しペンシース

革と万年筆 カンダミサコ2本差しペンシース
革と万年筆 カンダミサコ2本差しペンシース

カンダミサコさんの新作2本差しペンシースが完成しました。
多くの方にお使いいただいている1本用のペンシース同様とてもシンプルな構造ですが、カンダさんらしい色使い、カッティングで非常にお洒落なものに仕上がっています。

フラップのない中のペンをすぐに取り出せるデザインですので、よく使う手帳用の細字とメモ用太字を組み合わせて入れてもいいし、万年筆とボールペンを入れてもいいし、コーディネートが楽しめる、実用的なものだと思います。
カンダさんがよく使う発色の良い革シュランケンカーフを、内側と外側で色を変え、4種類の組み合わせで仕上げています。

シュランケンカーフは、カーフ独特のしなやかさとシュリンク加工による密度の詰まったしっかりしたコシを併せ持った素材で、こういった製品によりその良さが出ると思っています。
中に入る万年筆はアウロラ88、ファーバーカステルクラシックコレクション、ペリカンM600あたりはストレスなく入ります。

革は本当に不思議な素材だと思っています。
大きくても時間が経てば中身に合わせて沿ってフィットしてくれるし、小さくても伸びてくれる。
それはペンケースやブックカバーのようなステーショナリー、靴や鞄など上質な素材を使ったものであれば全てそうなのかもしれません。

アウロラの書き味について考える時、そんな良質な素材を使った革製品とよく似ていると思っています。
使い続けることで、ペン先は柔らかく動いてくれるようになりますし、ペン芯はペン先に馴染んで充分なインク量をペン先に送り続けてくれるようになって、使うたびに本当に良い書き味だと思えるようになります。

私が愛用しているアウロラの万年筆のひとつに88クラシックがあります。
これは以前オプティマについていたペン先を付け替えたものです。
私が自分の88クラシックに与えている用途は、手帳の次に万年筆の使用頻度の高い手紙を書くことですが、お客様への感謝の手紙を本当に楽しみながら書かせてくれます。

88のデザインは万年筆の最も代表的なデザイン、モンブランマイスターシュテュックのようにキャップトップ、ボディエンドがドーム型の紡錘形のデザインです。
しかしその発売はマイスターシュテュックより古い1947年で、シルエットはより緩やかなカーブを描いています。
更に88には装飾らしいものがほとんどなく、キャップリングに筆記体で小さくauroraと書かれているだけというところにとても好感が持てます。
優雅なカーブを描くクリップの存在も88の外観上の特長です。

アウロラのほとんどの製品に採用されているクリップですが、形の美しさと先端の玉をつまんで抜き差しするととてもしやすいようになっていますので、88の使い勝手、実用性がペン先だけでないことを物語っています。

モンブランやペリカンに比べて使っている人が少ないアウロラ、そしてそのアウロラの中でもオプティマに比べて人気がない88ですが、本当に良い万年筆だと思っています。

もっと多くの人に認めていただきたい万年筆のひとつです。

⇒カンダミサコ 2本差しペンシース
⇒アウロラ88クラシック801
⇒アウロラ88オールブラック

デルタについて考える

デルタについて考える
デルタについて考える

当店ではオレンジ色のものは売れない、いつからかそんな話が定説になってしまいました。
「残心」の革小物ブッテーロのオレンジ、デブペンケースのオレンジ等々。他の色は売れるのに、オレンジだけが売れない。
ル・ボナーさんや分度器さんではオレンジから売れて行くくらいなのにとても不思議です。
オレンジ色は、洋服によくある紺色ともよく合うし、差し色として使える色なので良い色なのですが・・・。
オレンジ色が当店で売れないという定説に一役をかった(かもしれない)、「ドルチェビータ・オーロ」。

日本で200本の限定販売で「金(オーロ)」の称号を持つドルチェビータ。
かなり期待を持って当店に迎え入れましたが、発売後1年近く経った今でも店に並んでいます。
定番のものと違い、全体があの鮮やかなオレンジ色で、金具が同系色のゴールドになっている万年筆で、とてもきれいです。

私は個人的にデルタの硬く滑らかな書き味は好きで、実用するための万年筆として、どんどん書くのならこれくらいの硬さが必要だと思っています。

ついでに私の好みだけで言わせていただくと、デルタの中でマリーナグランデはデザインの良さだけではなく、バランスの良い、渋い1本だと思っています。
ドルチェビータミディアムと違って、ペン先は小さめで小振りなボディではありますが、後ろにキャップを挿して書く時のボディバランスはとても良く、デザインにもインテリジェンス漂ういいペンだと思います。もちろん、とても実用的なのです。

長く使うことができる良いものというのは、そういうものなのかもしれません。
アウロラオプティマ、ペリカンM600などの実用万年筆として定評のある万年筆たちと近いサイズです。

デルタは女性から人気のあるメーカーでもあります。

今から4年前に公開された映画「クローズドノート」の影響からか、ドルチェビータミニは人気がありますし、マリーナピッコラ、マリーナグランデもも好まれることが多いようです。

デルタが万年筆の業界に登場する前は、万年筆は実用性のみで語られることが多かったように思います。
ボディがとてもきれいな万年筆でも、価格的な価値が議論され、値段に対してコストがかかってそうだから良いという、男性が好みそうな話で語られることが多かったと思います。
デルタのものは、他のメーカーに真似できない美しく実用にも耐える万年筆作りをしていて、必然的に価格も高くなります。ですが、もしかしたら女性にはそういった付加価値が男性よりも理解できて、価値を感じることができるので支持されているのかもしれません。

デルタの万年筆はイタリア万年筆の新しい価値を表しているような気がします。



フォーマルなボールペン・ファーバーカステル エボニー

フォーマルなボールペン・ファーバーカステル エボニー
フォーマルなボールペン・ファーバーカステル エボニー

私の使い方では、万年筆はパーソナルな筆記具でボールペンはフォーマルなものになっています。
手帳や手紙、メモ書きなどほとんどの筆記は万年筆でしたいと思っていますが、私たちのような販売の仕事だとお客様の前で複写式の伝票を書くことがあって、その場合ボールペンを使わなければいけません。

私の場合、ボールペンを使う場面は接客の時、ということになりますので、自分の美学と言えば大袈裟になりますが、それを反映したものを使いたいと思っています。

長くファーバーカステルのギロシェのボールペンを使っていました。
その書きやすいバランスと、スプリングが仕込まれていて服の布地を傷めず抜き差しできる秀逸なクリップが特に気に入っていました。
ですが長年の酷使がたたってボディに亀裂が入ってしまい、使いにくくなっていました。

お客様の前で使うものだから壊れていないちゃんとしたものを用意しなければ、と思って選んだものもやはりファーバーカステルでした。

店をオープンした年、その記念にファーバーカステルエボニーの太字の万年筆を使い出して、それは日常的にメモ書きや発注書などファックスを書くのに使っています。
エボニーの万年筆とボールペンを一緒にペンケースに入れて使うと揃っていて、かっこいいだろうなと思い始めました。

複数の本数を一緒にペンケースに入れて使う場合、その取り合わせというか、コーディネートを楽しみたいと思う気持ちをいつも持っていますので、ボールペンはやはり万年筆とお揃いのものにしたいと思いました。

ファーバーカステルエボニーのボールペンの良いところは誰もが認めるデザインの良さが一番に挙げられます。

シンプルで装飾が一切ないのに、カステルらしいデザインを持っているところはさすがだと思いますし、そのデザインであるだけで使ってみたいと思わせる魅力があります。
ギロシェに比べると7gほど重くなりますが、デザインが伸びやかな感じがします。
中に入っている替芯は最も標準的なパーカータイプのものが入っています。
パーカータイプなら滑らかな書き味のデュポンディフィの芯も使うことができますので、筆圧を軽く書かれる方にはお勧めです。

k私はボールペンはあまり軽く書く方ではありませんので、最初から入っている普通のカステルのボールペン芯を使っています。

最初にB(太字)が入っているのは、筆記角度をかなり寝かせても書くことができるようにというところからなのかもしれません。

エボニーは同シリーズのペルナンブコに比べて、使い込んで色変化してくれる素材ではありませんが、少しずつ艶を増してくるのは確かです。

新しいボールペンを使い出しましたが、なかなか気分良く仕事ができるものですね。
ファーバーカステルのボールペンの引き締まった書き心地を楽しんでいます。

⇒ファーバーカステルボールペン「エボニー」
⇒ファーバーカステルcbid=2557105⇒ファーバーカステルcsid=7″ target=”_blank”>⇒ファーバーカステルcbid=2557105⇒ファーバーカステルcbid=2557105⇒ファーバーカステルcsid=7″ target=”_blank”>⇒ファーバーカステルcsid=7″ target=”_blank”>⇒ファーバーカステル