札幌での出張販売を終えて、そして福岡へ ~出張販売への想い~

札幌での出張販売を終えて、そして福岡へ ~出張販売への想い~
札幌での出張販売を終えて、そして福岡へ ~出張販売への想い~

*第1回目の札幌のイベントを記念する形あるものが何もないと寂しく思っていたら、イベント会場に提供して下さったギャルリー ノワール/ブランのオーナー、北晋商事の金さんがギャルリー ノワール/ブランマグカップをくれた。記念のモノができて嬉しかった。

すごく贅沢で恵まれたことだと思いますが、私は自分がやりたいと思う方法でしか仕事をしていません。それは当店や私たちのことを想ってアドバイスしてくれたことでも同様です。
積極的な分かりやすい宣伝もしていないし、取引先の人が売れていると教えてくれても、自分が気に入らなければ、他店で売れているのであれば当店が売らなくても他店で売ればいいと考える天邪鬼振りで、私のことを歯がゆく思っている人もいると思います。

そんな商売のやり方なので、当店はいまだに10年前と同じ場所で、同じようなやり方をしているのだと自分で分かっています。
きっと人数は多くないと思いますが、そんな当店のやり方に賛同して下さったり、応援してあげたいと思って下さっている方々が当店を支えて下さっていて、本当に有難いと思っているし、そんなお客様方を尊敬しています。

自分が好む仕事の仕方しかしないけれど、店を潰すわけにはいかない。
それにどうせ仕事をするなら昨年よりも良い結果が残せるように考えた方が楽しいに決まっているので、顧客を増やしたいと思っても姿勢は変えたくない。
当店の姿勢を理解して下さる方は、その方のもともとの考え方によるところが大きく、少数派なのではと最近思うようになりました。
そう考えた時に、自分が他所に出て行って、当店のやり方に賛同して下さる方、あるいは近い考えの方を見つけたいと思いました。

以前から色々な町に行って、出張販売のようなことをしたいと思っていました。
自分のやりたいことと、店の成長のために必要だと思えることが合致しましたので、出張販売をすることにしました。
なるべく色々な場所でできればいいけれど、まずは札幌と福岡からスタートしました。
北海道も九州もそれぞれの地域の中で生活が成り立つ、ひとつの国のように感じていて、それぞれの国の首都のようなところに行きたいと思いました。
北海道にも九州にも、当店のWEBショップを利用して下さっているお客様が多くおられますので、お名前など文字の情報しか分からないお客様ともお会いして親交を深めたい。
仕事なので採算をとらなくてはならないと、札幌には少し気負って出掛けて行きましたが、それぞれの土地に出て行って一言でも直接お客様と会話をすることが一番の目的ではないかと今は思っています。

札幌での出張販売でそのように思えるようになったのは、人数は多くないけれど、北海道各地から来て下さったお客様と温かく楽しい時間を過ごすことができたからでした。
次は、7月8日(土)9日(日)の工房楔との共同開催イベント 「Pen and 楔 福岡展2017」です。
体裁としては、オリジナル商品の販売や万年筆の調整販売、ペン先調整をしますが、当店のやり方に賛同して下さる方を探しに行くという姿勢は同じです。
イベントの2日間でまだ予約に余裕がありますので、ご都合の良い時間をお知らせいただければと思います。
イベントに来て下さるお客様と、親交を深めることができたらと思っています。

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⇒2016.11.25「当店のペン先調整について」

仕事の中心を成すバイブルサイズとVファイル

仕事の中心を成すバイブルサイズとVファイル
仕事の中心を成すバイブルサイズとVファイル

出張販売という例年になかった仕事を作って準備をしてきました。
初めてのことなので、時間を割かなくてもいいことを考え続けたりして、100%と思える準備は結局できなかった。
きっと持っていく商品も多すぎるのだと思います。
こういった試行錯誤は一度で十分で、次からはもっと要領良く準備したい。
最初の反省点を生かすためには、様々な記録を残しておく必要があります。

スケジュールやToDoなど、システム手帳に出張販売の項目を作ってそこに書き込み、チェックを入れながら使っていて、仕事の内容はともかくそれで上手く手帳としては機能していたと思います。
作業の予定、行動などは3つ折りカレンダーが最も得意とする使い方だと思うし、何度も繰り返し見て、必要があれば書き込んで、何色もの色鉛筆でチェックを入れるチェックリストは水玉罫が使いやすかった。
今回の出張販売イベントの準備において、手帳に関しては大いに満足しています。

これらの記録は来年見ても分かるように保管しておく必要があります。
システム手帳のリフィルだけならバインダーに綴じておけばいいけれど、商品リストはA4サイズで、DMも残しておきたい。
サイズのバラバラな紙片を保存しておくにはそのまま放り込むVファイルが使いやすいと思います。
昔はシステム手帳リフィルの保管ならバインダー形式だと思っていましたが、資料の中には様々な大きさの紙があって、それらが散逸することにいつも頭を悩ませていました。
金治智子さんの提案するVファイル形式のファイリングは、一見システム手帳のメリットを生かしていない書類の保管方法に思うかもしれないけれど、私たちの仕事や暮らしを全てバイブルサイズに統一するにはやはり無理がある。
Vファイルはそれを補ってくれて、筆文葉リフィルをより活用できるようにするためのもの、という事を今回改めて実感しました。

出張販売イベントのような、当店のことをご存知ない方に当店を紹介することは自分の店を冷静に見つめ直すいい機会でした。当店の特長を告知しながらイベントの準備をして、日々の業務をこなすのに、筆文葉のシステム手帳リフィルは大いに助けになったと思います。
それらを保管して次回役立てるためには、Vファイルとの組み合わせがいい。
Vファイルはバイブルサイズに近い、少しだけ大きめのB6サイズになっています。そしてVファイルを収納する箱として、コレクトの情報カードボックスを提案しています。
バイブルサイズジャストの箱は意外と市販されていませんが、B6サイズの箱であれば探せば見つけられるかもしれません。
Vファイルは、バイブルサイズという紙のサイズとしては少し特殊なものと紙の規格寸法のアダプターのような役割もしてくれています。

これで様々な記録を散逸させる心配がないと思っているけれど、同じように思って下さる方も多いと思います。

⇒筆文葉リフィル「Vファイル」
⇒コレクトカードボックス

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⇒2017.3.10書類の分類~筆文葉Vファイル発売~

直しながら長く使うために

直しながら長く使うために
直しながら長く使うために

靴はそう簡単に壊れませんが、履くほどに底が減ってくるので靴底の貼り替えに出す必要があります。でもそうやってたまにプロの手に預けることによって、底以外の部分のメンテナンスをお願いしたり、アドバイスを受けることができます。
せっかく手に入れた靴なので、少しでも長く、できれば一生履いていきたいと思っています。

万年筆は使っていても目立って減る部分は少ないけれど、壊れたら直して長く使うものだと思っています。モノである限り壊れないものはないので、私も何度もメーカー修理に出したことがあります。
直すことのできないものは長く愛用することができないし、修理の対応でその店やメーカーの質を測ることができます。
私の持論ですが、しっかりした店ほど修理が多いと思っています。
自分が大切に使っているものを預ける店ですので、お客様の信用があるということですし、万年筆が売れていないのに修理ばかりが多かったとしても、修理のお客様にしっかり対応していれば、いずれ万年筆も売れるようになると思っています。

お客様から修理して欲しいと打診されて、他所の店を案内したり、メーカーに直接送るように指示する、修理から逃げるような店がネットショップの中にはあるようです。
でも万年筆は直しながら長く使うもので、修理を介しながらお客様との関係も長く続けていくということを理解していないのだと思います。
ぜひ、修理を気持ち良く受けてくれる店と関係を築いていただきたいと思います。

メーカーでも修理などのアフターサービスが良いところと悪いところがあって、数少ない悪いところは言いにくいけれど、国産3社はどこも良く修理代も安い。
海外のメーカーでは、ペリカン、アウロラ、パーカー、ウォーターマンの修理の対応が特にいいと思っています。
限定品などは本国修理になりますので何か月もかかることがありますが、どのメーカーも保証書に国内の販売店の捺印があるものであれば優待してくれるので、修理に出した時の満足感は高い。

アウロラはボディと首軸が断裂するというショッキングな修理(落下などの理由がない場合)でも保証書があれば無料で修理してくれますので、最初の価格は高いと思っても後々安心して使うことができる。
万年筆メーカーは経験的にアフターサービスの大切さを知っているのかもしれません。
木製品も、自然な手触りを残したものはひび割れが起こることがあります。
工房楔の木製品もひびが入ることがありますが、これも埋めながら使うものだと私は思っています。
工房楔の永田さんはすごく上手にひびを埋めてくれるので、どこにあったか分からなくなります。補修も木工家の腕のひとつなのだと知りました。
世の中には、修理の要らないものはなくて、良いものほどきちんと修理ができるように作られている。
万年筆も直しながら長く使うものなので、もし壊れたりしても安心して修理に出して欲しいと思っています。

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復興の歴史~ペリカンM800ルネッサンスブラウン発売

復興の歴史~ペリカンM800ルネッサンスブラウン発売
復興の歴史~ペリカンM800ルネッサンスブラウン発売

私が今している仕事はきっと過去にも誰かがしていたことで、その人が万年筆の歴史の中に埋もれていったように、私のしていることも同じく跡形もなく消えてしまうのだと思います。でもそれでいいと思う。
万年筆の歴史は「革新」と「過去の復興」の繰り返しだからです。
ペリカンもそんな万年筆の歴史を何度も繰り返してきたメーカーのひとつで、クラシックなモデルと革新を標榜したモデルをバランス良く発売してきました。
でも革新を目指したモデルは長く続かず、ペリカンほどのメーカーであっても革新しようとしたことは万年筆の歴史の中に埋もれてしまった。
M800ルネッサンスブラウンは、ルネサンス絵画のような色合いをボディカラーで表現していて、昔のセルロイド製のクラシックな万年筆のように仕上がっています。
しかし、ペリカンはセルロイドではなく、現代の素材アクリルレジンを素材として使用しています。
万年筆の素材は、今ではアクリルレジンから削り出したものが主流になっていて、セルロイドやエボナイトは使われなくなってきています。
製作の時間も手間もかかるセルロイドのボディこそ価値のあるものだとして、高額なセルロイドの万年筆も存在しますが、余程注意して時間も手間もかけて作らないとセルロイドは時間の経過とともに変形していく。
変形してしまった古いセルロイドの万年筆を今まで嫌というほど見てきたので、やはりアクリルレジンのボディの方が使っていて安心だと私は思っています。

M800ルネッサンスブラウンは昔の万年筆に使われていたセルロイドのような色柄で、ルネサンス期の絵画のような色彩を表現した限定品です。
ルネサンスを古典古代文化の復興と解釈するなら、古い時代の万年筆の復興を目指したモデルなのではないかという見方をしても面白い。

イタリアのメーカーが黄金期の万年筆の復興を目指したモノ作りをし続けているのと同じように、ペリカンもまた革新とのバランスを大切にしながらも現代の技術を駆使するという、少し違ったやり方で黄金期の万年筆の復興を目指しているような気がします。
M800は硬いペン先とバランスの良いボディを持つ筆記性能に優れた万年筆の中の万年筆ですが、1980年代発売でその歴史はあまり古くない。
当時、アウロラアスティルから始まった細い軸のスマートな万年筆が流行していました。しかし、筆記性能が高く、大きなペン先を持つ1930年代の万年筆らしい万年筆のスタイルを持つM800はその流行に一石を投じたのではないかと思っています。

それ以後万年筆のトレンドは大きなペン先と堂々とした大型のボディになっていると考えるとM800が万年筆の業界に与えた影響は計り知れず、それが今も続いている。
1930年代の万年筆の復活を世に問うたM800が、クラシックな色柄のボディで今また黄金時代の万年筆の復活を掲げているのがM800ルネッサンスブラウンなのだと思います。

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⇒2016.5.13「細字研ぎ出し万年筆」

長いペンを持ち運ぶ ~長寸万年筆ケースのご案内~

長いペンを持ち運ぶ ~長寸万年筆ケースのご案内~
長いペンを持ち運ぶ ~長寸万年筆ケースのご案内~

スチールペン先で、それほど高いものではないけれど、デスクペンと言われる万年筆が日本の各メーカーのカタログに載っています。
スチールペン先のせいか、書き味はそれほどでもないけれど妙にバランスが良くて書きやすい。
ペン習字などでよく使われているのも分かります。

デスクペンについて考えた時、いつも加藤製作所の加藤さんのことを思い出します。
もう13、4年前の話になりますが、大西製作所の前身である加藤製作所の加藤さんが万年筆の尻軸に交換して使うことのできるデスクペンパーツを試作していて、「こういうふうにするとなぜか書きやすいんや」と、デスクペンの書きやすさについて話しておられました。
その後加藤製作所のデスクペンは試作の域を出ず、あまり多く世に出ることはなかったけれど、80歳を超えていた加藤さんが誰も作っていないようなものを作ろうとして、休日に新しいアイデアを試していたことに、当時若かった私は刺激を受けていました。
今では中屋万年筆のシガーロング、プラチナ出雲や、当店でもまだ在庫があるけれどセーラー100周年記念島桑などの長いペンはとても書きやすいバランスを持っている。
ボールペンでもデスクペンタイプのものは妙に書きやすい。ゼブラにバンカースという定番ボールペンがあったけれど、今もあるのだろうか?

そんな書きやすい長いペンの欠点は、ちょうど入るペンケースがないということです。
長いペンは使いやすいので、ペンケースなど何かに入れて持ち歩きたいと思うけれど、普通に販売しているペンケースはいくら長くても15cmくらいまでで、それ以上のペンは「長すぎるペン」として、どのペンケースにも入らない。
当店で6年ほど前にオリジナル長寸万年筆ケースというものがありました。
それは主に中屋万年筆のシガーロングの万年筆を収納するためのものとして発売しました。
当時、和の趣のある黒桟革で作っていましたが、コンチネンタルのシリーズ仕様のダグラス革で復活させました。
使いこむと艶が出て、ペンの出し入れで折り曲がった時のシワ感も景色になる。
エイジングを楽しめるダグラス革は、当時の和の趣きのそれとは全く違う魅力があります。普通のペンケースとは出し入れの方法が少し違っていますが、慣れると一瞬で出せるし一瞬でしまえます。
数年ぶりですが、長いペンを収められるペンケース復活のご要望は多くありましたので、それに応えたいと思いました。

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⇒2011.5.13「オリジナル長寸用万年筆ケース完成」