万年筆を使う人なら誰でも考えたことがあると思いますが、私はずっと原稿用紙を上手に使いたいと思ってきました。
そう思ってたまに原稿用紙に向かったり、めったにないけれど向かわざるを得ない状況になった時に、マス目に一文字ずつ収めた自分の文字があまりにもサマになっていなくて幻滅してしまい、それ以降しばらくは原稿用紙に手を出さないということを繰り返しています。
原稿用紙に慣れるためのトレーニングで、原稿用紙に小説などの文章を書き写すということもやりました。文字の美しさを気にせず、原稿用紙のマスのサイズに慣れるためにひたすら名文を書くのはたしかに楽しく、皆様にもお勧めしたい方法です。
私も根気強くやっていればよかったけれど、しばらくしてやめてしまった。
今から思えば、原稿用紙の枠の中に文字を収めようとした時に何らかの気負いを生んで、字が固くなってこなれた感じにならなかったのではないかと思います。
きっと原稿用紙に向かうと小学生の頃の気分を思い出してしまうのだと思う。私の場合それは懐かしさではなく、夏休みの読書感想文とか、テーマが決められた宿題の類いで、意気込むけれどあまり上手くいかなかった時を思い出してしまいます。
その時自分にあたぼうの飾り罫原稿用紙があればもっと、 原稿用紙に対して力を抜いて自然体で向かうことができたかも知れません。 といっても今の自分には万年筆がありますので、それだけでもあの頃とはかなり違うけれど。
あたぼうの飾り罫原稿用紙の自由な感じの罫線も気楽な感じでいいし、何よりもインクの伸びが良くて書き味の良い、薄めの紙質が使いやすい。
キンマリSWという紙は、印刷用紙としても聞いたことがありますが、原稿用紙という大量に書く用途に合っていると思います。
原稿用紙はB判が多いですが、飾り罫原稿用紙はA4サイズで、二つ折にして穴を開けると、ルーズリーフやシステム手帳にそのまま綴じることができ、原稿用紙というものの最近の使われ方に合っているように思います。
この原稿用紙のマスの大きさだと国産Mくらいがピッタリの字幅で、気持ち良く書くことができました。あたぼうさんは封筒も発売していますので、この原稿用紙を便箋としても使うことも勧めておられるようです。
昨年、気まぐれを起こして、神戸新聞の公募にエッセイを投稿しました。
残念ながら掲載はされず名前だけが載りましたが、またそういうこともやってみたいと、ふと思いました。