デルタについて考える

デルタについて考える
デルタについて考える

当店ではオレンジ色のものは売れない、いつからかそんな話が定説になってしまいました。
「残心」の革小物ブッテーロのオレンジ、デブペンケースのオレンジ等々。他の色は売れるのに、オレンジだけが売れない。
ル・ボナーさんや分度器さんではオレンジから売れて行くくらいなのにとても不思議です。
オレンジ色は、洋服によくある紺色ともよく合うし、差し色として使える色なので良い色なのですが・・・。
オレンジ色が当店で売れないという定説に一役をかった(かもしれない)、「ドルチェビータ・オーロ」。

日本で200本の限定販売で「金(オーロ)」の称号を持つドルチェビータ。
かなり期待を持って当店に迎え入れましたが、発売後1年近く経った今でも店に並んでいます。
定番のものと違い、全体があの鮮やかなオレンジ色で、金具が同系色のゴールドになっている万年筆で、とてもきれいです。

私は個人的にデルタの硬く滑らかな書き味は好きで、実用するための万年筆として、どんどん書くのならこれくらいの硬さが必要だと思っています。

ついでに私の好みだけで言わせていただくと、デルタの中でマリーナグランデはデザインの良さだけではなく、バランスの良い、渋い1本だと思っています。
ドルチェビータミディアムと違って、ペン先は小さめで小振りなボディではありますが、後ろにキャップを挿して書く時のボディバランスはとても良く、デザインにもインテリジェンス漂ういいペンだと思います。もちろん、とても実用的なのです。

長く使うことができる良いものというのは、そういうものなのかもしれません。
アウロラオプティマ、ペリカンM600などの実用万年筆として定評のある万年筆たちと近いサイズです。

デルタは女性から人気のあるメーカーでもあります。

今から4年前に公開された映画「クローズドノート」の影響からか、ドルチェビータミニは人気がありますし、マリーナピッコラ、マリーナグランデもも好まれることが多いようです。

デルタが万年筆の業界に登場する前は、万年筆は実用性のみで語られることが多かったように思います。
ボディがとてもきれいな万年筆でも、価格的な価値が議論され、値段に対してコストがかかってそうだから良いという、男性が好みそうな話で語られることが多かったと思います。
デルタのものは、他のメーカーに真似できない美しく実用にも耐える万年筆作りをしていて、必然的に価格も高くなります。ですが、もしかしたら女性にはそういった付加価値が男性よりも理解できて、価値を感じることができるので支持されているのかもしれません。

デルタの万年筆はイタリア万年筆の新しい価値を表しているような気がします。