プラチナブライヤーその後

プラチナブライヤーその後
プラチナブライヤーその後

一昨年から使い出して、その魅力に惚れ込んだプラチナブライヤーは、今も大切な愛用の万年筆として活躍しています。
私は葉書を書くことが多いのですが、中にはコート紙のようなインクがなかなか染み込まないもののもありますので、ブライヤーにカーボンインクのカートリッジを入れて葉書書き専用として使っています。

カーボンインクはインク出もスムーズで、万年筆をヌルヌルととても気持ち良い書き味にしてくれますが、ボトルからインクを吸入すると、ペン先の刻印にインクが絡みつき真っ黒になりますので、どうしても気になっていました。

カーボンインクを吸入せずに使うことができるカートリッジの存在はとても有難いものだったのです。
握りも意外と太めで、持ちやすいので、本当はもっと出番の多い役割を与えたいと思っていますが、葉書用に代替のものが思いあたらず、自宅での使用に甘んじています。
しかし、家でのリラックスしたゆったりした気分の時にいつも使っているので、この味わい深い万年筆の実用性を充分に感じながら使うことができているのかもしれません。

ブライヤーのボディは漆を軽く馴染ませただけの簡素な拭きうるしの技法で仕上げられていて、手の油を吸う余地が残されています。
使う込むほどに艶を増す、自分仕様のエージングを楽しむことができるのは、銀軸でもコーティングされているものが多くなってしまった昨今、珍しい存在です。
このブライヤーの万年筆のような、天然の木を最小限の仕上げで製品化するということは、何気ないことに思えますがかえって手間がかかり、勇気のいることだと思っています。
プラスチックと違い、品質のコントロールが難しく、湿度、気温の変化による割れ、狂いなども生じる恐れもあります。

お客様が使い始めてから、問題が起こらないようにするためにも、細心の注意が払われていることを思うと頭の下がる思いですし、いつまでも続けていただきたいと思います。

プラチナのペン先は、よく硬いと言われます。私も使い始める前はそう思っていました。
しかし、あまりにも大雑把な表現だったと今は思っています。初めは硬く感じるけれど、使い込むうちに柔らかく感じるものに変化するという表現の方が近いと思いますし、他社の万年筆のペン先が硬くなってきている現在、あまり硬いほうではないと思っています。

調整の仕方や、2年間の使用により、私のブライヤーのペン先は柔らかいとさえ思える快感を伴った書き味のものに変わってきています。

このブライヤーの万年筆を細字、中字、太字と3本セットで持ちたいという気持ちは、使い出したばかりの頃の思ったことですが、それは今も変っていません。

⇒プラチナブライヤー