ペリカンM600アートコレクション ルディ・ローザ予約販売と「雑記から」創刊号おまけ企画

ペリカンM600アートコレクションルディ・ローザの予約受付を開始しました。

10月上旬発売予定のため、ご予約期間が9/29(日)までと短くて申し訳ないのですが、ご希望のお客様に確実にお渡しできます。輸入筆記具では珍しい予約販売という取り組みで、ペリカン日本様のご協力によって今回可能になりました。

当店ならではの研ぎも、ご希望いただきましたら追加料金なしで承ります。(特殊研ぎの場合日数は少しいただきます)

○太い、細いのメリハリがつけやすく、線にキレのある三角研ぎ。

EF、Fなどの細めの字幅でも線に変化をつけることができます。

○ペンポイントの姿がより美しく、書き味、線の変化もマイルドな上弦の三角研ぎは古典的なペン先の研ぎ方で、長刀研ぎとも言われます。

○EFあるいはFを国産細字程度に研ぎ出す細字研ぎ出し。

ご希望がございましたら、コメント欄に例えば「三角研ぎ希望」などとご記入下さい。

ペリカンM600アートコレクション『ルディ・ローザ』。写真ではその質感までなかなか伝わらないと思いますが、第一作目の『グラウコ・カンボン』で実際に見て驚かれた方もおられると思います。このアートコレクションのみの高度な技術で作られています。

ボディは真鍮を細かい細工で彫刻し、10層の透明ラッカーを重ね塗りした「オーロラ加工」と呼ばれる技術で仕上げられています。

真鍮製の軸の利点は、トレドやM810メタルストライプのように中心に重心を持たせることができて、とてもバランスが良く、適度な重量感を生み出すところです。この重みは定番のスーべレーンM600とは全く異なるところです。

この重みにより、ペン先の柔らかさも引き出すことができています。ボディ素材自体が違いますのでM600というよりもM610と呼ぶ方が合っている気がしますが、ここで言っても仕方ないですね。

呼び方はともかく、ペリカンM600アートコレクション、いいペンだと思いますので確実に手に入る機会なのでぜひご予約下さい。

9月23日は当店が開店して18周年の日でした。

過ぎてしまうとあっという間でしたが、その時その時は自分たちなりに懸命にやってきました。

今自分たちが時代に適応できているか分からないし、もしかしたら時代遅れの店になっているのかもしれないけれど、開き直って言うと、自分たちが面白いと思うものを提案し続けることしかできないと思っています。

その面白いと思って続けていることのひとつが、「雑記から」です。

店頭やWEBショップでお買い物して下さったお客様にお渡ししているフリーペーパーで、私が考えていることや近況を書き、スタッフKが店の日常を描いたマンガを描き、フタッフMが万年筆で疑問に思っていることの実証実験をして報告するという内容です。

「雑記から」は2007年11月から続けているもので、今月で216号になります。

「雑記から」は毎月25日から次月号に切り替わりますが、創業18年記念期間と言っては何ですが、9月25日~10月24日の1か月間、店頭やWEBショップでお買い物いただいたお客様に今月号と一緒に第一号をお渡しします。

改めて読んでみると、文章もマンガも今よりさらに稚拙なものでお恥ずかしいですが、こんな時代があったのかと面白くご覧いただけたらと思います。

⇒Pelikan M600アートコレクション レディ・ローザ予約受付中

〜人が集まる場所〜正方形ダイアリーシリーズKOBE158SQ

紙の手帳を使うというのは今や趣味のように感じられるのかもしれませんが、デジタルでは仕事がやり辛いと感じる方もおられるように、仕事や暮らしのひとつの方法なのだと思います。

紙の手帳を書くことにも実質的なメリットはあるのだと、その話を聞く度思いました。

毎年発売しているオリジナルダイアリーが今年も出来上がりました。

私は毎年、オリジナルダイアリーのウィークリーだけを使ってきました。

ウィークリーダイアリーにはマンスリーページもありますので、予定と記録の使い分けができましたが、マンスリーダイアリーの見やすさは分かっていたので使ってみたいと思っていました。

2009年にダイアリーを企画、開発していた時にウィークリーダイアリーは590&Co.の谷本さんが罫線レイアウトを提案して、マンスリーダイアリーでは私が長年温めていたアイデアを実現したものでした。

当時仕事としてもちろん自信を持って世の中に送り出したけれど、年を追うごとに思い入れが強くなってきました。

だから余計にマンスリーダイアリーを自分の生活の中に溶け込ませたいと思っていました。

毎朝長い距離を歩いて通勤していますので、なるべく荷物を軽くしたいという想いに反しますが、ウィークリーとマンスリーダイアリーの両方を使うことにしました。

使い始めて、予定やToDoの管理をマンスリーダイアリー、結果・覚書・記録などをウィークリーダイアリーに書くと、「未来と過去のこと」がゴチャゴチャにならずに見やすいことが分かりました。

マンスリーダイアリーはこの手のダイアリーとしては書くスペースも多く、とにかく見やすくて、どなたにも使いやすいダイアリーだと思います。

オリジナルダイアリーは大和出版印刷さんにかなりこだわって作ってもらっています。

万年筆でもにじまず、裏抜けしない用紙を使っていて、180度に開き、1年間持ちこたえてくれる丈夫な仕様で、ページが外れてバラバラになることはありません。こういうところもこのダイアリーをお客様に安心してお勧めできるところです。

ダイアリーなどの正方形のシリーズを「KOBE158SQ」というブランド名で統一したいと思っていて、少しずつ種類を増やしています。

筆記具に合わせて書き味を切り替えることができるTeriw THE MATTとのコラボ下敷き、「Teriw(テリュー) THE MAT KOBE158SQ Ver.」はそのひとつです。

今年は「ダブルページファインダー」として使えるダイアリーデザインのしおりを作りました。

2本の長いひもそれぞれが挟む2ヵ所をスピンのように使います。しおり本体部も入れるなら、3カ所をマークすることができます。

しおりひもが長いのは横幅の広い正方形ダイアリーでも使いやすくするためです。

正方形ダイアリーのシリーズはこれからも様々なものを増やしていきたいと思っています。

タテヨコ同じ長さの正方形をスクエアというけれど、人の集まる広場もスクエアと言います。

KOBE158SQという名前は万年筆を使う人の広場のような存在にこのダイアリーのシリーズがなって欲しいという願いを込めています。

⇒オリジナル正方形ダイアリーTOP

良いものを見逃さないために

良いものを見逃さない眼を持っていたいと思います。

そうするにはどうしたらいいのか。

美術館や博物館に通って美しいものをたくさん見て目を養ってくださいと、まだ若い頃ある方から教えてもらいました。幸せなことに、私には人生の中で先生と言える人が何人かいて、これは埼玉県にお住まいでいつも電話で色々な話をしてくださる方が教えてくれたことでした。

なかなか頻繁には行けていませんが、その教えの通りスケジュールが空いたらどこかの美術館や博物館に出掛けています。

そこで本当に見る眼が養われているかは分からないけれど、若い頃よりは目は肥えていると思います。

ものを見る時に、言葉に騙されることがあります。

実際のものは大したことがなくても、誰々が使っているとか壮大なストーリーがあったりなど、そういうものに惑わされないようにしたい。それも見る目があればできるのかもしれません。

いろんな本も勧められました。

実用書よりも小説の中にリアルがあって、小説で人について考えることができると教えてもらいました。確かに司馬遼太郎さんの「関ヶ原」は、仕事においての人間関係図のように思えます。

本を読むことで人について目や勘を養えたかはわからないけれど、大切な出会いを見逃さないためには、ものを見る目と同じくらい必要なことだと思います。

でも結局、美術館も本も結局自分の楽しみで見ていることなので、好きなことで仕事のプラスになるのならそんないいことはない。

万年筆は私にとって商売道具です。

販売しているからということではなく、それでアイデアを出したり考えをまとめたりするので、そう思っています。

自分にとって大切な道具である万年筆だけは、良いもの、自分の好みのものを持っていたいと思います。

色々なものが高くなっている中で、全てのものにこだわりを貫くことは難しくなってきたけれど、大切に思うものだけはこだわったものを持っていたい。

当店がセーラー万年筆さんに別注した、オリジナル仕様のKOP(King Of Pen)万年筆「KOP smoke」があります。

セーラーのキングプロフィット/KOPを以前からすごく書き味の良い万年筆だと思って当店でも扱ってきました。

セーラー万年筆の製品として敬意を払いながらも、オリジナル仕様で少しだけ違いを出したものを別注仕様として販売したいと思っていて、それを形にしたものです。

軸を半透明にして、以前から美しい造形だと思っていた内部の金属パーツを、外観の一部にしました。小振りなボディに対して、ペン先が大きく見えるとさらに魅力的だと思い、全長が短くなる両切りのKOP型のボディにしてもらいました。

結果的にモンブラン139やモンテグラッパエキストラなど、私が好きな万年筆と形状としては似たプロポーションになりました。

この万年筆には特に思い入れがあり、ぜひ自分でも欲しいと思っていました。

発売して日が経って動きも落ち着いてきましたので、やっと私も手に入れました。ものとして面白いと思っていましたので、どうしても見逃したくなかった。

もちろん自腹で買うわけですが、それでも欲しかった。とても嬉しくて毎日何か書いて、そのうっとりする書き味を楽しんでいます。

⇒セーラー万年筆 Pen and message. 別注モデル KOP smoke

自分との戦いと目を養うこと〜オリジナル万年筆〜

この店を始めて18年になろうとしています。時代は目まぐるしく移り変わっていてなかなか教訓になるような悟りには辿り着けていませんし、見つけたいとずっと探している変わらないものを掴むこともいまだにできずにいます。

でも今実感として思っているのは、自分たちが戦うべき相手は結局のところ自分たち自身だったということです。

私たちの規模の店だと、大きな景気の流れよりも自分たちがどんなものを持っているかどうかが業績を左右します。それは万年筆を面白いと思ってもらえる、当店だけで買えるもの、あるいはそれに近いものです。

いくら世の中の景気が悪くても、良いものがあればそれが店の業績を引っ張ってくれます。自分たちが努力を怠ったり、楽をしようとしたり、安全なルーティンしかしていなければ、店の業績は悪くなっていく。

だから自分たちが戦うべきは、安全な範囲内の仕事だけをしようとする自分の心の臆病さなのではないだろうか、と思うようになりました。

同業者は目標であって、戦う相手ではありません。

と言っても戦うべきものが見えたところで業績が良くなったわけでもなく、その時その時を必死にやってきた今までと、これからも何も変わらないだろうと思っています。

今は店に良いものが揃っていますので、一人でも多くの方に見ていただけるように告知したり、出張販売で直接触れていただく時なのだと思っています。

あらゆる制約を受けないオリジナルペン先やオリジナル万年筆は、当店が自信を持ってお勧めするもののひとつです。

欧米の有名ブランドのOEMをしている万年筆工場にお願いしたオリジナル万年筆は、1980年代のアメリカンクラシックを意識した軸のラインとペン先のモチーフも全てオリジナルデザインで、オリエンタルな雰囲気のあるものに仕上がりました。

価格的にリーズナブルなスチールペン先も、スチールの中では柔らかさが感じられる良い書き味を持っています。EFなら国産細字に近い細さで書けますので、手帳用の万年筆にも向いています。

14金のペン先はどうしても価格が上がってしまいますが、なるべく抑えめの価格にしています。こちらはしなやかな強さがあって、やはり安心感のある上質な書き味です。

オリジナルのペン先は最初から大きめのペンポイントがついていますので、三角研ぎや上弦の三角研ぎなどのオリジナルの研ぎもペンポイントの制約を受けずにすることができます。

上弦の三角研ぎのような伸びやかな形状の研ぎはこのペンポイントがあったからこそ実現した研ぎだと言えます。

この14金ペン先は「未研磨」の状態のものもあり、様々な形状の研ぎが可能で、無限の可能性があると思っています。

未研磨があるおかげで、ペン先作家TAKUさんにお願いしてオリジナル万年筆用の二層ニブ三層ニブも製作していただくこともできました。ひとつのオリジナル万年筆がこれだけ幅広いバリエーションを持つことになるとは私も予想していませんでした。

私たちのような規模の店はその時その時の出会いも自社の商品に反映されるので、出会いは大切にしたいし、そのタイミングを逃さないために見る目を養っておきたいと思っています。

⇒Pen and message.オリジナル万年筆 TOP