ペリカン600ピンクは、万年筆もボールペンもあっと言う間に売り切れてしまいました。
久々に出た、女性をターゲットにした万年筆の出現に各店は大いに期待しましたが、数が少なすぎました。
ペリカンはたまに女性に向けたペンを発売していて、それはどれも成功しているように思います。
きっとこういうことの積み重ねが万年筆を使う女性のお客様を増やすことにつながっていくのだと思います。
一昨年辺りから当店にも、それまで珍しかった女性のお客様が目立つようになっています。
一概に言うのはあまり良くないけれど、女性は男性のようにモノから入らず、結果や行動から万年筆に入ってくる傾向にあると思っています。
日記を楽しく書きたいから万年筆を使うとか、手紙を書きたいからインクに凝るとか、多くの女性は自分の価値観で、自分好みのものを見つけて楽しむことができる。
それに対して男は、人の影響を受けているようなところがあります。
自分の価値観よりも人の意見に左右される。そして自分がそれで何をするかよりも、そのモノに惹かれて、手に入れてからどうしようかと考える。
私もカメラというモノに惹かれて、まず手に入れてから、自分のライフスタイルの中でのカメラの居場所が見つかった。
そんなふうに言うと一緒にするな、と怒られるかもしれないけれど。
これから万年筆をもっと多くの方に使ってもらえるものにしたり、華やかなものにするためには、女性と若い人、子供たちにいかに使ってもらえるかだと思っていて、万年筆店としてまず女性のお客様に来ていただける店になるにはどうしたらいいかとよく考えます。
そう考えるところまで当店を連れてきてくれたのは、カンダミサコさんのペンシースだったのかもしれません。
革1枚を丸めただけのシンプルな形ですが、コロンとしていて、素材となるシュランケンカーフのカラーバリエーションと相まって、早い段階から女性のお客様に人気がありました。
ペリカン600ピンクが発表になった時に写真をカンダさんに見てもらって、1本差しと2本差しのペンシースをこれに合わせて作って欲しいとお願いしました。
2本差しペンシースもシンプルな形で、ペンの出し入れがしやすく、例えば仕事で必要な万年筆とボールペンを組み合わせて使う時などにスマートに使うことができるものだと思っています。
ペリカンピンクはすぐになくなってしまい、女性の万年筆ユーザーを増やすことにつなげることはできなかったけれど、カンダミサコさんのピンクのペンシースのシリーズがその代わりになるかもしれないと思っています。
1本差しはシュランケンカーフエッグシェルにピンクのステッチ、2本差しはエッグシェルの表革にピンクのシュランケンカーフの内革にして、派手派手しくなく大人の女性向けの配色になっています。
当店から女性のお客様にもっと万年筆を楽しんでいただくための働きかけのひとつになったと、大いに気に入っています。