ペリカンの万年筆の中でレギュラーサイズのM800の書くことにおいての完成度は疑う余地のないところですが、万年筆というものの面白さで言うとM400も侮れないものがあります。
名品のM700トレドもM400サイズですし、今年ペリカンが立て続けに発売しているステンレスペン先の特別生産品のM200クラシックコニャック、カートリッジ式のP200/P205もM400サイズで、手軽に本格的な万年筆を使っていただき、万年筆を使う人を増やしたいというペリカンの会社としての志のようなものが感じられます。
そしてこのサイズはやはりペリカンにとって、スタンダードなのかもしれないと思います。
P200/P205、M200コニャック、いずれもペン先の素材や、装飾の簡略化によって価格を抑えたもので、実用性は高いし、趣味的にも遊べる万年筆だと思うようになりました。
例えばM400とM200などはペン先ユニットの互換性があるため(P200/P205はペン芯の構造が違うためにできません)、M200コニャックのステンレスペン先をM400の金ペンに差し換えて使うということが、ペン先をユニットごと外すことができるペリカンならできます。
これは正規品を販売している私たちのような店の者が言ってはいけないことなのかもしれないけれど、それぞれ個人の人が自己責任で楽しむという断り付きでのつぶやきです。
でも、暑い季節に使いたいと思う、軽く透明感のある、なかなかセンスが感じられるコニャックのボディと柔らかい書き味のM400の金ペンとの組み合わせがアンバランスで、通好みな設えだと思うのは、私だけではないと思います。
そんな遊べる要素のあるM400サイズのペン2本をコンパクトに収めることができる、ホーウィン社のコードバンを使ったWRITING LAB.オリジナルペンケース“ピノキオ”は発売後すぐに完売してしまい、革が希少だということもあり、再製作もままならず多くお客様にご迷惑をお掛けしてしまいました。
ピノキオのコードバンタイプとほぼ同時進行で、サマーオイル革のピノキオもベラゴの牛尾さんに製作してもらっていたのですが、今回それが完成しました。
サマーオイル革は、北米から輸入された革を栃木のタンナーがなめしている栃木レザーで、WRITING LAB.としては、サマーオイルメモノートの底革としてすでに愛着のある革です。
丈夫で手触りが良く、使い込むとよりはっきりと艶が出てくれます。
革質が違うだけで、構造やサイズはコードバン製のピノキオと同じになっています。
ジャケットのポケットに入れて持ち出すペンケースという存在は同じなので、ピノキオの機能性を気に入って下さっていた方には朗報だと思います。