フリーダイアリーの活用

フリーダイアリーの活用
フリーダイアリーの活用

1年以上前に入ったスケジュールや、毎年ある行事を終えて来年に向けての改善点や学習したことを書く場所に、困った経験はないでしょうか?
私は長年この課題を何とかしたいと思っていました。

連用日記などに書いておけば翌年同じ時期が来た時に見るかもしれないと思いましたが、つい普通に日記を書いてしまいそうで必要な情報を取り出せる自信がなく、このアイデアは没にしました。
色々考えましたが、システム手帳に来年のダイアリーも挟んでそこに書けばいいのだという簡単なことに、やっと気付きました。
来年のダイアリーが発売されるのは早くても8月なので、気付くのに時間がかかってしまった。
自分で日付けを書き込むフリーダイアリーなら、何年のダイアリーでもいつからでも作ることができます。
日付けを手書きしてもいいですが、数字のスタンプなどを使うと見栄えも良くて気分がいい。
やってみると時間はかかったけれど楽しかった。
先日発売された万年筆専門誌趣味の文具箱vol.50にも紹介されたかなじともこさんがデザインしているシステム手帳リフィル筆文葉にも、フレックスダイアリーというフリーダイアリーがあります。
かなじさんによる使い方のお手本は当店にもありますし、かなじさんのインスタグラムでも kanazeeという名前で投稿して紹介されています。
筆文葉には、スクランブル、吹き出し、大小水玉、分度器、木目吹き寄せパックというユニークなレイアウトのリフィルばかりをセットしたものがあります。
どう使おうかインスピレーションが湧くものもあるし、何も思いつかないものもあります。
この吹き寄せパックの使い方の提案をしているスターターキットは、かなじさんが印刷やコピーではなく全て手書きしたり、色を塗ったりしています。時間と手間が相当に掛かっている力作です。
リフィルの使い方が分かるだけでなく、かなじさんの読みやすく、端正な揃った直筆の文字が書かれたリフィルを自分のシステム手帳に挟んでおけるのも嬉しい。
かなじさんの書くことに対するこだわりや情熱が感じられる製品というよりも、作品だと思っています。

*7月7日(日)13時から15時、かなじともこさんの書くことへのこだわりを直接聞くことができるイベントを開催いたします。


⇒筆文葉リフィル(フレックスリフィル)
⇒オリジナル正方形フリーデイリーノート

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⇒2013.8.16「オリジナルフリーデイリーノート」

ペリカンM805ブルーデューン~強い青のインクを入れたい万年筆~

ペリカンM805ブルーデューン~強い青のインクを入れたい万年筆~
ペリカンM805ブルーデューン~強い青のインクを入れたい万年筆~

ブルーのインクが好きな人は多い。
特に強い青色、発色の良いブルーは人気があって、どのインクがそれに当たるか、よく質問されます。
エーデルシュタインインクのサファイア、ビスコンティブルー、エルバンサファイアブルー、色彩雫朝顔、最近発売されたラミーの新しい鉱物をテーマにしたインクのシリーズアズライトなどがそれに当たります。
そこまでのこだわりはないけれど、私も基本はブルーかブルーブラックのインクで、他の色を万年筆に入れると、その万年筆の出番が減ってしまったりします。
そんなつもりはなかったけれど、やはり好きで使っていることに気付きました。
万年筆のインクの売れ行きもブルーが一番良いし、万年筆のインクらしく色ムラが出たりするので、書いていて楽しいと思います。
そういうことにも関係あるのか、限定品でもブルー軸の万年筆が多いような気がします。そしてそれらはいつも人気があります。

この度ペリカンからもブルーの軸の限定品「M805ブルーデューン」が発売されました。
青い砂丘というテーマは何ともロマンチックで幻想的な感じで、縦縞の生真面目な印象のあるペリカンのイメージとはまた違った世界観です。
しかしベースモデルは定番中の定番M805なので、書き味やバランスは間違いがない。
しっかりとした定番万年筆があるからこそ、そこから外れた遊びが生きています。

一瞬で情報が世界中に飛んでしまう昨今において、そして世界中のモノ作りが国境を超えて絡み合う今の時代において、ドイツ製だから質実剛健だと語るのはナンセンスになってきています。
そんな時代だからこそ、それぞれのメーカーらしいモノの示し方、もの作りのこだわりを持ち続けることが大切なのだと思います。
たくさんの情報・たくさんのモノの中に埋もれないためにも、違うエッセンスを取り入れてもルーツをはっきり示して、アイデンティティを明確にすることは忘れてはいけない。ブルーデューンを見てそう思いました。

定番品からかけ離れた面白いモノも限定品のひとつのあり方ですが、定番品をベースにしてより多くの人の心をつかめるようにイメージを変えた限定品もあって、M805ブルーデューンは後者に当たります。
ペリカンはこのタイプの限定品を数多く発売してきましたし、今年はM600バイオレットホワイトという話題作の発売も控えています。

限定品は生産本数分を売り切ってしまったら終わりですが、定番品は作り続ける。
限定品をきっかけにペリカンの万年筆を手にして、その使用感、握り心地の良さに他社にはないものを感じ取った人は、きっと次の万年筆にもペリカンを選ぶだろうという、ペリカン社の目論見が限定品にはあるような気がします。
たしかにM800/805の握った時の手の馴染み、自然に持てるサイズ感は、他モデルではそう多くないのかもしれません。
長年M800を使ってきたことも理由なのかもしれませんが、それだけではない。
やはりM800/805は定番中の定番の万年筆だと思います。

M805ブルーデューンに吸入させるインクの色は、そのボディのようにはっきりした、強めのブルーが合うような気がします。
でも10人いたら10人の、ブルーデューンに合うインクがあるのだと思います。

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2017.12.8「趣味の道具か、実用か2・ペリカンM805オーシャンスワール」

万年筆の本当の魅力 〜ファーバーカステルクラシックコレクションの存在〜

万年筆の本当の魅力 〜ファーバーカステルクラシックコレクションの存在〜
万年筆の本当の魅力 〜ファーバーカステルクラシックコレクションの存在〜

万年筆は永遠に残るものだと確信しています。
仕事で紙に書くことが激減した現代においても生き残っているし、むしろ万年筆を使いたいという人は増えていると実感しています。
書き味の軽いボールペンも、タブレット端末などに手書きできるペンも、万年筆の領域には踏み込むことができない。
例えば万年筆の魅力が、「文字がきれいに書ける」ことや「書き味が良い」だけだったら、とっくに世の中からなくなっていたかも知れません。
でもそれらは万年筆の魅力のほんの一部分で、私たちが万年筆を使う最大の理由ではないと思っています。

私が思う万年筆の最大の魅力は、それで文字を書きたいと思わせる筆記欲を刺激する存在であるということ。そして、書きたいだけでなく、持っていたいと思わせる魅力があることだと思います。
それは万年筆というモノの魅力という言葉が当てはまりますが、筆記具という存在を超えたものであるから、万年筆は生き残ることができた。
そうやって考えると、ただ書けるとか、書き味が良いという万年筆はもしかしたら将来淘汰されてしまうのかもしれません。

デザインが良くて、なぜか使いたいと思わせる万年筆にファーバーカステルクラシックコレクションがあります。
とてもシンプルなスペックの万年筆で、そのバランスに慣れるのに時間がかかりますが、デザインの良さから愛用したいと多くの人に思われてきた万年筆です。
私もクラシックコレクションエボニーの万年筆とボールペンを、カンダミサコさんの2本差しペンシース に入れていつも傍らに置いて使っています。

万年筆がこの世に登場する前の、鉛筆補助軸をデザインモチーフにしているクラシックさと、硬質なプラチナコートしたスチールと天然の木を使ったモダンさが融合した完璧なデザインだと思っています。
使いたいと思っていつも手元に置いているから使う。使うからどんどん書き味が良くなる。そんな循環が魅力のある万年筆には起こります。
私たち販売員は、万年筆をただよく書けるだけの筆記具として提案してきたことを改めなければいけない。
それは万年筆が将来消滅してしまうことにつながることだから。
万年筆がそれを使う人の心に及ぼす本当の作用について、私たちは伝えることができていませんでした。しかし、万年筆を使う人は自らその作用を見出して万年筆を楽しんでいたから、今まで存在し続けてきてくれた。
否定するつもりはないけれど、コンピュータやタブレットの画面上に書くタッチペンの類いは、様々なテクノロジーで味を再現しているインスタント食品にどこか似ています。
色々な技術で実際に書くことにかなり近づいていて、すごく進化しているけれど、それらがどこまで進化しても万年筆が使う人の心に及ぼす作用は再現できないと思っています。

*ファーバーカステルTOPcbid=2557105*ファーバーカステルTOPcsid=7″ target=”_blank”>*ファーバーカステルTOP

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ラマシオンハンドメイド時計イベント~6/22(土)・23(日)

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楽しみで使うものなので考えすぎだと言う人もいるかもしれないけれど、だからこそ万年筆はそれを使う人の生き方や思想を表すものであってほしいと思っています。
でも万年筆というもの自体が、その人の書くということに対する情熱を表しているものなので、実はそれを使っているだけで生き方を表しているのかもしれない。

腕時計も以前は誰もが必ず身に付けているものでしたが、今では付けていない人が多くなってしまいました。そうなると時計を付けているだけで、そこに何らかのメッセージがあるような気がしますが、腕時計にはアクセサリーという要素も多分にあります。
アクセサリーもまた、その人の価値観を表現するものなので、万年筆以上にその人の思想を物語るものだと思います。

こんなことを言うと誤解があるかもしれないけれど、当店で時計を扱いたいと思っていたわけではありませんでした。
時計の世界は、何となく格式張った堅苦しい世界に見えていました。
でも吉村さんはそんな世界の人ではなかった。
様々なオーダーに応えてくれて自分だけの世界で一つの時計を作ることができるのに、その価格は限定万年筆くらいの値段だし、女性ものの可愛らしくもエレガントなものは国産万年筆くらいの値段で買うことができる。
神戸東灘区に工房兼ショールームを構えるラマシオンの吉村恒保さんと、お客様の紹介で知り合うことができたのはとても幸運だったと思います。

量産されている国産のムーブメントを使って、ケースや文字盤などをハンドメイドで作る時計作家としての物作りのスタンスや、構えたところのない自然体の物腰など、共感できるところが多い吉村さんの作品を扱えることで、万年筆やステーショナリーを扱う当店にも奥行きができたと思います。
例えばペリカンの万年筆を使っている人が身に付けるなら、どういう時計が合うだろうかと考える。
ステーショナリーの枠から出て、当店の世界観をお客様方に提案できると思っています。

3月にラマシオンさんのイベントをしたところなのにまたイベントをするのには、そんな当店の想いと、ラマシオンの吉村さんが当店を大切に思ってくれていることが表れています。
時計の世界は万年筆の世界以上の歴史があって、それを商うお店も多く、確立された世界だと思っています。
でも、既製の時計にとらわれずに自由に時計作りをする吉村さんの時計は、その世界を何となく疑問を持って見ていた私の心を動かしました。
私と同じようにラマシオンの吉村さんの時計を良いと思ってくれる人が、万年筆を使うお客様の中にもいると思っています。

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ウォール・エバーシャープ シグネチャー 〜メイドインUSAの魅力〜

ウォール・エバーシャープ シグネチャー 〜メイドインUSAの魅力〜
ウォール・エバーシャープ シグネチャー 〜メイドインUSAの魅力〜

ウォール・エバーシャープシグネチャーの書き味に驚きました。

シグネチャーはウォール・エバーシャープが今年発売したレギュラーサイズの万年筆の新製品です。
強烈な個性を持つオーバーサイズ万年筆デコバンドと比べると、地味な印象を持たれるかもしれませんが、シンプルなデザインがバランスよくまとまっていて、良い万年筆だと思います。
冒頭でも書きましたが、シグネチャーは紙に吸い付くような大変良い書き味を持っています。でもそれは18金のペン先、という理由だけではありません。
ペン先の柔らかさとボディの重量のバランスからくるもので、エボナイトのペン芯もその書き味を生み出すのに貢献しています。
シグネチャーという万年筆全てで、この書き味を作り出しています。

デコバンドのように過去のウォール・エバーシャープのデザインを復刻したというものではないけれど、シグネチャーからは1920年代のシェーファーライフタイム、パーカーデュオフォールドのような雰囲気を感じます。
ボディの大きさに対してペン先が大きく、その比率がそれらに近いのかもしれませんし、シンプルで無骨というのが共通するキーワードだと思っています。
それらを一言で言うと「メイドインUSAらしさ」ということになるのかもしれません。
書き味が素晴らしいとか、バランスが良いことも私たちに喜びをもたらしてくれるけれど、何よりもこの万年筆のアメリカ製らしい骨太に感じるところに私たちは惹かれるのだと思います。

多くの万年筆はウォール・エバーシャープとは反対の、繊細でエレガントな仕立てになっていて、現代のペンにおいてウォール・エバーシャープは珍しい存在となっています。
だからこそ当店はそこに思い入れを持って、ウォール・エバーシャープを直接輸入している。
バランスが良くて長時間書いても疲れないとか、ペン先が18金で書き味が良いという機能性や実用性は、万年筆にとって無視できないことですが、そこで終わってはいけない。
私たちに喜びをもたらしてくれたから、万年筆は今まで生き残ることができた。
その万年筆が私たちの心を動かすことを、お客様に伝えなくてはならないと思います。

それは万年筆だけに言えることではなくて、全ての扱うステーショナリーにおいても言えることなのだと思います。
ただ使用に足りる機能性があるだけ、良い素材を使っているだけでは、きっとだめなのだと思います。
そういうものはいくらでもあるし、もしかしたら100円ショップにもあるかもしれません。
機能を高い次元で満たして良い素材を使っている上で、使わなくても持っていたいとか、気分が良くなるという心への作用について、もっと考えなくてはいけないと思うのです。

万年筆をはじめとするステーショナリーは、楽しみという実用よりも少し高い次元のステージに上がろうとしている。
ウォール・エバーシャープシグネチャーもそんな時代の要求に応えることのできる万年筆だと思っています。

⇒WAHL-EVERSHARP・シグネチャークラシックコレクションcbid=2557105⇒WAHL-EVERSHARP・シグネチャークラシックコレクションcsid=1⇒WAHL-EVERSHARP・シグネチャークラシックコレクションpage=2″ target=”_blank”>⇒WAHL-EVERSHARP・シグネチャークラシックコレクション

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⇒2018.2.2「ウォール・エバーシャープ入荷しました」

コンチネンタルペンシース 〜便利で使いやすいものから、持っていて楽しいものへ〜

コンチネンタルペンシース 〜便利で使いやすいものから、持っていて楽しいものへ〜
コンチネンタルペンシース 〜便利で使いやすいものから、持っていて楽しいものへ〜

当店で扱うステーショナリーにおいて、機能性を追究するのもいいけれど、そうじゃないものもあっていいのではないかと思い始めています。
良い革を使ったり、作りの良さにこだわったりすることも機能性から一歩踏み出したものではあると思うけれど、それも機能性の上に成り立っているような気がします。
便利で使いやすいものからはみ出したものを作りたいと思い、ぶ厚い革でコンチネンタルミニ5穴システム手帳をカンダミサコさんに作ってもらいました。
革が馴染むまでの硬いうちは開きにくく閉じにくいですが、コロンとしていて可愛らしい。
このダグラス革は、使い込んだりブラシ掛けなどをすると、劇的に艶が出るとてもいい革ですが、廃番でもう作られていません。
カンダミサコさんが買い占めてくれたものがなくなり次第終了となってしまうことは残念ですが、この革の魅力もあって、「なぜか持っていたいもの」ができたと思います。
ミニ5穴システム手帳は、今は品切れ中ですが、ご予約いただきましたら、お渡しできるようにいたします。

ミニ5穴システム手帳と同じ考えで、コンチネンタルペンシース を作ってもらいました。
カンダミサコさんの代表作をベースにして、機能性を無視した当店のオリジナル商品を作ってもらうのはどうだろう?と少し気を使いましたが、ミニ5穴システム手帳と同じように、コロンとした面白いものができたと思っています。

革をかなり厚く使っていますので、外寸を少し大きくしています。
これによりレギュラーサイズのペン以上のペリカンM1000、パイロットカスタム845程度の太さのものも収められるようになりました。
カンダミサコさんのペンシース は、カンダさんが独立して仕事を始めた時からの代表作です。
当店も2周年を過ぎた頃から扱い始めていましたので、カンダさんとはもう10年以上の付き合いになります。
その頃当店もカンダさんも手探りで自分たちの仕事を軌道に載せようとしていました。
私は今だに「軌道に乗るって何?」と思っていて、変わらず余裕もなく働いています。
きっと自分はこんな風に、何かに追われるように、ずっとゆっくりすることなく生きていくような気がしています。
しかしカンダミサコさんは、自分のやり方を確立して、マイペースで地に足のついた活動を続けられています。
カンダミサコさんの力を借りて、当店はまた新たな展開をしようとしていて、それを象徴するのが機能性という常識からはみ出した、コンチネンタルの革製品なのです。

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工房楔との出張販売「Pen and 楔 福岡展」

工房楔との出張販売「Pen and  楔 福岡展」
工房楔との出張販売「Pen and 楔 福岡展」

6月8日(土)9日(日) 工房楔の永田さんと福岡に出張販売に行きます。
福岡はすっきりした街の雰囲気や皆様の人柄が温かくて、大切に思っている街です。この出張販売を福岡、九州の人に楽しんでいただけるものにしたいと思っています。
昨年、一昨年の出張販売では連続で豪雨にあって、今年は日程を1ヶ月早めました。
1年前からこの日に予定していたのに福岡でのG20と重なってしまい、福岡市内へのマイカーの乗り入れが出来ないと聞いています。
どうぞ公共交通機関でお越し下さい。

工房楔との共同企画商品のこしらえの長軸タイプは、国産万年筆最高のもののひとつだと思っている「カスタム743」のペン先ユニットをつけることができる万年筆用銘木軸です。
その時々で、永田さんの持っている材で最高のものを使ってもらっています。
良いペン先の書き味と、銘木の景色、質感を味わうことができる当店と工房楔を象徴するオリジナル万年筆です。

このこしらえには別にボールペンユニットをご用意していて、これを装着するとゲルインクの三菱シグノ、ゼブラサラサ、ぺんてるエナージェルや、油性ボールペンの三菱ジェットストリームなどの替え芯を使うことができます。
使いやすい国産のボールペンを、愛着を持って使うことができる軸で使えるようにしたいと思いました。

ただ製作時期によって、こしらえの中にこのボールペンユニットが合わないものがあります。そのためお客様がお持ちのこしらえと実際に合わせてから販売するようにしており、通販はしていません。
こちらのボールペンユニットも福岡に持っていきますので、ぜひお手持ちのこしらえを持って合わせて見て下さい。

銘木をくり抜いて作る、コンプロットの1本用ペンケース「コンプロットウーノ」に当店が独自に輸入しているウォール・エバーシャープデコバンドがピッタリと入ることをご存知の方も多いかもしれません。

オーバーサイズ万年筆の中でも、書き味の特に良いデコバンドの武骨な趣きと、刳り抜きによって素材を厚く使っているコンプロットウーノの組み合わせは、ただサイズが合うというだけでない相性の良さがあります。
こういった遊びの要素が万年筆や銘木製品では大切にしたいことで、私たちはそんな遊びをお客様方にご提案したいと思っています。

コンプロットウーノはデコバンドだけでなく汎用性の高いものなので、特別な万年筆を収めるペンケースとして、お好みの万年筆に合いそうな素材、杢のものを使っていただきたいと思っています。
工房楔の新製品ノック式ボールペンルーチェに、カンダミサコさんの1本差しペンシース を合わて銘木と革の組み合わせを選んだりすることもお勧めしていて、工房楔と当店のコラボイベントとして幅広く楽しんでいただけると思います。
ぜひご来場下さい。

⇒万年筆用銘木軸「こしらえ」cbid=2557546⇒万年筆用銘木軸「こしらえ」csid=1″ target=”_blank”>⇒万年筆用銘木軸「こしらえ」

*Pen and 楔 福岡展2019*
6月8日(土)11時~18時 9日(日)11時~16時 ギャラリートミナガ(福岡市中央区大名2-10-1)
お待たせしないように、万年筆のご購入やお持込みのペン先調整などは、ご予約を承っています。
メール(pen@p-n-m.net)か電話(078-360-1933)にて、お申し付け下さい。

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⇒2017.7.14「福岡でのイベント「Pen and 楔 2017」を終えて」
⇒2018.7.20「2018年福岡出張販売」

ウォール・エバーシャープ シグネチャー新発売

ウォール・エバーシャープ シグネチャー新発売
ウォール・エバーシャープ シグネチャー新発売

調整の応援販売をさせていただいたKA-KU奈良店は、大和西大寺というあまり観光客は降りない、地元の人が利用する駅の近くのショッピングセンターの中にあります。
当然ショッピングセンターのお客様も周辺の住宅地から来ていて、普段着で気軽に訪れるお店という感じ。
こういう地元に根差した所だからこそ、万年筆を使いたいと思っている人に万年筆を使ってもらえるような活動をしたい。
調整の応援販売はモノを買ってもらう為というよりは、万年筆を使う人を増やすために行っています。
万年筆を日常的に使ってもらえるようになるのなら、どの万年筆でもその人の気に入ったものを使ってもらえたらそれでいいけれど、当店が独自に輸入しているウォール・エバーシャープをその人の唯一の万年筆として使ってもらえたら素敵だと思います。
オーバーサイズのデコバンドはその書き味も使用感も良くて、ある程度万年筆を使った人ならその良さはすぐに分かるけれど、今まで万年筆を使っていなかった人には少しハードルが高いものだと思います。
だから初めて万年筆を使うという人にはデコバンドはお勧めしていませんでした。

しかし、このたびオーバーサイズのデコバンドに対して、標準的なサイズのレギュラーサイズのシグネチャーが発売になりました。
デコバンド同様無骨な雰囲気をもっている、古き良きアメリカ製らしい万年筆です。
1920年代のアメリカの万年筆、シェーファーライフタイムやパーカーデュオフォールド。それらは何の装飾もない万年筆ですが、ペン先が大きく分厚いという共通点のある無骨な魅力の万年筆です。
故障する要素がどこにもなく、もし吸入ゴムチューブが破れても汎用品のもので直すことができる。

古いハーレーダビッドソンのオートバイがどこかの荒野で故障しても、自分で直すことができるようにシンプルな構造を採用しているという話を聞いたことがありますが、それと同じ思想をウォール・エバーシャープに感じます。
初めて万年筆を使う人にとってウォール・エバーシャープというメーカーは絶対に知られていないと確信を持って言えるけれど、他のペンと比べてもらえばその違いを感じられる。何か厚みを感じるたくましさのような魅力がデコバンドにもシグネチャーにもあって、私はこれがウォール・エバーシャープの他社にはない魅力だと思っています。

シグネチャーのボディサイズは標準的なサイズですが、ペン先は大きく、存在感があります。
書き味は18金の大きなペン先の恩恵もあって、柔らかく、上質さを感じる書き味を持っています。日本人はあまりしないけれど、ウォール・エバーシヤープのホームページではFからMにフレックスさせて書くことができるとしています。
太さの感覚的にはペリカンのMくらい、日本のメーカーで言うと太字くらいの感覚になのかもしれません。漢字を書く国の人には少し細めに研ぎ出した方が日常的には使いやすいと思いますので、ご要望があれば細字に研ぎ出してご用意致します。

シグネチャー、ウォール・エバーシャープを使いたいと思っている人に、よりその世界に入りやすい待望のペンが出ました。

*全て揃ってからご案内する予定でしたが、6月に遅れている商品がございます。
ラインナップは全てご紹介しておりますので、サイトもご覧下さい。

⇒ウォールエバーシャープ シグネチャークラシックコレクションcbid=2557105⇒ウォールエバーシャープ シグネチャークラシックコレクションcsid=1⇒ウォールエバーシャープ シグネチャークラシックコレクションpage=2″ target=”_blank”>⇒ウォールエバーシャープ シグネチャークラシックコレクション

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偉大なる無名品

偉大なる無名品
偉大なる無名品

当店のような個人店において大切なことは、自分のやりたいようにすることだと分かってきました。
だけど自分のやりたいことを見つけ出して、それを実行することは意外と難しく、勇気の要ることだと思っています。
かと言って他の誰かの考えで商売は上手くいかないし、他の誰かの考えを実行したいとは思わない。それが許されている自分はきっと恵まれているのだと思います。
お客様方にお勧めするものも、自分が良いと思っているもの、好きなものを勧めたいと思っていて、これはどのメーカーとも利害関係のない、独立した存在の当店だから許されることなのだと思っています。

一流品という言葉に違和感を覚えます。
それは誰もが知っているブランド品であることが多く、書籍などではそれだけが唯一良いもののように書かれていることがあります。
しかし他にも良いものはあるし、もっと上質なものもたくさんあります。
最近日本の歴史に興味を持って、関連する本を読んだり、考えたりすることがあります。歴史の殆どは、ほんの一部の日本の表面的な部分を動かしていた為政者について書かれています。大多数の存在である庶民はきっと例えば中大兄皇子が蘇我入鹿を殺害して権力を手中におさめたことなど知らないし、関係がない。
それらは日本の歴史ではなく、日本のほんの一部の人の権力闘争の歴史で、一流品という言葉でそれが良いものの全てとすることに近いニュアンスを感じる。

一流品と言われている誰もが知っているものよりも、あまりたくさんの人は知らないけれど、自分でその良さを見出して好む方が、私には趣味が良いように思える。
そういうものを一流品に対して、けっして二流品ではない。無名品と言えばいいのだろうか。
当店は偉大なる無名品、私たちの日常に取り入れることのできる無名品を揃える店でいようと、誇りを持って思います。
当店で扱っている革製品、木製品など職人さんたちのものはもちろんそうですが、考えてみると万年筆メーカーのものはほとんどが無名品であるような気がします。
万年筆を使わない人で、モンテグラッパ、ビスコンティ、ピナイダーを知っている人は少ないのではないでしょうか。

無名品と考えた時に私はまずアウロラのことを思い浮かべます。
一般にその名は知られていないけれど、この万年筆に強く惹かれるファンがいる。しっかりとした構造の実用的な万年筆を作っているペンファクトリー。
私たちが生活の中に取り入れてもおかしくならない、自然で抑制の利いた華やかさ。
アウロラのペン先は硬めで、F以下なら細かい文字も書きやすいので漢字を書く国でも使いやすいと思っています。
インクが切れた時に発動できるリザーブタンクは、とても便利な機能で、実際に万年筆が使われるシチュエーションに合っている。
アウロラは実際に使われる生活を思い描いて作られている、偉大なる無名品だと思っています。

⇒AURORA(アウロラ)TOPcbid=2557105⇒AURORA(アウロラ)TOPcsid=2″ target=”_blank”>⇒AURORA(アウロラ)TOP
⇒AURORA・限定品88サトゥルノ(画像の万年筆)

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⇒2015.3.20「信じられるブランド~AURORA」
⇒2017.10.27「アウロラの誇り」

静かな暮らしから生まれるオリジナリティ~カンダミサコの革製品~

静かな暮らしから生まれるオリジナリティ~カンダミサコの革製品~
静かな暮らしから生まれるオリジナリティ~カンダミサコの革製品~

小さな店ですが、今までお客様以外の方でもいろんな人と関わって仕事してきました。その中で長く関係を続けられる人もいれば、そうでない人もいます。
仲良しグループというつもりはなく、お互い高め合える人と一緒に仕事をしたいと思っています。
そんな中でカンダミサコさんとは長く一緒に仕事してくることができて、とても助けられています。
カンダさんは当店と同じ元町で工房兼自宅を構えられていて、犬の散歩の途中やお昼ご飯を買いに行く途中で納品に来てくれたりする距離にいます。
カンダさんもこの場所で、静かにマイペースな生活をされている。
その仕事に惚れ込んでいるけれど、カンダさんのそんな生き方のペースがきっと当店と合っていて、長く協力し合えているのだと思います。

私たちは自分たちの静かな生活を守るために常に何かを創り出そうとしている。
変わらない暮らしをするためには仕事の永続性が必要で、そうするためには変わり続ける必要があるということが分かるようになってきました。
その仕事において一番大切なことはオリジナリティだということも、今までやってきて分かりました。
私たちが表現したいオリジナリティは奇抜で、奇想天外なことではなく、静かな生活の中から生まれた、自分たちの考えが生み出すものだと認識していて、それはカンダさんと変わらないのかもしれません。
カンダさんは私よりもずっと歳下だけど、それらのことはすでにちゃんと分かっていて、マイペースで仕事を続けられていて、すごいと思っています。

シュランケンカーフやダグラス革のコンチネンタルのシステム手帳が定番品という位置付けで、その他に毎年革の種類を変えて作ってもらっているものがあります。
昨年はカンダさんが秘蔵していた革クラシコバッファローでシステム手帳を作りましたが、今年はアルランゴートヌバックを使ったシステム手帳をバイブルサイズとミニ5穴サイズで作っていただきます。

アルラン社はフランスのゴート専門のタンナーです。丈夫でしっかりとした山羊革の銀面をバフ掛けして起毛させ、柔らかく滑らかな手触りに仕上げています。
山羊革の特長を生かしながら、繊細な手触りを加えた仕上げに、さすが山羊革を知り尽くしたタンナーによる革だと思いました。
今年の手帳にとカンダさんが勧めてくれた革で、こんな革を使った手帳を見たことがなかったけれど、すごいものができたと喜んでいます。
ホームページに発売後あっという間に品薄になってしまいましたが、また製作していただく予定です。

そして、アルランゴートヌバックほど派手な存在ではないけれど、システム手帳用の下敷きも作っていただきました。
ブッテーロの革を薄く漉いて作られた革下敷きは、裏側も滑らかで書きやすくなっています。さりげない小物だけど、デザインやいつもと違うロゴにも気配りが感じられる。
手帳を楽しむためのこういう小物にもカンダミサコさんらしいオリジナリティが感じられて、気に入っています。



⇒バイブルサイズシステム手帳用革下敷き
⇒M5サイズシステム手帳用革下敷き

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