来年の予定を書く

来年のカレンダーを買わなければと思いながら、もう12月になろうとしています。

調整カウンターの横にカレンダーを設置するために用意したボードがあって、そこにぴったりのサイズで手帳と同じ月曜始まりであるという条件なのですが、なかなか良いものが見つかりません。いっそマンスリーダイアリーをカレンダー代わりに使おうかと毎年思います。

ちなみにそれを実現させたのがマンスリーダイアリーフレームです。マンスリーダイアリーを開いた状態でフレームに収めることができます。

私の場合は夏頃から来年の予定がどんどん入ってきますが、それらは翌年のマンスリーダイアリーに記入しています。

予定のほとんどは出張販売です。

当店単独で開催する出張販売を今年から「外遊露店」という呼び方をするようになりました。出張販売という言い方が素っ気なく、もっとワクワク感を出したくてネーミングしました。

1月17日(土)・18日(日)の銀座、7月3日(金)〜5日(日)の代官山、10月24日(土)25(日)の福岡が外遊露店となります。福岡の会場が少し広めなので、共同出店して下さるお店を探そうとしています。

外遊露店は単独でギャラリーをお借りして、POP UPショップという形態で、主に週末のみ営業します。当店単独営業のため静かですが、神戸の店をそのまま持って行った風情です。ゆっくりしていただけると思いますし、お客様とのお話しに花が咲くことがよくあります。

590&Co.さんと共同で開催する出張販売は、&(アンド)という名前になっています。そこに私たち以外の店舗が参加される場合は&+(アンドプラス)としています。

「&」は3月6日(金)〜8日(日)の横浜と、8月29日(土)30日(日)開催の名古屋を予定しています。

&とは少し違いますが、590&Co.さんの店内が会場で行われる綴り屋さんの即売会は9月26日(土)27日(日)開催で、私もペン先調整担当で会場に同席します。

&の面白さは、業種は同じだけど、品揃えと客層が全く違う2つのお店が同じ会場にあるというところです。

お客様と私が話していて、少し会場が空いていたら話題を谷本さんにも振って3人で談笑したりする。私はそういうところもこのイベントの楽しみだと思っています。

他には、たくさんのお店が参加するイベントがあります。

4月25日(土)26日(日)の「文具事変in仙台」は、10店ほどが参加する昨年から始まったイベントです。とてもロケーションの良い会場で、観光がてら来ていただいても楽しめると思います。

「NANIWA PEN SHOW」は5月30日(土)に開催される予定で、当店も参加します。

日程が決まっているイベントはこのくらいですが、そうやって決まっていくイベントにホテルの予約や交通機関、経費的なことを来年のマンスリーダイアリーに記入しています。

マンスリーダイアリーに予定とToDoを、ウィークリーダイアリーに記録を書くということを今年は実験的に試しているのですが、本当は少しでも荷物を減らしたいので、ウィークリーダイアリー1冊にまとめたい。でもマンスリーダイアリーの予定表としての使い勝手は捨て難い。

ダイアリーを書くときに細字に研ぎ出したペリカンM1000を使っていると以前書きましたが、本当に細かく書くとき特にマンスリーダイアリーにToDoを書くときには国産万年筆の細字で書きます。

極細を使うほどではないけどなるべく細かく読める字で書いて、たくさんの物事を1カ所に書きたいと思うからです。

最後になりましたが、イベントの日程は全て予定です。変更の可能性もありますので、日程が近づきましたら当店ホームページでご確認下さい。

⇒2026出張・イベント販売日程

⇒2026年オリジナル正方形ダイアリー

オリジナル万年筆を得て

当店がテナントで入っている建物のすぐ近くの兵庫県警本部は23階建てで、神戸としては高層ビルで、かなり離れたところからでも見えます。

休みの日よく出掛ける一駅離れた三宮から県警本部が見えると、その近くに店があることが確認できて何となくホッとして不思議な感情になります。

先日終わった神戸ペンショーの会場北野ノスタも、店から歩いて15分ほどの距離です。とても近いところで開催されているけれど、当店はあまり知られていないと感じますので、やはりイベント等に出て知っていただく努力を継続的にするべきだと思いました。

店を始めて18年経って、マイペースだけどできる範囲で活発に活動してきました。当店のことを知っていただくために、普段の生活ではあまり使わないSNSで告知をしていますが、なかなか定着していないと感じています。

物事の移り変わりのスピードはとても早くて、追いかけていたらキリがありません。結局は自分たちが信じたことをやり続けるだけだと思っています。

当店のことをご存知ないお客様にアピールするときにオリジナル万年筆の存在はとても大きく、目を引く役割があります。

これは欧米の老舗メーカーたちのOEMをしている万年筆工場で製作してもらっている、ベースモデルのない完全なオリジナルの万年筆です。

オリジナルの万年筆「コンチネンタルクラシックインスピレーション1985」は、スチールペン先と14金のペン先のものをご用意していて、全体的に高額になってしまった最近の万年筆の中では、どちらも比較的手に入れやすい価格になっています。

当店の主力商品になればと思って作ったオリジナル万年筆ですが、この商品があることでこんなに可能性が広がるのかと驚いています。

例えば今回の神戸ペンショーにも関東から来場されていたニブ作家のTAKUさんとの仕事も、オリジナル万年筆があったからできたことでした。

TAKUさんに2層ニブ、3層ニブを製作してもらう時は、当店から未研磨のペン先を送って加工してもらっています。これはオリジナルのペン先がないとできないことなので、本当に良かったと思いました。

他にも色々ありますが、今後ご紹介させていただきます。

オリジナル万年筆のペン先の絵柄 鳳凰は当店の新しいシンボルだと思っています。この万年筆を手に入れた今年、当店の歴史は第二章に入ったと思っています。

2026年度の出張販売の現時点で分かっているスケジュールをWEBページでご紹介しています。お近くにお邪魔する際はぜひご来場いただければと思います。

⇒2026年出張販売予定

⇒オリジナル万年筆コンチネンタルクラシックインスピレーション1985

1990年代前半から2010年代のパーカーの販売

文具の仕事に就いたのは1992年でした。ちょうどモンブランがヘミングウェイを発売した年で、限定万年筆ブームの幕開けの年だと言われています。

それから数々の万年筆が発売されて廃番になるのを見てきましたが、年数を経てそれらの万年筆と再会すると、当時のことを思い出して懐かしい気持ちになります。

この度はドイツに頻繁に行っている590&Co.の谷本さんの仲介で、ドイツのお店のデットストックのペンを仕入れることができました。

ブランドは全てパーカーで、万年筆、ローラーボール、ボールペン、シャープペンシルなど様々で、私が仕事に就いた頃に発売されたものから、十数年前までのものまであります。今では作られていない廃番のもの、仕様が変わっているもの、価格が安いものなどそれぞれですがどれも魅力的で、ドイツから届いた大きなダンボール箱をワクワクしながら開けました。

それらのペンのうち比較的手頃な価格の2005年頃のパーカーインシグニアのボールペンとシャープペンシルを、神戸ペンショーで20年前当時の価格で販売します。

2005年なんて私たちからするとごく最近に思えますが、若い人たちにとって20年前は日本史の出来事に思えるのかもしれません。

神戸ペンショー会場の神戸ノスタは繁華街の喧騒から外れた、トアロードを上がったところにあります。もう少し上がると歴史のあるホテルやレストランもあるし、すぐ近くにイスラム教会などもあって、神戸情緒が最も感じられる場所だと思います。

当店からそれほど離れていないので、密かに朝の散歩コースにもしているお気に入りの場所でもあります。

そんな地元で開催されるペンショーの賑やかしの役に少しでも立てればと、毎年当店なりにネタを持ち込んで参加させていただいています。

パーカー以外の品揃えは

・ペン先調整(整理券をお配りしますのでブースへお越し下さい)

・クラフトA 万年筆、インクローラーボール特別販売

・神戸ペンショー限定クロコペンシースL

・オリジナル万年筆コンチネンタルスチールペン先、14金ペン先

・セーラーKOP当店別注品「smoke」

・TAKU製作多層ニブ搭載コンチネンタル万年筆

・オリジナル正方形ダイアリーと関連品

・紙の箱一辺一辺さんのインク箱、ペンケース

・出張販売恒例の店主の放出品

などお持ちする予定です。テーブルに並びきらないと思いますので、お求めのものが見当たらない時はお声掛け下さい。

パーカーの他のデッドストック品は12月に日程を設けて販売会を開催いたします。

自分たちが仕事を始めた頃から今までの時代のパーカーのペンという思い入れのあるものを、地元神戸で開催される神戸ペンショーで販売できることをとても嬉しく思っています。

20周年記念のキャップレスデシモ

どんなこともただ楽しいということだけではなかなか根付かない。何か実質的なメリットがないとやはりいけないのだと思っています。

お客様のお話を伺っていると、万年筆を愛用している人はその手間を楽しんで使っているというよりも、書く性能の高さに惹かれて使っている人が多いように思います。

そのことを表しているのが、キャップレスの需要の高さです。

片手ですぐに書き出せる機動力を多くの人が求めている。あるいはそういう場面でも万年筆を使いたいと思う。

ダイアリーのページが書いた文字でいっぱいになっていると嬉しくなって、もっと書き込みたいと思いますが、それにもただ楽しいという理由だけではない実質的なメリットがあると思っています。

日中、刑事(デカ)手帳と呼んでいるオリジナルのM5手帳にネタをあれこれ書き込んで、一日が終わった時にダイアリーにまとめて書き写していますが、それは楽しんで続けています。それらのメモには時間も一緒に書いているのですが、そうすることで時間の経過も把握できて、その日一日を意識を持って過ごすコツになっているとある時気付きました。

ダイアリーを書きながら1日の復習をすると、翌日やるべきことを思い出したりして、明日の予習にもなります。学生の時からしていれば良かった。

手帳を書くことが楽しいと思うのは30年以上経っても変わらないので、奥が深い楽しみなのだと思いますが、実質的なメリットがあったから続いているのかもしれません。

手帳を自分の文字でいっぱいにする場合、大きな文字よりも小さな文字で書く方の方が多いと思います。

国産細字や極細などで細々とその日のことはその日の欄に書くようにすると情報が後からでも見つけやすい。

日中の刑事手帳に書く時も、オリジナルウィークリーダイアリーに書く時も細字以下のペンで書くということになります。

11月4日に発売になりましたキャップレスデシモ20thAnniversaryも、ご予約の半分以上がEFで、キャップレスの用途として手帳に使われることが多いのだと思います。

キャップレスデシモが発売された2005年は、この店を始める2年前でした。

キャップレスはそれまで真鍮のボディかプラスチックのボディでしたが、アルミ製のボディで軽量化と耐久性を両立して発売されました。

手帳のペンホルダーや胸ポケットに差して持ち運ばれることが多かったキャップレスの使われ方を意識したスペックでした。

たった20年前ですが、世の中は様々なことが今と違っていました。

東日本大震災を経験していなかったし、コロナ禍も経験していなかった。SNSもまだ一般的ではなく、これが私たちの仕事において大きな違いだと思います。情報発信の仕方が全く違っていました。

個人的には30代後半で、同年代の人たちの一番仕事に燃えていた時期に誕生したキャップレスデシモ。あれから20年も経ったけれど、そんな感慨に浸る暇もなく、これからも時代は激しく変わっていき、それに翻弄されながら仕事を続けていくのだと思います。

⇒パイロット キャップレスデシモ20th Anniversary