ペリカンM300というスーベレーンシリーズのM800をそのまま縮小したようなミニペンがあります。
デザインは他のスーベレーンと変わるところはないけれど、よくここまで小さくすることができたいと思うくらい小さなペンです。
ちなみにM300は400でも600でもない、M800を縮小したものだと私は思っていて、他のサイズのものとでは微妙にデザインのバランスが違うと思っています。
ペリカンスーベレーンシリーズは書く人が選ぶ実用のための万年筆だと思いますが、M1000とこのM300だけは少し違う趣味性の高さを感じます。
M1000は極端に柔らかい大型のペン先で、他では感じられない書き味を持っていますし、M300は度を越して小さいミニペンなのに、書き味は非常に柔らかく仕上げられています。
万年筆は直径13ミリの軸径で重さ30グラムが一番バランスが良くて書きやすいといつも書いていますが、このミニペンは直径8ミリ重さ11グラムしかありません。
これは便利さを狙ったというよりも、小さな万年筆を作りたいという遊び心だと思いますし、この遊び心のあるペンを他の実用的なペンと全く同じデザインとしたのはペリカンのユーモアだと思います。
ちなみにM300は吸入式で、この小さな吸入機構をよく作ったと思われますが、吸入式だからこそ、このサイズにすることができたと思います。
カートリッジ式だとカートリッジよりもひと回りは大きなボディになってしまいます。
ペンケースDueという2本差しのシガーケース型のペンケースをオリジナルで、イルクアリフォリオの久内夕夏さんにお願いして製作していただいています。
入れるペンケースに困っていた太軸のペンも収納できて、しかも保護してくれるようなシェル構造になっているペンケースです。
この度、ペンケースDueでペリカンM300が入るミニサイズ用を作りました。
しっかりとした構造なので、愛用者の間では細軸で壊れやすいと言われているM300を保護してくれると思います。
旅先では長時間何か原稿を書くということはないと思いますので、長時間使うための大型の万年筆を持っていく必要はありません。
宿での夜の時間や休憩に入ったカフェなどでちょっと書くのに粋な感じがするのは、M300のような小さくて目立たない万年筆だと思っています。
この小さな革のケースから小さな万年筆が出てきて、ちょっと手帳に書いてまた収める。
万年筆を外に持って出て、どんどん使いたい人のためのものをいつも作りたいと思っています。
シガーケース型小さなペンケースDueもM300と対になるボールペンやシャープペンシルを出先で使いたい、旅に携えたいと思う人のために作りました。