プラチナ富士雲景シリーズ「鱗雲」とプラチナ万年筆の矜持

いつも神戸の店舗で仕事していますので、あまり外に出ることがありません。それでも年に2,3度は出張販売で首都圏に行くことがあって、東京までなら調整機を持ち運ぶのに便利なので新幹線で行きます。

590&Co.の谷本さんと新幹線に乗るようになって、車内のワゴン販売でアイスクリームとホットコーヒーを買う楽しみを知りました。行きも帰りも、乗れば必ず買っています。

売店で買ってもよさそうだけど、車内販売で買うのがささやかな贅沢で、新幹線の旅ならではの優雅な遊びのような気がしています。

新幹線に乗った時のもうひとつの習慣は、富士山を撮るというものです。

そろそろと思ったらスマホで現在地をチェックして、逃さず富士山を撮っています。これは大抵の人がしていて、日本人なら撮らずにはいられないのだろうと思います。

でも日本人に限らず外国の人も写していることが多く、富士山には高さだけではない魅力があるのだと思います。

晴れていて、黒い富士山が裾野から山頂まで見えたら珍しい。ほとんどの場合山頂には雲がかかっていて、見ることができません。富士山と雲は一対の景色になっています。

だからプラチナの新しい限定品の「富士雲景シリーズ」というものが始まった時になるほどと思いました。

シリーズの最初は「鱗雲」です。富士山の頂に鱗雲が敷き詰められた風景を私は見たことはないけれど、青黒い富士山と白く輝く鱗雲をその万年筆は表現していることがよく分かりますし、万年筆としても美しく仕上がっていると思います。

古くからのプラチナのファンは細字を好む人が多いように思っています。

硬くしっかりとしたペン先と程よく抑制されたインク出で、くっきりとした細字が書けるのがプラチナの万年筆の特長で、メモ帳に細かい字を書くならプラチナセンチュリーが向いていると思います。

プラチナの細字へのこだわりは字幅のラインナップに表れていて、定番モデルセンチュリーには他社にはない超極細が用意されています。

字幅の種類を減らす傾向にある万年筆の中にあって、プラチナは万年筆が仕事の道具として使われていた頃の名残を守っていると嬉しくなります。

時代の移ろいか、新幹線の車内でのワゴン販売も廃止されるようです。

そういうなくなっても大きくは困らないけれど、あって欲しいと思う人もいるというもの、余分に感じるものはなくなっていく時代なのだと思います。

そういう時代だからこそ、古くからの万年筆のあり方にこだわるプラチナの矜持に共感せずにはいられません。

⇒プラチナ富士雲景シリーズ「鱗雲」