ペリカンM400の金具がシルバーになっているM405に、ブラックストライプが発売されました。
金色の金具のM400とはまた違った、シャープでスッキリした印象のM405にブラックストライプはとても合っていると思います。
以前、M400とM405のペン先は共通で、金銀二色のものでしたが今はM405、M805は銀色一色のペン先になっています。
ペリカンの万年筆の中で、M800は硬くタフなペン先と直径13mmという適度な太さ、30gの適度な重さのボディで、最も楽に書くことができる万年筆だということは揺るぎないものだと思います。
ペンの重さに任せて力を抜いて書くことができたらM800ほど楽に書くことができる万年筆はないと思いますが、M400・M405はM800の安価タイプというわけではなくしっかりと存在意義のある万年筆で、それに合った用途、使い方があると思っています。
机に向かって長時間書き続けるような用途はM800に任せるとして、M400はメモ書きや手帳書きなど、そのボディの軽さ、小ささに向いた用途があります。
その使用感はペンの重みで書くM800に対して、手でコントロールして書く感じ。
外出先でメモをとったり、手帳に小さな文字を少し書くような用途にM400は向いているし、持ち運んで使うにも邪魔になりません。
極細でも太いと言われているM400のEF(極細)を、国産細字くらい細い字を書けるようにした「細字研ぎ出し仕様」を当店では販売しているけれど、それはM400の特性をより生かしたものになっていて、やはりそういう需要があったのか、多くの方がこの仕様を注文して下さっている。
金ペン先に全面ロジウム仕上げしたM405に細字研ぎ出し加工をすると、ペン先側面にわずかな金色の露出が見られるけれど、了承して下さればM405 でも細字研ぎ出し加工をしています。
M400とM800の吸入できるインク量は実は同じで、ボディの小さなM400がいかに効率良くインクをそのボディに貯蔵するかを表しています。
コレクションしたり、見て楽しむことが万年筆の楽しみの中心とみなされている現代において、万年筆は大きなものばかりになってきました。
万年筆が書くための道具の中心だった時代、M400のような小さくて軽い万年筆がたくさんありましたが、その役割はボールペンや他の筆記具に代わられてしまい、多くのものは姿を消してしまった。しかし、M400は残っている。
多くの人は外出時に使い勝手の良いM400のような小さな万年筆を使わなくなってしまいましたが、完全に使われなくなったわけではなく、やはり書くなら万年筆で書きたいと考える人のためにM400はまだ存在しているのだと思っています。
ペリカンの万年筆の特長には、それはM400も例外ではないけれど、インクを入れたまま長期間放置してもペン先が乾かないことや、インク漏れがないという基本構造における信頼性の高さがあります。
道具として安心して使える万年筆の筆頭に、ペリカンの万年筆を挙げられると思います。
旅に1本だけ万年筆を持って行くならどれがいいかと聞かれたら、私はM400・M405をお勧めしたいと思います。