システム手帳にはシステム手帳でしかできない役割があり、綴じ手帳には綴じ手帳の良さがあって、当店はその使い分けについてお伝えしていきたいと思っています。
物事が時系列で並んでいるダイアリーは、順番を差し替える必要がなく、ページの開き方など記入しやすさにアドバンテージがある綴じ手帳の方が使い勝手が良いと思っています。
スケジュールの管理を中心に使う場合は、マンスリーダイアリーは最も使いやすいツールだと思いますし、更に日々のToDo等も管理する場合は、マンスリーダイリー付きでスケジュール管理もできるウィークリーダイアリーくらいの紙面が必要になります。
日々のドキュメントをもっとたくさん書く方はデイリーダイアリーが合っていますし、それにマンスリーダイリーを一緒に革カバーにセットするとスケジュール管理も可能なダイアリーが完成します。
このようにオリジナル正方形のダイアリーには、スケジュール管理や記録機能において抜けがありませんので、スタイルに合わせてお使いいただきたいと思っています。
ル・ボナーさんが製作するオリジナルダイアリー用カバーが今年も入荷しました。
六甲アイランドの鞄工房兼ショップのル・ボナーの松本さんは革の魅力にとりつかれた鞄職人で、いつかそれらの革で鞄を作りたいと、様々な良質な革をコレクションのようにストックしていて、日本でル・ボナーにしかないという希少な革もたくさんあるのではないかと私は思っています。
新作のカバーは希少な限りある革が中心で、シンプルなシングルのみで製作していただきました。
厚手のものと薄手のものを組み合わせると最大4冊までのダイアリーやノートを収納できるダブルタイプは、昨年製作したソフトカーフのダークブラウンのみになり、ペンホルダー、ベルト付のDRAPEタイプのカバーをお求めの方は昨年製作しましたノブレッサーカーフのものをお使いいただきたいと思います。
今年製作したものは、4種類になります。
テイカオイルヌバックは、手触りのとても良い革で、こんなに触り心地の気持ち良い革は他にないのではないかと思い、松本さんのお勧めもあり選びました。
ヌバックは、革の表面を人工的に毛羽立たせて、表でもない裏でもないような独特の風合いに仕上げた革です。
テイカは今はもう廃業してしまった日本のタンナーです。
最高の革を作って世に問うことを標榜して数々の銘革を作りましたが、その良さを認めてくれる目利きが少なかったようです。
ル・ボナーの松本さんはテイカ廃業後の10年ほど前にそのクオリティの高さを認めてこの革を手に入れました。
クラシックカーフは、カーフよりももっと若い水牛の革で、水牛特有のハリを持ちながらキメが細かい美しい革です。
インドのタンナーによるもので、バッグ、革小物に多く使われましたが、イギリスで始められたこの革の鞣し方は本国ではもうできなくなっているそうです。
もともとマットな質感の革に、アイロンをかけて艶を出した仕上げになっています。
これも今手に入れることができない革で、松本さんは4,5年前に手に入れた貴重な革です。
シュランケンカーフのアイリスとレッド、トープでもシングルのカバーを製作してもらいました。
シュランケンカーフは、傷に強く、とても扱いやすい発色の美しい革で、その美しさが長持ちしますので、変わらずに長くきれいに使いたいという方にはお勧めです。
マニアックな革は茶系が多いので、シュランケンカーフではその色目をお楽しみいただけえたらと思っています。
また、毎年少量作っております革の「下敷き」ですが、今年はブッテーロ革にシープシルキーの革を貼ったものを作りました。
薄手のマンスリーダイアリーや、大和出版印刷の正方形方眼ノートrectを使われる時に威力を発揮しますが、こういうものが手帳に挟まっていると楽しい気分になります。
このダイアリーカバーに収めることができるダイアリー・ノートを整理すると、
・マンスリーダイアリー(薄手)
・ウィークリーダイアリー(厚手)
・デイリーダイアリー(厚手)
・Liscio-1 正方形方眼ノート(厚手)
・Liscio-1 正方形横罫ノート(厚手)
・正方形ノート rect(3mm、4mm、5mm、6mm)(薄手)
の9種類になり、シングルのカバーには薄手と厚手各1冊を収納することができます。
綴じ手帳であるオリジナルダイアリーを使うメリットは冒頭で申し上げましたが、革を熟知しているル・ボナーの松本さんのコレクションから貴重な革を選んで作るカバーを使いたくてオリジナルダイアリーを使う方もおられるかもしれません。それだけの魅力ある革カバーだと思っています。
ル・ボナーの絞りペンケース
1本差しと3本差しのル・ボナーのペンケースが入荷しました。
厚いブッテーロ革を2枚重ねにして貼り合わせて、型で絞って丈夫なシェル構造にするル・ボナー絞りのペンケースは、大切なペンを守りながら、いつも持ち歩くためのペンケースです。
ペンを鞄に入れて持ち歩かず、机上で使用するだけであれば、ここまで丈夫なペンケースは必要ないかも知れません。
ペンケースはたくさんの種類が世の中に出回っているけれど、この絞りペンケースほど、ペンを収めて鞄の中に放り込んで安心感のあるものはあまりない。
本当に大切なペンが出来た時には、ぜひこのペンケースをお使いいただきたいと思います。
このペンケースに使われているブッテーロ革は、40年以上鞄職人としてたくさんの革を見てきたル・ボナー松本さんが最良の革として行き着いた革のうちのひとつです。
ブッテーロ革の特長は、その柔らかく滑らかな手触りとエージングの良さにあります。
自然素材のタンニンでなめされた革は、香りも良く、上質な自然な風合いを持っています。
加工しすぎず、自然な風合いが残されているので、革の表面は時間をかけて艶を帯びていく余地が残されています。
ブッテーロ革は油分を多く含む革なので、手で触ったりするうちに油分は表面に出て膜を作るように艶が出て、表情に奥行きが出ます。
そのように使い込むことで少しずつ艶が出るけれど、ご自分でブラシをかけたり布で磨いて艶を出すこともできます。
革製品の大敵は埃で、ブラシを掛けたり、布で磨いたりすることはその埃を払うことにもなりますので、革製品を長く愛用するためにも有効なことです。
メンテナンスで私のおすすめは、ブラシ掛けです。
ブラシを掛けると、革の余分なものを落としたようなクリアでキラキラした表面になり、とても美しい艶が出ます。
ある方は布で軽く撫でるというやり方をしていて、これは時間がかかると思いますが、とてもきめの細かい鏡面のような艶を出す磨きの方法です。
店に並んでいる時が一番美しいものもあるけれど、長く使っていくうちに美しくなってくれる革製品は、また違う楽しみがあると思います。
それには素材の良さ、縫製の良さが絶対的な条件になりますが、ル・ボナーの絞りのペンケースはそれを備えています。
ペンケースの機能としては、モンブラン149、キングプロフィットなどの大きいサイズの万年筆は3本差しの両サイドに入れることができます。
1本差しの場合も、少しきつめですが入ります。
それ以上の大きさのペン、例えばカスタム漆は入りませんが、ほとんどのペンで使うことができます。
この店を始める前からル・ボナーの松本さんが応援してくれてとても助かったことは何度もお話しているけれど、きっと松本さんがいなければ10周年を迎えることはできなかった。
松本さんも鞄職人を始めた時に助けてくれた人たちがいて、その人たちのおかげで40年も鞄職人としてやってくることができたそうです。
お世話になった恩人たちへの恩返しは、次の世代の新たに自分の道を歩もうとしている人を応援することだと思って、当店のことを応援してくれた。
私も自分の仕事を続けさせていただいている恩を返すなら、次の世代の人を応援することなのだと思っています。
自分にどんなことができるか分からないけれど、松本さんがしてくれたように頑張って欲しいと思った人を応援したいと思っています。
ペリカンM605ホワイトストライプ発売
ペリカンから特別生産品M605ホワイトストライプが発売されました。
今までありそうでなかった白縞のペリカンは、現代的でクールな印象。どちらかというと男性的でクラシカルなデザインのスーベレーンの雰囲気とは違って見えます。
M605はM600のシルバー金具の品番で、M600とサイズなどのスペックは全て同じです。
M600はペリカンの代表的なペン、M400とM800の中間のサイズで、重さはM400に近く、大きさはM800に近いというものです。M800では重すぎるという女性の方に好まれ、胸ポケットに差して持ち歩く万年筆を求めているけれど、M400では小さすぎるという男性の方にも向いたサイズです。
シルバーの金具のホワイトストライプはピンクに続き、女性にも人気が出そうだと思っています。
ホワイトストライプは首軸もキャップも純白で、インクの汚れが気になる万年筆かもしれませんが、ペリカンはハート穴からインクを吸入することができるので、インク吸入時にインクにペン先だけ浸してインクを吸入すると、首軸がインクで汚れることもありません。
また、キャップ内部も時々水で濡らした綿棒などで掃除すると、いつまでもきれいに使うことができます。この辺り、白ということで汚れを気にされる方も多いと思います。
ペリカンのM400やM600の売れ筋はEFです。
ペリカンのEFは、日本製のペンに比べてかなり太く、中細くらいの太さになりますが、書く文字の画数の違いを考えると当然のことかもしれません。
それでもペリカンをもっと細く書けるようにしたいという要望は多く、当店ではペリカンM400のEFを国産細字くらいに研ぎ出しした、細字研ぎ出し加工をしています。
M400は軽く、コンパクトなボディなので手帳用の万年筆として最適で、それを国産細字以下の太さにすることで、理想的な手帳用の万年筆になります。
軽いM600もM400同様に「理想的な手帳用万年筆」にすることができます。
ただ、M605は14金のペン先にプラチナ装飾を施して銀色にしていますので、細字研ぎ出し加工をすると、ペン先サイドの先の方に金色の露出がわずかに見られるかもしれません。それをご了承いただければ、M605ホワイトストライプでも細字研ぎ出し加工を承っています。
ちょうど今、来年のダイアリーについて色々考える時期だと思います。
もちろん当店オリジナルの正方形ダイアリーや筆文葉のシステム手帳リフィルをお使いいただきたいと思っていますが、これらのダイアリーには細字研ぎ出しくらいの太さが合っていると思っています。
正方形ダイアリーは、滑らかな書き味と、にじみや裏抜けのしにくさを追求した紙グラフィーロを使用しています。グラフィーロはかなり細いペン先の万年筆でもヌラヌラと書ける魔法の紙ですが、インクの乾きが少し遅い。
インク出が多い太めの万年筆だと、乾くまで待って閉じるということになりますので、できるだけ細字で使われることをお勧めします。
書き込むスペースの小さな筆文葉3つ折りカレンダーにも当然細いペン先の方が合っています。
当店オリジナルのダイアリーに限らず、どのダイアリーでもペン先は細い方がきれいに書ける。M605ホワイトストライプの細字研ぎ出し万年筆、いい手帳用の万年筆になると思います。
使うことで完成する日本の手仕事のステーショナリー~Cohanaの道具~
万年筆という海外で作られているものを扱い、それらをいつも使っていて言うのも何ですが、なるべく日本製のものを使いたいと思います。
日本で作られた、人の手で作られたことが感じられる品を手に入れて使いたい。
デザインもマーケティングも生産効率も非の打ちどころなく計算された大量生産された製品はすごいと思うけれど、自分の好みではないし、当店で扱うべきものでないと思って今まで避けてきました。
同じ万年筆という工業製品であっても、人の手による仕事がその製品の中に存在していると思えるものを扱いたい。
それはあくまでも私の直感で、ただの好みなのかもしれないけれど。
倉敷にある「林源十郎商店」が好きで、たまに訪れたいと思うのは、その店が日本の手仕事によるモノにこだわっているからで、それらのものが醸し出す雰囲気にホッとさせられ、私の迷いのようなものを吹き飛ばしてくれるからかもしれません。
東京の手芸用品メーカーKAWAGUCHIさんが企画するcohana(コハナ)の商品を扱うようになりました。
商品企画をKAWAGUCHIさんで行い、日本中の伝統的な地域産業や工芸に携わる会社、職人さんに製作を依頼したものばかりです。
どの商品にもそれぞれ醸し出す空気感のようなものがあって、人の手による仕事が感じられます。万年筆とは直接関りはないかもしれないけれど、当店で扱いたいと思いました。
こういった商品を言い表す時、温かみとか、ぬくもりという言葉はなるべく使いたくない。
その言葉は言い表すのに良い言葉だとは思いますが、古くからあまりにも多くの人が使ってきたし、分かりきった事柄に感じられる。
それらの品々を私は「完成と未完成の間」にあるものだと思っています。
パッケージに入って店に並んでいる時が一番美しい完成された工業製品ではなく、使い込まれて使用感が出た時が一番美しい。
新品の状態では未完成で、使い込むことで完成するものだと思っています。
使っているうちに美しくなってくれるもの。
それは新品の時の傷一つない美しさだけではなく、経年変化の美しさを増していくものだと思います。
そんな使い込んで美しくなってくれるCohanaの商品は、私が好む万年筆と離れたものではないと思っています。
⇒Cohanaのこだわり文具cbid=2557541⇒Cohanaのこだわり文具csid=1″ target=”_blank”>⇒Cohanaのこだわり文具cbid=2557541⇒Cohanaのこだわり文具cbid=2557541⇒Cohanaのこだわり文具csid=1″ target=”_blank”>⇒Cohanaのこだわり文具csid=1″ target=”_blank”>⇒Cohanaのこだわり文具