
先週、福岡に出張販売に行ってきました。
会場のある警固は、周りにカフェやアパレルのお店などがある福岡市内でも比較的落ち着いた場所で、出張販売に行くと私たちも街の一部になったようで嬉しくなります。福岡は行くたびに賑やかになっているようで、この街の発展振りが羨ましく思えます。
人口は神戸と同じくらいだと思いますが、その違いは街の雰囲気に表れています。
過去に栄えていたけれど人口が減っていてかなり前に福岡市に抜かれた神戸と、人口が増加していて韓国をはじめとするアジア圏のお客様が特に多い福岡との活気の違いは歴然としています。
でも福岡からでも、東京からでも新幹線で帰ってきて新神戸駅に降りた時はいつもホッとします。
毎日朝11時に店を開けて(土日祝は10時)夜7時に閉めるという規則正しい神戸の店での生活は静かで愛着のあるものだけど、どうしても仕事が単調になってしまいます。
そのスタイルでやって行けたらいいけれど、やはり店には何か刺激になることが必要なのだと思います。
出張販売の時は、イベントの重圧による精神的なプレッシャーと、イベント準備から後片付けまで時間と戦いながら動く体力的なキツさがあります。
でも出張販売があるからこそ何か特別なことをしようと企画するし、装備も揃えたいとあれこれ考えるし、出張販売は店の営業においても、私の生活においても適度な変化をもたらしてくれています。
出張にもよく持っていきますが、店を始めた時から18年使っているペリカンM450万年筆があります。
今は廃番になっていますが、M400と同じサイズでキャップと尻軸がスターリングシルバーに金張りのバーメイルという仕様になっているモデルです。
本来は軸がM400のホワイトトータス柄と同じですが、廃番になってからかなり時間が経過してから修理に出したため交換パーツがなく、黒軸になりました。
通常のペリカンにない仕様のものですが、柔軟に対応してくれて有り難かった。お陰でこの万年筆を使い続けることができています。
私の場合、ベストのポケットやシャツの胸ポケットに差して、通勤や外出時のメモ用のペンにしています。
重量がかなり軽いため、長時間書くという使い方よりも外出時に不安定な状態、例えば立ったままで書くとか、メモ帳や手帳を持った状態で書くという時にこの万年筆は真価を発揮します。
机上では、軽さゆえに書く時にどうしても力が入ってしまって使いにくかった万年筆が、メモ用にした途端にとても使いやすいものになりました。
その軽く、コンパクトなサイズから携帯性に優れていて、持ち運び用の万年筆だったのだと改めて気付きました。
最近は上着を着る時期が短くなっていると体感しています。
だから胸ポケットのついたシャツやベストをなるべく選びたいと思っていて、そらがこの万年筆の居場所だと思っています。
ペリカンM400は1950年前後から存在する、ペリカンでもっとも長い歴史を持つ万年筆です。
当時万年筆は実用の道具で、片時も離さずに胸ポケットに差していて、軽くコンパクトなM400のような万年筆の需要は高かったと想像しています。
今はM400を手帳用に使われる方が多いと思っています。
M400のEFを手帳に書くことができるように、国産細字程度に研ぎ出す、細字研ぎ出し加工をよく承るからです。
胸ポケットに差しやすいということは小さめの手帳のペンホルダーにも合うということで、今はそういう使われ方の方が多く、華やかな役割なのかもしれません。