この文章をホームページに掲載する時にはおそらく完売していると思いますが、ペリカンの限定品M600ターコイズホワイトについて書いておきたいと思いました。
ペリカンのM600ピンク、M605ホワイトストライプと続いた、M600ホワイトをベースにした明るい色のストライプのシリーズは本当に人気があって、あっと言う間に売り切れてしまいます。
(本体は完売していますが、合わせて作ったカンダミサコのペンシースはまだ在庫がありますし、ホワイトストライプもターコイズホワイトもボールペンは今日の時点ではまだあります)
ストライプの色を女性にも好まれる色にしただけと思う人もいるかもしれないけれど、ペリカンが頑なに守った縞模様の伝統があるからこそこれらの色が成功するのだと思うし、魅力的に映るのだと思います。そして、よく頭を切り替えてこれらの華やかな色のストライプを発売したと感心します。
先程女性に好まれる色と書きましたが、男性からも人気があって、こういった軽やかな印象のものを多くの人が求めていたことは間違いありません。
どちらかと言うと重厚な印象の高級万年筆において、ペリカンのこのシリーズは確かに異色だと思います。
でも今ままで本格的な万年筆を使うことをためらっておられた方々の背中を押して、新しい世界に引き込んでくれた、とても意義のある存在だと思います。
伝統のあるメーカーのこういった取り組みは、ファーバーカステルのギロシェでも行われていて、かなり大胆に展開されています。
ファーバーカステルの取り組みはペリカンとは少し違っていて、以前は万年筆メーカーらしい定番カラー(黒・赤・青など)のみでしたが、女性向けの中間色を増やしたことによりかなりイメージチェンジをしました。
結果として、エルメスなどのブランドのようにファーバーカステルをステーショナリーブランドとして印象づけることに成功しているのではないかと思っています。
それまでギロシェのシリーズの字幅はFしか日本に輸入されていませんでした。
ファーバーカステルなどドイツのメーカーは他のメーカーに比べて、同じ表記の字幅でもかなり太めになりますので、手帳用に使いたいギロシェのような万年筆が国産の中字くらいの太さだと使いにくかった。
カラー展開と同時にEFもラインナップされたのは、ギロシェという万年筆の性格からいっても正しいことでしたし、新しいターゲットである女性のお客様を取り込む意味でも意義のあることでした。
ペリカンもドイツのメーカーなので、一番細いEFでも太めです。
M600ターコイズホワイトは、当店でさせていただいている国産細字くらいにペン先を細くする「細字研ぎ出し調整」を承る率が他のペンに比べ非常に多く、女性の方が万年筆にどういった要素を求めるのかが分かります。
私は相変わらず古い考えだと思われるかもしれないけれど、重厚で、クラシックなものに惹かれる。しかし万年筆を仕事として扱っている以上こういった動きには非常に興味がありますし、歓迎すべきことだと思っています。
万年筆もその時代時代で、少しずつ姿やあり方が変わってきたからこそ、続いてこられたのかもしれません。