カンダミサコ 文庫手帳カバー

カンダミサコ 文庫手帳カバー
カンダミサコ 文庫手帳カバー

先週に続けてカンダミサコさんの商品をご紹介することになりますが、それだけ年末に向けてカンダさんの製作のピッチが上がっているということと、当店とカンダさんとの距離が近くなっていると(色々な意味で)感じています。カンダさんは最近納品などでよく当店を訪れて下さるので、色々話をしています。

ただ良いものを作るだけではなく、店の様子や需要をその目で確認して、ご自分が作るべきだと確信を持ったものとのバランスを測っているプロフェッショナルな仕事をカンダさんから感じています。
カンダミサコさんの商品は、男性寄りの商品が多い当店の品揃えの中で異彩を放っているけれど、女性のお客様に来ていただくきっかけのひとつになっています。

カンダミサコさんの文庫サイズノートカバーが入荷しました。
厚さ10mmくらいまでの文庫サイズ(A6)サイズのノートなら収めることができる革カバーです。
私は買う必要もないのに、あちこちの文具店でシーズン真っ只中のダイアリー売り場をウロウロしていますが、文庫サイズのダイアリーの多さに改めて気付きます。
コンパクトだけどそれなりに書くスペースもある文庫サイズは手帳やノートにとってもちょうどいいサイズで、何よりもいつも鞄の中に本を入れておきたい活字中毒の方には最も馴染みのあるサイズだと思います。
このカバーの特長は、一般的なカバーに比べ比較的太径の万年筆も収めることができるバタフライストッパーの存在と、上質な革を使用しているところです。
バタフライストッパーはノートが広がらないようにする役割も担っていて、ペリカンの万年筆でM600まで収めることができますので、携帯用の万年筆には充分なサイズと言えます。

素材であるシュランケンカーフはその発色の良さと、色数が特徴的ですが使い込むことで艶が出てきたり、しっかりとしていながらしなやかさを合わせ持っている理想的な革です。
さらにカンダミサコさんの多くのカバーの特長として、表紙から折り返した前後の裏表紙部分を大きく、革を贅沢に使うことで表紙を補強していることもあります。
このしっかりとした表紙は書き込みがしやすくなるというメリットがあって、カンダミサコさんのこだわりどころになっています。

古い話で恐縮ですが、20年ほど前は文庫サイズの手帳というのはほとんどなく、手帳の多くが男性をターゲットにしていて、スーツの内ポケットやYシャツの胸ポケットに入る、各メーカーオリジナルサイズになっていました。
以前から革の表紙にダイアリーを入れて、毎年中身を交換して使いたいという需要は少なからずあったけれど、サイズの問題がありなかなか難しかった。
それでも最近は文庫サイズなど、本や紙の規格に合わせたものが女性をターゲットに出始めたこともあり、カバーなどは作りやすくなったと思っています。

気に入った革の手帳カバーは長く使うと味が出てきて、毎日使えることが喜びになってきます。
手帳の内容は使ってみないと自分に合うか合わないか分からない。
複数の選択肢がある文庫サイズのダイアリーなら、表紙をそのままに中身をまた買い替えることもできるので、ぜひ来年用のダイアリーの候補にしていただけたらと思います。

革を敷く

革を敷く
革を敷く

私にとっての理想的な大人の仕事風景は、机の上に紙を1枚だけ置いて愛用の万年筆が1本ある・・というもの。
テレビも音楽もついていない静かな部屋で紙を前にじっと考えて、思いついたアイデアをポツポツと書いていく。
そんな風に仕事したいと思うし、そうやったからと言って古臭いアイデアしか出ないわけではないし、パソコンを点けてネットを駆使していろいろ調べまくってもいい仕事ができるとは限らない。
万年筆の愛用者だったという、先日亡くなった高倉健さんはそんな風に著書の原稿を書いていたのではないかと想像している。

地味な毎日の繰り返しの我々にとって、健さんの演じる寡黙な人物はお手本のような存在だったので、ご高齢だったとはいえ早すぎる、もっと健さんの演じる男を観たかった。
惜しい人を亡くしたと思っています。

紙1枚の下に革のデスクマットを敷くとさらに快適に書くことができるので、そのシンプルな仕事の装備に、デスクマットと机上にわずかに彩りを与えてくれる少しの小物も加えて欲しいと思います。

カンダミサコのデスクマットはブッテーロという良質な素材を使っているので、使えば使うほど艶が出てくるし、傷が目立ってきたらブラシ掛けや水拭きで目立たなくすることができます。また、銀面、床、フェルトの三層構造になっていて、革のデスクマットが最も直面する反りに強い構造をしています。

私たちの机上事情に合った小さめのサイズというところも、発売から4年半経っても作り続けていることができる理由だと思います。
机の天板に革を敷くことは、机上用品を揃える基本だと思っています。

デスクマットの上に紙1枚だけ置いて万年筆で書くととても書き味が良くて、気持ちいいですが、その下敷き効果だけでなく他の働きもあります。

私はとても大事なことだと思っていますが、革のデスクマットがあれば、万年筆をその上に安心して置くことができるし、アクセサリーや時計なども同様だと思います。
大切にしているものをなるべく硬いものの上にそのまま置きたくないので、革の上に置くということも革のデスクマットの存在意義なのです。

デスクマットが敷けたら、あとひとつ小物も追加してほしい。
当店の品揃えの中にはペントレーなど様々なものがありますが、その中で私がとても気に入っているものは、借景のペンレストです。
ペンを1本置ける後ろにポストカードを1枚立てられるようになっていて、背景のポストカードでペンのある風景を演出するものです。
当店では、SkyWindさんの写真のポストカードを全て揃えていて、このポストカードと万年筆を組み合わせるために作った商品です。

SkyWindさんは女性の写真家ですが、道具に全くこだわっていなくて、お使いのレンズの倍率やスペックなどを興味津々に聞いても、何を使っているのかよく分かっていないことが多い。
上手な人というのはそういうものなのかもしれない、撮る前からレンズの性能とかカメラが、とかと言っている(それも楽しいことだけど)我々男性とは違っている。
でもその姿勢は、紙1枚と愛用の万年筆1本でまず何を書くかを考える、私が思い描く大人の男の姿勢に近い、理想的な表現者の姿だと思っています。

シンプルに生きる、シンプルに仕事をすることを考えた時、革のデスクマットを敷いてポストカードを1枚飾り、少しの彩りを添えた机上を想像しています。

⇒カンダミサコ ブッテーロ革デスクマット
⇒WRITING LAB.借景のペンレスト(栃・黒檀)

連用日記を始めよう

連用日記を始めよう
連用日記を始めよう

私は若い頃、一日を振り返る日記を書くという行為が後ろ向きなことのように思っていましたが、それは書いた事が無かった私の勘違いでした。
日記を書くということは、その時の自分の行動を記録するだけでなく、自分の考えを練り固める役に立つのではないかと思っています。
例えば同じテーマについて考えたことを日記に繰り返し書いていくと何かしらの解決の糸口のようなものが見えてきて、自分の中でストンと落ちるような答えが見つかることがあることは私も経験したことがあります。
やはり繰り返し書くということは何らかの効果をもたらすことなのだと思います。

毎日書く日記を読み返して振り返ることは過去の自分と向き合うことで、それは自分自身に教えられることもあるので、たくさんの本をひたすら読むことも勉強に違いないけれど、書き残すということも同じくらいか、それ以上の勉強だと思います。
なかなか出ないことの答えは、外にあるのではなく、自分の中にあるということも結構あるのだと思います。
過去の日記をわざわざ読み返さなくても、昨年の自分、あるいは一昨年の同日に自分が書いたものを書きながら読み返すことができるのが、連用日記です。
きっとかなり以前からあるものですが、私は最も進んだ日記帳の形式だと思っています。
連用日記の良いところは少しネガティブかもしれないけれど、一日の書く欄が小さいので、続けなければというプレッシャーが小さくなる所かもしれません。

当店のお客様で3年ないし5年、10年の連用日記を継続して書かれている方は多く、そんな方々を私は尊敬しています。
連用日記を始めるのはその年数が長くなればなるほどプレッシャーが強くなることも理解しているけれど、ぜひ私も始めたいと思っています。

日記帳にどんなインクで書くのかはその人の自由ですが、ブルーブラックなど少し落ち着いた感じの色で日記帳の最初のページをスタートさせたい。
私がブルーブラックのインクを使うのはその色だけでなく、ある効果を期待して使うことが多いのです。
冬以外の季節はあまり気にならないけれど、冬になるとインク出が多くなったり、ボタ落ちしそうになる万年筆が結構あります。そういう場合は万年筆のインクをペリカンのブルーブラックに入れ替えます。
以前はインク出を抑える効果のあるブルーブラックのインクは何社かありましたが、今ではペリカンとプラチナだけになってしまいました。

春先に最近インクもれするようになった、という相談を受けることが多いですが、それは冬の方が外気との温度差があって、手で握って書いているうちにインクタンク内の空気が膨張して、インクを押し出そうとする力が、他の季節よりも強く働くためです。
ちなみに手の熱を伝えやすいのは、金属やプラスチックのボディで、伝わりにくいのはエボナイトや木のボディのペンになりますので、冬は特にそれを中心に選ぶと快適に日記を続けることができると思います。

一日の終わりに日記を書く。それは楽しみに充分なり得ることなのではないかと思っています。ぜひ始めてみて下さい。


オリジナルダイアリーカバー完成

オリジナルダイアリーカバー完成
オリジナルダイアリーカバー完成

ル・ボナーさんが製作してくれているオリジナルダイアリーカバーの新作が完成しました。
今回はダイアリー本体にもかなり手を加えていて、今のところできることは全てやったと思っていますので、お客様の反響が楽しみです。
その声を聞いて、ダイアリーをもっと良いものにしたいという気持ちはいつも持っています。
今回は、評判の良い大和出版印刷さんの新製品「グラフィーロ紙」を採用できたこともあり、万年筆で書くということをコンセプトにしているこのダイアリーの使い勝手にどのような影響を及ぼすか見てみたいと思っています。

中身同様、ダイアリーカバーも変わり始めています。
ル・ボナー松本さんが企画してくれたものは、従来通りシンプルな仕様のものをクリスペルカーフで作っていますが、限定色のネイビーが追加されています。
クリスペルカーフはパリッとした見え方で、スーツなどのキチッとした服装にも合うのと思っています。
クロームなめしの革ですがわずかにエージングもあり、使い込むと艶が出てきます。

当店には以前から支えてくれている女性のお客様が何人かおられて、その方々のためにも、最近多く来られるようになった女性のお客様のためにも、何かしたいと思っていました。
そんな当店の女性のお客様をイメージして女性スタッフKが企画しているのが「ドレープ」で、今回の当店のダイアリーカバーはドレープとして企画しています。
今までシンプルに徹するために装着を拒んでいた、ベルトとペンホルダーを付けて、ダイアリーカバーとペンのコーディネートも楽しめるようになっているし、何よりもダイアリーを書こうとした時にペンがすぐあるというのはやはり便利でした。
かなり太目のペンまで入れることができて、パーカーデュオフォールドセンテニアルも入ります。

女性じゃないと企画できない、そして女性が使うことをイメージしていないと使わないようなきれいなサーモンピンクの革、仏アノネイ社のボックスカーフとブラウンのコンビ。
少し男性も意識しているブラウンは、使い込むとピカピカになって艶を出してくれるエージングも楽しみな革、伊フラスキーニ社のブレンダボックス革を使用しています。
昨年から販売し続けている手触りの柔らかさと傷つきにくさを両立したシュランケンカーフと、さらに傷つきにくく、水気にも強いノブレッサーカーフと、バラエティに富んだ種類の中から選んでいただけるようになっています。

私たちのオリジナルダイアリーは、これらの革カバーと組み合わせて使うことが前提になっています。
ウィークリーとマンスリー、又はウィークリーと大和出版印刷の正方形方眼ノートrect(レクト)と組み合わせることもできるし、マンスリーと厚みのある方の正方形ノートあるいはマンスリーと分度器ドットコムオリジナルの正方形ツバメノートと組み合わせて、革カバーに収めることができる。

ル・ボナー製のこれらのカバーも、オリジナルダイアリーを使いたくなる魅力のひとつになっていると思います。

⇒オリジナルダイアリーカバー(Pen and message.オリジナルTOPへ)gid=2127777″ target=”_blank”>⇒オリジナルダイアリーカバー(Pen and message.オリジナルTOPへ)