筆記具を楽しむ〜パーカーのローラーボール

万年筆の楽しさを知る前、子供の頃から書くことは好きでした。

けっして上手くはなかったけれど、作文だけは好きでした。

高いボールペンは買えなかったけれど、安くても書き味にこだわって選んでいましたし、小学校5年生の時にブルーのユニボールが発売されてその書き味の良さと大人っぽい筆跡に衝撃を受けました。

考えてみると、自分は筆記具というものが好きだったのかもしれないと思います。子供の頃の色々なことは忘れているけれど、昔から使ってきた数々のペンたちのことは今でも思い出すことができます。

筆記具に関わる仕事がしたいという意識もなくこの業界に入り、でも楽しく色々なペンを見ているうちに、気がついたら30年以上経っていました。私にとっては恵まれたことだと思っています。

ドイツのお店のデッドストックの、1990年代初頭~2000年代初頭頃のパーカーを仕入れて販売しています。(⇒デットストックパーカードイツ仕入れ)

パーカーの良いところのひとつに、軸のどこかに刻印されているアルファベットとローマ数字によって、製造年と製造シーズンが分かるということがあります。ペンの本質とは関係ないかもしれませんが、個人的に何年に作られたペンなのか知りたい方で、それによって様々な想いを抱きますので、古くなるほどそれはとても重要ことだと思っています。

ドイツ仕入れのパーカーデッドストック品、半分ほどは売れてしまいましたが、まだまだ魅力的なものはあります。

日本ではローラーボールというのはあまり人気がないようで、本国で発売されていても日本に輸入されていないことも多く、目にすることが少ないと思っています。

ローラーボールというのは水性ポールペンのことで、先はボールペンで、インクが水性なので書き味は滑らかで、筆跡は万年筆に近いというものです。

外出時などに本領を発揮しますので、外で書くことの多い手帳のペンホルダーに差しておいてもいいかもしれません。

ローラーボールはボールペンと違って、万年筆と同じキャップ式です。

ローラーボールの芯だけだとドライアップしやすいですが、軸にセットされた芯はドライアップしにくく、今回のデッドストック品のローラーボールでも製造時に装填されていた芯の多くが筆記可能でした。

ローラーボールに関して、私も個人的に興味を持っています。

仕事の移動時間、休みの日の外出先でもメモをすることがかなり多く、筆記具と手帳はいつも持っています。

たいていはシャープペンシルかボールペンを使うことが多いけれど、筆跡は万年筆のようであって欲しいので、ローラーボールペンがその役割をしてくれるかもしれないと思っています。

今回が今年最後のペン語りになります。皆様今年一年ありがとうございました。良いお年をお迎え下さい。

*次回は1月9日の投稿になります。

セーラー万年筆の21金、18金、14金を比較する

セーラーの万年筆は、私にとってきれいな文字が書ける万年筆のひとつです。

と言っても私が書く字なので、通販で万年筆をお買い上げ下さったお客様なら、同梱している私の手紙をご覧になって「自分の中では」と前置きが付くことはお分かりだと思います。

私の持っている万年筆の字幅は、手帳用以外はほとんど中字です。それは用途がノートや手紙を書くことが多いからです。

これは完全に私の独断と偏見ですが、もっともセーラーらしさが表れる字幅は中字以上だと思っていますので、自分の好みと合っていてよかった。

最近自分用に買った別注品KOPsmokeも、以前から使っているプロフィット21も中字です。

なぜ中字以上だとセーラーらしいと思うのか。それはセーラー独特のペンポイントの研ぎが中字以上だとはっきり表れているからで、その研ぎの形によってセーラーらしいキレのある文字が書けるからです。

同じ国産のパイロットとプラチナは、引っかかり防止のためかペンポイントが丸く研がれています。

セーラーはペンポイントが五角形のような形に研がれていて、これがセーラーの万年筆でないと書けない文字が書ける理由ではないかと思っています。

ペン先の向きがズレると引っかかりが起こる可能性があるけれど、きちんとペンポイントに合わせて書くとヌルヌルとした書き味が得られ、量産メーカーでありながら、合わせて書くことを要求するあたり昔ながらの職人気質を感じます。

独特なペンポイントの研ぎをしているということでもセーラーは玄人好みの万年筆を作る会社だと言えます。新たに発売された万年筆でもセーラーのマニアックさを感じさせるものがありました。

セーラーの代表的な万年筆のプロフィット21がモデルチェンジにより廃番になり、代わりに14金ペン先の「プロフィット14」、18金ペン先の「プロフィット18」、21金ペン先の「プロフェッショナルギアアンカー」が発売されました。3種類とも同じ大型と言われるサイズのペン先が付いています。同じMで書き比べてみました。

・プロフィット14(14金ペン先)

14金ペン先は、硬めでしっかりした書き味が特長です。

プロフィット14もこの3本の中でもっとも硬い書き味を持っていました。筆圧の影響を受けにくく、安定して細かい字を書くことができますので、細字や極細などで細かい文字を書くのに向いています。多少筆圧がかかっても安心して書くことができますので、特に筆圧の強い方は使いやすく感じられるかもしれません。

金ペン先において、硬いというのはネガティブなイメージを持ちがちですが、筆圧がかかった時にペン先が開きにくいため、余計な引っかかりのない滑らかな書き味を持つ万年筆が多いです。

また太字の字幅ではその滑らかな滑りによって書き味の良さを感じていることが多く、あまり柔らかさを必要としないため太字の場合14金の選択もいいかもしれません。

・プロフィット18(18金ペン先)

プロフィットらしさは18金のプロフィット18に受け継がれていると思いました。柔らかすぎず程よい柔らかさで、絶妙な味付けを持つバランスの良い書き味のペン先です。

18金になると書く文字に強弱が出やすくなり、書いていて楽しいと思います。海外の万年筆の重厚な書き味にも引けを取らない書き味に仕上がっていると思います。

・21金のプロフェッショナルギアアンカー

プロフィットは軸の重量が軽めで、もう少し重い軸でもペン先のしなやかさが引き出せるのではないかと思っています。

21金ペン先のプロフェッショナルギアアンカーは首軸、尻軸が金属パーツになっていて、30gという最も理想的な重さになっています。

重めの軸によって21金ペン先の柔らかさをより感じやすくなっていて、かなり柔らかく感じられるのではないかと思います。

筆圧を低く書ける方、ゆっくり書く方にプロフェッショナルギアアンカーは合っていると思います。

同じ大きさ、同じ形で、金の含有量の違いによる書き味の違うペン先を用意するというところがセーラーらしいマニアックさで面白いと思っています。

⇒プロフィット14(新製品)

⇒プロフィット18(新製品)

⇒21金のプロフェッショナルギアアンカー(新製品)

オリジナルダイアリーのカバー

正方形のオリジナルダイアリー用のカバーを革やビニールで製作していただいています。

私もあれこれと使っているけれど、いつかはバゲラさんのダイアリーカバーを使ってみたいと思っています。

⇒バゲラ正方形ダイアリーカバー夜草

⇒バゲラ正方形ダイアリーカバー庭草Ⅱ

高価なのでたくさん売れるものではないけれど、オリジナル正方形ダイアリーを愛用してくださっている方の中でこのカバーを使いたいと思って下さる方は毎年数人はおられるし、私が使ういつかが来た時のためにも、なるべく製作していただくようにしています。

革質、作り、デザインなど最高のものだと思っていますし、自分のライフスタイルがこの1冊で変わると思えるくらい個性の強いカバーです。それくらいのパワーを感じるものが当店の品揃えの中にあることを誇らしく思っています。

バゲラさんはもう少し手頃なベビーバッファローレザーの正方形カバーも製作して下さっています。ダイアリーピッタリサイズで、マンスリー用とウィークリー用があるほどです。ベビーバッファローきめが細かく手触りがとても良く、使ううちに艶が出てきて、ピカピカに変化してくれます。

⇒バゲラベビーバッファローウィークリーカバー

⇒バゲラベビーバッファローマンスリーカバー

ビニールカバーはダイアリーの表紙を保護するために作りましたが、ダイアリーの表紙に切り抜きや写真などをコラージュするような楽しみ持たせてくれるものだと思います。

⇒正方形ダイアリー用透明カバー

革カバーはこのダイアリーを作り始めた時からこだわり続けています。

その時々で依頼する職人さんは違っていて、今は同じ元町の革製品のお店フリースピリッツの藤原さんにもお願いしています。レンマというブランドで革製品を作られていて、とても腕の良い有名な職人さんです。

藤原さんが国内のタンナーさんに掛け合って作ってくれた当店オリジナルの革、オーガニックオイルドレザーはその名前の通り、自然のタンニンでなめされた革にオイル分を多めに馴染ませた革です。使ううちに少しずつ艶が出てきます。私はたまに指先でなでるようにこすっているうちに艶が出てきました。

オーガニックオイルドレザーは繊細すぎず、そこそこ傷に強く、日常的に使いやすい革だと思います。

⇒オリジナル正方形カバーダークブラウン

⇒オリジナル正方形カバーブラック

オーガニックオイルドレザーのダイアリーカバーのペンホルダーには少し細めのペンがフィットします。

ファーバーカステルクラシック、ファーバーカステルアンビション、パイロットグランセ、ペリカンM400、パーカーソネットなどが入るイメージです。

私は収まっている姿が美しいと思うファーバーカステルクラシックを入れて使っています。

あとは細かい話になりますが、ベルト部のボタンの凸側はベルトの方についている方が良いです。手帳カバーの本体に凸側があると、左ページを書くときに出っ張りが支点になって、手帳がフラフラと揺れて安定しません。自分で毎日一年間使って分かった事です。

使っていてこうあって欲しいという改良点が見つかったらその都度改良したいと思っていますが、今のところ見つかっていません。

ダイアリーに革カバーを付けると、かさ張って荷物になると思われるかもしれないけれど、そのダイアリーにより愛着が湧いて、もっと使いたいと思っていただけると思います。

同じダイアリーを使い続けると年を重ねるごとに使い方が洗練されて、きっと仕事の効率化がはかれると思います。

正方形オリジナルダイアリーは、内容だけでなく、そのカバーや関連用品も自分の好み、使い方に合わせられるので、多くの方にフィットすると思っています。

モノトーンのペリカン

WEBショップやSNSに載せるためにペンの写真をよく撮ります。

カメラはずっとソニーα7Rとニコンの古い広角レンズの組み合わせを使っていますが、とても満足しています。たまに自分で撮ったとは思えない奇跡の一枚が撮れる時があって、完全にカメラとレンズの力でもやはり嬉しい。

もう一つ奇跡を起こす要件があって、それは光です。

当店は北向きで、適度に抑制されたいい光が午前中だけ入ってきます。窓の近くのこの光の下で写真を撮ると、結構な確率で奇跡の一枚が撮れます。

奇跡の一枚には被写体が良いということもあります。万年筆は写真映えするモノのひとつだと思っています。

ペリカンがM800で白黒写真にしてもいい映りをしそうな限定万年筆をたて続けに発売しました。

M805メタルスリーブと12月中に発売予定となっているM809ブラックマットです。

写真映えが万年筆の目的ではないので最初に取り上げるのはどうかと思いますが、万年筆の楽しみの一つだと常々思っています。

M805メタルスリーブはボディの中心が金属のプレートに覆われていて、筆記バランスのよいアクセントにもなっています。

このバランスならキャップを尻軸につけなくても書き味良く書けると思います。

これから発売になるM809ブラックマットは艶消しブラックのボディと光沢のあるブラックの首軸とキャップのシックな仕様で、写真映えは間違いありません。

私はM800を知ってから、とても良い万年筆だと思いましたのでお客様にもお勧めしてきました。

M800は金ペン先の中でも比較的硬めのペン先ですが、全く動かない硬さではなく、硬めのスプリングのようなフィーリング持っています。筆記中の安心感があって、スピードを上げて書くこともしやすい、ちょうどいいセッティングだと思っています。

筆記感と軸のバランスなど、総合力がこれほど高い万年筆は他にないと思っていて、そういうところがペリカンM800が万年筆の定番と言われるところかもしれません。

M800の良さ、というかスーベレーンシリーズの良さは他にもあって、軸径の割に出っ張りが少なく、スリムだというところです。

しっかりとした持ち心地があるのにスペースを取らず、細めのペンケースに収納することができます。でもこれも万年筆の本題から外れているのかもしれませんが、使いやすさにおいて大切な要件の一つだと思います。

今年はペリカンが話題になることが増えて、嬉しく思っています。

⇒スーベレーン M805 メタルスリーブ

来年の予定を書く

来年のカレンダーを買わなければと思いながら、もう12月になろうとしています。

調整カウンターの横にカレンダーを設置するために用意したボードがあって、そこにぴったりのサイズで手帳と同じ月曜始まりであるという条件なのですが、なかなか良いものが見つかりません。いっそマンスリーダイアリーをカレンダー代わりに使おうかと毎年思います。

ちなみにそれを実現させたのがマンスリーダイアリーフレームです。マンスリーダイアリーを開いた状態でフレームに収めることができます。

私の場合は夏頃から来年の予定がどんどん入ってきますが、それらは翌年のマンスリーダイアリーに記入しています。

予定のほとんどは出張販売です。

当店単独で開催する出張販売を今年から「外遊露店」という呼び方をするようになりました。出張販売という言い方が素っ気なく、もっとワクワク感を出したくてネーミングしました。

1月17日(土)・18日(日)の銀座、7月3日(金)〜5日(日)の代官山、10月24日(土)25(日)の福岡が外遊露店となります。福岡の会場が少し広めなので、共同出店して下さるお店を探そうとしています。

外遊露店は単独でギャラリーをお借りして、POP UPショップという形態で、主に週末のみ営業します。当店単独営業のため静かですが、神戸の店をそのまま持って行った風情です。ゆっくりしていただけると思いますし、お客様とのお話しに花が咲くことがよくあります。

590&Co.さんと共同で開催する出張販売は、&(アンド)という名前になっています。そこに私たち以外の店舗が参加される場合は&+(アンドプラス)としています。

「&」は3月6日(金)〜8日(日)の横浜と、8月29日(土)30日(日)開催の名古屋を予定しています。

&とは少し違いますが、590&Co.さんの店内が会場で行われる綴り屋さんの即売会は9月26日(土)27日(日)開催で、私もペン先調整担当で会場に同席します。

&の面白さは、業種は同じだけど、品揃えと客層が全く違う2つのお店が同じ会場にあるというところです。

お客様と私が話していて、少し会場が空いていたら話題を谷本さんにも振って3人で談笑したりする。私はそういうところもこのイベントの楽しみだと思っています。

他には、たくさんのお店が参加するイベントがあります。

4月25日(土)26日(日)の「文具事変in仙台」は、10店ほどが参加する昨年から始まったイベントです。とてもロケーションの良い会場で、観光がてら来ていただいても楽しめると思います。

「NANIWA PEN SHOW」は5月30日(土)に開催される予定で、当店も参加します。

日程が決まっているイベントはこのくらいですが、そうやって決まっていくイベントにホテルの予約や交通機関、経費的なことを来年のマンスリーダイアリーに記入しています。

マンスリーダイアリーに予定とToDoを、ウィークリーダイアリーに記録を書くということを今年は実験的に試しているのですが、本当は少しでも荷物を減らしたいので、ウィークリーダイアリー1冊にまとめたい。でもマンスリーダイアリーの予定表としての使い勝手は捨て難い。

ダイアリーを書くときに細字に研ぎ出したペリカンM1000を使っていると以前書きましたが、本当に細かく書くとき特にマンスリーダイアリーにToDoを書くときには国産万年筆の細字で書きます。

極細を使うほどではないけどなるべく細かく読める字で書いて、たくさんの物事を1カ所に書きたいと思うからです。

最後になりましたが、イベントの日程は全て予定です。変更の可能性もありますので、日程が近づきましたら当店ホームページでご確認下さい。

⇒2026出張・イベント販売日程

⇒2026年オリジナル正方形ダイアリー

オリジナル万年筆を得て

当店がテナントで入っている建物のすぐ近くの兵庫県警本部は23階建てで、神戸としては高層ビルで、かなり離れたところからでも見えます。

休みの日よく出掛ける一駅離れた三宮から県警本部が見えると、その近くに店があることが確認できて何となくホッとして不思議な感情になります。

先日終わった神戸ペンショーの会場北野ノスタも、店から歩いて15分ほどの距離です。とても近いところで開催されているけれど、当店はあまり知られていないと感じますので、やはりイベント等に出て知っていただく努力を継続的にするべきだと思いました。

店を始めて18年経って、マイペースだけどできる範囲で活発に活動してきました。当店のことを知っていただくために、普段の生活ではあまり使わないSNSで告知をしていますが、なかなか定着していないと感じています。

物事の移り変わりのスピードはとても早くて、追いかけていたらキリがありません。結局は自分たちが信じたことをやり続けるだけだと思っています。

当店のことをご存知ないお客様にアピールするときにオリジナル万年筆の存在はとても大きく、目を引く役割があります。

これは欧米の老舗メーカーたちのOEMをしている万年筆工場で製作してもらっている、ベースモデルのない完全なオリジナルの万年筆です。

オリジナルの万年筆「コンチネンタルクラシックインスピレーション1985」は、スチールペン先と14金のペン先のものをご用意していて、全体的に高額になってしまった最近の万年筆の中では、どちらも比較的手に入れやすい価格になっています。

当店の主力商品になればと思って作ったオリジナル万年筆ですが、この商品があることでこんなに可能性が広がるのかと驚いています。

例えば今回の神戸ペンショーにも関東から来場されていたニブ作家のTAKUさんとの仕事も、オリジナル万年筆があったからできたことでした。

TAKUさんに2層ニブ、3層ニブを製作してもらう時は、当店から未研磨のペン先を送って加工してもらっています。これはオリジナルのペン先がないとできないことなので、本当に良かったと思いました。

他にも色々ありますが、今後ご紹介させていただきます。

オリジナル万年筆のペン先の絵柄 鳳凰は当店の新しいシンボルだと思っています。この万年筆を手に入れた今年、当店の歴史は第二章に入ったと思っています。

2026年度の出張販売の現時点で分かっているスケジュールをWEBページでご紹介しています。お近くにお邪魔する際はぜひご来場いただければと思います。

⇒2026年出張販売予定

⇒オリジナル万年筆コンチネンタルクラシックインスピレーション1985

1990年代前半から2010年代のパーカーの販売

文具の仕事に就いたのは1992年でした。ちょうどモンブランがヘミングウェイを発売した年で、限定万年筆ブームの幕開けの年だと言われています。

それから数々の万年筆が発売されて廃番になるのを見てきましたが、年数を経てそれらの万年筆と再会すると、当時のことを思い出して懐かしい気持ちになります。

この度はドイツに頻繁に行っている590&Co.の谷本さんの仲介で、ドイツのお店のデットストックのペンを仕入れることができました。

ブランドは全てパーカーで、万年筆、ローラーボール、ボールペン、シャープペンシルなど様々で、私が仕事に就いた頃に発売されたものから、十数年前までのものまであります。今では作られていない廃番のもの、仕様が変わっているもの、価格が安いものなどそれぞれですがどれも魅力的で、ドイツから届いた大きなダンボール箱をワクワクしながら開けました。

それらのペンのうち比較的手頃な価格の2005年頃のパーカーインシグニアのボールペンとシャープペンシルを、神戸ペンショーで20年前当時の価格で販売します。

2005年なんて私たちからするとごく最近に思えますが、若い人たちにとって20年前は日本史の出来事に思えるのかもしれません。

神戸ペンショー会場の神戸ノスタは繁華街の喧騒から外れた、トアロードを上がったところにあります。もう少し上がると歴史のあるホテルやレストランもあるし、すぐ近くにイスラム教会などもあって、神戸情緒が最も感じられる場所だと思います。

当店からそれほど離れていないので、密かに朝の散歩コースにもしているお気に入りの場所でもあります。

そんな地元で開催されるペンショーの賑やかしの役に少しでも立てればと、毎年当店なりにネタを持ち込んで参加させていただいています。

パーカー以外の品揃えは

・ペン先調整(整理券をお配りしますのでブースへお越し下さい)

・クラフトA 万年筆、インクローラーボール特別販売

・神戸ペンショー限定クロコペンシースL

・オリジナル万年筆コンチネンタルスチールペン先、14金ペン先

・セーラーKOP当店別注品「smoke」

・TAKU製作多層ニブ搭載コンチネンタル万年筆

・オリジナル正方形ダイアリーと関連品

・紙の箱一辺一辺さんのインク箱、ペンケース

・出張販売恒例の店主の放出品

などお持ちする予定です。テーブルに並びきらないと思いますので、お求めのものが見当たらない時はお声掛け下さい。

パーカーの他のデッドストック品は12月に日程を設けて販売会を開催いたします。

自分たちが仕事を始めた頃から今までの時代のパーカーのペンという思い入れのあるものを、地元神戸で開催される神戸ペンショーで販売できることをとても嬉しく思っています。

20周年記念のキャップレスデシモ

どんなこともただ楽しいということだけではなかなか根付かない。何か実質的なメリットがないとやはりいけないのだと思っています。

お客様のお話を伺っていると、万年筆を愛用している人はその手間を楽しんで使っているというよりも、書く性能の高さに惹かれて使っている人が多いように思います。

そのことを表しているのが、キャップレスの需要の高さです。

片手ですぐに書き出せる機動力を多くの人が求めている。あるいはそういう場面でも万年筆を使いたいと思う。

ダイアリーのページが書いた文字でいっぱいになっていると嬉しくなって、もっと書き込みたいと思いますが、それにもただ楽しいという理由だけではない実質的なメリットがあると思っています。

日中、刑事(デカ)手帳と呼んでいるオリジナルのM5手帳にネタをあれこれ書き込んで、一日が終わった時にダイアリーにまとめて書き写していますが、それは楽しんで続けています。それらのメモには時間も一緒に書いているのですが、そうすることで時間の経過も把握できて、その日一日を意識を持って過ごすコツになっているとある時気付きました。

ダイアリーを書きながら1日の復習をすると、翌日やるべきことを思い出したりして、明日の予習にもなります。学生の時からしていれば良かった。

手帳を書くことが楽しいと思うのは30年以上経っても変わらないので、奥が深い楽しみなのだと思いますが、実質的なメリットがあったから続いているのかもしれません。

手帳を自分の文字でいっぱいにする場合、大きな文字よりも小さな文字で書く方の方が多いと思います。

国産細字や極細などで細々とその日のことはその日の欄に書くようにすると情報が後からでも見つけやすい。

日中の刑事手帳に書く時も、オリジナルウィークリーダイアリーに書く時も細字以下のペンで書くということになります。

11月4日に発売になりましたキャップレスデシモ20thAnniversaryも、ご予約の半分以上がEFで、キャップレスの用途として手帳に使われることが多いのだと思います。

キャップレスデシモが発売された2005年は、この店を始める2年前でした。

キャップレスはそれまで真鍮のボディかプラスチックのボディでしたが、アルミ製のボディで軽量化と耐久性を両立して発売されました。

手帳のペンホルダーや胸ポケットに差して持ち運ばれることが多かったキャップレスの使われ方を意識したスペックでした。

たった20年前ですが、世の中は様々なことが今と違っていました。

東日本大震災を経験していなかったし、コロナ禍も経験していなかった。SNSもまだ一般的ではなく、これが私たちの仕事において大きな違いだと思います。情報発信の仕方が全く違っていました。

個人的には30代後半で、同年代の人たちの一番仕事に燃えていた時期に誕生したキャップレスデシモ。あれから20年も経ったけれど、そんな感慨に浸る暇もなく、これからも時代は激しく変わっていき、それに翻弄されながら仕事を続けていくのだと思います。

⇒パイロット キャップレスデシモ20th Anniversary

アジアの中の日本の万年筆〜鳳凰に惹かれて〜

大袈裟な言い方になりますが、生きることとは私の場合自分との戦いなのかもしれないと思っています。

昨年末から症状が続いている金属アレルギーは、自分の免疫作用が自分の体を攻撃するというもので、自分の体が自分の特定の物質への反応と戦っているものです。

店の仕事は、どこにもライバルのいない、自分たちがお客様に面白いと思ってもらえるネタを仕込めるかどうかで業績が変わってくる仕事だと思っています。これには景気の動向さえも関係ありません。

同業他店は、同じ業界を盛り上げる仲間です。私たちは他所のお店と張り合うのではなく、どうやって共存するかを考えるべきだと思います。他所のお店が持っていて、私たちが持っていないものがあれば、それを羨むのではなく参考にできることは参考にしていく。

全ては自分の心との戦いなのだと思います。

だから、自分を鑑みるという鏡が象徴するメッセージが気になりました。

先日、兵庫県加西市のフラワーセンターの中にある古代鏡展示館に行ってきました。3700年ほど前から1000年前に中国で作られた銅鏡を約500点所蔵しています。

当店のオリジナル万年筆「コンチネンタルクラシックインスピレーション1985」のペン先には鳳凰の模様をあしらっています。日本的な高貴なイメージのあるモチーフで、この万年筆が使う人のお守りのような存在になれたら、という願いも込めています。

銅鏡には宗教的な意味や権力や富を象徴した模様をあしらったものが多く、その中でも鳳凰は多くの鏡に施されている代表的なモチーフでした。そんな様々な鳳凰をこの目で見たいと思いました。

専門的な知識もなく、審美眼を持っているわけでもないので、展示物の中で自分の好みのものを探したりしながら、時間をかけてゆっくりたくさんの鏡を観てきました。

銅鏡は全て中国で作られたもので、その中に使われているモチーフが日本にも伝わって定着しています。

鳳凰というモチーフはアジアの中の日本を象徴する模様で、ますますこの万年筆のペン先の図柄として相応しいものだと確認することができました。

この万年筆は鳳凰のモチーフがあることで、鏡と同じように自分を鑑みる、自分との戦いに勝つための道具だというふうに思ってもらえたら素敵だと思います。

⇒Pen and message.オリジナル コンチネンタルクラシックインスピレーション1985 TOP

大切な日々を記すオリジナルダイアリーとM1000

毎日のお客様のお買い上げ品、やり取り、仕事の内容、訪れた場所などについて、全てオリジナルウィークリーダイアリーに記録しています。

そういう記録が後々役に立つということもありますが、お客様が万年筆をご購入されるという記念すべき時間に立ち会った記録として、残しておきたいと思っています。

そうしておくと、過ぎた一日一日がとても愛おしく大切に思えます。

そういう心境になってきたのは、仕事ができる人生の少なさを自覚し始めたからかもしれません。

時間を無駄にしないように1分1秒を惜しんで行動するとか、ストイックに自己研鑽に励むというようなこととは違う、時間を大切に扱う気持ち。一つ一つの出来事への愛おしさのようなものが強くなって、それをウィークリーダイアリーに記録しています。

今までは自分が何を生み出せるかということにこだわっていました。ない知恵を振り絞って、何か考えが浮かぶまで寝る時間を削って考えていたりしていたけれど、それはやめてお客様との時間を大切にしたいと思って、睡眠時間を確保するようになりました。これは若い頃にはなかった感覚・・というよりもついこの間までなかった感覚です。

今までのことも、もっと大切に記録しておけば良かったと思います。

そういう過ぎてしまった時間への悔恨のようなものを感じさせる小説がドイツ人作家ベルンハルト・シュリンクの「朗読者」です。ナチズムへの反省という重いテーマもありますが、大人だからこそ理解できる小説だと思います。

11月3日まで開催していますペリカンフェアのお買い上げ特典のひとつがこの「朗読者」で、クラシックシリーズ(M200/M205)の万年筆をお買い上げのお客様にプレゼントしています。

さらにM400以上のスーべレーンシリーズになると、この「朗読者」の本と「ペリカン特製メモパッド」をプレゼントします。

考えてみると、私もM300からM1000までの全てのサイズのスーべレーンを使っています。それぞれのサイズの特長を分かっているつもりですが、私は個人的にM1000BBをEF相当に研ぎ出して手帳用にしていますので、サイズの選択は理屈ではないのかもしれません。

M1000のペン先はとても柔らかいので、細字ながらも筆圧の加減でかなり文字に強弱が出て、それはM1000ならではのことだと思っています。

手紙や葉書にはきれいな文字が書けるKOP smoke、ノートに原稿の下書きなどアイデア出しには149、手帳にはM1000。それぞれに合った用途でオーバーサイズの万年筆を使いたいと思います。

⇒オリジナル正方形ダイアリー

⇒ペリカンM1000緑縞

⇒ペリカンM1000黒軸