カンダミサコ デスクマット完成

カンダミサコ デスクマット完成
カンダミサコ デスクマット完成

万年筆の試し書きをしていただく時、快適に、上質なフィーリングを感じて試していただきたいと思う一方で、いつもと同じ環境で試していただくことで、一番ご自分に合うペンを選んでいただきたいとも思っています。

当店のその気持ちを表しているのが、試し書き用紙です。
筆記具メーカーから支給される試し書きの用紙は、万年筆を売るために必要以上の加工をしている場合が多く、ペン先の滑りを良く感じさせます。
しかし、それではその万年筆の本当の書き味は分かりませんので、当店ではあまり高価ではない、コピー用紙よりも少し良いくらいの紙を試筆紙として使っています。
その試筆紙とともにテーブルに置かれたお客様用の1枚仕立ての厚い革のデスクマットがあります。

紙と机の間に、上質な革のマットがあることで、少しだけ良い気分で試し書きしていただけたらと思い置いていますが、試し書きをされたお客様で、革を切り放しただけの愛想のない、そのデスクマットに気付いた人も多いと思います。
何の装飾もない、デザイン的に凝ったところが一切ない、とてもシンプルで男臭いそのデスクマットが、イタリア親父のル・ボナーの松本さんからの開店祝いに作って下さったものだとは信じにくいかもしれません。

サイズはA4サイズよりもひと回り大きいサイズで、机の上でも邪魔にならず、何か他の用事をする時に横に除けておくことができるところも、良いところかもしれません。
お客様からこのデスクマットは好評で、こんなサイズのデスクマットが欲しいという声をたくさんいただきました。

私も大変気に入っていますので、ぜひ商品化したいと思っていて、革作家のカンダミサコさんに作っていただくことができ、理想的なものが出来上がりました。

今まで革のデスクマットと言うと、黒か茶で重厚な社長のデスクに合う、エグゼクティブなものがほとんどでした。それが似合う筆記環境を持っている人の方が少数派だと思いますし、デザイン的にも時流ではないと思っていました。
カンダさんなら、既に発売されているペンシースやペーパーウェイトでも分かるように、文房具の定番的な革製品を若い女性の感性で軽やかに、でもしっかりとした職人技で、完成度の高いものを作って下さると思っていました。

机周りの文房具の中でも、デスクマットを既製品で作るのは、とても難しいことのひとつだと思っています。
個性を出そうと、趣向を凝らした複雑なものを作ってしまうと、使いにくいものになってしまいます。
アイデアを色々込めたいところを我慢して、シンプルなものを潔く作るべきなのだと思いました。
そして、机の上で滑りにくく、長年の使用でも反らないという実用的なことに気を配らなければいけません。

カンダさんのデスクマットは、表面に滑らかな銀面のブッテーロを間に硬いブッテーロの床革、一番下に滑り止めのフェルトの3層構造になっています。
大きさについては、デスクマットの既成を難しくしている一番要因です。
A4サイズを余裕を持って置くことができる必要があり、でも大きすぎず、スペースのない机の上でも使うことができ、使わないときは仕舞っておくことができるもの。
このデスクマットの大きさはそんなサイズなのです。
ペンシース、ペーパーウェイトに続いて、当店扱いのカンダミサコ作品第3弾はシンプルで、実用性の高いブッテーロのデスクマットです。

今後も、軽やかで重厚にならず、でもしっかりとした品質も兼ね備えているカンダミサコさん製作の机上用品を企画していきたいと思っています。

⇒カンダミサコ デスクマット

万年筆をめぐる旅 1・ベルリン

万年筆をめぐる旅 1・ベルリン
万年筆をめぐる旅 1・ベルリン

文房具・万年筆の本場、ヨーロッパを旅して今後の当店のあり方について考えるのがこの旅の最大の目的ですが、行った先々の街にある店で、日本で手に入れることができないものを手に入れることも目的のひとつでした。

それに関しては、お店を回れば回っただけ収穫があって、何かしら見つけることができたのはとても幸運だったと思います。
そんな幸運な出会いと、その場所となったお店などについてのご報告を何回かに分けて、こちらのコーナーではさせていただきたいと思います。

ベルリンは、一番多くのペンと出会うことができた街でした。
そのリストは
アンティークのルーペ、銀の爪楊枝2本、アンティークペンシル2種、ペリカン旧800、ペリカン旧M250,エバーシャープペンシル、モンテグラッパエレガンザ、ペリカンM105、ペリカン60金張り、アウロラ75周年、ペリカン15周年、ヤードレット旧型ペンシル、ペリカン1931ゴールド、パイロット旧バニシングポイント、モンブラン75周年149、ペリカン旧800 14金ペン先、ラミーラティオ(既に販売済みのものもありますので、ご了承ください)など多岐にわたり、この街の大きさを物語っています。

中古品に関しては、蚤の市で入手しましたが、それはすごく幸運なことだとすぐに分かりました。
その後4ヶ所の蚤の市を回り、何も手に入れることができず、蚤の市はごみの市だと知りました。
そのごみの中からお宝を発掘するのが醍醐味なのですね。

多くのペンを入手することができた蚤の市の出品者は、ペンを専門にされている方で本当にたくさんのものを出されていました。
その中には、ピストンが動かないものなどもありましたが、状態相応の値段の付け方で、フェアだと思いましたが、なぜかモンブランだけは高めの値段がついていました。

たくさんのペンを前に私たちは喜びを必死でこらえながら、冷静を装い、必要なものを選び、値段交渉をするのでした。
一通り選んで、お金を払った後、実はまだあるが見てみるかとトランクが出てきました。
これがこの人たちの王道のパターンなのかどうか分かりませんが、後から考えるとそのように思われました。
そのトランクの中には、アウロラ75周年、ペリカン1931ゴールドなど比較的最近の限定品が中心に入っていました。

本当にきりがなく、欲しいと思いましたが資金に限界がありますので、何とか自制心で持ち堪えることができました。
ペンショップも旧西ベルリン側のウーラント通りという表参道のような通りに、「Papeterie Heinrich Kunnenman Nachfahren」というものすごく雰囲気のある店がありました。

そのお店は現行品を手堅く売っているお店でしたが、マイスターシュック75周年149やペリカン旧型800 14金ペン先などがさりげなくガラスケース内に並んでいました。
ファーバーカステル、カルティエ、デュポン、カランダッシュなどを中心に、エルカスコなど高級机上用品、本革ノート、革製品などを揃えたお店でした。
最初にこのショップを見たので、ヨーロッパ中にこんなペンショップがあるのだと思いましたが、その後良い店だと思ったのはあとイタリアのモデナで入ったお店1軒だけだったのは残念でした。

*画像は蚤の市の様子