仕入れ値の問題で当店のWEBショップには載せることができていないけれど、店頭では満寿屋(ますや)の原稿用紙を扱っています。
舛屋は明治15年創業の会社で、満寿屋というのは原稿用紙、紙製品のブランド名ということになります。
様々な紙製品メーカーでも原稿用紙を扱っていると思いますが、万年筆での使用を考えると、個人的には満寿屋が最も信頼できるのではないかと思っています。
満寿屋の原稿用紙は、紙選びの段階から万年筆インクとの相性を考えて選定されていて、万年筆での使用を念頭に置いて作られています。それはパッケージに記載されている「万年筆のペン先保護に」という一文からも覗うことがことができて、滑らかな書き味や目詰まりしにくい紙質などの特長があります。
万年筆用の良い紙の条件は、ペン先の滑りが良くて、にじまず、乾きが早いことだと思いますが、それぞれの度合いやバランスは使う人の好みということになります。
少しでもにじむのが嫌だと思う人もいるし、私がそうですが、少しにじんだ方が文字に温かみが出て、インクの伸びも感じられて良いという人もいます。
にじみやペンの滑りに関してもほどほどが良く、どれかが極端だと自然な味わいが欠けてしまう。高い次元でバランスは取るべきだと思うけれど、ただ機能を追究すればいいというわけではない。その辺りが紙作りの難しいところで、センスが問われるところだと思います。
満寿屋の原稿用紙の紙は、黄色みのあるものと白色のものの2種類があり、それぞれ特長があります。
自社生産している黄色みのあるオリジナル用紙はにじみがなく、乾きが早いのが特徴で、万年筆用紙として最上のもののひとつだと思っています。
特に太字の、インク出の多い万年筆でどんどん書いていくのに適していますし、細字で文字の形を気にしながら書く、ペン習字のような用途にも合います。
白いデラックス紙の方が私の好みで、こちらの方がインクの伸びが良くて、書き味が楽しめます。
書道の半紙でも、私は全くにじまないものよりも少しにじみのあるものの方が好みですが、そうでない人もいます。
原稿用紙に文章を書くということは、万年筆を使う人の憧れなのではないかと思っています。
しかし、それはノートに下書きを書いていくのとはかなり勝手が違っていて、原稿用紙の升目を埋めるサイズの文字を書くには少し慣れがいると思います。
升目をきれいに埋めることができるようになると、次は升目をカッコ良く縦断して書くという高等技術(だと思っている)があって、私はその境地まで行きたいと思っています。
現代の形(毛細管現象を使ってインクがペン先に伝わる)の万年筆をルイス・エドソン・ウォーターマンが発明した同じ年に創業した長い歴史と、多くの文豪に愛用されてきた経歴にも敬意をこめて、当店ではおすすめの原稿用紙として、満寿屋の原稿用紙を扱っています。
*当店取り扱い満寿屋原稿用紙*
B5サイズ(200字)No.1・101・102・103・105・11・15
B4サイズ(400字)No.111・112・113・115・25