自分との戦いと目を養うこと〜オリジナル万年筆〜

この店を始めて18年になろうとしています。時代は目まぐるしく移り変わっていてなかなか教訓になるような悟りには辿り着けていませんし、見つけたいとずっと探している変わらないものを掴むこともいまだにできずにいます。

でも今実感として思っているのは、自分たちが戦うべき相手は結局のところ自分たち自身だったということです。

私たちの規模の店だと、大きな景気の流れよりも自分たちがどんなものを持っているかどうかが業績を左右します。それは万年筆を面白いと思ってもらえる、当店だけで買えるもの、あるいはそれに近いものです。

いくら世の中の景気が悪くても、良いものがあればそれが店の業績を引っ張ってくれます。自分たちが努力を怠ったり、楽をしようとしたり、安全なルーティンしかしていなければ、店の業績は悪くなっていく。

だから自分たちが戦うべきは、安全な範囲内の仕事だけをしようとする自分の心の臆病さなのではないだろうか、と思うようになりました。

同業者は目標であって、戦う相手ではありません。

と言っても戦うべきものが見えたところで業績が良くなったわけでもなく、その時その時を必死にやってきた今までと、これからも何も変わらないだろうと思っています。

今は店に良いものが揃っていますので、一人でも多くの方に見ていただけるように告知したり、出張販売で直接触れていただく時なのだと思っています。

あらゆる制約を受けないオリジナルペン先やオリジナル万年筆は、当店が自信を持ってお勧めするもののひとつです。

欧米の有名ブランドのOEMをしている万年筆工場にお願いしたオリジナル万年筆は、1980年代のアメリカンクラシックを意識した軸のラインとペン先のモチーフも全てオリジナルデザインで、オリエンタルな雰囲気のあるものに仕上がりました。

価格的にリーズナブルなスチールペン先も、スチールの中では柔らかさが感じられる良い書き味を持っています。EFなら国産細字に近い細さで書けますので、手帳用の万年筆にも向いています。

14金のペン先はどうしても価格が上がってしまいますが、なるべく抑えめの価格にしています。こちらはしなやかな強さがあって、やはり安心感のある上質な書き味です。

オリジナルのペン先は最初から大きめのペンポイントがついていますので、三角研ぎや上弦の三角研ぎなどのオリジナルの研ぎもペンポイントの制約を受けずにすることができます。

上弦の三角研ぎのような伸びやかな形状の研ぎはこのペンポイントがあったからこそ実現した研ぎだと言えます。

この14金ペン先は「未研磨」の状態のものもあり、様々な形状の研ぎが可能で、無限の可能性があると思っています。

未研磨があるおかげで、ペン先作家TAKUさんにお願いしてオリジナル万年筆用の二層ニブ三層ニブも製作していただくこともできました。ひとつのオリジナル万年筆がこれだけ幅広いバリエーションを持つことになるとは私も予想していませんでした。

私たちのような規模の店はその時その時の出会いも自社の商品に反映されるので、出会いは大切にしたいし、そのタイミングを逃さないために見る目を養っておきたいと思っています。

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