革の下敷き完成

革の下敷き完成
革の下敷き完成

当店でのイベントの企画やオリジナル商品の企画があって、WRITING LAB.でもオリジナル商品を企画しているので、それらを綴じノートに記録して時系列に流れていってしまうと、どんな話をした?とか、あの時どうだったか?とかということが多々あって、それぞれを項目ごとに整理して管理する必要性を感じました。
当店で先ごろ受注を始めましたシステム手帳は、内容を項目ごとに分類することができるので、複数ある同時進行していくプロジェクトを把握することができます。
システム手帳を使わずに、これらを管理する手法としては複数のノートや手帳を使い分けるということになります。
小学校で習ったノートの使い方のように、プロジェクトごとにノートを変えられるように、WRITING LAB.で薄型ノートを作っています。
B6ダイアリーの後ろに挟むことができるように表紙を少し狭くして、薄くしています。
ちょっとしたことですが、システム手帳に代わるものを提案できるとしたらこういうものになると思っています。

オリジナルの正方形のダイアリーもあるので、小さな1軒の店で3種類のサイズ、形態のノート/ダイアリーを提案していることになりますが、これは当店の万年筆で書かれるものへのこだわりと探究心の強さの表れだと思っていただければ幸いです。
ライティングラボのB6ノートの世界をさらに充実するために、革製の下敷きを作りました。

B6カバーでも使っているブライドルレザーとナッパCB革を薄く剝いて、背中合わせに貼り合わせています。
B6のダイアリーやノートに挟んで、下敷きに使ってもらうつもりで作りましたが、こういう革のマットはなかなかあると便利だと思っています。
ペンを扱っている私たちがいつも気にしているのは、ペンを直接硬い机の上に置きたくないということです。

自分で使っている万年筆もなるべくなら直接机におきたくない。ペンケースに収めないのであれば、ダイアリーなどの上に置くようにしています。
こういうものを少し仮置きするのにも革のマットがあればとても便利で、出先ではこのようなサイズの下敷きは重宝するのではないでしょうか。

革のマットということで、カンダミサコさんが作っているブッテーロ革のデスクマットも出来上がっていて、当店の万年筆で書くためのものが充実してきました。



⇒カンダミサコ ブッテーロ革デスクマット

オリジナルシステム手帳“コンチネンタル”

オリジナルシステム手帳“コンチネンタル”
オリジナルシステム手帳“コンチネンタル”

昨年末からベラゴの牛尾氏とともに進めていたシステム手帳が出来上がりました。
牛尾さんとは一昨年に出会ってから、職人から抜け出したような洗練されたセンスや考え方に共感していましたので、いくつかの製品を作っていただいているライティングラボとしてだけでなく、当店としても何か協同企画したいと思っていました。
システム手帳は、手帳を楽しむために提案したいと思っていたアイテムでしたし、当店の業務でも既に活用していましたので、何とか形にしたいと思っていました。
外側は使用感が出て、年季が現れるけれど、中を開けるととても美しい端正なもの。
豊饒な自然を感じさせながらも、人間のパワーが感じられるもの。
コンチネンタルという名前はそんなイメージからつけられています。

この企画が動き出した時に、外側には傷などの細かいことを気にせずに使うことができるような、素材感が感じられるもの、内側には繊細で上質な素材を使いたいと思っていました。
中と外が対照的で、外側から見えないところに上質なものを使う。
それが日本的な粋にもつながると考えて、牛尾さんにその考えを伝えました。
牛尾さんは、奇をてらわないスタンダードなものを作ろうと言ってくれていて、それが牛尾さんの革製品作りの心掛けなのかなと、あまり多くを語らない一言から察していました。
端正な内側の世界を表現する素材としてボックスカーフを使いたいとイメージしていましたが、外側の革に対して、具体的な革名を挙げることができませんでした。
牛尾さんに考えてもらって、いろいろな革を当たってもらいましたが、牛のショルダー革のダグラスという革が最適だということになりました。
あまり今まで使ったことはありませんが、私が目指したものを実現するために牛尾さんが考え抜いてくれた素材で、数年後が楽しみです。

ボックスカーフは、高級靴にも使われる仏アネノイ社のもので、ボックスカーフの定番です。ブラシなどを掛けるとさらに美しい艶を出してくれるし、シルキーな手触りを持っています。
手帳を開いた時にボックスカーフが見せてくれる極上の世界を完璧に作りたいと思い、内張りはもちろん、ページの先頭と最後の紙押さえと、リフィルから少しだけ顔を出すインデックスもボックスカーフで作ってもらいました。
システム手帳の中身を雰囲気のあるものにしたいといつも思っていて、それはインデックスによるところが大きいと思い当たりました。
しかし、最近趣きのあるインデックスを発売しているメーカーがなく、贅沢なボックスカーフのインデックスを作るに至りました。
前表紙の内側のメモ片を挟んでおく縦長のポケットと後表紙内側のカード入れも、とても浅いものにして、入れているものが分かりやすく、入り込んでしまわないようにしています。

ペンホルダーは万年筆店のシステム手帳らしさを表現できるところだと思っていて、中に込める万年筆を充分に保護してくれるサイズになっているし、牛尾さんはペンホルダーの内側にもボックスカーフを裏打ちしてくれていて、とても丈夫なものにしてくれています。
ペリカンM400、キャップレスマットブラック、ファーバーカステルクラシックも収めることができます。
リング径は20㎜というスタンダードな最もシステム手帳らしいものを採用していて、それに伴って、全体のバランスもシステム手帳として安定感のあるスタンダードなプロポーションを持っています。
ベルトは細めで、このシステム手帳の外見を良いものにする役に立っていて、牛尾さんのセンスがここにも発揮されています。
微妙な四隅のカット、細かなステッチなど注意してみないと分かりませんが、妥協のない強い心で作られたものだと思っています。

牛尾さんの持てるセンスや技術力がよく引き出せたと言えるとカッコいいけれど、牛尾さんなくして実現しなかった、持っているだけで笑みがこぼれる、雰囲気を持っている、作りの良いシステム手帳が完成しました。
一度に僅かしか作ることができませんので、完成次第順次出荷ということになり、最大で1か月お待ちいただくことになります。

*今の時点でお渡し予定は5月下旬になります。

手帳のための万年筆3種

手帳のための万年筆3種
手帳のための万年筆3種

今度発売予定のシステム手帳には、ペンをしっかりと保護する大型のペンホルダーがあります。
ペンホルダーにはもちろん大きさの制約があって、どんな大きさの万年筆でも入るわけではありませんが、私が手帳に使っていただきたいと思っている万年筆は入るようになっています。
それほど太い万年筆は入りませんが、パイロットキャップレスマットブラック、ペリカンM400、ファーバーカステルクラシックなどはピッタリ入れることができます。
それらは手帳用の万年筆としての資質を備えたとても良い万年筆だと思っていて、ペリカンM800などのレギュラーサイズの万年筆とはまた違う味わいを持っています。

手帳に書く時、一気に長時間筆記するということは少なく、少し書いてはページを変えて、また少し書くということを繰り返すことが多いと思いますので、実用的にはキャップレスが手帳用に最も適した万年筆だと断言してもいいくらい、手帳とキャップレスは良い相性です。

キャップレスには、私には細すぎると思えるくらい細いEFのペン先もあります。
ご存知の方も多いですが、キャップレスはただペン先が引っ込むだけでなく、ペン先が引っ込んだと同時にシャッターが閉まるようになっていて、ペン先の乾燥を防いでいます。
これがなかなか性能が良く、キャップレスのペン先が乾いて仕方ないという話は聞いたことがない。
ちなみに当店のシステム手帳に入れて一番色が合っているのはマットブラックだと思っています。
パイロットのインクはかなりサラサラした、粒子の細かい性質なのでパイロットの万年筆を純正のインクで使用するときには問題は起こりませんが、他社インクで使う場合、そのインクに合ったペン先調整をした方が、細字や極細の場合は良いようです。

ペリカンM400は軽くて細めのボディの万年筆で、そのコンパクトさ、軽さが手帳用に向いています。
ペリカンの万年筆を手帳で使う場合、そのインク出量やペン先の太さが私には不満で、ドイツ製の万年筆に総じて言えることですが、どれもペン先が太く、インク出が多くて手帳に書きにくい。
インク出を抑えて、ペン先を細く調整するという加工をした方が手帳には使いやすいと思っています。

ファーバーカステルクラシックコレクションの太さ、長さがこのシステム手帳のペンホルダーのサイズには最もピッタリで、クラシックコレクションの万年筆がここに収まっているところをいつもイメージしていました。
キャップネジの回転数が少なくて、開け閉めすることが素早くできますし、もともとキャップを尻軸に差して筆記するバランスにはなっていないので、キャップを空けて書く、閉めてすぐ開けるということを繰り返しやすい。
デザインもシンプルでありながらカステルらしさがあって存在感がある。
ボディが木で素材感が感じられるところも、新しく出来上がるシステム手帳と合っていて、とても気に入っている組み合わせです。

3つの万年筆をご提案しましたが、どのペンをこの手帳に組み合わせるかは使われる方の自由で、こういった手帳とペンの取り合わせを考えることが遊び心で、とても楽しいことだと思います。

コンプロット4ミニ用ケース・LIBRETTO(リブレット)

コンプロット4ミニ用ケース・LIBRETTO(リブレット)
コンプロット4ミニ用ケース・LIBRETTO(リブレット)

以前もライティングラボで工房楔のコンプロット4ミニ用のカバーを作っていました。
牛革の素材感そのままの栃木レザーを使ったもので、内装は合成皮革エクセーヌを使った凝ったものでしたが完売し、今回は前回と少し違う感じのものを作りたいと思いました。
前回から、辞書が入っている厚紙のケースのような体裁のものをイメージしていて、今回はよりそれに近いものができたと思っています。
コンプロット4ミニは文庫本サイズで、本棚に並べてもちょうどいいサイズなので、より本のようにして、本棚に立てたいと思いましたので、辞書のケースに思い当たったのです。

名前のリブレットというのは、小さな本とか台本という意味がありますが、もちろん小さな本のイメージでネーミングしています。
今回、ペンケースSOLO、インクケースCADDYを製作してくれているイル・クアドリフォリオの久内夕夏さんに製作をお願いしました。
久内さんについては今さら語るまでもないライティングラボや当店にとってお馴染みの方で、当店に来られた久内ご夫妻を見かけたお客様も多いと思います。

黙っていると美男美女なのに、話すと人懐っこいお二人で、楽しみながら作品製作に取り組んでくれています。
今回のリブレットにもそんなお二人の遊び心、余裕のようなものが感じられます。
目指した通り、薄く、軽やかに、スマートに仕上がっているリブレットですが、きっと夕夏さんはかなり試行錯誤をされたのだと思います。
何度も木型を修正して、コンプロット4ミニ用の辞書のケースに相応しいものを目指して作って下さり、試作が上がる度にどんどん良くなっていきました。

最終的に出し入れの時に、中の空気の負圧を防ぐために、背にメダリオンを空けるというアイデアを出してくれましたが、中身であるコンプロット4ミニの木の感じを外から見ることができ、デザインとしても良いアクセントになっているという、カバーとして理想的なものになりました。
コンプロットを保護するための革のケースですが、イル・クアドリフォリオらしさがその艶やかな革の仕上げにも出ているし、メダリオンなどはイル・クアドリフォリオならではアイデアだと思いました。

主役はもちろん中に入る工房楔のコンプロット4ミニですが、ライティングラボは頼まれもしないのにお節介にもそのケースを作ってしまう。
でもコンプロットウェアリブレットは、コンプロットを使うことをもっと楽しくしてくれるのは確かで、私たちライティングラボは、そういうものをもっと作りたいと思っている。
このリブレットは、他のイル・クアドリフォリオのもの、ペンケースSOLO、インクケースCADDYなどと揃いで使うことができます。
色はネロとマローネしか製作していませんが、受注生産でイル・クアドリフォリオの他の色、ペンケースSOLOで製作可能としている色の中からお作りすることは可能です。
このシリーズの中から、自分の色を見つけて机上用品を統一感のあるものにする。
重厚な趣をそれらのモノは演出してくれるし、どれにもライティングラボやイル・クアドリフォリオの遊び心のようなものを表現することができたと思っています。

⇒WRITING LAB.コンプロット4ミニ用ケースLIBRETTO