イベントで出張販売しました札幌・福岡でも多くの方から求められていると実感したのはペン先調整でした。
それだけ多くのお客様が書けない、あるいは書きにくい万年筆を手にしてお困りなのだと思います。
最近では、万年筆を使われる方の実情に合った、太いペン先を国産万年筆の細字くらいに細くする細字研ぎ出しもかなり多くなっています。
万年筆はけっして安いものではありません。
ペン先が14金で1万円以上もするのに、書けなくていいはずがないし、5万円以上もするのに、ステンレスのペン先の万年筆と同じようにただ書けるだけではいけない。
誰でもそうだと思いますが、私も買い物をする時、そのモノにその値段の価値があるかどうか考えます。
価格に見合った価値があるかどうかは、私の場合高いお金を払ったというマイナスよりもそのモノから享受できる喜びが上回るかです。
お金を貯めてたまに、私としては高い靴を買います。
JMウエストンのゴルフは、とても高価な靴です。
昔はそんなに高くなかったという人も多いけれど、自分にとってその靴が喜びを与えてくれるからそれでいいのだと思います。
これからこの靴を自分の足に時間をかけて馴染ませていくのだという希望のある喜びが履くたびに感じられる。色違いでもう1足欲しいと思う。
私にとってゴルフは値段に見合った価値を提供するものになっています。
使い始めた万年筆が価格に見合っていると思ったらその人はきっと2本目、3本目と万年筆を買ってくれるだろう。
でもせっかく思い切って買った高価な金ペン先の万年筆が、子供用の安価なスチールペン先の万年筆よりも書いていて楽しくなかったら、きっと高い万年筆を買うことがバカバカしくなってしまう。
万年筆を使い始めた人がそう思わないように、当店で販売する万年筆は価格に見合ったものだと思ってもらえるようなペン先調整をしています。
それは特別なことではないし、改造と言われるものでもない。
ペン先をルーペで見て正しい状態にするだけ。そして正しい状態の範囲内で、その万年筆を使われる方の書き方やお好みに合わせる。それは万年筆を販売する店として当然のことだと思っています。
もし前述の靴がいくら上質なモノであっても、お店の人からもう1サイズ大きいものがピッタリだと勧められていたりしたら、今のフィット感は得られなかったので高い買い物になっていた。
万年筆のペン先調整も、お客様にピッタリの靴をお勧めすることと同じだと思っています。