自分らしいインク色探し ~当店オリジナルインクについて~

自分らしいインク色探し ~当店オリジナルインクについて~
自分らしいインク色探し ~当店オリジナルインクについて~

当店のオリジナルインクは、冬枯れ、朔、山野草、朱漆の4色があります。
他にも作りたいインクの色はたくさんありますが、最近では非常に多くの色が各メーカーから発売されていますし、お店のオリジナル色も珍しい企画ではなくなっていますので、当店が発売しなくてもいいのではないかという天邪鬼な心が働いてオリジナルインクの色を増やさずにいます。

暮らしの手帳に当店の紹介記事を書いてくださったSさんが、冬枯れインクのことを書いて下さったこともあって、冬枯れは非常に人気があります。

冬枯れの色は、文字は黒であって欲しいと思うけれど、ノートにたくさんの文字を黒で書いてしまうと黒々してうるさくなってしまう、後から見た時に、少し薄めの方が見やすいのではないかという実用的な理由と、侘び寂びを感じさせる日本的な色というイメージからできたものです。
黒の万年筆インクは非常に多くの種類がありますが、その中でも黒とグレーの中間にあたる色で、他にあまりない色だと思っています。

朔は手紙に最も適した落ち着いた温かみを感じさせる色だと思っていて、ずっとお客様への手紙に使っていました。
どの万年筆に入れても、流れが良く、そういったところも気に入っている理由のひとつです。
手帳に書いても、目に優しい色で落ち着いた感じがして、朔ばかり使っています。
これは当店スタッフKが以前セーラー万年筆インクブレンダー石丸氏に作っていただいたもので、月のない夜(朔の日)をイメージして作られています。使っていたところお客様からお問い合わせいただくことが多かったので、お店のオリジナルインクとして使っています。

朱漆はなかなか用途を見つけるのが難しいインクなのかもしれません。
このインクの色を赤と思ってしまうと本当に用途が限られてしまいますので、あまり気にせずにメモなどで使う方がいいのかもしれません。
でも、きつい印象を与えない赤々していない採点用の赤インクを探されている方にもぜひ使っていただきたいと思います。

当店の4色のオリジナルインクは、それぞれ四季のイメージに合わせていますが、朱漆は一番説明が必要で実は春の色です。

朱漆と考えた時に、それは何かお祝いごとがあった時に使う朱塗りの器の色だと思いました。お祝い事、ハレの日は、春にあることが多い。
そういった理由で、朱漆は春の色としています。

最近、色インクを使ってみたいと思うようになって、山野草を使うようになりました。
エンツォ・フェラーリはいつも自分専用の非常に鮮やかな紫色のインクを使っていたと言われていて、そこから少しだけインスパイアされて、エンツォより控えめな色ですが愛用しようと思っています。
秋の高原に咲く花々をイメージした色ですが、使ってみるととても気分が良いと思いました。

自分が書いた文字がきれいな紫色というのがとても新鮮で、このインクで書くことが楽しくて仕方ありません。
インクの色というのは、エンツォのようにそれが自分の色になってしまうと、その色を見ただけで誰が書いたものかすぐ分かるようになります。
そうなるまで使い続ける強い意志と努力が必要ですが、何かそういう色を見つけたい。
当店のオリジナルインクが、多くの人にとって自分の色と思われるようになればいいな、と思います。

⇒Pen and message.オリジナルインク