オマスアルテイタリアーナ~良さを伝えたい~

オマスアルテイタリアーナ~良さを伝えたい~
オマスアルテイタリアーナ~良さを伝えたい~

「文集雑記から」の作文を募集していて、もちろん私も参加するつもりで、どの万年筆について書くか考えています。
既に高い評価を得ているようなものよりも、あまり人が使っていないようなものの良さを伝えたいと思っているので、本当によく使っているオマスについて書こうかと思い始めています。

そんなことを言うと夢もロマンもないと思われるかもしれませんが、万年筆はちゃんと調整されていて、正しい書き方をしていれば、どの万年筆も書きやすいに決まっています。
書き味が良くない万年筆があったとしたら、そのモデル全てが書きにくいのではなく、その個体が書きにくいだけで、書き味だけで万年筆を選んで欲しくない。
その万年筆の存在に共感するかということを選択の条件にしてもらいたいと思っています。
本社を訪ねたということもあるのかもしれないけれど、モンブランをライバルだと思っているオマスの万年筆に大いに共感しています。
横綱に戦いを挑んでいるように映るかもしれないけれど、そういう心を持っているところがとても好きだと思える。
反骨心というのは、私を支えてきた気概のようなもので、いつも自分よりも大きなもの、力の強い者、有名なものに対してどう戦うかを思ってきたような気がします。
ひがみではなく、それはある意味で恵まれていたと思うけれど、ずっと挑戦者としてどう立ち回るべきか考える癖がついていて、メジャーでないメーカーの万年筆を支持したくなるのです。

私の理想ですが、万年筆には思想のようなものを反映しているもの、精神性を表しているものを選んで欲しいと思っています。
万年筆の書き味や一般的な評価や宣伝ではなく、それぞれのメーカーが目指している方向性を万年筆を選ぶポイントにしてもいいと思います。

オマスは誰もが使いやすいと言うペリカンとは少し違っていて、ほんの少し使い手に一工夫というか、歩み寄る努力を求めます。
例えばインクに関して、夏はあまり気にしなくてもいいですが、冬はインク出が多くなったり、ボタ落ちしやすくなる。オマスの万年筆もインク出が多くなりますので、出が少なくなるインクを使う方がいいというコツのようなものがあります。
オマスの純正インクを試して、それでも出が多かったら、ペリカンブルーブラック、当店オリジナルインクCigarなどを私は冬に使っていますので、参考にして下さい。

最もオマスらしい万年筆は、12角形のアルテイタリアーナのシリーズで、標準サイズのミロードとオーバーサイズのパラゴンがあります。
私が持っている万年筆の中でミロードを書きやすいと言う人が多いのは、この万年筆の良さを物語っていると思います。
ミロードはボディの色によって書き味が違い、それは何かオマスの仕掛けたいたずらなのではないかと思えます。
ゴールドフィニッシュ(黒ボディ)のミロードを私は自然体の万年筆だと思っています。
強い個性を主張するわけではなく、どこにも気負ったところがない。でも使っていてなぜか心地良い。
それに対して、ローズゴールドフィニッシュ(マルーンボディ)はネットリとした味わいの濃い万年筆です。
現代の万年筆としてはとても柔らかいペン先となぜかローズゴールドのみエボナイトのペン芯。
この濃厚な味わいは、忘れられない強い個性を持っているのです。

パラゴンは手に余るくらいのボディサイズと重量で、手応えを大いに感じます。
ミロードのちょうど良さとは全く違う、この万年筆を扱って書くことでアドレナリンが分泌されるような気持の高まりを覚えます。
書き味は弾力があって、安心感がありながら、味わいもある絶妙なバランスの上に成り立っています。
使えることが嬉しくなる、単純に書くことが嬉しくなるのがパラゴンだと思って、いつも使っています。

オマスの万年筆が見せたい世界観を感じたら、きっと他の万年筆では代用できないのだと思うほどの主張があって、もっとたくさんの人に使ってもらいたい万年筆のひとつがオマスなのです。