何でも書く・何でも貼っておくオリジナル正方形ダイアリー

神戸ペンショーが終わるといよいよ年末、という気分になります。

イベントに次ぐイベントで、1年間息つく暇なく駆け抜けてきたと今年は特に思います。でももっとハードに過ごしている590&Co.の谷本さんのような人もいますので、これくらいで大変だったと言うと笑われてしまうかもしれません。

でもきっと来年も、今年のような一年にしてしまいそうです。

あまり次の予定のことばかり考えると疲れてしまうので、普段は今のことに集中するようにしています。

お客様もそろそろ年末が近づいてきたと思われるようで、神戸ペンショーでも正方形のオリジナルダイアリーがよく売れていました。

特長的なカレンダーレイアウトで、スケジュールの確認のしやすいマンスリーダイアリーはお勧めで、使っていただきたいですが、ウィークリーダイアリーの方が人気があります。

やはり日々あったことを細々と書いたりできるのはウィークリーダイアリーなので、書くことが好きな人達に選ばれているということなのかもしれません。私も書くことが好きなのもあるけれど、必要もあってこのウィークリーダイアリーに何でも書いています。ここに書いておいたことで、何度助けられたことがあったか分かりません。

ウィークリーダイアリーに後から読みやすいようになるべくきれいな字で書くには、国産細字の万年筆くらいが細さに余裕があっていいかもしれません。

私はいい加減に色々なペンで書くけれど、プラチナセンチュリーの細字がこのダイアリーの5ミリ方眼にはちょうど収まって使いやすい。

プラチナの万年筆の良いところは、ペン先が硬めで書いた文字に濃淡が出ないところだと思っています。

私の場合、ペン習字や手紙などには濃淡が出てもいいですが、手帳には濃淡が無い方が好みです。均一な太さで文字を刻み付けていきたいと思っているので、プラチナセンチュリーでなくても、硬めのペン先の万年筆、例えばステンレスペン先の万年筆でもいいのかもしれない。

オリジナルダイアリーの場合、インクによる滲みは殆どなくて、こういうところも良い紙だと思っています。

私はさまざまなノートや手帳を使い分けられる方ではないので、捨てたくない紙片、例えば旅の切符とかメモ帳の1ページなどもウィークリーダイアリーに貼り付けるようにしています。

今年、正方形ダイアリーと合わせて使っていただこうと思い、書き味が選べる下敷きとして有名な「Teriw THE MAT(テリューザマット)」とコラボして、正方形のTeriw THE MAT を作りました。

下敷きとしては高級になるかもしれないと思っていましたが、筆記だけでなく、スタンプを押すときにもきれいに押しやすいと好評です。

間に紙を挟んでおけるファイルにもなっていて吸取り紙も1枚付属していますので、スタンプした後にも役立つと思います。私も使っていますが、やはり絶対あった方がいい。

当店で扱っているダイアリーはオリジナルの正方形ダイアリーだけです。紙面を確保しながらも鞄に入れて持ち運べるサイズ、万年筆のインクで滲みや裏抜けしにくい紙質など、このダイアリー以外はもう考えられないと思います。

12月下旬になってしまいますが、革カバーがもう一度出来上がってきます。

あまり聞いたことがないけれど、革自体をオリジナルで製作していただいたので、その革を使います。最初にできたレザーケースLはすでに販売を始めていて、名前は「オリジナルオーガニックオイルドレザー」としています。

出来上がりが楽しみです。

長く作り続けている正方形のオリジナルダイアリー、ゆっくりですが周辺のものも充実してきています。このダイアリーの使い方について情報交換できる人がもっと増えたらいいなあと思っています。

⇒オリジナル正方形ダイアリー

⇒オリジナル仕様 Teriw(テリュー) THE MAT KOBE158SQ Ver.(下敷き)

⇒オリジナル レザーケースLオーガニックオイルドレザー

ラミーについて

いろんな機会に恵まれて、ラミーについて考えています。

ラミーは1930年に創業して、パーカーのドイツでの販売代理店をしていたそうです。

ヨーロッパのほとんどのメーカーのカートリッジインクの差し口が共通のヨーロッパ規格を採用しているのに、ラミーがパーカー規格なのはこの時の関係によるのなのかもしれません。

アウロラもイタリアのパーカー販売代理店をしていました。

アウロラのカートリッジインクの差し口もパーカー規格で、ラミーとアウロラ、パーカーのカートリッジの差し口が同じ口径なのは偶然とは考えにくく、やはり輸入代理店をしていたことと関係あるのかもしれません。

ちなみにラミーのカートリッジインクには尻尾のような部分があって、インクが減ってカーリッジのインクがなくなってもこの尻尾部分のインクは残ります。

そして書けなくなった時にペンを軽く振ってあげるとカートリッジ尻尾内のインクがカートリッジ内に補充されて、また書くことができるサブタンクのようになっています。

ラミーは1952年に初めてのオリジナル万年筆を発売しました。

蚤の市など中古市場でその一部をたまに目にすることができますが、文字フォントなどにユニバーサルなものが使われていて、先進的な部分も垣間見られますが、まだはっきりとラミーの方向性が確立されているようには見えません。

ラミーが今のラミーのデザインの考え方にたどり着いたのはさらに時代を下らなくてはならず、1966年でした。

ラミー2000を工業デザイナーゲルト・ミュラーとともに開発した時でした。

ラミー2000は2000年になっても通用するデザインの万年筆を作りたいという願いを込めて作られた万年筆でしたが、2024年の今でも古さを感じさせない、現代の万年筆の定番とも言える存在になっています。

ラミー2000で独自の万年筆作りの法則を見出したラミーは、その後も機能はデザインと完璧に調和し、機能に関係しない装飾を放棄するという考えに基づいたペン作りを続けています。

今年ラミーを日本の三菱鉛筆が買収したという話に業界は沸きましたが、ドイツに行った時も何人かの人にそのことを言われました。皆さん比較的好意的に受け止めているようでした。

私はとてもロマンのあることだと思っていて、ラミーが三菱鉛筆の力を得て、どのように変化していくか楽しみにしています。

たしかに近年のラミーは苦しんでいたように見えました。

新たに発売されるのは定番品の色違いの限定品ばかりで、それらもマンネリ化していてすごく欲しいと思うようなものは少なくなっていました。

シャープで先鋭的なデザインは当時は新しく見えたけれど、定番として存在するだけで、テコ入れされず古臭く見え始めている。

サファリは安価な万年筆の中の名品で、たまに使うとやはり良いと思うけれど、以前はサファリの独壇場だったこの分野も、カヴェコなど魅力的なライバルが次々と誕生して、サファリはなす術もなくシェアを奪われていたように見えました。

こうして見ると、近年のラミーは相当に苦しんでいたように思えます。三菱鉛筆はそのテコ入れが大変だと思うけれど、ラミーの良さを生かした、世界を驚かせ楽しませてくれるモノを発売してくれると思っています。

新生ラミーが本格的に動き出すのは来年1月からです。

ラミーのモノ作り哲学の言葉とそれを実践したペン作りが好きで、とても面白いと思っていますので、当店もラミーに力を入れていきたいと思っています。

⇒LAMY トップ

美しい文字を書くためのペン

最近あまり見かけなくなりましたが、デスクペンというものがありました。

ボールペンタイプもありましたが、多くは万年筆でした。軸が尻尾のように長く先に行くほど細くなっているのが特徴です。

ペン先はたいていスチールで、あまり書き味は良くないはずなのに妙に書きやすく、不思議と(自分としては)きれいな文字が書けました。

そしてかなり経ってから、デスクペンが書きやすかったのはバランスが良かったからだと、思い当たりました。

全体的に軽いペンでしたが、長い尻尾がバランスにおいて重要な役割をしていて、コントロールしやすくしています。

万年筆はやはり、天秤のようにバランスがとれていないとコントロールしにくいのだと思います。

デスクペンにとても似た使用感で、コントロールしやすく、自分なりに美しい文字を書くことができると思ったものが「綴り屋月夜クラシックブラック」という万年筆でした。

細めの総エボナイトの長めの軸で、軽いけれどバランスが良い。組み合わされるスチールペン先がなぜか柔らかい書き味で、強弱がつけやすい。まさにこれはペン習字のためのペンだと思いました。

きれいな文字を書きたいと思っておられる方にはお勧めいたします。

同じクラシックブラックで14金の当店オリジナルペン先仕様も作りました。

書くことにおいてはスチールペン先モデルでも充分ですが、当店オリジナルペン先をシンプルな軸で比較的手軽に使っていただきたいと思いました。

カヴェコにも交換用の金ペン先が別売で用意されていて、需要があるようです。これはシンプルな軸で本格的な金ペン先を使いたいという人が多いことの裏付けなのだと思います。

様々な好みがあると思うけれど、私の場合は豪華な軸でなくてもペン先は金であって欲しいと思う方です。同じように思う人のためにも、綴り屋さんのシンプルな軸で金ペン先仕様を作りたいと思いました。

このクラシックブラックのように、軸が極端にシンプルでありながら金ペン先がついた万年筆は何かを物語っているようで凄みさえ感じます。

こういう万年筆の在り方を追究してみても面白いかもしれません。

 オリジナルペン先を作ったのは、ペン先調整をする店として、さまざまなペン先の研ぎ、調整にお応えしたいと思ったからでした。ペン芯はエボナイト製で、量産品にはない仕様になっています。

ペン先の鳳凰の図案も大陸から伝わってきて日本で育まれた文化を表していて、そういうものを好む当店を象徴するものにもなっていると思っています。

⇒綴り屋 月夜 クラシックブラック:スチールペン先

⇒綴り屋 月夜 トップ

人生を変えてくれるバゲラの革製品

個人的な古い話で恐縮ですが、まだ若いと言えるときに万年筆と出会って、私の人生は変わりました。

若いと言っても、結婚していて子供もいたけれど、その時の自分が何を考えて仕事をして毎日過ごしていたのかはあまり覚えていません。毎週の休みだけを楽しみにして、家族との時間を何よりも大切にしていたと思います。それも幸せな生き方だったと思うし、あのままでも良かったかもしれないけれど、そうしたらきっと今ここにはいなかったと思います。

万年筆と出会って、それで書くことに夢中になって、万年筆を使うことや見たり触ったりすることが好きになりました。

好きで触っているうちに万年筆を仕事にしたいと思うようになりました。万年筆というモノ、これを使う人が好きで、いつまでも関わっていたいと思ったからでした。

これが自分が生涯できる唯一の仕事だと思ってやってきましたが、改めてやはりそうだったと思います。あまり考えずに直感で飛び込んだけれど、そういう勘は当たるのかもしれません。

この店を始めた時、自分の力で生きていかなければいけない、という覚悟は持っていませんでした。割とぼんやりしている方なので、そういう自覚は後から気付いて持ち始めたと言うと恥ずかしいけれど。

バゲラさんは、自分たちのセンスと持てる技術を信じて独自の道を歩んでいる、別格の存在の革工房ですが、きっと始まりは私と同じように革が好きで仕方がなかったのだと思っています。お二人からは今もそんな雰囲気を感じるし、ご自分たちのモノ作りを楽しんでおられることがよく伝わってきます。

オーダー専門の工房として、顧客の要望に応えてひとつひとつの革鞄、革製品を作ることはセンスや技術にたくさんの引き出しがないとできないことだと思いますが、一緒に仕事させていただいて、その引き出しの多さに今だに驚かされます。

バゲラの高田さんご夫妻がこんなものを作ってみましたと、革製品を持ち込んで下さる今の関係は当店の宝だと思っています。

最新作は縫製せずに接合部を強力に接着した、形や構造を工夫した、価格を抑えたもので、袋物中心のシリーズです。柔らかく、使い込むと艶が出てくるベビーバッファローの素材で作られた、シンプルで高田さんたちも日常的に愛用しているものを製品化したものです。

これはシンプルな、構造から考えるモノ作りを得意とする高田和成さんが作ってくれています。

現在品切れ中のものもありますが、年末には入荷する予定です。

夏頃から作っていただいているブックマークも、ベビーバッファロー革のシリーズも、バゲラさんの革製品に興味を持っていただくきっかけになるものだと思っています。

私が最もバゲラさんらしい作品だと思っている3本差しペンケースが入荷しました。

クロコ、黒桟革、アンティークゴート革などを組み合わせて、ミシンでは不可能な手縫いによるこま合わせ技法を用いて作られています。

バゲラさんの革作品の一番の魅力は、普通の人生を送っている自分の生き方を変えてくれるような気がするところだと思っています。

このペンケースに相応しいと思えるペンを3本選んで持ち運ぶと、きっともっとクリエイティブな仕事ができるようになるのではないかと思ってしまう。

もともとの性格はどうしようもないけれど、私はパワーのある豪快な不良性のある人間になりたかった。

バゲラさんのモノには、もしかしたらそんな人間になれるのではないかと思わせてくれる魅力があります。

⇒BAGERA 3本用ペンケース(ペンケース3本以上収納TOP)

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