ピナイダー〜今の時代が求めている万年筆を形にしてみせたエキスパートの仕事〜

ピナイダー〜今の時代が求めている万年筆を形にしてみせたエキスパートの仕事〜
ピナイダー〜今の時代が求めている万年筆を形にしてみせたエキスパートの仕事〜

オマス、デルタが姿を消したイタリアから、このまま万年筆メーカーがひとつずつなくなっていくのではないかと一時期心配していました。
万年筆を作り出す国が日本とドイツだけになってしまったら、万年筆はただの書き心地が良いだけの筆記具になってしまう。
万年筆はイタリアのメーカーが作り出すものがあってこそ面白い存在でいられると思っています。
やはりイタリアは不景気に苦しんでいるのかと思っていた時に、ピナイダーという新しい万年筆が生まれました。
ピナイダー自体は1744年から存在するステーショナリーの世界では老舗として知られていましたが、万年筆の世界では無名でした。
そのピナイダーがビスコンティの創業者の一人ダンテ・デル・ベッキオ氏を「ペンエキスパート」に招き、新しい万年筆を作りました。

万年筆が好きな人の心をくすぐる仕様を押さえていて、さすがビスコンティで30年間万年筆の仕事をしてきた人だと思いました。
ビスコンティでの経験が生かされているところもあるけれど、ダンテ氏のその感性がフレッシュなことに驚きます。
羽根ペンをモチーフにしたクリップ、梨地加工のキャップリング、マグネットの力で閉まるキャップ構造、ただ透けているだけではない見せるための内部機構を持つデモンストレーター。
そして最大の特長である、ペン先メーカーボックと共同開発したペン先。
それは独特の形で、筆圧の加減により、フレックスさせることができて、弾力が強めの地金によって開いたペン先の戻りが早くなっています。

当店がウォール・エバーシャープを日本で独自に扱うようになって知ったことは、世界の万年筆ユーザーはフレックスさせて書くことができる万年筆を求めているということでした。そういったものは今よく売れているドイツ製の万年筆にはなく、パイロットエラボーやフォルカンペン先のような一部の万年筆でしか量産されていない。

日本人は、ペン先を傷めないようにフレックスさせて書かないと聞いたことがあります。
たしかにその文字の性質から大きな抑揚は必要ないかもしれません。
でも軽い筆圧で書いてもこのペン先は微妙なニュアンスに応えてくれるし、書き味の良さも味わえて、金ペン先の良さを活かしきったものだと思います。

ペンエキスパートダンテ・デル・ベッキオ氏は、ただ美しいだけでなく、今の時代が求めている理想的な万年筆を、イタリア流のやり方で作り上げた。
万年筆の新しいものの多くがスチールペン先の低価格帯が中心となって、万年筆を使う人の裾野が広がったと言われています。
それは万年筆の業界としては良いことなのかもしれませんが、万年筆の全てがそういうものになってしまうことは奥行きを失うことに繋がります。
スチールペン先の万年筆で万年筆の面白さを知った人が、もっと良いものを使ってみたいと思った時に、ちゃんと良いものが用意されていないといけない。

たしかに価格の安い万年筆を揃えておけば、今はたくさんのお客様が来てくれて、インクも買ってくれるかもしれない。それらを横目に、やせ我慢することがあったとしても当店は良い万年筆を守り続けたいと思っています。
ピナイダーもまた当店が守るべき万年筆だと思っています。

⇒ピナイダーTOPページcbid=2557105⇒ピナイダーTOPページcsid=4″ target=”_blank”>⇒ピナイダーTOPページ

関連記事