革と万年筆 カンダミサコ2本差しペンシース

革と万年筆 カンダミサコ2本差しペンシース
革と万年筆 カンダミサコ2本差しペンシース

カンダミサコさんの新作2本差しペンシースが完成しました。
多くの方にお使いいただいている1本用のペンシース同様とてもシンプルな構造ですが、カンダさんらしい色使い、カッティングで非常にお洒落なものに仕上がっています。

フラップのない中のペンをすぐに取り出せるデザインですので、よく使う手帳用の細字とメモ用太字を組み合わせて入れてもいいし、万年筆とボールペンを入れてもいいし、コーディネートが楽しめる、実用的なものだと思います。
カンダさんがよく使う発色の良い革シュランケンカーフを、内側と外側で色を変え、4種類の組み合わせで仕上げています。

シュランケンカーフは、カーフ独特のしなやかさとシュリンク加工による密度の詰まったしっかりしたコシを併せ持った素材で、こういった製品によりその良さが出ると思っています。
中に入る万年筆はアウロラ88、ファーバーカステルクラシックコレクション、ペリカンM600あたりはストレスなく入ります。

革は本当に不思議な素材だと思っています。
大きくても時間が経てば中身に合わせて沿ってフィットしてくれるし、小さくても伸びてくれる。
それはペンケースやブックカバーのようなステーショナリー、靴や鞄など上質な素材を使ったものであれば全てそうなのかもしれません。

アウロラの書き味について考える時、そんな良質な素材を使った革製品とよく似ていると思っています。
使い続けることで、ペン先は柔らかく動いてくれるようになりますし、ペン芯はペン先に馴染んで充分なインク量をペン先に送り続けてくれるようになって、使うたびに本当に良い書き味だと思えるようになります。

私が愛用しているアウロラの万年筆のひとつに88クラシックがあります。
これは以前オプティマについていたペン先を付け替えたものです。
私が自分の88クラシックに与えている用途は、手帳の次に万年筆の使用頻度の高い手紙を書くことですが、お客様への感謝の手紙を本当に楽しみながら書かせてくれます。

88のデザインは万年筆の最も代表的なデザイン、モンブランマイスターシュテュックのようにキャップトップ、ボディエンドがドーム型の紡錘形のデザインです。
しかしその発売はマイスターシュテュックより古い1947年で、シルエットはより緩やかなカーブを描いています。
更に88には装飾らしいものがほとんどなく、キャップリングに筆記体で小さくauroraと書かれているだけというところにとても好感が持てます。
優雅なカーブを描くクリップの存在も88の外観上の特長です。

アウロラのほとんどの製品に採用されているクリップですが、形の美しさと先端の玉をつまんで抜き差しするととてもしやすいようになっていますので、88の使い勝手、実用性がペン先だけでないことを物語っています。

モンブランやペリカンに比べて使っている人が少ないアウロラ、そしてそのアウロラの中でもオプティマに比べて人気がない88ですが、本当に良い万年筆だと思っています。

もっと多くの人に認めていただきたい万年筆のひとつです。

⇒カンダミサコ 2本差しペンシース
⇒アウロラ88クラシック801
⇒アウロラ88オールブラック