整理していて見つけたと、スタッフKが共に勤めていた文具店での朝礼の様子が写った写真を持ってきました。20数年前のもので、20代の自分たちが写っていました。
髪型や服装にも時の流れを感じさせるものがありましたし、何よりも二人とも若い。他にもあの頃から色々なことが変わりました。
目に見えて変わったことのひとつに、パソコンやインターネットの普及があります。
それは言うまでもなく、私たちの仕事の仕方だけでなく、情報の取り方、生活の仕方を変貌させましたし、もしかしたら私たち人間のインテリジェンスの有り方も変えたのかもしれません。
入社したばかりの頃、私はファイルを担当していました。
毎日びっくりするくらい売れていくファイルをただひたすら補充していました。
ファイルコーナーはB5サイズとA4サイズと同じだけのスペースがありましたが、A4サイズの売れ行きの方が良かったので、パソコンの普及によってプリントアウト文書が増え、仕事で使われる紙のサイズが、A4サイズに変わっていく過渡期にあったのかもしれません。
でもその現象は手書きにはA4サイズではなくB5サイズの方が向いているということを表しているのではないかと思っています。
当店での万年筆を試していただく、当店のロゴが小さく入った試筆紙もB5サイズになっています。
そこそこ書きやすいけれど、それぞれの万年筆の書き味の違いが分かる、過剰な加工を施していないナチュラルな書き味の、コピー用紙よりも少し良いくらいの紙を使っています。
印刷用紙の中には意外と、万年筆の使用に適した紙があるもので、この試筆紙の紙もそんなふうに選んだものです。
試筆紙は当店のオリジナル商品の中でも売れ筋で、お客様方はこれを大きめのメモ帳として使って下さっているようです。
私もちょっと何か考えたいと思った時には試筆紙を引っ張り出してきて、とりとめなく書き出したりしています。
この試筆紙を入れて携帯するためのものとして作っていたWRITING LAB.の革封筒を再び作りました。
一枚の革を接着止めしただけのとてもシンプルなもので、フタもついていませんが、こういうものが一番使いやすいし、意匠として優れていると思っています。
縫い目を無くすことでジャストのサイズを実現しています。
接着という方法なので、実は素材にはとてもこだわっていて、この加工に適していて雰囲気のある革を、革問屋のハシモト産業さんに相談して決まりました。
革封筒には試筆紙だけでなく、原稿用紙入れにもちょうどいいと思います。
たいていバラの状態(満寿屋の場合)の原稿用紙だからこそ、こういうファイルの原型のような封筒が使いやすいと思います。
なるべくシンプルで、手をかけていないような、その素材感が感じられるものを作りたいという想いは、この革封筒にも込めています。